三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
首都圏からのアクセスもよく、
通勤圏でありながら海や里山の豊かな恵みをあわせもち、
自然とともにある生活を楽しめるエリアです。
そんな「千葉の魅力」を支えるさまざまな活動や
想いムーブメントなどにスポットを当て、
現地取材の声も通して「魅力あふれる千葉」をご紹介していきます。

毎週月~木 18:35頃~「YOU 遊 チバ」はこちら
※「YOU 遊 チバ」は、ミンナノチカラ~CHIBA~と連動し週ごとにさまざまなテーマで千葉の魅力をお届けしているコーナーです。

Every Fri. 18:45~18:59

第65回 九十九里の塩づくり「山武の海の塩」

2021/10/1 UP!

今回は山武に取材に行ってきました。

塩は昔から海水から作っていました。ここ千葉でも美味しいお塩を作っている方がいらっしゃいます。

この塩は九十九里の海水を使った昔ながらの製法で作られた美味しいお塩で、「食のちばの逸品を発掘2016・直売所部門」で審査員特別賞も受賞されました。しかも実は、たったひとりの方が奮闘して作っていらっしゃるんですね。早速、九十九里海の塩プロジェクトの  山路由美子さんに 塩づくりについてうかがいました。

山路さん:

九十九里海の塩プロジェクト、ソルティストの山路由美子です。九十九里の海水100%を使って手作り塩を作っています。海水をくみ上げて「流下式さいかん」といいまして、漁網に海水をかけて濃縮、それを平釜に移して薪でたきます。それで結晶まで炊きまして塩が出来てきます。それをあげて、天日干しして出来上がりです。1週間かかります。海水1tから 20キロの塩しかできません。牛乳パックの海水から20gしかできないってこと。ですので、薪がとても多く要りますし、ゆっくり結晶にしますと、粗塩になりますけれども、うまみのある塩ができますので、焦らずじっくりと火をたいてます。

取材の時も、薪を釜にくべられていました。バンバン燃やしているのかと思ったら、そうでもなく、静かにゆっくり燃やしている感じです。

海水1トン=およそ1000kgから20kgの塩。2%ということになりますが、お話にもありましたように、時間がかかります。丁寧な手仕事から生まれる塩なんですね。

大きな結晶を作るために、60度から70度ぐらいの温度でゆっくりと水分を蒸発させているのだそうです。とにかく焦りは禁物。最近、人気が出始めて、注文が来ても、「焦らない焦らない」と 自分に言い聞かせて、ゆっくりと海水を炊いているんだそうです。その塩の成分についてこんな話をしていただきました

山路さん:こちらは、千葉県薬剤師会検査センターの方で検査をしていただきました。その成分結果ですけれども、100gあたり、ナトリウムが34g、マグネシウムが720mg。 カルシウム1300mg、カリウム290mgです。このうちカルシウム1300mgというのは、日本全国から見て珍しい値だと思います。九十九里の海で魚がよくとれたりですとか。貝類、ハマグリですとか、ながらみですとか、そういうところでは魚介類が豊富に とれますので、そういった意味でもミネラルを含んだ海水だと思っています。恵まれてます。そういう海水を使わせていただいて、塩にさせていただいているというのは恵まれてありがたいことだと思っています。

塩ですからナトリウムはわかるのですが、カルシウムがかなり多い感じです。

この塩を作るきっかけは?

山路さん:10年前に震災がありまして、その時に被災者を緊急雇用するという県の事業がありました。その時に、その緊急雇用の先としまして、塩づくり体験ができる、その事業の中で雇用するというところで、塩づくり体験の授業が始まりました。最初は塩を売るというのはしてなくて、皆さんにあの体験をしていただこうという、やはり昔ながらの作り方を復活させる、っていうのがメインでしたので、塩はその時は、売っていませんでした。あの体験で試食をしていただいた時に「あぁ、美味しい。これでおむすび作ってみたい」っていう方がいらして、「買って帰れないのかしら」「いや売ってないんですよ」っていうところで。皆さん、そういうお声を頂きましたので、2年後から販売に向けて取り組んできました。皆さんに知っていただきたいなあっていうのが独立のきっかけですね。

最初は売るためではなく、塩作り体験だったんですね。山路さんは、この時、山武市(さんむし)観光協会のお仕事で「塩作り体験」に携わったんだそうです。最初はこの塩を売る、ということではなかったのが美味しいと評判になって、緊急雇用事業が終わった後も、塩づくりや九十九里に興味を持ってくれる人が増えたのに ここでやめるのはもったいないと思い、独立されたそうです。それが今につながっているんですね

塩ができるのと同時にできる「ニガリ」も販売しています。これ、2〜3滴おかまに入れてご飯炊くと、美味しくなるそうですよ。

これからの展望についても伺いました。

山路さん:今までのちょっと違った塩の味をお楽しみいただけると思います。給食で使ってくださるっていうところでは、先生方が「地産地消メニューの中の塩は九十九里からとれた手作りの塩ですよ。九十九里ご存知ですか?」というのから、海を美しく後世に伝えましょう というので、先生は食育をしてくださっていると思います。面白いところでは、千葉県のマロンドさんというパン屋さん、塩パンのとなりに、塩を置いております、売ってくださってます。成田の方のヨネブンという羊羹屋さん、こちらの方でも使っていただいてますけれども、塩も一緒に売ってくださっています。やはりうま味を引き出す素材として使っていただいていると思います。その釜を増やす計画が御座いますので、はい、みなさんのご期待に応えられるかなと思います。

生産量も増えるようなので、皆さんも目にするチャンスが増えるかもしれませんね。海の恵みをそのまま凝縮した「山武の海の塩」そしてニガリは、公式ホームページからお取り寄せもできます。塩づくり体験の申し込みも受け付けていますので、興味のある方はぜひチェックしてください。番組のブログにリンクを貼っておきます。九十九里の美味しい海の恵み。一度味わえば、その深みと奥行きに驚かれると思います。

山武の海の塩ホームページ

http://sammu-sea-salt.com/

前の記事
次の記事
サイトTOPへ戻る
WHAT’s NEW