2020/5/9 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. WALKING MAN / JAMES TAYLOR
M2. GO SLOW / DENI HINDS
M3. BE THE HERO / NORBERT LEO BUTZ
M4. CHERISH THE DAY / SADE
M5. 裸の心 / あいみょん
M6. MOVING FORWARD / HOOBASTANK
M7. TRYIN’TO KEEP IT TOGETHER / NORA JONES
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2020/5/2 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、フリーライターで写真家の「山本高樹」さんです。

山本さんは、1969年、岡山生まれ。出版社勤務と海外放浪のあと、2001年からフリーランスとして活動。2007年からはインド北部の山岳地帯「ラダック」地方を長期取材。その後、ラダックでの取材をライフワークにしながら、世界各地を巡る日々を送ってらっしゃいます。
そんな山本さんの新刊が『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』。ザンスカールとはラダックの中心地からおよそ450キロ、標高4000メートル級の峠を越え、やっとたどり着ける、秘境ともいえる場所で、大自然とともに生きる人々が暮らしているそうです。 今週は、極寒の高地で人知れず開かれるお祭りや、現地の人々の生活、そして秘境の旅の魅力などうかがいます。
☆写真提供:山本高樹
見たこともない祭り

※ではまず、なぜザンスカールへ行こうと思ったのか、お聞きしました。
「僕は元々、このザンスカールがあるラダック地方を集中的に取材をしていたんですね。2007年から2008年にかけて、1年半ぐらいかけてザンスカールに長期滞在して、『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』という本を2009年に出したんですけれども、その長期滞在の頃からずっとこの土地を気になっていて、取材をし続けていたんですね。で、当時もこのザンスカールに夏だったり冬だったり訪れていたんですけれども、特に冬のザンスカールに関して、ちょっと伝えきれてなかったなっていう部分があったように感じていました。
それで今回の旅を思いついたのが、ザンスカールのいちばん奥のところにプクタルゴンパっていう古い仏教の僧院があって、そこで真冬にプクタルグストルっていうお祭りが行なわれるらしいって話を聞いて、ただ真冬にそこに訪れるのはすごく大変なんで、ほとんど外部の人は見たことがないお祭りなんですね。それをなんとかして見れないかっていうのと、前から思っていた冬のザンスカールの真の有り様みたいなものを見届けることができないかなと思って、この旅をすればそれを見ることができるんじゃないかと思って、思いついたのが今回の旅のきっかけだったんです」
●本当に非常に過酷な場所ですよね?
「そうですよね。標高が3500メートルぐらい平均でありますし、周りが5000メートル以上の山で囲まれているところなので、冬は峠を越える道に雪が積もって行き来ができなくなってしまうんですね。ただ本当に真冬になると地元のザンスカールの人たちが使っている道ができていて、それは氷の川の上を歩いていく道なんですね。
それを現地ではチャダルっていう風に言われているんですけれども、冬にザンスカールに行くためにはそこを歩いていくことしか基本的に方法がないっていうことなので、僕も今回そのチャダルという氷の川の上を歩いて旅をして、真冬のザンスカールを合計で4週間近くかけて旅をした、それが今回の冬の旅という本ですね」
●旅を続けるってすごく大変なことなんじゃないですか?
「ただ今回は10年以上前からの友達であるザンスカール人のパドマ・ドルジェという友達がいるんですけれども、彼は本当にこのチャダルを数え切れないくらい旅をしたことのあるスペシャリストでガイドなんですね。で、彼と彼の従兄弟のゾクパ・タルチンという若い男の子が一緒に来てくれて、彼らとずーっと旅をしていたんですね。本当にもう珍道中みたいな感じで(笑)くだらないことばっかり話しながら歩いていたんで、だから大変なのは大変だったんですけれども、つらいとかそういう感じではなかったなぁという風に思っていました、はい」
●一緒に行く仲間たちってすごく大事な存在ですね!
「そうですよね。すごく彼らに助けられたし、彼らを通じてその現地の人たちとも交流することができましたから、すごく貴重な体験をさせてもらったなぁという風に思っています」
食べ物のありがたみ

※山本さんは、新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』の中で「自然と人の間にあるものを、いつからか追い求めるようになった」と書かれています。自然と人の間には何があったのでしょうか。
「ザンスカールの人たちっていうのはすごく強大な自然の力を前にして、その中で生まれ育って人生を過ごしてくっていうことをやっているんですけれども、彼らはやっぱり自然に対して畏れ、恐怖のほうじゃなくて、畏れ敬うという意味での畏れを抱いているところはあるかなと思うんですね。自然の力を身をもって知っていながらも、ただ怖れるだけじゃなくって尊敬の念、畏敬の念も抱いているっていう部分もあると思うので、彼らはやっぱりそういう思いを抱いているからこそ、あの自然の中で生きていけるんじゃないかなという風に個人的には感じました」
●旅をしていていちばん大きなハプニングなどはなにかありました?
「本を読んでいただけたら分かると思うんですけど、だいたい毎日何か起こっているんですよ(笑)」
●確かにそうですね(笑)
「だいたい全部ハプニングだったっていう(笑)、まぁ、でも一緒に旅をしてくれたパドマ・ドルジェとゾクパ・タルチンがいてくれたおかげで、僕は本当に安心して、彼らを信頼して旅をすることができていたので、大丈夫だとは思っていました」

●色々な旅の中での出会いっていうのもありましたよね。
「そうですね。僕は現地の言葉が少し喋れるので、それで少し彼らとの交流、コミュニケーションもできたかなという風に思っていますし、ちょっとでもこちらがあっちの言葉を喋るとみんなすごく喜ぶんですよね、お前分かってんだな、みたいな感じで。だからそれはすごく楽しかったです」
●旅の中でいちばんの楽しみっていうと何でしたか?
「やっぱりご飯ですかね(笑)。食事はやっぱり1日の中での楽しみというか、食べないと身体が温まらないっていうのもあるので、ちゃんと食べて身体を温めて、ちゃんと歩けるようにするっていう意味でもやっぱり食べ物はすごく大事です。長い旅だったので、材料も限られているので、同じようなメニューばっかりになってしまうんですけれども、それでも食べられるものがあるだけありがたいっていうのはすごく感じました。
あとザンスカールに入ると行く先々の村でご飯を出していただいたんです。冬なので僅かな蓄えから少しずつ出している簡素な食事なんですけれども、やっぱり本当に美味しかったですし、おもてなしの心を感じたっていう部分もありました」
●現地で親しまれている食っていうと、どんなものなんですか?
「チベット文化圏なのでチベットに由来のある料理、例えばモモってわかりますかね、チベット風の蒸し餃子みたいなものなんですけれども。あとはチベット風煮込み料理のトゥクパっていう、うどんのような料理だったりとか、大麦を炒って粉にして食べるツァンパという食べ物だったりとか。あとはバターとお茶を攪拌して作るバター茶とか、そういったものがあります」
押し寄せる変化の波

※続いて、ザンスカールの旅で出会った人たちの暮らしぶりについて聞いてみました。
「彼らにとっては1年の半分ぐらいの間、あの場所は大自然の力によってロックダウンされてるようなものなんですよね。外部とも簡単に行き来はできないですし。で、短い夏の間に僅かな畑を耕して、食料を蓄えて、家畜の餌だったり、冬の間、燃料にするものだったり、いろんなものを蓄えて、冬の間はお祈りをしたりしながら、ひっそりと過ごすっていうのが彼らのライフスタイルなんですね」
●なかなか外部の方々が行って見ることができないお祭りを実際にご覧になっていかがでした?
「なんだろう・・・お祭りそのものの行事も大切なんですけれども、彼らはそのお祭りを通じて交流というか、近況報告をしあったり、若い人同士の間では携帯のワッツアップのアドレスを交換したりとかして、出会いの場にもなっていたりします。もちろん山奥なんで携帯はなかなか繋がらないんですけど(笑)、街に出た時にはやりとりしようよ、みたいな感じで情報交換をしていたりとか。本当に彼らにとっての生活の一部であるし、祈りの行事でもあるし、すごく大事な行事だったんだなっていうのは、現場に居合わせてやっぱり一際強く感じたところだったですね。
これは10年以上前からそうなんですけれども、僕はこのザンスカールだったり、ラダックだったりという場所をずっと定点観測的に見守り続けていかなきゃな、って思っているところがすごくあります。特にここ10年くらいでザンスカールもすごく大きな変化の波が押し寄せていて、開発も進んでいる部分もあって、もしかするとあと10年くらいしたら、この本に書いた物事が全部失なわれてしまうかもしれないっていう風に思っているんですよね。
現代社会がもたらす変化が全部悪いとは思わないんですけれども、それによってもしかしたら永久に失なわれてしまうかもしれないものもあるので、やっぱり人間はそういうことをもっと気にかけるべきだと思うし、それはザンスカールに限らず、日本でも世界のどこの場所でも言えることなのかなと思っていますね。だからそういうことをなんとかしてずっと伝え続けていきたいなと、個人的には思っています」
自然に対して謙虚に

※最後に、山本さんは秘境と言われる場所を多く旅されていますが、そんな旅からどんなことをいちばん感じるのか、お話しいただきました。
「そうですね、割と本当におっしゃるように秘境とか辺境ばっかり行ってるんですけれども(笑)、人間ってそんな大層な存在ではなくって、自然を構成する要素の中のひとつでしかないんじゃないかなっていう風に思っているところが僕はあるんですね。
でも、人間ってのは結構傲慢なところもあるので、その傲慢さによって、それまで保たれていたバランスみたいなものが、急にガタガタって崩れてしまうことがあると思いますし、世界中にそういう例はもう既にあっちこっちにあると思うんですね。やっぱり人間はもうちょっと自然に対して謙虚であるべきなんじゃないかな、っていうのはすごく思っていますね」
☆過去の山本高樹さんのトークはこちらをご覧下さい。
INFORMATION
山本高樹さん情報
新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』
山本高樹さんの新刊『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』は雷鳥社から絶賛発売中です。
山本さん曰く、この本は一緒に旅をしてくれたザンスカールの友や出会った人々、そして、はるか昔から何世代にもわたって、文化や伝統をつむいできたザンスカールに生きる人々の「冒険の物語」だそうです。ぜひ読んでください。
山本さんの近況を含め、詳しくはオフィシャル・サイトをご覧ください。
●山本高樹さんのHP:http://ymtk.jp/ladakh/
2020/5/2 UP!
<日本三大秘境>
2020年5月2日放送
世界にはまだまだ秘境と呼ばれる人跡未踏の地がありますね。日本にも、簡単には出掛けることのできない、秘境と言ってもいいような場所がけっこうあります。例えば、北海道の知床(しれとこ)とか、東京の小笠原諸島とか、宮崎県の高千穂(たかちほ)、鹿児島県の屋久島(やくしま)などは“秘境感”ありますよね。
ちなみに、「日本三大秘境」と呼ばれている場所をご紹介すると、まずは岐阜県の世界遺産・白川郷(しらかわごう)。
今でこそ車やバスで訪れる人が増え、人気の観光地となりましたが、山間にある日本有数の豪雪地帯ということで、かつては隔絶された集落でした。そのため合掌造りの家屋など、独特な文化や風習が現在まで残ったんですね。
二つめは、徳島県の祖谷(いや)。高知県との県境に近い山間の地で、平家の落人(おちうど)が逃れたという伝説もあります。訪れる機会があったら、ぜひ行きたいのが国指定重要有形民俗文化財にも指定されている「祖谷のかずら橋」。つる性の樹木「シラクチカズラ」で作られた吊り橋で、長さ45メートル、水面からの高さは14メートルあり、スリルと絶景が楽しめます。
そして三つめは、宮崎県の椎葉村(しいばそん)。周囲を険しい山々に囲まれ、こちらも平家の落人伝説が残っています。日本で唯一、焼畑農業を継承している農家があったり、国の重要無形民俗文化財の「椎葉神楽」が伝わるなど、独自の文化が受け継がれています。
なかなか行けないからこそ価値がある秘境、まずはネットで検索して、写真からその雰囲気を感じてみたいと思います。
2020/5/2 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ON MY OWN (WITH MICHAEL MCDONALD) / PATTI LABELLE
M2. WALK ON BY / BOBBY CALDWELL
M3. HEART TO HEART / KENNY LOGGINS
M4. マインドトラベル / bird
M5. Mela! / 緑黄色社会
M6. TELLING THEM / STARSAILOR
M7. HUMAN NATURE / MICHAEL JACKSON
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」