2022/8/26 UP!
今回ご紹介するのは、千葉市若葉区にある千葉市動物公園。

千葉駅からモノレールで10分ちょっと、「動物公園駅」を降りてすぐ目の前です。2005年に、2本足で立つレッサーパンダの風太くんが一躍有名になりましたよね。そんな千葉市動物公園ですが、今、また人気が上がっているんですね。そこにはどんな理由があるのでしょうか。2019年に公募で千葉市動物公園の園長に就任された鏑木一誠さん、どんなきっかけがあったのでしょうか?

鏑木園長:千葉市動物公園の園長を務めております鏑木と申します。学生時代からですね、地元地域の発展につながるような仕事に携われたらいいなという思いがずっとありまして。いわゆる電気メーカーの一ビジネスマンで仕事してました。千葉市が動物公園の園長公募するということを聞き付けて、自分の会社生活の中で経験してきたことがですね、動物公園の経営にも運営にも生かせるんではないかということで応募いたした次第です。

千葉市動物公園はですね、1985年に開園しております。したがって現在36、7年の経過するわけですが、老朽化が進む。それから展示環境を展示物も含めて陳腐化している。その中で平成26年にですね、リスタート構想という再生の方向性をまとめたものがございます。これを具体化に進めていくというフェーズが課題として示されておりまして、これを具体化していくのが私の大きな意味でのミッションということになります。

現在の県知事、当時の熊谷千葉市長は、辞令の公布式で、「市民により愛される動物公園に向けて、リーダーシップを期待している」とエールを送られたそうです。リスタート構想を請け負った鏑木園長、こんなスローガンを掲げました。
鏑木園長:私の掲げたスローガンというのがありまして「驚きと感動」「憩いと癒し」それから「学びの場としての発展」というのを掲げました。その実現に向けたアプローチとしては、一つ目がその動物園の社会的存在意義として挙げられている四つの機能の充実なんですね。その四つの機能というのは、動物種の絶滅を防ぐ取り組みである「種の保存」。

それから生物学的解明や飼育技術の確立につながる「調査や研究」。生物多様性が共生環境に関する「教育」。楽しみながら学ぶ場の提供を意味する「レクリエーション」。動物園とは生きた野生動物の展示を通して彼らの生態の魅力を感じ、体の仕組みや命のきらめき、また生物多様性が共生の大切さを学ぶだけではなくて、命を取り巻く課題、野生動物を含む自然環境や、ひいては地球全体を守ることに人々の気づきが関心が向かうことにつながる情報と体験を提供する場だと思っています。ですから、二つ目としてSDGsなどの時代が持てるメッセージテーマや、動物や自然に 関連する文化芸術科学に触れることも含めた、情報と体験の質的量的な強化が必要だと思っています。
情報発信の強化として、南アフリカに住む、日本人女性で唯一の公認サファリガイド・太田ゆかさんが南アフリカのサファリの様子をリアルタイムで案内してくれるバーチャルサファリを定期的に開催。園内の会場でも、オンラインからでも参加できるこのイベントでは、野生動物の豆知識や環境問題等も取り上げているほか、「ずーろじラボオンライン」という 小学生限定のオンライン授業も開催しています。
ところで、動物園ぼ動物たちは、決まった時間位ご飯がもらえるなどして、野生の本能とか動物としての本性を忘れちゃってるんじゃないかな?と思いませんか?そこで、園としては、肉食獣の本能に迫るこんな取り組みをはじめました。楠木園長のお話です。
鏑木園長:飼育下にある動物というのは、もちろん野生と違う環境なので、さまざまな課題を持っています。例えば肉食動物でいえば、普段彼らに与えている肉というのはですね。皆さんがスーパーで買うようないわゆるカット肉であります。しかも彼ら獲物を狩るというような行動をしなくても、動物園では自動的に餌を与えるという環境にあります。
したがって、彼らがそもそも持っている生態を引き出し切れていないという課題があります。一方ですね、千葉県下のみならず全国的な課題にもなっている「害獣」というレッテルを貼られて駆除されている動物たちがおります。そのほとんどが埋設処理をされていると、この二つの課題をつなぎ合わせることによって、今まで価値を生んでなかったものが、アップサイクルできるんではないか。
害獣として駆除されている動物たちをですね、肉食動物に与える。かみ砕くだとか、 ひきちぎるだとか、なめ回すだとか。そういった彼らが本来持っている生態を引き出せる。そんなような取り組みを昨年からやっているところです。

園では、駆除された動物の命を少しでも無駄にしないように餌として利用していますが、その時に、動物たちの野生本来の生態を引き出せるように、食べやすくカットせず自然に近い形でお肉を与えているんですね。さて、さまざまな課題に向かって問題解決を模索する鏑木園長と園の皆さんですが、次に考えていらっしゃるのが「みんなで作る動物園」。みなさんが「自分が何かの形で動物園に関わってる」と思うことで、もっと来場してもらえる んじゃないかということなんですが、こんなお話もしてくださいました。
鏑木園長:「市民との共創」共に創る、協力して作るっていうテーマに沿ってですね。実は我々動物園側がですね「こういうものがあったら、こういう新しい取り組みが展開できます」ということをお示しをし、それに賛同していただいた方々からご寄付という形で2019年の7月あたりから、アマゾンの「ほしい物リスト」というスキームを使って、(さきほど言ったような)動物園として新しいテーマを掲げ、それに必要な物をお示することでご寄付いただこうと。それによって、市民のみなさんとですね、共に創る、協力してつくるっていうことを形にしていっています。動物たちがですね、食べる給餌装置ですとか遊びの道具ですね。そんなものを中心に今いただいているところです。

多くの協力が届いているようで、例えば冒頭ご紹介したレッサーパンダの風太くん。飼育されているレッサーパンダは一般的に寿命が15~16年ということなんですが、現在19歳!ひ孫、玄孫までいるんだそうです!で、お年のため、もうあまり高いところには登れないということで、屋外の展示場に特別に「風太くんのお家」が作られました。地面に近いところにあるので、熱気がたまらないようにエアコンの風をダクトで送り込むようにもなっているそうです。これもみなさんのご協力で実現したんですね。今もそうしたみなさんの協力をいただきたいものが、「amazonほしい物リスト」に掲載されています。協力したいな、と思った方は、「amazon」「千葉市動物公園」で検索してみてください。協力したことが形になるって、とても 嬉しいことですよね。

風太くんだけでなく、19種類ものサルが集まっているモンキーゾーンなんかもぜひ見てもらいたいですよね。

去年公開されたブチハイエナも、ハイエナという名前のイメージとはかけ離れた愛らしさが評判だそうですし、

ここで生まれた6つ子のチータも順調に育ってますが、チータらしいかっこいいフォルムは必見だそうです。はやくコロナが落ち着いて、チータが疾走する チータ・ランイベントも復活するといいですよね

子供から大人まで、みなさんのニーズに合った見せ方、発信を模索しながらがんばっている千葉市動物公園。2021年度の入場者数は2010年度以降最多になりました。アクセスに便利な千葉都市モノレールでは、車両によって、動物公園の駅名案内の時に園長のコメントが流れるものもあるそうですよ。 みなさんもぜひお出かけしてみてくださいね。
https://www.city.chiba.jp/zoo/