2022/9/9 UP!
今回は市川の梨のご紹介です。
千葉県は日本なしの栽培面積、収穫量、産出額ともに全国トップ。
市川市内にもたくさん直売所があって、特に国道464号線は「(大町)梨街道」とも呼ばれています。いち早く出荷される幸水からはじまって豊水、果実が大きい あきづきや新高まで夏から秋まで楽しめるんです。美味しい梨ができる理由や、今年起きた市川の梨の大ピンチについて ご紹介していきます。
JAいちかわの市川経済センター・センター長を務めていらっしゃる武藤健司さんに、市川が梨の栽培に向いている理由から伺いました。

武藤さん:JAいちかわ 市川経済センターセンター長の武藤でございます。一つは、土壌条件が水持ちが良く、水はけもよくですね、梨の栽培に非常に適した土壌になっておりまして、それで古くから産地として確立しております。江戸時代、約200年前にですね、市川の寺子屋をやっていた方が、現在の岐阜の方から梨の穂木を持って帰ってきて栽培が始まったと伝えられています。品種はですね、幸水から始まって豊水、秋月、かおり、新高と続いていくんですけれども、それぞれ、味や食感に特徴がありまして、時期もそれぞれの品種は旬の時期短いんですけれども、7月の末からですね10月中旬まで品種をリレーして出荷が続いているような形になっております。
江戸時代に岐阜から持ち込まれて、当時の八幡地方、今の市川で作り始めた。ずいぶん長い歴史があるんですね。そしてそれぞれの種類の旬は短いけれど、さまざまな品種を作りつないで、梨狩りも2か月半くらい楽しめるようになっているん ですね。
江戸時代から長い時間をかけて、梨の樹を健全に育てるための土づくりや、梨の味を左右する枝の剪定、肥料のやり方など、美味しい梨づくりのための技術が蓄積されて、市川の梨は有名になっていきました。宅地開発による畑の面積の縮小や梨農家さんの高齢化など課題もありますが、地域ブランド「市川の梨」を求めて毎年多くのファンがやってきます。そんな中、今年の6月に市川を中心とした梨農家の皆さんを大ピンチが襲います。一体何があったのでしょうか?
武藤さん:
今年6月の3日にですね、市川市だけではないんですけれども、市川市を中心に雹(ひょう)が降りまして、梨も、雹に当たってしまいまして、市内の七割から八割の畑で、雹の傷が付いて被害が出てしまいました。大きく傷が付いたものはですね、通常の年であれば、出荷はせずに加工向けであるとか、まあそういったところで処分というか処理をさせて頂くようなところになります。JAいちかわとしてもですね「雹害の梨」をどうにか販売をしたいということで、縁起がいい「当たる」と「雹に当たる」というのをかけまして、「あた梨(り)ちゃん」というネーミングで、オンラインショップやJAの支店で、販売をして、生産者の支援をしていくような形に決定いたしました。

ちょうど梨の小さい実ができたころに雹が降ったので、実が大きくなるにつれてついた傷も大きくなってしまいました。奥深くまで傷ついたものは加工などに回されましたが、表面がちょっとだけ傷ついているものは、味には全く影響がないとなので、「雹に当たったことを逆手に取って積極的に出荷していこう」ということになったそうです。スタジオでも試食をいたしました。

武藤さん:
味の方なんですけれども、出荷の直前、非常に晴天にも恵まれまして、本当に甘くてですね、美味しい梨が出荷できるところだったんですけれども、その傷があるというところで、少しその部分しっかり皮を剥いていただくとか、そういった手間はおかけするんですけれども、皮をむいていただければ、中身は例年と同じく非常に美味しい梨、出来上がっておりますので、はいぜひご賞味いただければと思います。その雹害の果実の選別作業という一つ余計にですね、工程が加わっておりますので、生産者はより厳選にですね、選別作業を行っておりますので、余計に手間もかかっております。雹に当たった果実を食べた方からも「剥いて食べると全然影響がなくて、例年通りおいしい梨だね」ということで、梨そのものの 美味しさ、評価していただいているところになってます。
一般の方だけではなく「加工品にしたい」とか「販促のプレゼントに使いたい」企業からの買取もあって、支援がどんどん広がっているそうですよ。さて、武藤さんもおっしゃっていましたが、梨の美味しさは気温にも影響されます。今年も暑い日が続いています。これが、甘さをググッと引き上げてくれているんですね。
最後に武藤さんに、梨をご家庭で美味しく食べるコツを教えていただきました。

武藤さん:
もともとあまり日持ちはしないんですけれども、常温で保管をいただいて、食べる直前にですね、2〜3時間冷蔵庫で冷やして召し上がっていただくと、甘さも食感もすごくよく感じられて美味しいと思います。市川はですね、生産者が直接販売をする直売所も多くありまして、百軒を超えるような直売所あるんですけれども、それぞれのお店で特徴もありまして、中にはすごくめずらしい品種を作っていたりとか、品種それぞれにですね、味の特徴がありますので、この時期、時期、旬の梨がやっぱり一番美味しい梨でありますんで、食べたことのない品種とかもですね、ぜひ味わっていただければと思います。時期時期で市川の方へ足を運んでいただけると、市川の梨の魅力がよりわかっていただけるかなと思っております。ぜひお待ちしております。
JAいちかわを通しての出荷だけでなく、市川市内にはたくさんの梨の直売所があります。直売所で、農家さんとのお話を楽しむというのもいいかもしれませんね。まだまだ続く市川の梨の出荷。このあとは、「あきづき」や「新高(にいたか)」が美味しくなるそうです。そして、雹で傷がついていてもおいしさは変わらないちょっとお得な「あた梨ちゃん」。興味を持たれた方はぜひネットで検索して、取り寄せてみてくださいね。