三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
首都圏からのアクセスもよく、
通勤圏でありながら海や里山の豊かな恵みをあわせもち、
自然とともにある生活を楽しめるエリアです。
そんな「千葉の魅力」を支えるさまざまな活動や
想いムーブメントなどにスポットを当て、
現地取材の声も通して「魅力あふれる千葉」をご紹介していきます。

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※「YOU 遊 チバ」は、ミンナノチカラ~CHIBA~と連動し週ごとにさまざまなテーマで千葉の魅力をお届けしているコーナーです。

Every Fri. 18:45~18:59

千葉の農家レストラン「ハーブ農家のレストラン「naeme farmers stand」

2025/5/16 UP!

今日は、全国屈指の農林水産県である千葉県の中でも、夏涼しく冬温かい海洋性気候の鴨川で、とれたてのハーブやエディブルフラワーを使ったメニューを提供している農家レストラン「naeme(ナエメ) farmers(ファーマーズ) stand(スタンド)」をご紹介します。

鴨川市の里山の景観が広がるエリアに、古民家を改装した建物で、採れたてのハーブやエディブルフラワーをふんだんに使用したメニューを提供しているレストラン「naeme farmers stand」があります。運営するのは、鴨川を拠点に200種類以上の植物の栽培と自生植物の採取・加工を行う「苗目」という会社です。代表の井上隆太郎さんに naeme farmers standとはどんなところなのかを伺いました。

井上さん:苗目の井上隆太郎です。千葉県の鴨川市で、農業を中心にええコミュニティづくりや栽培と採取といったことをやっております。鴨川市の農産物を中心に、この地域で取れる食材を使った料理と、私たちが作っているハーブとエディブルフラワーを使った料理を提供しています。エディブルフラワーっていうとききなれない感じですけど、要は食べられるお花のことをエディブルフラワーと言います。築187年の古民家を改装してハーブとエディブルフラワーの料理や、ジビエとかあと、お米や麦もすべて千葉県内のものを使って、料理を出しています。

エディブルフラワーとは食べられるお花という意味で、たくさんの種類があるんです。naeme farmers standのランチメニューではジビエのラザニアボロネーゼや自家製ハーブグリーンカレー、エディブルフラワーをあしらった季節のパフェ、そして、自家製ハーブティーなどが楽しめます。取材スタッフが現地に行った時も予約で席がいっぱいで人気のほどが伝わってきたそうです。井上さんはもともと東京で園芸商社のバイヤーやパーティ&イベントでのお花の生込み装飾、造園などを手掛けていたんですが、お子さんが生まれた後、ゆったり子育てができる環境をいろいろ探して鴨川を選びました。惹かれた理由はなんだったんでしょうか

井上さん:なんか鴨川に良さを感じたのは、まず東京から向かう道中の道が気持ちよかったんですね。なんかこう、埼玉県だったり山梨県だったり、いろんなとこ見に行ったんですけども、当時環八を抜けて関越に乗ってとか、あの首都高から中央道に行ってっていうあのルートよりも、やっぱり都内から横浜方面に下って行って、アクアラインに入って走っていくっていう、あの道中も含めて、なんかこうとても気持ちよくこう向かえたんですねで、初めて来たのが2月だったんですけども、あの房総では河津桜が2月ぐらいから満開になっていて、真冬のなんか寒い時期にインターを降りたら桜がいっぱい咲いてたんです。まあ、とても暖かい場所なんだなというのを感じたんですよね。で、まあ、しばらく通うようになってから。通ってる間に近隣の定食屋さんに行ったりとか、ちょっとホームセンターに行ったりとか、いろんなとこにこう顔を出していたんですけども、本当に地域の方というか、住んでいる方たちが本当にいい方たちばっかりで、なんかいいところだなあと思いました。

2月に咲いた河津桜で鴨川の気候の良さを感じてくれたんですね

最初は、東京から通いながら、だんだんと地域に溶け込んでいく井上さんは一方で花のディスプレイの仕事で知り合った高級レストランのシェフから「エディブルフラワーの扱いはできないか?」と相談をされます。実は農作物の花はほとんどが食べられるんですが、野菜を育てるために花に農薬がかかっていたりして、食べられる花に特化した栽培をしているところは本当に少なかったんだそうです。それなら自分がやってみようということで、エディブルフラワーの生産を手がけるようになりました。

スタジオにエディブルフラワーが届き、試食しました。

こちらがスタジオに届いたエディブルフラワーの数々!

井上さんは、ハーブやエディブルフラワーの生産をしながら、地元の食材を使ったレストランも展開。そこで地元鴨川の方々と交流するうちに、地域のいろんな課題が見えてきたそうです。

鴨川に移住し、ハーブやエディブルフラワーを生産している井上隆太郎さん。その販売や料理の提供をする拠点として、古民家を改装した「naeme farmers stand」も営んでいます。生活するうちに豊かだと思っていた鴨川の課題を知ることになります。

井上さん:やっぱり地域の人の話を聞いていると、もうイノシシがいて困るのよみたいなこともそうだし、「あそこもう誰もやってないの」「あそこの人去年やめちゃったの」とか、僕、あんなに畑を借りたいって最初東京で思った時に、どうやったら畑借りられるんだろう、いざ引っ越してみたら土地はいくらでもあるのに、それを借りる手段がないというか、調べ方がないっていうことにもやっぱり気づいたんです。で、そこからいろいろ調べたりとかしていくうちに、耕作放棄地っていう言葉を知って。そういう場所が増えれば増えるだけ街の景観も悪くなるし、獣害も増えるしって。いいことは何もないのに、この耕作放棄地の問題とか、いろんなことを解決しなきゃいけないんじゃないかなって、いつしか思うようになってしまったんですよね。その運良く農業法人を立ち上げることができたんですね。農地所有適格法人というのを立ち上げることができたので、できることをやるっていうのは、ある種の、なんかこう、私たちに与えられた使命なんじゃないかってちょっと思った節もあって。自分たちの暮らしている周りだけでも、まあ環境を良くして、まあ景観を良くして、で、まあ同時にエディブルフラワーやハーブを作って、いろんなものを豊かにしていけたらいいなと思うようになりました。

耕作放棄地は鴨川だけでなく、各地で問題になっています。移住したからこそやらなくてはいけない問題にも気づいたんですね。ハーブ栽培など農業をしていくことが地域の問題の解決、環境維持につながると感じた井上さんは、農地の売買などの法律上の規制をクリアするために会社も設立。「農薬を使用しないハーブ作り」や「幅広い方々と作るシェアファーム」の展開に取り組みます。さらに耕作放棄地を利用して、子供が農業や自然を身近に感じながら遊べる農地公園もオープン。鴨川の自然の中での農業体験を通して、環境や食に対する関心をもつきっかけをつくったり、野菜や植物を育てて収穫する「成功体験」を通じて、人と関わりながら何かをつくる喜びを感じる場を提供したりしています。そこにはこんな想いがありました。

井上さん:「うちも実家にこういう建物あるからやってみようかな」とか「うちの裏山にこれ生えてんじゃん、これ売れんだったらちょっときれいにしようかな」とかっていうような形で、いろんな人たちがうちの活動を見たり感じたりしたことを、いろんな街とかいろんな場所でやってくれるってことが、結果的にいろんな問題の解決につながるのかなと。全部自分が采配してやろうなんてことは1mmもおもってないので。その僕らがやっている活動。まあ本当思いつきと勢いでやっていることもたくさんありますけども、それらを見たり感じたりしてもらうことで、それぞれが自分の街、自分の土地・・いろんなところでやる何かの参考になったらいいなと。で、結果として全国的に耕作放棄地が減っていくとか、山が手入れされていくっていうところを、あの、目指しているというかね、なってほしいなと願っているので。まあぜひ、ちょっと興味がある方とか、うち、実家に使ってない土地あるなとか、空家あるなみたいな人は。まあ、あの鴨川の方に是非遊びに来ていただいて、いろんなものを見たり感じたりしてもらえたらいいなと思っています。

naeme farmers stand や農業に関する井上さんの活動について詳しくは公式ホームページをご覧ください。エディブルフラワーやハーブのオンライン購入もできるようになっています。

https://naeme.farm

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