2025/12/26 UP!
今年は「昭和100年」ということで注目されていますが、みなさんは「昭和レトロ」といえば、どんなものを思い浮かべますか?
千葉県内には、昭和初期の建物や街並み、さらにそれ以前、大正、明治、江戸の面影が残るところもたくさんあります。でも、普通に街の中に溶け込んでいて、気づけていないものも相当あると思います。今回は、千葉県内のレトロを追求めて活動をしている、Z世代の郷土史家をご紹介します。
今年は1926年12月25日から始まった昭和元年から数えてちょうど100年目となる節目の年。昭和の時代を感じさせる建物や家電、雑貨などが“昭和レトロ”として若者を中心に注目を集めています。そんな“昭和レトロ”の魅力を、千葉県内のものをメインに、発信し続けているのが千葉県出身の郷土史家・明里さん。大学3年生だった5年前に「Deepランド」というブログを開設して以来、Z世代の目線を通して厳選した“昭和レトロ”な魅力あふれるスポットの数々を紹介し続けています。まずは明里さんに、昔のものにハマったそもそものきっかけと、その後の驚くべき行動について伺いました。

明里さん:小学校5、6年生のときの流行ってたテレビドラマ「仁」(大沢たかお主演)っていうものから、江戸時代に興味を持ち始めて、江戸時代にタイムスリップしたいなってところから、全体の歴史をまず自由研究にまとめたりとかしてたんですけど、そこから深掘りして新選組だとか入っていって中学2年生のときに、日本橋から成田山新勝寺まで通ってる成田街道を実際に歩いてみようってなって千葉県の歴史に興味を持ち始めて調べるようになりました。街道沿い、車とか乗ってると石碑があったりするんですけど、なんかそれの意味とかをちゃんと調べたいなと思って、深掘りしてみようっていうのがきっかけでした。65キロ、日本橋からあったんですけど、母とそのとき小学校低学年だった弟を連れて3人で全部歩いたんですよね。そうですね、最終地点に着いたときに、やっぱうなぎ屋さんが今もたくさんあると思うんですけどいい香りがしてきて、65キロ歩いてきて疲れてるので、栄養のあるものを食べたい気持ちがすごいよくわかるというか、今だったら車で行ってすぐ帰るだけだと思うんですけど、歩いたからこそやっぱこのウナギの重要性がわかるという。
「仁」というテレビドラマは主人公の脳外科医の医師が江戸時代にタイムスリップして病気を治したり、歴史上の人物に出会ったりする物語。
それを小学生の時に見て、自分も江戸時代にいきたい、江戸時代を今の世界で感じてみたいと、自由研究で色々調べたのが始まりだったんですね。
そして、街歩きをしながらレトロなものを探して記録していくという今のスタイルの原型になったのが、中学校2年生の時の日本橋から成田山新勝寺までの道のりを徒歩で行くというもの。夏の自由研究のために冬から準備、計画を始めて、およそ65キロを2週間弱で歩き通したということです。その後、受験などで町歩きは少しお休みしていたそうですが、大学生になると、ちょうどコロナ禍。リモート授業で自由な時間が増えたり、活動するのに少しお金の余裕も出てきたことで、再び、レトロなものを探そうという気持ちになりました。そして、前から気になっていたレトロな旅館が営業を終了して解体されるという話を聞いて、その様子を知りたいと思った明里さん、こんな体験をします。
明里さん:船橋にあった文化財の旅館、玉川旅館っていうのが閉店解体になって。やっぱ身近な建物だったりとか昭和でさえもなくなってしまうってところにすごいショックを受けて。メディアの関係者の方とかがやっぱ最後撮影に来てて、最後撮影にちょっとお伺いしたいんですって話をしたんですけど、やっぱり繋いでいただけなかったので普通の大学生だったので。そこからブログを立ち上げたりとか何か形に残して実績なんかこう名乗れるような存在にならなきゃなと思って。やっぱ外からの発信とかもすごい大事なんだなっていうのを。普段から利用する人を増やすとか私の発信を通して何か身近な建物守れたらいいなとか、思ったのがきっかけで。その後も毎年解体する建物とかお店にお話を聞いたときには、SNSでこう呼びかけたりとか、関係者の方とイベントを一緒に開催しましょうとかっていう形で自分でもアクション、実際に起こしてあの記録に残す活動をしてます。

記録を残すためには普通の女子大生では相手にしてもらえない。ならSNSなど今の時代ならではの発信をして、認めてもらおう!からスタートしたんですね。しかもすごいのが、その建物について語り合うようなイベントまで始めたこと。中2の頃の成田街道制覇から、どんどんパワーアップしていますね。
そしてついには今年1月に、『昭和ディープ街トリップ、335 カット』という本を出版されます。こちらがその本です。

現在も千葉県内のレトロなもの、歴史を感じられるものや街並み、小物などを探求している明里さん。平日は会社員、週末には千葉の郷土史研究家として「消えゆく建物や歴史を記録する旅」を続けています。その調査の仕方についても教えていただきました。

※香取市 寒香亭(明里さん提供)
明里さん:他県ってやっぱ他の県と隣接してるから、結構観光地も栄えてたりとか行きやすかったりするんですけど千葉県は行き止まりなので、なかなか行こうと思っていかないといけないってことが多いので同じ界隈の旅行界隈でもあんまり行ってないんですよ。目をつけてる方が少なくて、記録も少ないので、やっぱり地元の歴史とかをちゃんと今残さないと本当に消えちゃうなっていうところで使命感がありますね。そうですね本とかにやっぱ載ってないことも多いので、実際に自分の目で見て歩くっていうのを大事にしてて、もう今日はここの路線を全部歩くぞって決めたら、その駅に降りて道を全部歩くような形でGoogleのストリートビューみたいな形で、もうくまなく路地を歩いて、それで見つけたものを旅館だったりとか、石碑とか細かいところも全部記録に残すっていうような探し方をしてます。そういう一次情報をやっぱ一番大事にして、どこかに載ってる情報はやっぱりもう記録されてるので、記録されてないものを中心に見つけていければなと思ってます。

※千葉市 梅の湯(明里さん提供)
千葉県は三方海に囲まれているから、どこか別の場所を目指す途中で通りかかるとか確かに少ないかもですね。目的としてそこへ行かないと。
そして、お話にあった調査方法。自分の目で確認する。全ての路地を制覇する気持ちでとにかく隅々まで歩いて、『ん?』と思ったものはとにかく記録。ネットや本などに掲載されていないものを見つけた時の嬉しさは大きいんでしょうね。まだまだ見つけきれていないものが県内にたくさんあるという明里さん。今、注目している地域についても教えてくださいました。

※匝瑳市 旧龍泉堂(明里さん提供)
明里さん:館山と匝瑳市の八日市場っていうところですね。もちろん館山は、元々結構海軍とかの町で有名ではあるんですけど、結構軍の史跡とか残ってて、ちょっと古い病院を改装したホテルだったりとか、旅行に行っても楽しめるような歴史好きの方におすすめの街ですし、八日市場の方は、全然多分まだ知られてないと思うんですけど、文化財が商店街にたくさん残ってるので、町並みとしてもいいですし、それを改装して昭和の和菓子屋さんだった建物を復活させようとしている取り組みもあって、結構これから来るんじゃないかなっていう、街だと思ってます。その魅力を発信していきたいなってところあります。千葉って面白いし、やっぱ本に載ってない情報を拾うことの楽しさってすごいあるなと思ってて、身近な街も歩いてみると、徒歩のスピードでしか体験できないものがあると思うので、ちょっと昔を知ってるだけでその街の見え方がすぐ変わるので、そうですね10年ぐらい面白さにとりつかれて、千葉県の歩いてるっていう、、、

※館山市 幸田旅館(明里さん提供)
館山、旧日本軍の施設が現役で使われているものもあるようですし、人が集まるところには当然文化も栄える。匝瑳市の八日市場は「八重垣神社の祇園祭」を紹介した時に、登録有形文化財が並ぶレトロな街並みの話もでていましたね。

※柏市 柏一小通り(明里さん提供)
例えば、八日市場駅から歩いて5分ほどのところにある老舗の「桐谷旅館」などは300年以上の歴史があるんですが、それほど知られていない。そんな風にレトロなお宝がたくさんあるそうですよ。明里さんは、そんな宿にも実際宿泊されたりしています。「街の歴史や文化を知ることで、街の見え方が変わる」とおっしゃっていましたが、昔を想像、妄想、推測して、謎解きのようなこともしながら記録をとっていくことは面白いし、それらを発信してSNSを見た方々からの反応もさらに活動の励みになるそうです。明里さんの活動、イベント、そして取材などの情報の発信はSNSを中心に発信されています。ぜひ千葉のレトロワールド、覗いてみてください。ワクワクしてきますよ。
https://www.instagram.com/deepland.akesato




