2023/10/20 UP!

読書の秋とよく言いますが、ちなみに読書の秋というのは夏目漱石の名作がルーツなんだそうです。その昔、韓愈という唐の文人が詠んだ漢詩の中で「秋は過ごしやすい季節だから、夜には明かりを灯して読書をするのに最適だ」という表現があって、これを夏目漱石が小説「三四郎」の中で引用したことで、秋は読書をする季節というイメージが広がったといわれています。今回は、その読書をするのに素晴らしい環境。ちょっと変わったつくりの図書館をご紹介します。

今回ご紹介するのは、木更津市のかずさアカデミアパーク南側、大な自然に囲まれた「クルックフィールズ」に、今年2月にオープンした地中図書館です。まずは広報の小林真里さんにクルックフィールズという場所について伺いました。

小林さん:(クルックフィールズって)どういう施設なの?ってよくお客様にきかれて、一次産業を中心に農や食、それからアート、自然を感じられるサステナブルファーム&パークとお客様にはご説明しています。2010年から農業から始まった場所でして、最初に有機農業を始めて、その次に鶏を飼い始めて卵の生産を始めて。そこからお客様がそういった生産現場も楽しんでいただけるような訪れられる場所に育てていくということで2019年にクルックフィールズとしてお客様をお迎えする場所をオープンいたしました。休日ですと季節のいい時は一日400人、500人ぐらいのお客様に来て頂いてまして、ここで採れたもの野菜やチーズや卵を使って楽しめるダイニングレストランですとか、宿泊施設、パン屋さんとかシフォンケーキ屋さんとか店舗も入ってます。


30ヘクタールの広さがあるこの施設を手掛けたのは、Mr.Childrenのプロデュース、自らもBank Bandのメンバーとして活動をする音楽家の小林武史さん。「農」「食」「アート」の3つのコンセプトを軸に、これからの人や社会の豊かさを提案する施設として、2019年にクルックフィールズが誕生。コロナ禍には『APバンクフェス2021』の無観客ライブもここから配信されました。農業をはじめいろいろな体験や、ここで獲れた作物からできた美味しいものを食べたり、買える施設から宿泊までさまざまな過ごし方ができるクルックフィールズの中に今年の2月16日にオープンしたのが地中図書館なんです。

小林さん:未来に続いていく場所を次世代に残していこうっていうことも、運営の目的の一つとして掲げているので、人間の歴史というか,をたどっていくときっと体を動かしてうまくいかないこととか、わからないことができた時に、雨の日に、みんなで考えて。晴れてるときはまた体動かしてこうやったらうまくいくんじゃないかっていう、そういう「体を使ったこと」と「頭を使ったこと」を繰り返して、きっとここまで発展してきたっていうふうに思っていまして、そういう場所を作ろうっていうのが最初のきっかけですね。自然の中で考えるっていうこともすごく大事な要素だと思うので、あまり、自然をぶった切って縦にそびえ立つ建物を新しく建てるっていうのは、クルックフィールズらしくないなって言うことでもう少し自然に寄り添った形で、自然の傾斜とかもうまく利用した地中図書館という形になりました。

草の丘に抱かれるように溶け込んだ建物で、コンクリートの壁も見えない、地下室とは言っても、普通のビルのとは違って、まさに地中図書館 です。すり鉢状の特徴的な地形の場所に、洞窟のように地中に横たわる図書館。クルックフィールズの中を散策していると、突然入り口があって「大地の中へ潜っていく」ような感じをうけます。

そして、一体中はどんな内装で、どんな本が置いてあるんでしょうか?
小林さん:広い図書館でただ座って本を読むっていうことじゃなくて、ほんとうに本に包まれているような 小さい小部屋があったりとか、本当に天井が低くてかがまないと入れないようなところまでこうびっしり本が詰まっていて、その中でちょっとこっそり本を読むみたいな。不思議の国のアリスみたいな、ちょっと日常とは違う空間で本の世界に没頭できるような場所になっているなぁっていう風に感じました。さまざまなジャンルの本を置いてまして子供が読める絵本から洋書、アートがたくさん置いてあるので、アートに関する洋書もあれば、デザイン関係の文字のないような絵だけの本もありますし、人文学とかSDGsに関する本とかももちろん置いてあるんですが、選書の意図としてはやっぱりクルックフィールズにある要素をより深く知ってもらえるような本は中心に置いています。

本の並べ方も、作家名とかジャンルで分けてあるのではなくて、何か繋がりがある、もしくは繋がりを想像すると楽しい本が固まって並べられていて、普段本をあまり読まない人でも本を手に取りやすくなっています。例えば、SDG‘s関連の本の隣に食に関する本。その隣には植物の本があって持続可能な生活と自然環境、生きていくうえで大切な食、生み出す植物の本、、、とインスピレーションが繋がりやすいようになっているんです。本を選んだのは、「book pick orchestra」代表の選書家・川上洋平さんで、蔵書は現在3000冊ほど。今後増やしていく計画もあるそうです。本は貸し出ししていなくて、図書館の外に持ち出すことはできませんが、広報の小林さんも、お仕事がお休みの日にここにきて本を読んだり、図鑑を見たり、うたた寝したりして過ごすことがあるそうです。いいリフレッシュになりそうですね。 そんな素晴らしい場所、人気になってきたら混まないのでしょうか?

小林さん:クルックフィールズのメンバーになっていただいた方が事前予約制で入れる施設になっています。中も決してすごく広いというわけではないので。 一日に入れる方も、現在は40名ほどに制限して、混雑している場合は少し時間を置いてから入場してもらうようなアナウンスをしたりですとか、そういったことで中の雰囲気は保てるように心がけています。 火曜日と水曜日が定休日なので、木曜日から月曜日12時から17時に入場可能なんですが、やっぱり土日とかオープンしたばかりの12時直後っていうのは、混雑しやすいので、本当に本をゆっくりお楽しみいただくっていう場合だと、平日の3時以降とかそのぐらいだとすごくゆったりとした時間を過ごしていただけるかなと思います。 宿泊の方には一般の方が帰られた5時以降ご使用いただけるので、翌朝11時まではご自由に地中図書館お入り頂いて夜の図書館もお楽しみいただけます。

クルックフィールズ内にあるタイプの違う二つの宿泊施設に泊まることもできます。宿泊された方の特典というかんじでしょうか。
そして、予約状況にもよりますが、当日券もあるそうです。自然と融合した環境の中でじっくりといろんな本たちと向き合う時間もいいかもしれませんね。クルックフィールズ地中図書館の利用にはメンバーシップ登録が必要です。営業日やそのほかの施設の利用方法などについて詳しくはクルックフィールズの公式ホームページでご確認ください。
2023/10/19 UP!
- ●今週は「読書の秋」をテーマにご紹介しています。
- 「本棚の裏は 見ないでね!?」の中西悠理 がご紹介しました、市川市にあるシェア型本屋「fish&books azumaya」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。

- 魚屋さんがベースという一風変わったシェア型本屋の「fish&books azumaya」。ちょっとしたカフェメニューもあります!
- 本を介して人が集まり、会話が膨らみ、素敵なことが生まれる空間を目指し、スケッチ会やレコード鑑賞会などのイベントも開催。営業時間等詳しくはホームページで確認してください。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- 今年(といってもまだもう少しありますが…)読んだ本で、心に残っている1冊です。古典は難しい!という私の固定概念を変えてくれて、まさにおすすめしたい本です。
- 棚主さんのおすすめが並ぶシェア型本屋さん、本への愛に溢れた空間ですよね。
2023/10/18 UP!
- ●今週は「読書の秋」をテーマにご紹介しています。
- 「二歳の頃から ノートに絵本を描いていた」中西悠理 画伯 がご紹介しました、柏市にある「柏の葉T–SITE 蔦屋書店」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。
https://store.tsite.jp/kashiwanoha/

- 「毎日の食と暮らし」や「親と子のコミュニケーション」がテーマの柏の葉T–SITE。その中核となるのが蔦屋書店です。
- 1階にビジネス書、趣味、資格など大人向けの書籍が並び、2階には絵本や児童書、子育て本が充実しています。愛犬にも優しい「DOG FRIENDLY SERVICE」も充実しています。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- 我が家の出不精犬「チップ」も、ここなら喜んでお散歩してくれそうです!
2023/10/17 UP!
- ●今週は「読書の秋」をテーマにご紹介しています。
- 「あとがきから読んじゃう!」な中西悠理 がご紹介しました、習志野市にある「手づくり絵本館『にゃ~トピア』」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。
https://www.omoshiro-book.com/

- 出来ばえしっかり。世界でたった一冊のオリジナル絵本が作れる、「手づくり絵本館『にゃ~トピア』」のオリジナル「自分でつくるおもしろBOOK」の手作り本キット。
- 習志野市のふるさと納税の返礼品にもなっていて、本格的な絵本を一から手作りできる材料キットとして注目を集めています。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- お散歩していたら、ちょっと紅葉している木を発見!
- 金木犀の香りも漂っているし、すっかり秋なのですね。どおりでお腹がやたら減るはずだ。(それは年中)
2023/10/16 UP!
- ●今週は「読書の秋」をテーマにご紹介します。
- 「続きが読みたくなる 面白さ!」の中西悠理 がご紹介しました、いすみ市にある「星空の小さな図書館」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。
https://hoshizora-library.starlet.link/

- 「本が繋ぐ 新しい出会いを」をコンセプトに、2014年にオープンした民間図書館の「星空の小さな図書館」。
- 開館日は、毎週日曜日と月曜日。開館時間は、午後1時から午後7時まで、年齢問わず、地元の人も移住者も、それぞれの背景は関係なしに、本を介して平等に出会える機会を作り出しています。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- 読書の秋をイメージして描いていたはずなのですが…
- 食欲の秋にテーマが変わってる!?
2023/10/13 UP!
アップサイクルという言葉、ご存知でしょうか?
本来であれば、廃棄されてしまうようなものに手を加えることで価値をつけ、新しい製品へ生まれ変わらせることです。持続性や循環型が求められるようになって、今注目されているんです。リサイクルとも違って、素材をなるべくそのまま生かすことで、地球にかける負荷も減るといわれています。今日は、千葉県南東部に位置する睦沢町で、ひょんなことからできあがった、睦沢町のおいしいアップサイクルスイーツをご紹介します。
ご紹介するのは千葉県睦沢町にある「フエゴ・インターナショナル」がアップサイクルで作り出した美味しいジェラート。

「-10℃ Mutsu Boshi Gelato」
テレビでも取り上げられて話題の会社なんですが、実は、このジェラート、誕生までの過程がユニークなんです。
この名前にあるムツボシですが、この地域で栽培されたさつまいもをじっくりと寝かして糖度を高め、睦沢町の地下の天然ガスを利用しさつまいもを蒸かし、乾燥機に入れて「ほしいも」に仕上げたものです。その美味しさから、大変人気になっています。まずはその開発に至るまでのストーリーをフエゴインターナショナルの山下純市さんにお話伺いました。

山下さん:我々がメインでやってるのは地域から発生する食品ロス、そういったものをコオロギの餌にして、コオロギを育てます。まあ、このコオロギを食用だったり、家畜の飼料だったりというものに使えるように研究したりします。いろんな食品工場からですね食品残渣(ざんさ)を集めてるわけなんですけど。まあ、そういった中で睦沢の町内に睦沢郵便局がありまして、ここは今「干し芋」を作ってるわけなんですけど、この「干し芋」を作る時に発生する、残渣というかいうものをコオロギの餌にできるかもしれないよね、って話をしてたんですね。コオロギに与えるより、人間が食べた方がおいしいよねっていうようなものがあって。それで まあ、いろいろあの商品できるかなっていうので考えて企画しました。

コオロギの養殖は、フエゴ・インターナショナルが2年前に始めて、その餌として、料理や加工品を作るときなどに出る不要で捨ててしまう部分・・「食品残渣」を有効活用していたところ、郵便局が作っていた人気商品の干し芋工場から、「コオロギが食べてくれるなら」ということで「干し芋の残渣」が持ち込まれたんです。そのコオロギの餌になるはずのモノが、突然、方針転換をすることになります。

山下さん:実際、まあ、その郵便局から出てくる干し芋を加工する時の残渣って色々あるんですけど、今回我々がジェラートに使ってるのは、いわゆるその干し芋を最後、いわゆるパッケージする時に形を整えるためにカットしたようなもので、干し芋の切りカスみたいなものなんですね。 商品として出されているものと同じもので、これは 我々としてはジェラートにしたらおいしいなと思ったんですけど、実際、最初はコオロギに与えようと思ったんだけど、干し芋ッてブヨブヨしてグミみたいな感じでこのままじゃコオロギが食べれないなあ、ちょっとこれゼリーみたいにしたらコオロギが食べるかなってことで鍋で水分加えてペーストにしたんですね 。そしたらすごく美味しい匂いがしてるんですよ。
で舐めたらとてつもなくお芋の甘さがすごくあってすごい美味しいペーストなんです。 これは。 コオロギの餌じゃなくて 食品として使ったほうが、なんか美味しいものができるんじゃないかなっていうがきっかけです。
睦沢町の郵便局が作っている干し芋の残渣から美味しい干し芋ペーストを作り出すことを始めたフエゴ・インターナショナルですが、今日のお話はジェラートです。この話がどうやってジェラートに結びついていくのでしょうか?
スタジオではそのジェラート、いただくことができました!

ひょんなことから生まれたお芋のジェラートが大ヒットしましたが、山下さん、睦沢町への想いを語ってくれました。

山下さん: どっちかというと、外房よりなんでしょうかね、人口7000人もいない小さな町なんですね。千葉県の中でもなかなか睦沢どこだっけ? って言われるようなところなんですけど。僕はまだここに移住してきて2年半ぐらいなんですが、なんかもっともっと睦沢のことをいろんな人に知ってもらいたいなという気持ちはすごくあって、その中で僕たちが何ができるのかというのが今後の課題だったりするし、いろいろワクワクすることもある。 これからですね、千葉大学さんと一緒に干し芋を作る時の残渣を使ってクラフトビールを作ろうということになりまして、今年の発売無理なんですけど、これからそのクラフトビールの開発と一緒にやっているので、まあ今後ビールが遠くない未来に世の中に誕生すると思います。
実は、山下さん、最近は「紅はるか」をご自身でも作り出したそうです。それを郵便局に出荷して、その芋で干し芋ができて、その残渣が自分達のところに帰ってきて、それを原料にジェラートができるというサイクルが始まるようです。
「-10℃ Mutsu Boshi Gelato」は、睦沢町のふるさと納税の返礼品になっています。購入はフエゴインターナショナルのECサイトからのお取り寄せや、睦沢町の道の駅「むつざわ つどいの郷」、長柄町の「ながら太陽ファーム」でも販売されています。そして以前、この番組でご紹介した千葉大学の萩原学教授、覚えていますか?千葉大学で学生とともにクラフトビールを作るプロジェクトに取り組まれている方なんですが、この萩原教授と山下さんが今、干し芋のあまーいペーストをベースにビールをつくってしまおうというチャレンジを始めようとしています。こちらも楽しみですね。ジェラートを食べてみたい方だけでなく、アップサイクルや地域貢献に興味を持たれた方、ぜひチェックしてくださいね。
購入などの情報は
-10℃ Mutsu Boshi Gelato
もしくは
「睦沢町 干し芋 ジェラート」
で検索してみてください。
睦沢町にある
道の駅 むつざわ
でも販売しています。
2023/10/12 UP!
- ●今週は「アップサイクル」をテーマにご紹介しています。
- 「着なくなったTシャツは もれなくネマキになる!?」の中西悠理 がご紹介しました、八千代市のWAcKAが手掛けるTシャツヤーン「iTTo」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。
- 海外赴任中の出来事に心を痛め、アップサイクルの事業をスタートした「WAcKA」代表の梶原さん。現在は『地捨地産』に力を入れています。
- Tシャツヤーンとは、Tシャツを細く切って作る編み糸のこと。ヤーンは紐という意味です。「iTTo」ブランドのTシャツヤーンで作る編み物は、綿100%で柔らかい手触りになるのが特徴です。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- この日はひんやり秋雨。
- 冬の気配を感じる朝でした。(雨漏りしているわけではありません)
2023/10/11 UP!
- ●今週は「アップサイクル」をテーマにご紹介しています。
- 「おばあちゃんは アップサイクルの達人!」の中西悠理 がご紹介しました、成田空港オリジナル クラフトジン「Cloud9」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。
https://naritaairport-to-table.com/items/63fdadbce2f3b651079799e7

- 成田空港オリジナル クラフトジン「Cloud9」は、酒粕をアップリサイクルした原酒に、成田空港伐採木の杉をはじめ、芝山町の緑茶、山武市の生姜、睦沢町のオリーブ、南房総市のスダチ、鴨川市のシークワーサーなどの素材をボタニカルにした、香り豊かなクラフトジンです。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- リサイクルからアップサイクルへ!
- この世界には、価値や可能性を秘めた不用品、廃棄品がたくさん眠っているのでしょうね。
2023/10/10 UP!
- ●今週は「アップサイクル」をテーマにご紹介しています。
- 「食べられるところは 全部食べます!」の中西悠理 がご紹介しました、ワークショップを企画・運営する「アソビスキー」の情報は、以下のHPでご覧いただけます。

- 知育ワークショップを展開する「アソビスキー」が着目したのが、アップサイクル。リサイクル素材やアップサイクル素材を活用している実績から、その大切さをワークショップを通して、子供達に伝えています。
- 生花・野菜ゴミ・アクリルボードなどを活用して、アップサイクルワークショップを、今後も積極的に続けて行きたいそうです。
- 千葉県のさまざまな魅力を知って、一緒に千葉県を盛り上げていきましょう!

- 今週末には、飛沫防止のアクリルボードをアップサイクルするワークショップも!!気になる方は是非。
2023/10/6 UP!
今回は、「老舗」がテーマです。一般的に、老舗というのは、何代にもわたって、同じ商売を続けてきた伝統的かつ格式の高いお店のことをさします。長く続けることでお客さんや取引先の人から信用を得ているお店や企業ともいえますね。千葉にもたくさんあります。
今回は、美味しい水の里にある老舗をご紹介しようと思います。お好きな方も多いとおもいます。お酒(日本酒)です。

ご紹介するのは、君津市の久留里にある吉崎酒蔵です。お酒を造るのには「いい水」が大切です。久留里の水は平成20年6月に、千葉県下では唯一「平成の名水百選」に選ばれています。古くからこの地に伝わる「上総掘り」という方法で、地下400メートル以上のところまで井戸を掘り、そこから湧き出る水を使ってお酒を作っています。その井戸からは今でもコンコンと水が湧き出ています。吉崎酒造は千葉県内で最も古いまさに老舗の酒蔵。 その歴史について、当主の吉﨑明夫さんにお話を伺いました。

吉﨑さん:寛永年間創業で大体400年ぐらいで私で17代目になります。江戸時代に越前、福井の方からこちらに移動してきたということで、屋号が越前屋といいます。メインの商標が吉に寿と書きまして「吉壽」という商標こちらが昔からある商標で、それであの「吉壽発泡清酒」「吉壽スパークリング」というのもあります。あと大吟醸ブームの後、大吟醸作るようになりまして、それをあの月に華、中華の華で「月華」っていう名前で大吟醸出してます。うちの場合は、あの蔵自体も明治時代の蔵をそのまま使ってますし、道具とかも古いもので使えるものを使って、あとこう運んだりだとかそういった重労働部分を機械化して行くみたいな。そういった形での変化はあると思います。
なぜ福井から当時の上総国久留里にきたのかはわからないんですが、江戸時代からここでお酒を作り、近くを流れる小櫃川を使って、船で木更津、そして江戸へ運んでいました。東京湾でも海の交通・舟運が発達して、久留里周辺でもお酒造りが盛んになっていったんですね。
さて、コロナ禍では、宴会や祭り、大人数でお酒を飲むことや、イベントでの振る舞い酒もできなくなってしまい、お酒をみんなで楽しむ文化が無くなってしまうかもと吉﨑さんは心配されたそうです。もちろん経営的にも厳しかったでしょう。でも最近、地元、そして久留里線を擁するJR東日本の協力もあり、少しずつイベントも復活し始めました。

吉﨑さん:コロナ以前は毎年3月1週目に新酒祭りと言って、久留里は水がいいということで酒蔵も多いので、五軒の酒蔵で新酒を持ち寄ってでそれで新酒祭りというイベントをやってまして、この春から復活しまして、その時にあのJR(東日本)さんの方で、「駅からハイク」という駅からハイキングしようというイベントがありまして、それと一緒にやらせていただいて、その駅からハイクのお客さんも含めて各蔵、各試飲ポイントを回りながら新酒種を味わっていただくというイベントを今年からまた再開させていただきました。800用意してたおちょこ全然足りなくて追加追加で1000まで用意したんですけど、 途中からもう配るの諦めたというような、そういう状況、嬉しい悲鳴でしたね。

JR久留里線・久留里駅の駅舎の中にこの地域のお酒の瓶の展示もありますし、駅を出てすぐ右側には、昨年10月「生きた水 久留里 酒ミュージアム」がオープンし、吉崎酒造をはじめ、君津市、富津市にあるかずさの8つの酒蔵蔵元のお酒の試飲が有料にて楽しめるようになりました。ですから普段から久留里に行けば美味しいお酒が味わえるし、まず、ミュージアムで試飲して、自分の好みの蔵に行けるので、いいですよね。
久留里の自慢はなんといってもその「水」 。JR久留里駅前にもこんこんと湧き出るいわゆる自噴井戸がありますし、この地域には多くの上総掘りによって掘られた井戸がたくさんあります。飲み水として使えるものを中心にその数、200ほど。地下600メートルから湧き出る水をくみに、遠くからやってくる方もいるほどです。吉崎酒造さんではその水を使って<名水百選 久留里の町の地サイダー>を造っていらっしゃいます。

久留里の上質な水を使って400年以上前から日本酒を作り続けている吉崎酒造。こちらでは、ネットでの販売を中心に人気となっているお酒があります。その名も「ふしぎな竹酒」。いったい何が不思議なんでしょうか?
山﨑さん:本当の竹に詰めた、竹の節と節のあいだにお酒を詰めた、お酒も販売してまして、それについては、その召し上がる日に合わせて予約注文という形で竹に詰めてますので、そういった変わったお酒についてネット販売の方が売れますね。どうやって詰めたか分からないように詰めてまして、召し上がる時に節に穴を開けていただいて、自分で。それで酒器に注いで頂くという形なので、どこでどうやって詰めたんだろうっていうのが、そのふしぎな竹酒の不思議の部分なんですけど、宴会とかのその話題作りにいいかなと思うんですけれど。樽酒が木の香りを楽しむように、竹の爽やかな香りを、香り付けしたお酒を召し上がっていただくという形ですね。意外と年齢関係のお祝いの時、購入にネットで見たからって言って購入に来てくださる方多いですね。あとお正月ですか。

こちらは青い竹に詰めたものと、表面をちょっと炙ったような感じに仕上げた趣のある竹に詰めたものの2種類があり、どちらも、缶詰のように穴を開けてお酒を注ぐというもの。日付指定で申し込むので、還暦や古希、米寿などのお祝い事やおめでたいお正月、お祝い事などに使いたいということでネット販売が好調なんですって。少しずつではあるけどコロナ禍以前のように戻っているのを実感しながら、吉崎さ ん感謝の言葉を話されています。
吉﨑さん:このエリアが酒処だっていうことを知っていただくだけでも、我々にとってはそれを知っていただくだけでも嬉しいことですし。またJRさんもね、その後地元、久留里の夏祭りの時に角打ち例車走らせてくださいましたし、また10月には君津の駅の近くで君津の酒祭りというイベントございますし。あと10月下旬にある久留里の久留里城祭りっていう城祭り。 その時にもJRさんが角打ち列車走らせてくださるということで、それを知っていただければありがたいなと思います。コロナ以前だったら四合瓶とか一升瓶とか、そういったのメインに詰めてたんですけど、最近はあの300mmとか180mmとか小瓶2本とか3本で持って行けるように、袋に最初からセット組んで置いてあります。 袋に入れとくとこれいただくってそのまま持ってくださる方も多いので、そういう意味ではあのありがたいですね。本当はもう 大きい瓶がバンバン売れたほうがありがたいんですけど。(笑)
お話にもありましたが10月13日には君津のハミルトンホテルKAZUSAで「第6回 きみつの地酒祭り」が行われます。実は、君津市は、首都圏(1都7県)の市町村で最も多くの日本酒の酒蔵があり、酒造りが盛んなことから、「きみつの地酒で乾杯を推進する条例」を施行しています。
4年振り、6回目を迎える今回は、吉崎酒造をはじめ市内の6蔵と富津市の2蔵の「かずさ八蔵」に加え、今年は、はちみつのお酒、ミードをつくっている「はちみつ工房」も仲間入りしての開催。きみつの地酒を存分に楽しめるきみつの地酒まつり。詳しくは公式サイトで確認ください。番組ブログにリンクを掲載しておきます。駅を降りたらぜひ「生きた水久留里 酒ミュージアム」も覗いてみてくださいね!
