2023/12/8 UP!
12月3日から9日は、「障がい者週間」。今回は「みんなが活躍できる千葉」をテーマに、あるオーガニック農場をご紹介します。「食べ物」についての安全性とか年々関心度が高まっていて、オーガニックな野菜というのも注目されていますよね。
今回は、その両方をなしとげている「安心・安全でおいしい食べ物を少しでも多くの人に食べていただきたい」「循環型農業で地球をきれいにしていきたい」という思いで立ち上がった流山市の「えか自然農場」の取組みをご紹介します。

東京に隣接し、千葉県の北西部に位置する流山市の、東武アーバンパークライン「運河駅」近くにある“えか自然農場”。代表の小野内裕治さんに、まずは農場の設立の経緯をうかがいました。

小野内さん:私は以前リクルートという会社で働いていまして、その頃に飲み水が有料になる、というそういう新聞記事を見て、地下水が飲料不可だ、と言う話があって、その原因が農薬であったり、生活排水であったりという情報を得て。でこの先のことを考えると、土地を、土を綺麗にして、地下水を綺麗にするという、こういうことがまあ我々にとって必要だなと。で、それを色々詰めて考えていったら、有機農業に行き着いたという、そういうことです。そうですね。途中53歳で起業をしましてですね。で、今の会社を立ち上げました。

土をきれいにしたい、そのためには有機農業というところから始まったんですね今は誰でもペットボトルに入った水を「買って」ますよね。それは地下水の汚染が直接の要因ではありませんがでも、そもそも水は、降った雨が土に染み込み、いくつもの地層でろ過されて川や海に流れ、その水が蒸発してまた雨が降る…という循環の中で生まれているわけです。地下水が飲めなくなるということに早くから危機感を持った小野内さんは農薬を使わないことによって地下水を汚さないようにできる可能性のあるオーガニック農法にたどり着いたそうなんです。

現在は農場で年間で50種類程度の野菜を作られています。スタジオに、そのとれたての野菜を用意しました。試食もしましたよ。
おいしい野菜作りのために独自の有機性肥料(えか5K)を開発製造し、害虫や雑草対策も除草剤や殺虫剤等の農薬を全く使わないよう、さまざまな工夫をして育てているんです。農場は「有機JAS認証」を取得、さらに生産工程管理を徹底するために「JGAP認証」も取得しています。
※JGAP認証とは、農業生産工程管理手法のひとつで、農産物が適切な農場管理の下で育てられたことを示す認証です
ちなみに農場の名前である「えか」なんですが、これは、小野内さんの思い出もあるEarth Clean Associateの頭文字 E、C、Aをとって「えか」なんだそうです。
こちらの「えか自然農場」にはもう一つ大きな特徴があるんです。

小野内さん:私は会社を立ち上げた時に、障がい者の方の就労訓練の仕事をやってました。その関係上、厚生労働省に出入りをしてまして。まあ、勉強会のメンバーではあったんですけれども、厚労省の方から農水省に連れて行かれて障がい者を農業の担い手にしたいと言う、こういう話をそこでお聞きして、あ、そういう方法があるんだということを理解した後にですね、地域の「柏特別支援学校」ですけれどもにお願いをして卒業生を一人採用したところがまあ最初でありました。で、当初は水をまいたり、雑草を取ったりすることしかできなかったんですけれども、それから種をまいたり収穫をしたり、いろんな経験を繰り返すことで、どんどん技術レベルが上がって行きまして、いまではトラクター等等の機械以外は、ほとんどの農作業はその人ができるように成長して、現在就労して12年位経つと思いますけれども、今では大変貴重な戦力になっております。
12年前に一人の知的障がい者の方を雇用したことをきっかけに、その真面目な働きぶりなどが評価され、だんだんと雇用数を増やしてきた「えか自然農場」さんですが、どのようにして、働きやすくするのかなどの試行錯誤はあったようです。単純作業が得意と言っても、そこはそれぞれに違います。一人一人が働きやすい農場とはどんなものか?小野内さんは色々と考えたそうです。
小野内さん:今、知的障がいの方が多いんですけれども、体力もありますし、集中力もあってですね、まあ、むしろそういう意味では有機農業というのは、作業そのものが非常にあの単純化、肉体労働の作業が多いんですね、そういう意味では彼らに大変向いてるなというふうには思っております。ただし、作業をより単純化してあげて、やりやすい仕事にしてあげるということは、あの日々考えてやっています。きゅうりの栽培をしてくださいと言うと、収穫棒っていうのを作りまして、20cmの棒を用意して、その棒に合わせたきゅうりを取ってきてくださいという話をすると、にこっと笑って、それでいっぱいとってこれると大変楽になりますというコメントも彼らからもらっております。

小野内さんのお話で、きゅうりの話がありましたが、「きゅうりをとってきてください」というと、とにかく実っているきゅうりを大きさ関係なく収穫してしまう。確かにきゅうりは収穫しているので間違いではないけれど、美味しいタイミングのきゅうりを収穫してきて、となると、ちょっと難しい。そこで20センチの棒を渡して、このサイズより大きいきゅうりを収穫して、といえばストレスなく仕事ができる。そんなふうに、他の野菜でも作業ごとにわかりやすく指示をしていくことで、みんなにこやかに仕事をされているということなんです。

ところでその野菜、どこで買えるんでしょうか?
小野内さん:もともとファミリーマートさんの障がい者雇用のコンサルティングをやっておりまして、その延長線上でファミリーマートさんの障がい者を畑で働いてもらうと言う形になりまして。全員通勤者ですけど 一時間圏内の方ですね、ここで働いている障害者の人は49名ですかね。で、彼らが作った野菜を地域の流山市と松戸、柏の一部ですけれども。のファミリーマート今15店舗で野菜を販売をしています。一号店で野菜を販売をした時にずいぶん売れ足が良くてリピーターさんが多いと言ってましたですね。で、そういった意味で多くの人にえか野菜と言いますか、有機野菜を普及して行きたいというのは、あの今の一番大きなあのミッションですね。

小野内さんのお話によると、今は、とにかく、地域の皆さんに「えか野菜」を知ってもらいたい。美味しく安心なものがここで作られていること、障がい者のみなさんが頑張っていることも知ってもらいたい。だから価格も抑えているんだそうです。ファミリーマートさんの他にも一般の店舗や、近くにあるホテルの料理などにも採用されていて、評判も上々とのことです。
えか野菜が買える地域のファミリーマートや直売所、えか野菜を使った料理の提供をしているお店の情報などは「株式会社えか自然農場」のホームぺージに詳細が掲載されています。
ぜひご覧ください。