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久留里の名水(8/1~8/7水の週間)名水とともに生きる街「久留里」

2024/8/2 UP!

昨日、8月1日は「水の日」。そして7日までの1週間は「水の週間」です。暑い夏水の使用量が最も増える8月に、水の大切さや、水資源開発の重要性について考えるきっかけにしようと、昭和52年に制定されました。

今日は、豊富な地下水に恵まれ、“生きた水の里”として知られる、君津市久留里の名水をご紹介したいと思います。

君津市の久留里は、里見氏をはじめ数々の武将の居城となった久留里城の城下町として栄えた地区。街中に掘られた井戸から美味しい地下水が湧き出ていて、その美味しさと品質の良さで、千葉県では唯一「平成の名水百選」に選ばれています。「生きた水」とも呼ばれるこの“久留里の名水”について、まずは、君津市立久留里城址資料館の布施慶子さんにお話をうかがいました。

写真左:布施さん 中央:都築さん 右:ボランティアガイドの会の田畑さん

布施さん:もともと久留里から上流で雨が多いというのは一つの原因だと思います。それからこの辺りの地質が、東京湾を底とする地下水盆、、大きな地下水盆の淵にあたるというところがあると思います。そこで良い地下水が自噴する構造というのに恵まれているんですね。街中を歩いていると、井戸からくんでもいないのに自分で噴き出している水を見ることができます。以前、その高さ、どのくらい吹き出すのか計ったことがありますが2m40cmくらい噴き出している場所がありました。また、それ以外のところでもちょっと高さがはかりきれないくらい噴き出しているものもあります。久留里の周辺では188本の井戸があると言われています。で、この自噴井戸ですけれども、上総掘りという技術によってほられています。

溜まっている地下水の水位が掘った場所よりも高いところにあったり、地面の中の圧力の関係で噴き出してくるのが「自噴井戸」。久留里地区では、この井戸を掘るために「上総堀り」という掘削技術が江戸時代後期に考案されました。少ない労力で深く掘ることができる画期的な技法で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。どんな方法でどのぐらい深くまで掘るのでしょう?

布施さん:上総掘りの特徴というのは、竹ひごと「ホリテッカン」というのを使うのが最大の特徴です。竹ひごと言っても細いもので、1㎝太いものですと2、3cmの幅のものを作りますけれども、その竹ひごをロープの様に地下にずっと吊り下げてですね。その先端にホリテッカンというものをつなげます。ホリテッカンの先端にはサキワというまあ輪っかになった「ノミ」がついていまして、それで土を掘り崩していくイメージです。でうまくその土を回収できる仕組みもあって、でそれを回収するための彦車というのが付いていますけれども、上総掘りをご覧になった方は、その特徴的な大きな車の様子をイメージされると思いますけれども、その車と、そして掘っていく、ついて掘っていくという動きの繰り返しで、深さ数100mまで掘ることができる、ということですね。

布施さんが数百mと仰いましたが、実際には500~600m。技術的には、君津のあたりの土なら、1000メートルまで掘り進むことができたそうです。明治時代の中期に技術が完成し、久留里には多くの自噴井戸が掘られました。自噴井戸から湧く水の量は豊富で、水温は年間通してほぼ15度前後と夏は冷たく、冬は暖かい。日照りによる渇水や、停電による断水などの心配もないんですね。 

今回は君津市の久留里の名水をご紹介していますが、スタジオにもペットボトリングされた水「生きた水・久留里」をご用意しました!こちらは、久留里地区のお店や、JR久留里線の久留里駅を出てすぐの所にある「生きた水久留里 酒ミュージアム」などで購入することができます。

2008年に環境省による「平成の名水百選」に千葉県で唯一選ばれた「生きた水・久留里」ですが、実はその20年ほど前から、この豊富で美味しい水が、地域おこしになるのではないかという話が持ち上がっていました。そこで、当時の久留里の商工会青年部の皆さんが、それだったら水汲み場を綺麗にしていこうと活動を始めたそうなんです。当時、商工会青年部で、観光のために井戸を整備し直す活動などをされた都築広志さんに、その経緯を伺いました。

都築さん:水に関わったことは青年部当時のことでございますが、上町にある井戸まず一箇所を木で作って、きれいな囲いをして水を汲めるような形を作ったわけです。見映えも悪いということで。その当時水っていうものはあの都会の方、まあ、久留里は除いては、木更津でもなんでもカルキが臭くても普通の水道水は飲めないっていう人が結構多かったんですよね。それで久留里に行けば、こういう水を汲めるということがやっぱり伝わっていったんじゃないかなと思って。まあ、久留里の水は先人たちが。この土地で生きていこうと思って編み出した上総掘りというこの技法で今まで続いてるわけですから、これを私たちも大事に後を継いでおかなければいけないな、と思っております。久留里ではその水を使って。お酒とお豆腐これも大変美味しいものができております。

それまでも湧き出る水を受け止めるカメのようなものがあって、誰でも水を汲めるようになっていたんですが、そのままではあまり美味しそうに見えないということで有志が立ち上がって整備を始めたそうです。そして観光協会にその活動は引き継がれ、いくつかの水汲み場が綺麗に整備されていくことになりました。

久留里駅の駅前広場の一角にも水汲み場がありますが、朝早くから大変多くの方が次々と水を汲みにやってきます。ハイキング姿の方、マイカーできて大きめのペットボトルに入れている方、中には20リットルクラスのポリタンクをいくつも積んでくる方もいらっしゃいます。最後に、布施さんからリスナーの皆さんにメッセージをいただきました。

布施さん:久留里駅の周辺だけで五カ所の井戸が整備されていまして、そこは水質検査なども行われていて。安全に汲めるように整備されています。甘いような気がします。ほかの地域の方でお茶やお味噌汁に使ってる方からも時々きくお話なんですけれど、甘い気がする水です。あの私の勤めている久留里城資料館ですが、この久留里城というのが別名「雨城」と言います。それがまさに雨の多いということを示しているかなと思いますが、その「水が豊かであったこと」でお城ができたということでも知られています。久留里城に関する歴史やお話ししました上総掘りに関しての足場や、それから歴史用具なども紹介していますので、資料館の方にもおいでいただければと思います。

久留里城址資料館までは久留里駅から徒歩でおよそ30分ほど。久留里駅をでてすぐの場所に「久留里観光交流センター」があって、事前に予約が必要ですが、久留里城址資料館を含む「久留里城」へのガイドを「くるりボランティアガイドの会」の方にお願いすることもできます。

交流センターの中には「生きた水久留里 酒ミュージアム」も併設されていて、先ほどいただいたお水のペットボトルも「ヒエヒエ」で販売されています。この水で作られている「かずさ8蔵」のお酒の紹介や観光情報も案内してくれますのでぜひ立ち寄って、名水の里・久留里で街歩きを楽しんでみてくださいね。

酒ミュージアム

https://www.city.kimitsu.lg.jp/site/kanko/2188.html 

久留里城址資料館

https://www.city.kimitsu.lg.jp/site/kanko/2189.html

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