三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
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童謡の郷 狸囃子伝説のお寺「證誠寺」

2025/7/4 UP!

今回は童謡。日本で最初の児童文芸誌「赤い鳥」が1918年の7月1日に発刊されたことにちなんで1日は「童謡の日」となっているんです。そこで今回は、古くから愛され歌い継がれている童謡の舞台となっている千葉県・木更津市のお寺をご紹介します。

千葉県ゆかりの童謡といえば、、、、、・御宿「月の砂漠」 ・南房総「浜千鳥」 ・鋸南町「かなりや」などがありますが、そんな中でも、踊りたくなるようなリズムとメロディでおなじみ。。。

♪しょ、しょ、ショジョジ、、この唄も千葉県ゆかりの1曲なんです。今日は「(しょう)城寺(じょうじ)の狸囃子」にまつわるお話をご紹介します。

千葉県ゆかりの童謡で、代表的な曲の一つ「(しょう)城寺(じょうじ)の狸囃子」。唄のタイトルと漢字表記はちょっと違いますが、舞台となったお寺「(しょう)誠寺(じょうじ)」は木更津駅の西口矢那(やな)川という川の近くにある、浄土真宗・本願寺派のお寺です。まずは、證誠寺というお寺について、ご住職の(たかし)(なお)(ひろ)さんに伺いました。

住職: 浄土真宗本願寺派の護念山證誠寺住職 隆直浩と申します。このお寺は江戸時代の初めごろにできました。お寺ができた当時、この場所は杉や松や檜がうっそうと茂って、昼でも暗く薄気味悪い「狐狸(コリ)」きつねたぬきと書きますが、狐狸のすみかであったと言われています。そんな森を切り開いてお寺ができたようですが、そんな立地にもかかわらず、いろんな人がお寺に集まってにぎやかに仏法を楽しみ、そういうことを聞いておりますが、非常に熱心にみんなで和やかに過ごしたと、そういうことを聞いております。

当時は「木更津(きさらづ)(ぶね)」と呼ばれる船で江戸と木更津が結ばれて、物資が運ばれたのはもちろんのこと、多くの旅人も行き来するようになって繁栄したそうです。その中で今でいうコミュニティーセンターのように、寺子屋として地域の人たちに場所を提供していた證誠寺なんですが、あることがきっかけで、この「日本三大狸伝説」のひとつと言われる物語が生まれることになりました。

住職:法要といってセレモニーを行う際は、雅楽といって、昔のオーケストラ、法要のBGMとして使用して非常ににぎやかに行事が行われたそうです。で、あんな寂しい町外れからにぎやかな人の声がして、聞いたことのない音楽が流れてきて、あれはお坊さんとタヌキが一緒になって歌ったり踊ったりしてるんじゃないだろうか。そんな噂が生まれても決して不思議でないような雰囲気のお寺だったようです。噂がいつしか伝説になってその伝説がある方が地元の冊子に紹介をした。で、それをこちらに当時は大正の初めぐらいですかね。野口雨情先生という方が、地元の小学校に講演にいらした時に話を聞いて「これは面白いですね。歌にしてみましょう」と言って「證誠寺の狸ばやし」という詩が生まれて、そこに中山晋平先生の曲がついて歌になったと聞いています。

この證誠寺の狸に関する伝説には続きがあって、お坊さんも楽しくタヌキ達と宴を過ごし、歌を歌い、踊りを踊り、お腹をポンポコ叩いて過ごしました。でも翌日、庭がとても静かなのを不思議に思って様子を見に行ったお坊さんが見つけたのは、叩き過ぎてお腹が破れて死んでしまった狸だったんです。その供養として作られたという「狸塚」は今も證誠寺の境内に実在します。

詩人・野口雨情の詩に作曲家・中山晋平が曲をつけた名作「証城寺の狸囃子」。この唄は、大正15年、今からちょうど100年前の1月1日付で発行された「金の星」という童謡・童話の雑誌で発表されました。それがおよそ20年後あるきっかけで全国的に知れ渡ることになります。

住職:太平洋戦争が終わった後に、NHKのラジオで英会話講座という番組があって、その講座のオープニングの曲がこの證誠寺の替え歌、アーサーキット(Eartha Kitt)っていう女性の黒人の歌手の方が、替え歌として歌ってそれが広まったというか、それで余計有名になったようですねそのなんかNHKの朝ドラで「カムカムエブリバディ」か、そういう番組があって、そこでそれはドラマになってたようですけど。お寺自体はごく普通のどこにでもあるお寺だと思うんですが、まあそういうあの歌がよく知れたようなことに伴って、まあいろんな方がこういらっしゃる、不思議なご縁を感じてます。ラジオから流れてくる明るいメロディと英語の唄は、戦後の人々の心を元気づけたかもしれないですね

英語でカバーされた「証城寺の狸囃子」は、やがて日本という枠を超えて広く聴かれるようになり、今では住職の隆さんが想像しなかったような国や地域からも「證誠寺」を訪ねてくる人がいるそうです。

住職:アフリカの人が来て。あと、日本の人が来て、アフリカでこの狸囃子の曲がすごく流行ってるのだか、すごくアフリカの人たちにこう親しまれているっていうことを聞いて、ちょっとびっくりしたことがありました。そんなことがあるのかと思って。よその国で「狸囃子」の歌詞なのか、違う歌詞なのか知りませんが、あの中山晋平先生のメロディーに乗せて、よその国で歌われている親しまれてるっていう話を聞いて、「よく知られているんですけど、どうですか?」なんて聞かれて、えっと思って。私も初めて聞いて、言葉とか文化とか超えて音楽って素晴らしいなぁって思いますね。本当に小さなお寺なんですけれども、あのいらしてお参りしてくださったらとても嬉しいです。はい。ぜひお参りくださいませ。

最近のインバウンドの皆さんは、下調べをしっかりしてきて、「ここ見たい!」と目的がはっきりしている方が多い。きっとその取材も「證誠寺の歌の現場に行く」みたいな企画だったんでしょうね。

童謡をきっかけに、海外からわざわざ歌のルーツを訪ねてお寺までくる方もいらっしゃったということで、作曲の中山晋平さんがこのことを知ったら、さぞお喜びだったでしょうね。

證誠寺最寄りの駅はJR内房線・木更津駅ですが、向かう途中の光明寺(こうみょうじ)には春日八郎さんの名曲「お(とみ)さん」に登場する歌舞伎の主人公「切られ与三郎」の お墓もあります。歌の舞台を訪ねながらお詣りしてみてはいかがでしょうか。

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