2022/3/18 UP!
今回は、東金(市にある桜の名所、そして、辺りにある歴史ある建物を ご紹介します。

東金には八()鶴)湖()という湖がありまして、桜の名所として有名なんですが、そのほとりには国登録有形文化財となっている建物「八()鶴館」があります。現在は、レイクサイドレストラン「八鶴亭」として、営業もしています。 今回は、この建物と歴史を守る ミンナノチカラをご紹介していきます。

東金は徳川家康が鷹狩りに訪れた場所で、船橋から東金までおよそ37キロを結ぶ御成(おなり)街道(かいどう)には徳川家にまつわる寺社や屋敷跡も点在しています。まずは八鶴湖のほとりにたつ八鶴亭のルーツについて、八鶴亭の専務取締役 野口隆利さんにお話を伺っています。

野口さん:まずこの八鶴湖がそもそも徳川家康公から三代将軍家光公までですね、鷹狩りの場として使われておりまして、それの御前池として整備されたのが、この八鶴湖でございます。八鶴館は明治18年に当時の東金の旦那衆がお金を出し合って、集会場として作ったというのが、そもそもの成り立ちです。当時は東金も非常に栄えた街でございましたので、その旦那衆の、憩いの場として割烹旅館という形になって参りました。当時は、やはり夜毎に三味の音が響く大変優雅な場所だったようです。文化庁の方から国の登録有形文化財ということで、ご指定を頂いております。

鷹狩りの場所・東金に「御前(ごぜん)池(いけ)」として八鶴湖を整備して、徳川家康は鷹を権力の象徴として大切にしていたということですから、その中心の場所として、東金は繁栄してきたんだろうと想像されます。そして、明治時代になってから、その八鶴湖のほとりに、当時の旦那衆・・・地元の有力者のいわば社交場として、作られたのが八鶴館。華やかだったのが伺えます。将軍家のお狩り場ということで、現在の県立東金高校がある場所に「東金御殿」と言われる宿泊所がつくられ、そこからの眺めをよくするために八鶴湖が整備されたそうです。さて、八鶴館は、大正時代に関東大震災で大きな被害を受けま したが、その時は、地元の有力者によって復興しましたそうです。
ところが、バブルの崩壊が、新たなピンチを招きます。
野口さん:バブルの崩壊に伴いまして、ここの八鶴館も非常に厳しい経営状態になりました。競売にかかる状況まで行ってしまいました。やはり古い建物ですから、おそらくこれで競売にかかったとすれば取り壊しをされてしまうであろうということで、それを危惧しまして、地元の非常に有力者の方々が気をもんでくださいましてそれを何とか買い取って、これを残そうじゃないかということになりました。この八鶴湖と八鶴館。これがこの地域の東金、それから山武地区のシンボルだったんじゃないかなと思うんです。そういった意味で、ぜひこの古めかしい建物ですけど、これを何とか保存したいという、本当に多くの方々が関心を持ってくださってですね。大変貴重なお金も出しあってくださった。本当にこれはありがたいことです。

地元有力者たちの社交場がルーツの東金・八鶴館。2回の大きな危機は乗り越えましたが、明治時代からの建物、やはり老朽化は進んでいきます。旅館としての営業は難しくなり、レストランとして再生をはかりますが、レストランの営業だけでは維持も大変。でもそんな中、また新しく力になってくれる方がでてきたそうなんです。

野口さん:昔は割烹旅館でしたので、八鶴館といっておりました。現在、再生するにあたりまして、もう旅館としてはやはり設備が古すぎて非常に厳しい状況でしたので、レストランとして再生しようということになりまして、名前も八鶴亭という名前に変えさせて頂きました。フレンチレストランとして営業しておりますが、なかなかレストランだけでは厳しい状況で。今現在、ボランティアグループの方々が、やはりこの保存のために大変な力添えを頂いてくださっております。「みんなの八鶴館」という組織を立ち上げてくださいまして、傷んで汚れた建物をですね、まず隅々まで綺麗にしてくださる。ものすごくお忙しい中を、ご自分の時間を割いて、本当にお掃除から、それから建物の管理から、一歩進んで、新しい色々なアイディアから、そういったことまでやってくださってるんで、これは何とか今維持できているのは、本当にみなさんのおかげだと思っています。

https://www.facebook.com/hakkackan/
http://hakkakuko.com/hakkakukan/
ボランティアの皆さんは、建物の中を動画風に移動して見ることができるWebページの作成や、3月上旬には寄付された雛人形の飾り付け(かなりの数)で華やかに部屋を彩ったり、案内ツアーなどさまざまなアイディアを提案。宿泊はできませんが、部屋の貸し出しもおこなって、この建物を後世に残そうとがんばっています。さて、八鶴湖は東金の桜の名所としても有名です。どのような感じで見ることができるのでしょうか?最後に教えていただきました。
野口さん:

特にこれからとても桜の良い時期です。八鶴湖の周りには約千本の桜が植えられています。これから
3月末から4月の上旬にかけて、大変綺麗なお花見の場所になります。これは古くからですね、東金は、花の街として、特にもうこれからの季節とてもいい景色になりますね。八鶴湖の周りは、特に夜桜の名所として知られておりまして、大変多くのお客様をお迎えしております。レストランからはですね、ほとんどガラス張りで湖面が大きく180°に近く見ることができます。

また、桜が終わってからもですね、湖畔にはいろいろな花々が咲き乱れますので、ぜひまた大勢の方においでいただければと思います。私どもももちろんなんですが、ボランティアグループの方々も、やはりこの八鶴館を残そうということで、本当に色々お力添えをくださっています。やはり文化財ということで、より多くの皆様に興味を持って頂きたい、というのが私どもの望むところです。
八鶴亭では、フレンチのランチ、ディナーを予約で楽しむことができます。九十九里町に工房があって、世界の有名レストランでも使用されているスガハラガラスの器も料理をより引き立ててくれます。
徳川の時代から地元の皆さんに愛されている八鶴湖、そして、明治の時代から地元のシンボルとして愛される国登録有形文化財の八鶴館とレストランの八鶴亭。お近くにお寄りの際は是非訪れてみてください。