2021/9/24 UP!
今回は君津市に流れる小糸川近くに取材に行ってきました。小糸在来の取材です。

小糸在来というのは、千葉県君津市小糸川の流域を中心に栽培されてきた在来種の大豆の登録商標です。やや緑色で大粒の「幻の大豆」ともいわれている話題の豆なんです。取材に行ったのが8月の末でしたので、まだ枝豆はできていませんでした。
この美味しい大豆を栽培し、品質の維持・向上に取り組んでいるのが「小糸在来愛好クラブ」の皆さんです。早速、いつ頃からつくられているのか、なぜ幻と言われているのか など、会長の鈴木芳昭さんにお話を伺いました。

鈴木さん:昔から、田んぼの脇の、いわゆる田んぼのあぜ道ですね。我々いわゆるクロというのはあるんですけども、そこに、食料といいますか、お正月の煮物の豆とか、味噌とか、そういうものを作るため、食べるために作りました。自家消費と言いますか・・自分のところで各農家は作る、そんな形ですね。戦前からあったように見受けられます。その時には、昔は醤油だとか、そういうものも自家製で作ってみましたので、その材料として使っていたんじゃないかなと思われます。
特別な感じで作っていたわけではなく、自分たちの生活で使うために空いている土地で作っていたというようなんですね。戦争の後、一時は栽培が途切れそうになったこともあったそうですが、復活させようという動きがありました。
鈴木さん:平成11年頃に、君津市で、ブランド物を作ろうとか、作物を発表しようとかっていう動きがあって、市と県J Aを含めて農協も含めて、この小糸在来種はいいんじゃないかなという動きができて、私どものところにいわゆる農家に生産の依頼が来たわけです。私は農家なりたてといいますか、新規就農みたいな感じで途中から親から引き継いでやった時だったので、あまり分からなかったんが、先輩諸氏に聞きますと、大豆なんか儲からないし、そんなもの生産性も悪いし、ものになるわけないからやめた方がいいという、ほとんどの人がそうでした。前から大豆を作っていた2人の大先輩がいたんですが、その人たちを加えてたかだか6人で始めました。平成16年です。その年が。だからもう15、6年前ですかね。5、6年で終わるのかなという感覚でした。今は84~5名、いろんな人たちを入れると、100名近くになってますね。
地域の名物になればという感じだったのでしょう。でも六人から百人にまで仲間が増えてきたのは、やはり大豆が美味しいからなのでしょう。鈴木さんは、主にカブなどの根菜類を作っておられる農家さんでなので、先輩農家さんのお話も聞いて、最初6人で始めた時は本当に心細かったそうです。認められるのか?君津の農業の特産品になれるのか?そのうち、みんな諦めちゃうんじゃないかと、正直みんなが思っていたそうですがつくってみると、うれしい驚きがありました。
鈴木さん:食べてみても実感としてわかるんですが、あ、甘いな・・甘み強いなっていうのは、我々でも分かるし、それと非常に香りが、独特のその香りがあって、やはり美味しいですね、食欲を誘るといいますか。加工品も、お味噌を、豆腐、納豆はもちろん、ちょっと変わってて、焼酎だとか、むき豆みたいなものとか、あとそれを使っていろんなお菓子だとか、そういうものを結構皆さん作ってらっしゃいますね。なんて言いますか、外国から来る輸入物の枝豆が、あれが枝豆の味なのかなと(いう)感覚でしたので。小糸在来を作って初めて小糸在来の枝豆を食べたんですけども、もう全然違いますから。正直言ってね、びっくりしたし、我々もハッと我に帰ったといいますか、なんでこれは早くやらなかったかなという、今も思いますね。

JAきみつ味楽囲(みらい)のおびつ店とさだもと店、それから袖ヶ浦市農畜産物直売所・ゆりの里などで購入できるそうです。大豆の加工品というと、私たちの生活の中にはいろいろありますが、「小糸在来」で作ってみると、すごく美味しくて、評価がぐんぐんと上がっていったそうです。こうしたクラブの栽培拡大・商品化の取り組みが評価され、小糸在来は 全国農業協同組合中央会(JA全中)の第40回日本農業賞特別部門・第7回 食の架け橋賞の大賞を受賞するなど、大人気になりました。


鈴木さんに、これからの小糸在来についてもお話聞いています。
鈴木さん:今までもずっと続けてきたことですが、まだまだ知られてないっていう方がいらっしゃるようなんですよ。もうちょっと、いろんな面で宣伝と言いますか、広報して行きたいと思って、また広げていきたいですね。食べてもらうのがやっぱり1番いいですね。だから、少なからずトップセールスやって東京の東京市場に行って、仲買さんの人たちに試食してもらったり、小さいところでは直売所だとかで試食会を開いたり、そういうものをして行きたいなとは思っています。お蔭様でうちの方の地域、素晴らしい新規就農者で大きくやってる人も2人ぐらいいらっしゃるし、その方が一生懸命、今作ってるんですけど。頼もしいです。まだ40代ですから、その人たちが私どもの後を継いで行ってもらって広めていただきたいですね。

ちなみに、小糸在来の枝豆は、奥手(シーズンが遅め)なので、今年は10月10日ぐらいから買うことができるようになるということでした。
ぜひ一度試してみてください。今回お話をお聴きした鈴木さんが会長を務められる「小糸在来愛好クラブ」のHPはこちら!⇒小糸在来愛好クラブ