2024/3/8 UP!
今回は今年5年ぶりの開催となる、その町の住人の数倍、4万人ものお客さんがやってくるという ある町のお祭りをご紹介します!
今日ご紹介するのは 千葉県の北部・利根川流域にある神崎町で3月17日に5年ぶりに開催される 「発酵の里こうざき 酒蔵まつり2024」です。豊かな水と肥沃な土地に恵まれ、江戸時代に利根川の舟運によって醸造業で栄えた神崎町には、2015年、町に根付く発酵文化をテーマした全国で初めての道の駅 「発酵の里こうざき」がオープン。今も発酵文化を発信し続けています。
そんな町に今も残る「鍋店 神崎酒造蔵」「寺田本家」、2つの酒蔵蔵元を中心としたお祭りが「発酵の里こうざき 酒蔵まつり」。当日のイベントや見どころについて、今回は鍋店の社長・大塚完さんにお話を伺いました。まずは鍋店の歴史と、神崎町でお酒を作ることになったいきさつをお聞きください

大塚さん:日本酒「仁勇」「不動」を作っています鍋店の大塚と言います。我々、もともと成田で造り酒屋はじめましてそれが1689年。元禄二年なんですけどもちょうど今年で335年目になります。まあ戦時中いろいろ蔵があったんですが、物不足によって神崎に集約しようということでそれ以来80年近くにわたってこちらでお酒を作っております。利根川沿いは、やっぱり江戸時代に江戸の庶民の胃袋を満たすためいろんな発酵食品を作っておりまして、その一つである日本酒。蔵が利根川沿いに7〜80あったと思います。この神崎もですね、7つの蔵がありました。今2つしか残っていないですけど。

利根川周辺ではお米も作れるし、舟運もあって日本酒の醸造が盛んでした。今、人口6000人に満たないこの小さな町にかつては7つも蔵があったんですね。
町にある道の駅「発酵の里こうざき」では、地元のものだけでなく全国のさまざまな発酵食品も販売されていて、大人の道の駅と呼ばれ大人気なんだそうです。

さて、そんな発酵の里に2つある酒蔵の一つ「鍋店」は地域の方々との交流のために独自で「蔵開き」を行っていました。もう一軒の「寺田本家」も別にやっていたそうなんですが、現在のお祭りが想像以上の反響を呼ぶようになったのにはこんな経緯がありました。
大塚さん:「仁勇蔵祭り」っていう形で蔵開きをして25年経つんですけれども。いや、お互いにやって我々もちょうど十年、単独の祭りやって。で11年目になって、まあ、一緒にやるのは面白いんじゃないかっていうことから、寺田さんに私、声をかけさせてもらって。そしたら快諾していただいたので、じゃあ町長を巻き込んで町長に実行委員長になってもらってという形で「こうざき酒蔵まつり」が始まった次第です。天気も良かったんですけども、いきなり最初に共同開催したら2万人ぐらいの方がお見えになって、どんなに、、単独でやってた頃はどんなに集まっても3000人ぐらいだと思うのでもう、何倍ものお客様がお見えになって、もうてんてこ舞いでですね。 当時、入場する時に必ず署名してもらったり、なんかしてたんですけど、それもままならぬほど人が来ちゃいました。一つ一つ、当時は小さなお猪口を差し上げたんです。それもお猪口もすぐなくなっちゃって。本当にこんなに人がよく来ていただけるなと思ったことがよく覚えてます。

それぞれに3千人来ていたとして2箇所で6千人。なのにいきなり2万人って、ものすごい勢いですね。実はこのお祭り、付近を通る国道356号線の一部や周辺道路を通行止めにして行われるんです。国道を止めるってなかなか大変なことですけど、それだけの規模になるっていうことなんですよ。
発酵文化が根付く神崎町に今も残る二つの酒蔵が合同で始めた「発酵の里こうざき 酒蔵まつり」。どんなことが楽しめるんでしょうか?

大塚さん:うちの祭りに来た場合ですね、まず酒蔵見学ですね。酒造りの工程、全工程見られるようになってますし、それぞれの箇所で、例えば麹を食べる蒸し米を食べるですとか。しぼりたての酒を飲めるとか、そういうコーナーを作っておりますし。あとは約20種類ぐらい、今回から有料になりますけども、試飲会場を用意しております。まあやっぱり試飲される方が圧倒的に多いので、それはちゃんと準備万端にしてやりたいなと思います。
それプラス、あとは飲食ですね。食べるものをまたいろんな飲食店さんにお願いして、まあ、美味しいものを用意させていただきたいなと思っています。

開催場所となる「鍋店神崎酒造蔵」と「寺田本家」、2つの蔵と沿道にはお酒のほか味噌や醤油など発酵食品や、地元農家さんによる新鮮野菜、グルメなど200店ものお店が並ぶそうです。鍋店では当日限定のお酒も販売されますし、酒蔵も予約なしで見学できるんですから、お酒好きの方にはたまらないイベントですよね。
大変な賑わいになりそうですが、中には静かに日本酒を楽しみたいという方もいるということで、実は前の日、3月16日、鍋店では千人限定の「前日祭」を開催、人ごみを気にすることなくゆっくりと鍋店の製品を楽しめて蔵祭り当日のみの「限定酒」も1日早くお買い求めいただけるそうです。こちらはチケット1000枚限定ということで、詳しくは鍋店のサイトでご確認ください。
そして、もう一つ大塚社長には期待していることがあるんだそうですよ。
大塚さん:麹を使った伝統的な、酒造りっていうのが、今年の秋にユネスコの無形文化財に認定されるかもしれないということで。そうすると麹がですね、十年前に和食が認定されたように、麹が今度ちょっと世界中の注目を浴びるっていう形になると思うので。そうなってくるとね、日本の食文化の根幹である麹、日本酒、酢、味噌、醤油・・・この辺がすごくまた見直されるんじゃないかなと思っています。本当に5年ぶりに開催します「こうざき酒蔵まつり」まあ、本当に久しぶりにあるので、ちょっとまた忘れてる部分がありますけど、本当にあの事故のないように皆さんが楽しめるようなお祭りにしてしたいと思っておりますので、ぜひお越しください。よろしくお願いいたします。

麹を使った「伝統的酒造り」は、日本が誇る文化として令和3年12月に国の登録無形文化財になりました。令和4年3月にはユネスコ無形文化遺産に提案されて、それがいよいよ認められるかもしれないということなんです。そうなると発酵の里こうざきも世界的に注目を集めることになりそうですね。
成田空港からも近いですし、直接ここを多くの外国人観光客も訪ねてれる街になっていくといいですんね。大塚社長によりますと、前回5年前の2019年、すでにその兆候を感じていて今年の酒蔵まつりでは、国外への発酵文化の発信にも大きな期待をかけているそうです。さらにこの地域が世界から注目されるようになるといいですね。会場はJR総武本線 下総神崎駅が会場の最寄りの駅になりますが、当日はなんと特急「こうざき酒蔵まつり」号が新宿から佐原まで走ったり、普通列車も増発が予定されています。また、駐車場も2500台分を用意。もちろんドライバーの方は飲めませんのでご注意くださいね。
「発酵の里こうざき 酒蔵まつり2024」の詳細については神崎町のサイトに 掲載されています。
https://www.town.kozaki.chiba.jp/kanko_iju/kanko/sakaguramatsuri.html