2025/3/28 UP!
今回は、都内と長南町での二地域居住を経たのち、長南町に完全に移住。築160年の古民家で、中国菓子やランチを提供する「芳泉茶寮」を営む高橋信博さん・裕子さんご夫妻を紹介します。
千葉県の中央に位置し、緑豊かな里山風景が広がる長南町。今回ご紹介する高橋さんご夫妻は、30代の頃から二地域居住を計画し、ご主人が42歳の時に、実際に行動に移されています。まずは長南町と出会ったいきさつをききました。

高橋さん: (裕)私は東京生まれ東京育ちで、全くこの長南町のことも知らないでいたんですけれどもある日、インターネットでこの物件が掲載されてるのを見て、これは見に行きたいなっていういうふうになって、現地に来てこの建物を見て、夫婦共々一目で気に入ってこの家を購入しました。
(信)いすみ市にある光風林という屋号でやられて筒井さんという、もう設計もされるし大工もされるし左官もされる。それから庭もやるというそういうマルチなタレントの方と出会いまして、その人に古民家ってこういうものだよみたいなことを日々結果的には教わりながら2年ぐらい弟子入りしたみたいな感じで、作業させてもらったので、終わった後だともうなんか全然古民家に対する関する知識とかが違って、別人になったようなそんな2年間でしたね。
購入してすぐに住める状態ではなかったので、この家をどうして行くのか。別荘のように使っていくのか、今風にアレンジするのか、元々あった姿にするのか、ということや、長南町から仕事に東京まで通うライフスタイルを選ぶのかなど、考えることは多かったようです。そこで、信博さん、一大決心をします。
高橋さん:私は、東京で外資系の金融機関の管理部門にいましたので、外資系の金融機関の管理部門っていうと、3年にいっぺんぐらい転職するのが割と普通なそういう業界でたまたま、もうそろそろこの会社は辞める時期かなっていうタイミングに古民家を一生懸命直すみたいな経験って多分一生に1回しかできないだろうと思って、これを逃すのはあまりにもったいないので、まずとにかく会社を辞めて、そっから先のことはそっから先で考えればいいだろうとそのぐらいの気持ちで辞めてきて、完全移住っていうふうになりました。辞めないつもりで完全にこっちに移住して、バスで通えばいいじゃないって思ってたんですけど東京のマンションとかを売って、完全に東京の拠点がなくなったタイミングで、辞めてきちゃいました。(信)
信博さんは、海外の弁護士の資格もお持ちで、国内外で活躍していましたが未練もなく会社を辞めたそうです。そして、2年間かけて、家の改修、復旧を終え、完全に長南町の人になりました。2人はこの町でどう暮らしていったんでしょうか。
40代前半で東京から長南町に移住した高橋さんご夫妻。ご主人は完全移住を機に仕事を退職。購入した古民家の改修、復旧などを始めると、今度は自宅で料理教室を開くなどもともと食関係のお仕事をされていた奥様の裕子さんの活動が広がっていきます。
高橋さん:私が持っているクリエイティビティって何かっていうと、食への興味だったので、美味しいものを作って皆さんと分かち合いたいっていうそういうモチベーションで今の仕事に繋がってます。ラー油を料理教室で作ってたんですけど、もうこれを販売して欲しいっていうか声がずっとあって、芳泉茶寮を始めたときに、そういえば、みんなこのラー油が欲しいって言ってたなって思って、そのラー油を作って販売しようと。それについては、どういう許可が要るのかなとか、出来たのが、パイナップルケーキであり、ラー油でありっていう感じで口コミで販売を始めました。幸運なことに、マーケットを主催している友人から声をかけてもらって、ぜひ参加しますっていうことで初めて出展させてもらって、そこで販売したのがパイナップルケーキ、ラー油、キムチでした。持っていったものを全部お客様が購入してくださって、何も残ってないっていう状態になってはすごい嬉しいなっていう、そういう結果でした。(裕)

今回は高橋さんご夫妻から芳泉茶寮で取り扱いをしている商品の中から(ラー油/椎茸のリエット/パイナップルケーキ) を用意していただきました。

最初はマルシェや通販などで売り上げを上げていたんですが、だんだん、いろんなお客さんから「お店があるなら今度そこに買いに行くよ!」なんて声をかけてもらえるようになります。でも実際にはお店がない。売るための加工品を作る作業も忙しくて、毎日開店する余裕もない。そこで、日にち限定で古民家の一部で、里山の恵みを味わうランチや、手作りの中華菓子と中国茶の提供などを始めました。メニューはその都度変わりますが、キムチ蕎麦ランチとか、台湾茶とチョコレートなど、美味しそうなものが並んでいます。そうして交流を広げる中で、他所から来た自分たちだからこそわかる長南町のいいところを発信していきたいと思うようになり、二人でこんな活動を始めたそうです。

高橋さん:米どころならではの元々あった文化っていうのがあって、これは素晴らしいところなのでそういう長南町の良さをアピールする場所って実はあんまりないので道の駅みたいなものがあったらいいよねっていう話があったので。じゃ民間だけでできるような道の駅みたいなものを作ろうっていう、そういうプロジェクト「ほぼ道の駅長南プロジェクト」っていうのを立ち上げて、地元友達の人だったり、お嫁に来た人たちが中心になって12人ぐらいで始めたプロジェクトなんですけどそこでいろんなことを企画して、地元の良さを引き出すような活動をしています。物珍しいものがあったりとか派手なものがあったりとかする場所ではないので、何かその良さがじわじわくるようななところなので、何回も着ていくうちにだんだん関係性ができてきて、じわじわやっぱりちょっとなんか長南いいよねっていうふうになっていく。そういう人たちが来る場所なのかなって思いますね。(信)

長南町が大好きなメンバーが集まった「ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト」では年に2回、町民同士が顔を合わせ、にぎやかな楽しい時間を過ごすための「町民による町民のため」のイベント「長南つなぐ市」や、県内屈指の米どころとして知られる長南町のお米のファンを増やすため、竈炊きごはん、ポン菓子、つきたてのお餅など、お米を味わっていただく「新米祭り」などの活動を行い、おととしの(2023年)1月には、「ほぼみちの駅ちょうなんプロジェクト」のメンバー8名が株主となり、町の食材で作った漬物や調味料、お菓子などを通販やマーケットで販売する「ほぼみち物産株式会社」を立ち上げました。今や地元の魅力を仲間とともに発信している高橋ご夫妻。今後も長南町の良さをつたえ続けて欲しいですね。

芳泉茶寮の開催日などの情報や「ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト」の活動についてはそれぞれの公式サイトで確認してください。
https://hobomichi-chonan.localinfo.jp