三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
首都圏からのアクセスもよく、
通勤圏でありながら海や里山の豊かな恵みをあわせもち、
自然とともにある生活を楽しめるエリアです。
そんな「千葉の魅力」を支えるさまざまな活動や
想いムーブメントなどにスポットを当て、
現地取材の声も通して「魅力あふれる千葉」をご紹介していきます。

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※「YOU 遊 チバ」は、ミンナノチカラ~CHIBA~と連動し週ごとにさまざまなテーマで千葉の魅力をお届けしているコーナーです。

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発酵する千葉3 発酵の力で色づく藍染「NORABI」

2025/2/21 UP!

今週は江戸時代から醸造業が盛んで、今も各地に発酵文化が根付いている全国屈指の発酵県「千葉」にある藍染の工房をご紹介します!藍染は実は発酵の恵みを大いに受けているんです。

藍染にもいくつか種類があるそうですが、今回ご紹介する工房で行っているのは「正藍(しょうあい)(ぞめ)」と「本藍(ほんあい)(ぞめ)」と呼ばれる、日本古来の発酵藍染です。地球の生態系の循環の一部になる、非常に難しい技法で、美しい作品を生み出す大網白里市の藍染工房をご紹介します。

九十九里の北部、大網白里市にNORABIという藍染の工房があります。代表の品田彩来(しなだあやき)さんは、主に海外で活躍された元女子プロサッカー選手という異色の経歴を持つ方で、まだまだキャリアが伸ばせるという段階で現役引退し、藍染を始められたそうです。まずは藍染をえらんだ理由をうかがいました。

品田さん:まあ、いろんな種類があるんですけど、私がやってるものはタデ藍っていう葉っぱを腐葉土にして、それを発酵させる。そういったこう薬品とかを使わない自然の染め物です。室町時代とかにはもうあったっていう風に言われています。もともとその引退の理由自体が「気候変動に対して何かアクションを起こしたい。で、もうサッカーじゃなくて何かしたい」っていうところだったんですけど。で、辞めてからじゃあ自分は何ができるかなって考えて、色々と書き出してみた時に、もともと生物学に興味があったり、アート専攻を大学で取っていたりとか。まあ、そういったところをわあって書いていって。まあ、あと伝統っていうものだったり、メイドインジャパンの強さだったり、なんかそういうものを。いろいろこう書き出して考えていった先に、なんかふと藍染っていいんじゃないかなって思って。そっから藍染自体のことをたくさん調べていったら、ものすごく自分のこう興味を持っているものだったり、できることっていうのと、こう関わりが強かった。と思って藍染を選んだっていうふうな形です。

中学時代は強豪日テレ・メニーナに所属。その後、アメリカからスウェーデン、ノルウェー、スペインなどで活躍したのち引退されたのは27歳の時だそうです。さて品田さんの行う藍染では発酵がとても大事なんだそうです。どんなところに発酵が関わっているんでしょうか。

品田さん:この藍染自体が発酵なので、その、じゃあこれとこれを混ぜて、この温度にしてでいいかっていうと、そういうわけでもなく。もう本当に対生き物なので匂いだったりとか、膜の張り方だったり、どういう状態なのかっていうのを全部見極めて、じゃあこういうふうなアクションを起こして、こういうふうにしたら、こういうふうに活動微生物がしてくれるかなとか。あの水に溶けない成分を、無理やり水溶性に変えるっていうふうなところに微生物の力=発酵が関わってるっていうふうなところなので。なんかそのまあ薬品とかで溶かしてるわけでもないですし。それがこう微生物が良い環境で過ごせてるから、葉っぱを分解してくれてる。で、それのもとで染めができるというふうな発酵ですね。

発酵している液体の中では微生物が頑張っているので、その働きを邪魔しない良い環境をつくるために、特に冬などはそのタンクに電気毛布を巻いて保温したり、小麦の殻など、微生物の栄養になるものを補充したりするんですが、これが、ものすごく気をつかうそうです。この液体は青くないんですが、漬け込んだ布が空気に触れることで酸化すると色が変わります。それを繰り返すことで思い描く藍染ができあがっていくわけです。こちらに品田さんが染めたものをお借りしてきました。

大網白里市の藍染工房NORABI代表の品田さん。気候変動に対して自分は何ができるか、という問いから藍染に辿り着き、藍染の行程の最初から最後まで土壌の栄養になるものしか使わない日本古来の「究極の循環型」で藍染を行っています。藍の葉由来の「すくも」と木の灰からとった「灰汁」の2つの材料だけを混ぜたやり方は世界で一番難しいともいわれるそうですが、持続可能で環境負荷が少ないと、海外でも始められています。

品田さん:まあ、もともとプロサッカー選手だったっていうのもそうですけど、練習していくこととか、経験値を積んでいくこと、そういうところに、なんか飽くなき探究心というか、なんかそういったベースが元々あるので、それでなんかじゃあこれやったら次こうなるのかなっていうのを繰り返してしまう。自分の経験値がどれぐらい溜まっているのかも自分では正直わからないものなので、なんか、ただただやって,どんどんやっているっていうような形だと思います。ほわっとしてると言っちゃうとあれですけど、すごく居心地が良くて。まあ空いてる畑もあったりとか、皆さんもとってもすごい素敵な方が周りに多いので。まああと海も近かったり、その今必要な資源、薪ストーブとかから出てくる灰をいただいたりとかすることもあるんですけど、ストーブやってる方が多かったりなんか、そういったこう、資源の循環っていうものも、この辺ではあるので、それも含めて、ここでやってよかったなというふうに思っています。

工房のある場所では藍染に必要な灰も手に入りやすいのかもしれません。循環しながらいい色で染められる、、、SDG‘sにもつながりますね。この工房では、不定期ではあるんですが、ワークショップが開かれています。こちら大変人気のようで、海外からも参加申し込みがあるそうなんです。どんな方がいらっしゃっているんでしょうか

品田さん:国内外問わずいろんな方々が来てくださっていて、まあなんかやっぱりこうすごいサステナブル思考な人っていうのももちろん来られるんですけど、なんか全然そういったものに興味がなくっていう方ももちろん来てくれて、単純にこう楽しんで。でそれを持ち帰って大事に使ってくれるっていうのがあったりして。勝手に生活の中にこうサステナブルなものっていうのが入っていけるっていうふうなのは、なんかこうNORABIをやっていていいところだなっていうふうに今すごく感じています。まあなんかワークショップは結構その持ち込みもありにしているので、いろんなこう、海外の方とか、特にこう一日かけてたくさん持ってきて、まあなんかあとここは結構柄とかも自由に決めてもらえる。もちろんアシストをするんですけど。なんかそういったものもできるので、その人が作りたいものっていうのをたくさん作って、染めて持って帰るっていうふうなこととかが結構あるのかなとは思ってます。

自然環境に配慮した染め方に興味を持たれている方、その色合いに惹かれる方、いろんな方が訪れてTシャツやストールなどを染めていきます。染めるものは持ち込みもOKで植物性由来の繊維または絹なら大丈夫なので、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。ワークショップは予約が必要です。詳しくはNORABIさんのサイトやSNSで確認することができます。

https://www.norabi.net

https://www.instagram.com/norabi_indigo

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