三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
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こだわりの『ありの実』!「与佐ヱ門の梨」

2023/8/4 UP!

今回は、200年以上続く市川市にある農家さんで「梨屋 与佐ヱ門」というブランドで、美味しい梨をつくるため、都会の喧騒から離れた富里市にも梨畑を構え生産している8代目農家さんの奮闘ぶりをご紹介します。

市川市や船橋市など東葛地区は梨の生産で有名で、美味しい梨がたくさん出荷されています。そんな中、注目されているのがオリジナルブランド「与左ヱ門」の梨、そして梨の加工品の「ありの実」シリーズです。その開発秘話も伺います。

お話を伺った方は、市川で200年以上続く農家の8代目田中総吉(たなかそうきち)さんです。梨農家を継ぐということは子供の頃は考えていなかったそうです。その理由と、梨農家を継ぐ前に社会人を経験されているそうなんですが、そのとき得た教訓をお話しくださいました。

田中さん:私で八代目になりまして、約200年ぐらい前から農家として代々受けついできているというところです。梨に関しましては私の祖父ですね。六代目の時に梨を栽培を始めて、現在に至ってます。まあ、約60年から70年ぐらい経ってるという感じです。はい、小さい頃からあんまり興味は持ってなかったですね。あの農薬メーカーにあの就職させてもらって五年間ほど。実家は何やってるんだと言うことで、まあ、千葉でなしをやってますっていうことで、そしたらまあ、たまたま父を知っている方が在職しておりまして、、、ということは、お前はゆくゆくは跡取りだなと。これからの農業はただ農産物を作ってるだけじゃなくて、経営者にならなくちゃダメだと、まあ、そういうアドバイスを常にしていただいて。 でとにかく経営者になる勉強もしなさいと仕事をしてきました。

いまだに虫が苦手という、田中さんです。梨は、時期の早い順に、幸水、豊水、新高(こうすい、ほうすい、にいたか)、あきづき、などを作られています。田中さんの市川の農地、梨畑は昔は周りに家も少ない感じだったそうなんですが、その後、宅地化が進み、大型道路の計画などで農地が狭くなったりということもあり、市川で梨を作りながらも、千葉県富里市内にも土地を取得されます。そこで試験的に梨を作り始めました。ところが、同じ種類の梨の木を植えて育てても、何かが違うということで、田中さん、ごひいきさんから叱られたりと相当苦労されたんです。

田中さん:どうしてもやっぱり市川の肥沃 な土と違うので、出来上がった梨に微妙な味の違いだとか、食感の違いっていうのが出ていたんですね。ごひいきのお客様は市川で作ってたなしの味とそれから富里できた梨の味の違いに敏感にこう反応していただきまして「おい、親父が作ってたお前息子が作り始めたお前が作ったのはまずい」と、もう散々言われまして。もう僕としてもなんかもう行き場のないやり場のない悲しみと怒りでもう本当に大変でした。はい、大臣賞もらったときに、まあごひいきのお客さまが電話をかけてくれたり、直接来てくれたり泣いてくれたんですよね。よかったねって努力したかいがあったねって。 言って頂いて「おいしくないなお前が作った梨は」と言われたあの本当にご贔屓の お客様は誰よりも先に来てくれてね。肩たたいてくれて「いや、よく頑張ったなと。俺も今となっちゃひどいこと言ったって思ってるんだぞ」なんて言ってね、あの本当に評価してくれて、それが本当に今でも励みになってますね。

いま、大臣賞というコメントがありましたが、これは、2010年に開催された「千葉なし味自慢コンテスト」で、豊水(ほうすい)という種類で農林水産大臣賞(1位)を獲得したということなんです。数ある千葉県内のの梨農家さんの味自慢で1位は大変名誉なことなんです。

この富里での梨畑は10年以上かけて土を改良したのだそうです。最初少し梨の木を植えて作ってみたのだそうですが、先ほどのおはなしのように味の評判が悪かったので、追加で梨の木を植えることをやめ、残りの土地には苗木を植える前に、高さ2メートルにもなる牧草を植えて、秋冬に枯れたら、それを土にすき込み、また2年かけて作った堆肥も混ぜ、それを10年間続けたそうです。知り合いや周りの農家さんは「スイカやにんじんなど富里でも美味しいもの作れるから、とりあえずそれを作ったらどうか?」と勧められたそうですが、浮気せず、市川のような肥沃な土をつくるために一筋で土づくりをしたんです。

さて、こちらでは、梨の加工品も作られています。いくつか種類がありまして、これらを「ありの実」シリーズとしているんです。もう、お気づきかもしれませんが、「なし」を縁起のいい言葉「あり」にかえているんですね

シリーズにはありの実のジュース、飲むゼリー、「食のちばの逸品を発掘2019」直売所部門で金賞を受賞した「ありの実コンフィチュール」、そして珍しいと思うんですが、梨のドライフルーツもあるんですよ。

これらの加工品、作ることになったきっかけがあったそうなんです。ある年、収穫前の梨が嵐でたくさん落ちてしまったんだそうです。そのまま放置していると、発酵して、酸っぱい匂いがしてきた。これはお酢にできるかもと思って、商品化を思い付きます。ところがその思いつきか簡単には実現しませんでした。

田中さん:ちょっと名前を挙げられませんけども、たくさんのあのお酢の醸造元に連絡をしたんですけど梨で酢は 作れないだとかロット数が少ないからとかってゆって、全く相手にしてもらえなくて。県内もふくめて全国の醸造所に本当に連絡をしてでまあ最終的に九州のお酢(の会社)の社長に出会いまして、そこでなんとかね。もうここしかもう最後の最後だったような気もするんですね。とにかくうちの梨を食べてくれと、で食べて、あの酢にならないような梨、要はあんま糖度が乗ってない梨であれば、もうそれでいいけども、まずは食べて評価をして欲しいって言うことで、半ば強引に梨を送りつけてですね、そのすぐに電話がかかってきまして、「千葉県の梨がこんなに美味しいのか」と「申し訳なかった」と「作らせてくれ」と作ろう。作ろうとあの言ってくれて、お酢の製造をやってもらうことになりました。

この加工品を作ることで、規格外の梨や、ちょっと見た目が悪いものや嵐で収穫前に落ちてしまったものなど有効か通用でき、フードロスにもならず、一年中買うことがで流ようになったんですね。ところで皆さん、梨のシーズンは何時ごろまでだと思いますか?実は、梨屋与左ヱ門では年末年始でも梨を出荷しているんです。

田中さん:千葉県ではだいたい今年10月の中旬ぐらいまでが梨の出荷シーズンっていう形になるんですが、まあ弊社では、その後に王秋(おうしゅう)という王様の秋って書く品種がありまして、これは収穫は10月にするんですけども、冷蔵庫で貯蔵して来年の春まで販売が続きます。なので王秋はお歳暮でクリスマスだとか、お歳暮とかあとお正月に行っていうお客様で結構出荷がかなりの量の出荷が見込めます。当初は秋になるとね、千葉県だとさつまいもだったり、まあキウイフルーツや柿ていうのが主流になってくるんですね。千葉県の特産としてあると思うんですけど、梨って皆さんね、首を傾げたんですけども、やっぱり今、もう完全に与佐ヱ門の中でも柱になってまして、冬といえば王秋っていうふうになるぐらい、やっぱり知名度が上がってきました。とてもさっぱりしてて、ドリンク感覚で食べれる梨なんですね。冬に向かって忘年会とかね、結構お酒とか油っこいものとか食べるんですけど、その後にこの王秋梨をデザートとして食べると、もう喉越しもさっぱり、みたいな感じで、そういう特徴のある梨なのでごく人気が出てきてますね。

この王秋、年末以降は甘みが増して、より一層甘い梨に変化していくそうです。 王秋はとれたてと保存後とで二度楽しめる最高の梨と田中さんは仰っています。

ドライフルーツ、あれは王秋で作られたものだそうですよ。  市川の肥沃な土の恵みから生まれた甘い梨。そして、富里で10年以上かけて作った土で育った梨。今では、その違いはごひいきさんでもわからないぐらいだそうです。社会人経験で培った事業経営のノウハウや考え方をヒントに、これからも梨に関する様々なことに挑戦していきたいということでした。

https://www.yozaemon.jp/

「与佐ヱ門の梨」

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