2023/10/27 UP!
先週は読書の秋にぴったりな場所のご紹介でしたが、今日は、別の秋。アートな秋です。千葉県立美術館で今日から始まりました千葉県誕生150周年記念!「テオ・ヤンセン展」のご紹介です。

千葉県立美術館は、JR京葉線、千葉都市モノレール「千葉みなと駅」から歩いて10分、海の近くに立地する、千葉県ゆかりの美術作品を体系に取り扱う美術館今回ご紹介するのは、現在開催中の「テオ・ヤンセン展」です。このテオ・ヤンセンとはどんな人なのか、千葉県立美術館で開催されることになったいきさつをこの4月から館長に就任された貝塚健さんに伺っています。
実は貝塚さん、千葉県立美術館の館長としては、初めて外部から招聘された方なんです。
貝塚さん:千葉県立美術館館長のカイヅカツヨシです。千葉県の方で千葉県立美術館をより良くするための会議を外部の人間を呼んで会議をしようということ、その流れの中でたまたま縁があって、今年の4月1日にこちらの館長に着任したというのが経緯でございます。 広々としたところに平屋建ての広々としたもう屋根がすうっと水平に伸びていくようなそういう建物でそこが大変魅力的だなという印象を前々から思っていました。やや地味なところがあって、この美術館がどういう活動してるのかなって。4月に着任してみると職員 ひとりひとりよく頑張ってるんだけども、それが外から頑張ってるように見えないっていうところが、この美術館のもしかすると弱みなのかなという気がしています。私の役目というのは、もしかすると千葉にいる人たちが、気が付かない千葉の素晴らしさっていうのを目に見える形にする。 今ある千葉の素晴らしさ、千葉県立美術館の素晴らしさというのを、より積み上げて上乗せして行くっていうのが、その任期中の役目なのかなという気がしています。
貝塚館長は日本近代美術史研究で優れた実績をお持ちで、以前、旧ブリヂストン美術館であるアーティゾン美術館の特命事項担当学芸員など豊富な経験と人脈をお持ちの方。客観的に見ていた千葉県立美術館を、今度は中からよくしていこうということだそうです。その貝塚館長に、千葉県150周年記念として、「テオ・ヤンセン展」が企画された理由を伺いました。

貝塚さん:千葉県ができて150周年という記念すべき年になります。150年だからということもあると思うんですが千葉県の売りを「海」にしようという動きが県の中では(あって)。でそれから 千葉県立美術館は今まで千葉ゆかりの千葉に関係するアートというのを中心に軸に据えてきましたけど、これ少し広げたい。 で何か【核】が欲しいって言うことで一つはオランダに焦点を当てました。もともと江戸時代、佐倉藩が蘭学医を江戸から招聘して佐倉順天堂を作ったり、そういう今から200年ぐらい前からもうオランダと関係を持ってきた。 それから東京オリンピックの時に千葉県がオランダ王国のホストタウン、ホストになって、いろんな方々をお招きしたオランダと仲良くしたいなって言うことで、このテオ・ヤンセンというのはオランダ生まれで、オランダで活躍しているアーティストなんです。
千葉県立美術館で千葉県誕生150周年記念、そしてオランダとの文化交流事業として1月まで開催中の「テオ・ヤンセン展」。オランダ・ハーグ出身の世界的アーティスト、テオ・ヤンセンはどのような作品を作っている方なのでしょうか?
貝塚さん:もともとは大学で物理学を勉強した方で、(卒業して)物理学を辞めた後にアーティストになって最初は絵を描いていたらしいんですが、ある時アートとかサイエンス、アートとサイエンスを区別するんじゃなくてそれをこう融合した、どっちがどうだってことじゃなくて。 それがまさに俺の作品だっていうようなものを作り始めたんですね。だから、動物のぬいぐるみの化石のような、それは複雑な形の化石のような、そういう巨大な物体。中には10mぐらいある物体もあってきます。それが動き出すんですね。これは電気で動き出すんではなくて 風の力、あるいはちょっとした人の手の力で動き出す。その動き方が実に興味深いんですね。興味深い本当に迫力のある動き方をする。こんな大きいものがこんなにある意味で綺麗にあるいは、こんなにこう整った形で動くのか? っていうのがまあびっくりするようなものです。
テオ・ヤンセンは、デルフト工科大学で物理学を専攻したのち1990年から、プラスチックチューブや粘着テープなど身近な材料で作られた、風の力で動く「ストランドビースト」の制作を開始しました。このストランドビーストは、「オランダが直面する『海面上昇問題』解決のため、海岸を砂を巻き上げて走る、海岸線を守る生命体」という発想から生まれたそうです。いま、館長のお話にあった通りまるで生物のように関節を滑らかに動かして、砂浜を移動するんですって。不思議ですね。しかも動くエネルギーが風。話を聞いただけでも見たくなりますね?今回の展示、基本的には、美術館の中で見るものなんですが、今のところ1日だけ特別な展示をする予定があるそうなんです。どんな展示で私たちを楽しませてくれるのでしょうか?
貝塚さん:テオヤンセンの作品一点、あの美術館のすぐそばですけれども、港の浜辺に持ち出して行って、そこで自然の中で彼の作品を動かしてみたいというふうに思っています。ええと12月3日の午後、くわしくは美術館のホームページをご覧いただきたいというふうに思います。で、このテオヤンセンはオランダの実は浜辺で作品を完成させて、そこでみせたり、自分が楽しんだりっていうことをしています。さっきの本来の本当の味わい方ってのが浜辺なんですね。美術館の展示の中では ちゃんとおさまってますけれども、本当は浜辺の、だから自然の中で動いている彼の作品を見るというのが本当の彼のやり方なので、それを一回だけなんですけれども、会期中楽しんでいただきたいというふうに思っています。ぜひお越しいただきたいというふうに思います。

動く姿を砂浜で見られるチャンスは日本ではここだけとなっているようです。12月3日・日曜日に予定されています。詳しくは、千葉県立美術館のホームページをご確認ください。展示期間は来年1月21日まで、毎週月曜日は休館日です。科学と芸術の境界を感じさせないテオ・ヤンセンの世界観を、ぜひ体感してみてくださいね。
↓テオ・ヤンセンの作品については千葉県立美術館のテオ・ヤンセン展のページからご覧ください。
http://www2.chiba-muse.or.jp/ART/