2025/12/19 UP!
だいぶ冷え込んできましたね。ラーメン、食べたくなってしまいますよね?
国民食とも言えるラーメン。全国各地に美味しいご当地ラーメンがたくさんありますが、食の宝庫・千葉県にも、その食材を活かしたその土地ならではの美味しいご当地ラーメンがたくさんあります。そんな中から今回は、九十九里ならではのラーメンをご紹介していきたいと思います。
江戸時代には日本一のイワシの漁場として知られ、イワシがその生活や文化に深く根差している九十九里。この地で120年以上水産加工業を続けている煮干しづくりの老舗「なかみち水産」が昨年の5月、九十九里のイワシの魅力を満喫できるラーメン店「NAKAMICHI」をオープンさせたんです。注目を集めているこのお店についてまずは店長の仲松淳子さんに、なぜ水産加工会社がラーメン店をオープンすることになったのか。そして、どうやって味を決めていったのかを伺いました。

仲松店長:2024年の5月30日にオープンしまして、その前にうちの方の会社は水産加工会社ということで、煮干しを製造してますので、それを使ったラーメン屋をオープンするっていうことで準備としては1年かけてこの店をオープンした感じになります。1年間準備期間ということで時間をいただいて、都内の方に見習いみたいな感じで学びに行って1から見させてもらってそれを自分なりに取り込んで、ひたすら試行錯誤しながら作ってました。まずは一般的な中華そば・・誰でも食べれるような普通の中華そばを作るのと、あともう1個が濃厚などろっとしたようなラーメンを作るって、その二つがまず言われたことで、元々はもう二つだけを作るようにっていう感じだったんです。

仲松店長は、このラーメン店をオープンするというプロジェクトに合わせて入られた、元々は食品会社で商品開発などをされていた方なんです。

ラーメン店オープンを決断したのは、1902(明治35)年創業の水産加工会社「なかみち水産」5代目社長の行方孝造さん。高校卒業後、東京の築地市場で働いたのちに故郷の九十九里町に帰ってくると、以前より町に活気がないのが気になったんだそうです。そこで考えたのが、「九十九里に暮らす人も、九十九里を訪れる人も、誰でもいつでも立ち寄れる場所をつくりたい」ということでした。
お店をやろうということにはなったんですが、やはり肝心なのは味ですよね。奇を衒うものは食いつきはいいかもしれないが、飽きられるのも早い。シンプルそして「何度でも食べてもらいたい、食べたいと思ってもらう」ことを念頭にメニュー開発をしたそうです。なんといっても道路を挟んだ反対側の水産加工会社には、出来立ての煮干しがいっぱいありますから、それを活かしたラーメンを考えました。

仲松店長:加工会社がもう元会社になりますんで、普通のラーメン屋さんよりは、量的には多分倍以上のものを使わせてもらって、作りたてというか、いつも新鮮なものを使用できるっていうのが一番のメリットだと思うんですけど、煮干し自体がまず時間が経つと、酸化してきたりするので、その辺のことを考えると、うちの方では、そういうリスクは少ないので、美味しい出汁が出てきてえぐみとかそういう部分が他のラーメン屋よりは少なく作れると思います。九十九里独特の煮干しの強さっていうものは、他よりもすごく感じたのでそこが生かせるように自分なりに試行錯誤はしました。
煮干しも、やはり新鮮さがものすごい大事なんですね。

作ってから日数が経つと色が変わったり、酸味やえぐみが目立つようになるんだそうです。でもこのお店なら、すぐ隣で生産している、出来立てで品質が高いものを選んでふんだんに使えるから、同じ煮干しラーメンでも格別の味を追求できるんですね。
九十九里町にある煮干しラーメンのお店「NAKAMICHI」。建物はとてもおしゃれですメニューですが、現在は基本形が醤油味の「煮干香る中華そば」。ほかに塩味の「女将おすすめ塩煮干そば」、濃厚な「やさしい濃厚煮干そば」、そして「九十九里坦々にぼ辛麺」、となっています。今は、1月31日までの限定メニューで「あっさり味噌味」を展開中で、サイドメニューはミニしらす丼、ミニチャーシュー丼、しらす丼定食、おつまみセット、ワインに合うおつまみセット、もあります。実際に食べているお客さんの反応はどのようなものなのでしょう?

仲松店長:九十九里の煮干しっていうのが他よりも、煮干し感がすごくあるので、あまり出し過ぎても、そこは煮干し嫌いな人もいるだろうしその辺のバランスを取るのはちょっと難しかったかなと思います。煮干しラーメンが嫌いなんだけど、これはすごく食べれますっていう声を結構いただくので、それはすごく嬉しいし励みになるなと思いました。 優しいのに濃厚って何だろうみたいな。真逆なのになんでこのネーミングなんですかっていうのはよく言われるんですけど、これは実際食べていただかないとわかってもらえないと思います。具材はそんな多くはないんですけれども、まずスープを飲み干せるような味付けにして、こだわを持ってやりました。長ネギの方は、地元のふくのや商店さんというところからたっぷり使用するように心がけて作ってますし、鶏の方も錦爽どり、これも千葉県産のものになるんですけれども、柔らかく仕上げてさっぱり食べれる感じにしてます。

週末は目の前の片貝海岸を訪れるサーファーの方が多くいらっしゃるそうですが、平日は主に地元の方がお客さんとしては多いそうで、煮干しの味もよくわかっていらっしゃる。具材もなるべく地元のものを使うので、知り合いから仕入れることもあるそうですが、妥協は一切せず、だからこそいいものを仕入れさせてもらっているということでした。そしてなかみち水産の煮干しもさらにこだわりがあるようなんです
仲松店長:煮干の方は2種類ありまして、カタクチとヒラコという煮干しの方を使用していて、ほか、乾物の方を2種類使用してます。それを前日から水に漬け込んで、翌日火にかけて、沸騰しない程度まで。その後はちょっと企業秘密になりますが、その後ダブルスープっていう感じであの鶏の清湯(ちんたん)スープと煮干しのスープを合わせてタレと油の方入れてスープとなります。九十九里の煮干しの味をストレートに味わえる味となっておりますので、小さいお子さんからお年寄りの方まで美味しく食べていただけるラーメンとなりますので、九十九里に来た際にはぜひお越しください。魚のマークとドライブインと書いてある看板が目印となりますので、よろしくお願いします。

仲松店長のこだわりと自信が感じられますね。
スタジオでは食べる用の煮干しの試食もしてみました。

こちらのお店は、せっかくお店に来てくれたお客さんのために、食事以外にもお店のグッズであったり、イワシの加工品や、オリジナルのかなりかっこいいTシャツやキャップ、雑貨も販売しています。地域の季節の野菜を販売しているコーナーもあります。楽しそうですよね。
地元九十九里町に新しい溜まり場を作りたいという社長の想いから始まったNAKAMICHIのラーメン店。こちらは、お店の看板や建物にはラーメンという文字が入っていません。大きな魚のマークと「DRIVE IN」と英語で書かれたシンプルなもの。通りがかりの人が「あれなんだ?」と思って入ってきたらラーメン店だったという風にしていきたいのだそうです。

そんな気軽に立ち寄ってもらいたい新しいたまり場で、優しいけどしっかりと感じられる、新鮮な煮干しのスープのラーメンを、ぜひ、海を感じながら食べてもらいたいですね。
営業時間や限定メニューなど、詳しくは「九十九里町なかみち」のホームページ、もしくはインスタグラムをご覧ください。

https://www.instagram.com/kujukurinakamichi




