2026/4/26 UP!
◎野口聡一(元JAXAの宇宙飛行士)
『「この本を片手に、宇宙の冒険に旅立とう!」 by 野口聡一』(2026.4.26)
◎岩槻秀明(自然科学系ライター/気象予報士の「わぴちゃん」こと)
『春の植物観察、不思議いっぱい、身近なフィールドワークのすすめ!』(2026.4.19)
◎大橋弘一(野鳥写真家)
『鳥たちの名前を楽しむ! 語源や由来が面白い!」』(2026.4.12)
◎風間深志(冒険ライダー/地球元気村の大村長)
『「ザ・フリントストーン」35年目に突入! 番組のシンボル、風間深志さんが登場!』(2026.4.5)
2026/4/26 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、元JAXAの宇宙飛行士
「野口聡一(のぐち・そういち)」さんです。
野口さんは1965年、神奈川県生まれ。1996年にJAXAの宇宙飛行士に選ばれ、厳しいトレーニングを経て、2005年にNASAのスペースシャトルで初の宇宙飛行。その後、2009年にソユーズ、2020年にスペースXのクルードラゴンに搭乗し、合わせて3回の宇宙飛行に成功!
そして世界初の3種類の方法で地球に帰還した宇宙飛行士として、ギネス世界記録に認定されています。また、船外活動を4回経験。国際宇宙ステーションISSの滞在日数は通算335日となっています。
2022年に宇宙航空研究開発機構JAXAを退職された野口さんは現在、会社の代表、大学の特任教授、財団の理事、そしていろんなメディアへの出演など、多方面で活躍されています。
実は野口さんには、2006年にこの番組にご出演いただいたという、そんなご縁もあって、今回20年ぶりのご出演がかないました。
きょうは野口さんが先頃出された本『宇宙でラーメンは食べられるか〜宇宙暮らしのロマンと現実』を参考に、宇宙を目指すかたに向けて、国際宇宙ステーションISSで培った「宇宙ライフの心得」のほか、「地球」や「月」への特別な思いなどうかがいます。
☆写真協力:野口聡一、幻冬舎

宇宙ライフを安全かつ楽しむための心得
※野口さんが先頃出された本『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』は、宇宙に行って生活するためのガイドブックと言ってもいいのでしょうか?
「そうですね。最近は宇宙のいろいろな本があるんですけれども、実際に自分が行くことになったら、どういう準備をすればいいんだろう。それくらい当事者意識を持って、宇宙を見ていただきたいと・・・。
自分が急に行くことになる。あるいはお子さんが来週から修学旅行で宇宙ステーションなんだけど、何すればいいの? っていう、そういう時に読んでいただきたい本です」
●いいですね! 本の冒頭に、国際宇宙ステーションISSでの宇宙ライフを安全かつ存分に楽しむために必要な心得「宇宙ライフハック十ヶ条」があります。この十ヶ条は私たちの日常に当てはまることもありますよね?
「そうですね。そんなに崇高な思いで書いたわけじゃなく・・・今回、幻冬舎さんにお世話になって出しているんですけど・・・最初に幻冬舎さんと、宇宙の生活のことを書きたいよねって話をした時に、初めて宇宙ステーションに足を踏み入れた・・・無重力なんで足じゃないんですけど、手が先に行くんですけど(苦笑)、その辺の話は置いといて・・・まず言いたいことって何かなと思って、十ヶ条にまとめたのがスタートです。
なんとなく面白かったんで、初めに載せたんですけど、それがキャンプ生活であれ、海外生活であれ、違う環境に行った時に、経験者がこういうことに気をつけたほうがいいよという話っていっぱいあると思うんですよ。それの宇宙版っていうことですね」

(編集部注:本の冒頭にある十ヶ条にどんな項目があるのかというと・・・例えば「ないものを嘆くのではなく、あるもので満足せよ」とか「すべての資源は有限である」。ほかにも「生活環境の整備に全力を尽くせ」とか「あわてるな、明日はまたくる」など、私たちの日常に当てはまることも多いので、本を読んで、参考にされてみてはいかがでしょうか)
宇宙の個室、無重力では1畳が六畳!?
※私たちが経験できないもののひとつに「無重力」があります。野口さんが初めてISSで生活された時は、慣れるまでに時間がかかりましたか?
「おっしゃる通り、地上で経験ができない最大のものが重力がないということで、私自身も初めて宇宙に行くまでは、この地上で似たような経験はいろいろできるんですけど、本当に無重力の状態が続くというのは、宇宙に行った時に初めて経験しました。
慣れるまでに時間はかかりますよ。よく言われるのは『3日・3週・3ヶ月』なんて言い方するんですけど、まず3日ぐらいは無重力で気持ち悪いとかね。いわゆる宇宙酔いみたいな話も含めて、体が強烈に重力がない状況を拒否すると・・・。
要は全部浮いているってことは、血も体の中で浮いているし、胃袋も浮いているしっていうことで、結局わかりやすく言うと、逆立ちした時に頭に血が登る感覚ありますよね。あれがずっと続いていると・・・それは気持ち悪いよねっていうところで・・・。
ただ3日ぐらい経つと、そういう気持ち悪さはなくなって、でもいわゆる食欲とか睡眠サイクルまでなんとなく戻ってくるのが3週間ぐらいで、そういうことも含めて、ずっと住んでいた気分になれるのが3ヶ月っていうような、そういう感じなんですよね。
よく聞かれるのは夜、寝むれるんですか? みたいな質問・・・寝むれます! 思いっきり寝むれます! (重力があるところでは)柔らかい枕がいいとか、マットレスの高さを調整したりするじゃないですか。あれって結局寝ている8時間の間にそのマットに当たっている面が痛くなって、それで寝返りうったりするわけじゃないですか。
そういうのは全く必要ないです! 常に浮いているので・・・。そういう意味で、3週間くらいして無重力に体が慣れると、睡眠自体はすごく快適ですね」

●体が浮く感覚って表現すると、どんな感じなんですか?
「先ほど最初に、無重力に慣れるかどうかっていうので、すべてのものが浮いていると・・・胃袋も浮いているような、血も浮いているみたいな話で、それがまず体の中の変化ですけど・・・。
空間の使い方、部屋の中の使い方・・・(重力がある地球では)普段は自分の足がついている面が床なわけですよね。で、物は床の上に置く。収納家具みたいなやつは別として、物は全部床に置くと・・・で、床をちょっと上げた感じでテーブルみたいな、平面がある。
つまり当たり前ですけど、重力で下に全部行くわけだから、落ち着くところに全部のものを置くわけじゃないですか。天井に何か置くってあり得ないですよね。あるいは横の壁も、置けないことはないけど、いわゆるフックみたいなのに掛けないといけない。
でも宇宙に行くと、上下左右と前後を合わせて6面・・・(ラジオの)スタジオ・ブースにいるとわかるけど、サイコロの中に住んでいるようなわけですよ。
上下左右、前、後ろ、その6面全部を使えるので、通常考えるよりは広いっていうのはそういうことなんです。宇宙の個室はまさに1畳ぐらいで、1畳だけど、上下左右、前後を使うと6畳に近い感覚になるので個室としては十分だよと、そういう話です」
宇宙から戻ってくると、シャワーが不思議!?
※無重力ということはISS内では、どんなに重いものを持っても、重さは感じないんですか?
「それは半分正しくて半分間違いです。どんなものでも浮いているので、そういう意味では動かしやすいんですけど、動かしにくさはあるんですよね。
どういうことかと言うと、空のダンボールとすごく重たい段ボールがあるとして、宇宙ならどちらも持ち上げられるんですけど、持ち上げて振り回す時に、ぴっと止めようと思うと、重たい段ボールだとやっぱり動いていた勢いっていうのはあるので、モワ〜ンと振り回されちゃう感じがあるんですね。
なので、浮いているという意味ではその重さは感じないんですけど、それを動かそうとすると、やっぱり重たいものは重いなというそういう感じはありますね」
●宇宙から帰還されて重力のある生活に戻ると、どんな気持ちになりますか?
「もちろん私も生まれてから、初めて宇宙に行くまでは地上に住んでいるわけで、それが当たり前なんですけど、ただ戻ってくるとすべてのものが一方向に進んでいくっていうのが非常に不思議な感じがします。
いちばんわかりやすいのはシャワーですね。上から水を出して、水は重力に引っ張られて、下の排水溝から出ていく。当たり前のことですけど、これは宇宙ではあり得ないんですね。
出た水は四方八方に飛び散るもので、行ったお水は二度と同じところには戻らない。だから宇宙では水漏れが怖いんですけど、すべての水がスーッと下に降りて、しかも全部、足元にある穴に吸い込まれるのは、ちょっと昔の映画で、『マトリックス』っていう映画がありますけど、あの世界に来ている感じがします」
野口さん流、共同生活の心得
※国際宇宙ステーションISSでは、限られたスペースでの共同生活になりますよね。多国籍のクルーと仲良くやっていくうえで、野口さんが心がけていたことはありますか?

「通常7名のところを交代の時は13名あるいは14名っていう人数になるんですけど、それは何人であっても同じで、宇宙では仲良くしなきゃいけない。ただ、逆説的なんですけど、みんながいい人ではないっていうか・・・。
『だって人間だもん』っていうのを実は(本の冒頭にあるライフハック)十ヶ条の中でも書いているんですけども、何年にも及ぶトレーニングに耐えてきた宇宙飛行士だって、心身の波や不調っていうのは必ずあるので、それはそんなに抑える必要はないと・・・。
もちろん大勢の人が一緒にいる場合には、それぞれ譲り合って、他者に対する敬意の念も含めた譲り合いは大事だし、多様性を凝縮したような社会になるので、国別、それから性別、バックグラウンドは全部違う人が集まる中で、みんなが気持ちよく暮らせるようにはどうすればいいのか、そういう気配りはすごく大事になります。
すごく大事になりますけど、自分が持っている好不調の波とかそういうのは決して否定するものではない。そういうのを持ちつつ、互いに譲り合って受け入れあって生活するというのが、真実かなと思いますね」
船外では、自分が天体になる!?
※野口さんは3回の宇宙飛行で、船外活動を4回経験されています。船外から見る地球は、ISSの中から見る地球とは違うものなんですか?

「宇宙船の中からはもちろんガラス越し・・・ガラスと言っても(船内の)空気と、宇宙の低温から守んないといけないので、すごくガッチリとしたガラスなんですけど・・・そのガラスから見ていると、景色が美しいという感じですね。
それはそれで綺麗なんですけど、宇宙空間に出ると真空の宇宙、冷たい宇宙の中に自分が入っていっているっていうことも含めて、地球が自分と同じ天体というか、逆に言うと自分が地球と同じ天体となって、宇宙を漂っているような気持ちになります。
見え方も当然違うので、手を伸ばすと地球のゴツゴツ感が、山脈の山のゴツゴツ感とか、雲のフワフワ感っていうのが、本当に手で触れるんじゃないかと思うくらいリアルに感じられるんですね」
●ええ~っ! すごいですね! ISSに滞在している時って、宇宙から見下ろすような感じで青い地球をご覧になっていたと思うんですけど、地球に戻ってきて空を見ると、どんな感覚になるんですか?
「宇宙は重力ないので上下がないんですけど、おっしゃる通り見下ろす感じで青い地球を見ていて、雲が地表にくっついているような感じで、雲の存在がよく見えるんですよ。
雲があってそれ越しに下が見えると・・・そういう感じでずっと見ているんですけど、地球に戻ってすぐに、逆に空を見た時に、これまでは地表を覆うように見えていた雲が上に見えると・・・。
つまり感じとしては、スキューバダイビングとかされるとわかると思うんですけど、下から見ると水面がすごく綺麗じゃないですか。だから、今僕たちは空気の海の底にいて、水面が雲になるんだなっていうふうに感じましたね。
だから雲を境に上と下で、地面はある意味、大気圏っていう空気の層のいちばん下なので、それより下には海があるわけですけども・・・だから“空気の海”の下に我々は住んでいて、そこから上を見上げている・・・水面に当たるのが雲であるという感覚になりました」
月のクレーターで温泉!?
※野口さんは、20年前にこの番組にご出演いただいた時に、「きっとまた月面に人が立つ日がやってくると思うので、そのときにそのメンバーになれたらいいなと思います」と語っていらっしゃいました。
その予想通り、月に人類を送るNASA主導のアルテミス計画が進んでいます。どんな思いで見ていらっしゃいますか?
「そうですね・・・ちょうど20年経って、その時代がようやくやってきたと・・・半世紀ぶりにNASAが人類を月の周回軌道に送ったということで、本当に素晴らしい活躍だなと素直に思います。私がその頃思っていたよりも、ちょっと時間がかかっていますけどね(苦笑)。
私は現役を引退していますけれども、日本人が月面に立つ日も近いと思いますし、逆に今、有人宇宙計画には民間の宇宙船も増えてきているので、政府機関のプロの宇宙飛行士じゃなくても月面に行けると・・・。
だから私の今の目標は卒寿90歳になったら、月に行って温泉に入って地球を見たいなと思っていますけどね」
●素敵な夢ですね! 月に行けたら、やはり温泉ですか?
「温泉ですね! 月に水があるっていうのが最新の研究結果で、もちろん科学実験のための水分のことを言っているんですけど、日本人は水があれば、温泉でしょ! どう考えても! それを温めて月のクレーターに温泉をドボドボと惜しげもなく入れて、ちゃんと空が見えるようにドームを作って、月見で一杯、あっ違った、地球見で一杯っていう感じですね」

地球、こんなに美しい天体はほかにはない!
※本の冒頭にある「宇宙ライフハック十ヶ条」の第十条に「宇宙は楽園である」と書かれています。そこにはどんな思いがあるんですか?
「これは本を読んでいただくと、『ライフハック十ヶ条』自体はいかに宇宙が大変か、ISSは別にホテルじゃありませんと、あくまで合宿所みたいなもので、ここにはメイドはいません、掃除をしてくれる人もいませんみたいな、すべて自分たちでやんなきゃいけませんと・・。
(宇宙に行くと)地上にあるものがどんどんなくなると・・・蛇口をひねれば、水が出るとか、ちょっと食べたければ、すぐレストランがあるみたいな、そういうのが全くない世界なんで、極めて不便であると・・・。
そういう前提の上で、これもない、あれもない、これはできないみたいに人生を捉えてしまうとそれは辛いと・・・そういう環境だからこそ、宇宙は楽園である! と思いなさいと・・・いろいろ不便は数えきれないけれど、何と言っても目の前に美しい地球があるじゃない! そこから来たという思いだけで十分でしょう!と・・・いうのが私の意図ですね」
●宇宙が楽園だったら、地球は何ですか?
「地球はまさに、この美しい地球・・・私が少なくとも見回す限りですけど、宇宙に3回行って、船外活動を4回やった私が思うのは、こんなに美しい天体は、ほかにはない。地球以外にはあり得ない。そこに住んでいるあなたたちは、幸せに感じないでどうするの! ということですね。この環境を大事にしていきましょうということです」
●では最後に、宇宙を目指すかたにアドバイスをお願いします。
「私は今回、幻冬舎さんから『宇宙でラーメンを食べられるか』ってことで、本を出させていただきましたけども、思っているより、宇宙は近づいてきていると・・・行くのが大変だよね~とか、なんか難しそうって思われるかたが多いとは思いますけれども、知らないうちに宇宙のほうが、みなさんの日常に近づいてきているんじゃないかなと・・・。
思っているよりも早く、“急に宇宙に行くことになったよ!”と、みなさん自身がそうなるか、あるいはみなさんの子供たちが思うかは別として、急に宇宙に行かなきゃいけないんだけど、何をしたらいいの? って思った時にぜひこの本を手に取って・・・。
もう少し真面目に言うと、今の地球で思っている常識が覆される世界は意外に近くにあるので、宇宙という、そういうところでも恐れずに冒険して欲しいなと、こういう本を片手に冒険に旅立ってほしいな~と思います」

INFORMATION
『宇宙でラーメンは食べられるか 〜宇宙暮らしのロマンと現実』
野口さんの新しい本には、宇宙に行くための準備から、ISS内での過ごし方や個室の利用法、宇宙飛行士の下着やユニフォーム、宇宙食やトイレ、体を清潔にする方法などなど、経験豊富な野口さんだからこその実践的なアドバイスが満載! 宇宙に行くために参考になる冒険手帳です。とても読みやすいのでおすすめですよ。
ところで、宇宙でラーメンが食べられたのか、ぜひ本でお確かめください。
幻冬舎新書の一冊として絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎幻冬舎:https://www.gentosha.jp/store/ebook/detail/12741
野口さんのSNS、そして20年前にこの番組に出演された時のインタビューも番組HPに載っていますので、ぜひチェックしてください。
◎野口聡一さんSNS:https://x.com/Astro_Soichi
◎2006年4月16日、野口さん出演回 :http://www.flintstone.co.jp/20060416.html
2026/4/26 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. GALAXIES / OWL CITY
M2. ROCKET MAN / ELTON JOHN
M3. SPACE COWBOY / JAMIROQUAI
M4. MOONLIGHT SERENADE / CHICAGO
M5. TALKING TO THE MOON / BRUNO MARS
M6. HEAVEN IS A PLACE ON EARTH / BELINDA CARLISLE
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/4/19 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然科学系ライター、そして気象予報士の「わぴちゃん」こと「岩槻秀明(いわつき・ひであき)」さんです。
わぴちゃんには3年前にご出演いただき、その時は気象予報士として、おもに雲のお話をうかがいましたが、今回は自然科学系ライターとして『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』を出されたということで、改めて、番組にお迎えすることになりました。
小さい頃から植物大好きだったわぴちゃんは、観察すればするほど、いろんな発見がある植物に大人になった今でも魅了されていて、独学で植物を学んだそうです。
現在はいろんな人とつながり、情報交換を行ないながら植物の知識をブラッシュアップ! また、千葉県立関宿城博物館の調査協力員として、おもに川の植生などを調べているそうです。
そんなわぴちゃんの新しい本は、タイトルに「図鑑」とついていますが、植物の不思議を、わぴちゃんと相棒のキャラクター「ふわぴかちゃん」との会話形式で解説する手法をとっているので、図鑑とは一味違った内容になっています。ポイントは「観察の眼」。いろんな視点で植物を見てほしいということで、60のテーマが設定されています。
きょうはわぴちゃんに普段、何気なく見ている身近な植物の不思議について、花や葉っぱなど、観察のポイントなども含め、解説していただきます。
☆写真協力:岩槻秀明

タンポポは不思議だらけ
※普段、私たちが植物に目がいくとしたら、やはり花が咲いたときだと思います。4月から5月に身近に咲く花の不思議を教えてください。例えば、タンポポはどうですか?
「タンポポも不思議だらけですよ!」
●不思議だらけ!
「何年か前にタンポポだけで2時間も話したことがあって(笑)、それぐらい(不思議だらけ)」

●本にも“タンポポは謎多き存在”と書かれていましたけれども、謎が多いんですか?
「そうなんです。タンポポって実は何種類あるかわかってないし、何の種類なのかっていうのが正直わかっていないんですよ。
外国から来たタンポポは“セイヨウタンポポ”、日本にあるやつは“ニホンタンポポ”とか言ったりしますけれども、ニホンタンポポのほうは、わりかし研究が進んでいて、一応20種類ぐらいあるんです。
千葉県だと“カントウタンポポ”と“トウカイタンポポ”っていう2種類があるんですけれども、外国から来たセイヨウタンポポのほうは、実はなんていう種類のタンポポが日本に入ってきているのかがわかってないんです。
もしかしたら1種類だけじゃなくて何種類も入ってきていて、それをまとめてセイヨウタンポポって呼んじゃっているかもしれないとか。あともっと言っちゃうと、日本のタンポポと外国から来たタンポポが交雑して、雑種を作っちゃうんですよね。掛け合わさっちゃってね。それもすごくいっぱいあるんですよ。
だから、タンポポがいっぱい生えている所をぐる~っとまわっただけで、丁寧に観察するとタイプの違うやつが10タイプ、20タイプと出てくるんですよね。そういう世界ですね(笑)」
●全部似ているように見えますけれども、それぞれ異なっているんですね。
「よ~く見るとやっぱり違うんですよね」
●では続いて、ツツジはいかがですか?
「ツツジもいいですよね! 4月から5月頃・・・5月がいちばんツツジの季節になるのかな。これもいっぱい種類が多くて、いろんな切り口があるんですけれども、よくあるのはどんな種類があるかっていうのはよくやるんです。

ひとつ、ぜひ花の仕組みにも注目していただければな~と思いまして・・・ツツジの花って花びらは何枚ですかね?」
●えーっと・・・5枚ぐらいですか? そんなイメージありますが、どうでしょう?
「(5枚)ありますよね。でも図鑑でツツジの花びらは5枚って書けないんですよ。5枚じゃないんですよね。5つなっていますけれども、(花びらが)つながっているんですよ」
●なるほど!
「筒みたいにつながっているんで、5枚とは言い切れなくて・・・だから図鑑を見ると花冠が5列とか、そういう表現になっちゃうんですね」
●先が5つに分かれているっていうことですね?
「そういうのを合弁花(ごうべんか)って言いまして、意外に多いんですよ」で、いまのところ、400種くらいだとおっしゃっていました)
ハナミズキ、花はどれ!?
※この季節に見ごろを迎えるハナミズキには、どんな不思議がありますか?
「ハナミズキって花びらというか・・・ハナミズキの花びらって何色だと思いますか?」
●ピンク・・・?
「ピンク?」
●白・・・?
「白いのもありますよね」
●はいはい。
「あれ、花びらじゃないんですよ」
●えっ!? ピンクとか白とかの部分じゃないんですか? 花じゃないんですか?
「そうなんですよ。真ん中をよ~く見ると、ちょぼちょぼしたものがいっぱいあって、そのちょぼちょぼしたもの、ひとつひとつがお花、(白やピンクのは)そのお花を束ねるものなんです。
束ねている部分で葉っぱが変化してできたものなんですよね。苞(ほう)とか総苞(そうほう)とか、そういうふうに言ったりするんですけれども、だからあれは花びらじゃないんですよね」

●へ~〜、あの中央に黄緑色の、てんてんてんってあるものがお花なんですね?
「はい、お花です。ハナミズキは花が黄緑色なんですよ」
●なるほど~。
「外側の総苞がなかったら、多分誰も見向きもしないような花かもしれないんですけど(笑)」
●いや~勘違いしていました!(苦笑)
「面白いですよね。こういうのね」
●面白~い! あと千葉の名産と言えば、落花生です。落花生にも花がありますよね?
「ありますね。見たことがある人、少ないかもしれないんですけれども、最近は家庭菜園用の苗が売られるようになってきて、普通にホームセンターで買えるようになりましたね。
私が子供の頃は落花生、ピーナッツってぜんぜん目にする機会がなかったですけれども・・・。だから今は割と簡単に、4月の終わりから5月ぐらいになるとホームセンターに苗が並び始めるので、育ててみたいと思った人はぜひぜひと思いますね」

●家でも花はちゃんと咲きますかね?
「咲きますよ! 実もなりますよ! 面白いのが、花が咲いたあとに土の中に潜っていくんですよね、あれね」
●花が咲いたあとに潜る!?
「はい! 土の中であのピーナッツができるという・・・」

●ピーナッツは土の中にできるんですよね。
「土の中に! だから豆なのに掘るんですよね」
●そうですよね~。
「はい!」
●潜っているわけですよね。
「自分から潜っていくんですよね。なんで潜っていくのかを考えてみると、不思議ですけれどもね」
●それを実際見ることができるっていうのはいいですね。
「そうですね! その潜っていくところを毎日観察してみるといいですよね」
(編集部注:落花生について、少し補足させていただくと、黄色の花が咲いたあとに、その根本から茎のようなものが伸びて、地中に潜り込み、実がなります)
雨の日にタネを飛ばす!?
※雨の時だからこそ見ることができる植物の不思議な姿はありますか?
「やっぱりいろいろありまして・・・まずひとつは、雨の日に植物の花は開いているのか、閉じているのかって観察してみるといいかもしれないですね。閉じる花も多いんですけど、閉じない花も結構あったりしてね・・・。結構かわいそうなことになっていたりするんですけれども、そういうのもあったりとか・・・。
それから雨に濡れると、ちょっと表情が変わって見えるんですよね。なので、それを見てみるのもよくて、特に白い花は濡れると、なんかちょっと透き通るような感じになるものもあったりするんですよ」
●へえ~〜。
「そういうのを見てみたりするといいですよね」
●表情が変わるんですね。
「あと花だけじゃなくて、ほかのパーツ・・・例えば、さっきのタンポポだと、綿毛は晴れていると開いていてふわふわで、風が吹くと飛んでいくんですけど、雨の日は綿毛は閉じているんですよね。そういうのを見てみると面白かったり・・・。
それから逆に雨でパシンとはじけて飛んでいくタイプのタネもあったりします。本にも書いた“ユウゲショウ”っていう植物は普段、実が閉じているんですけれども、雨が降った時だけパカーンと開いて、そこに雨が当たると雫でピシャーッと跳ねるので、その勢いでタネを飛ばしていくという、そういうのもあったりしますね」
●わぴちゃんがこれまでで、いちばん不思議だな〜と思った植物って何ですか?
「これ、いっぱいありまして、どれにしようかすごく悩んだんですけれども・・・植物の種類っていろいろありますよね。
種類によって似ても似つかないような姿なのに、実はこれとこれが同じ種類だったりとかってすることがあって、一方で、これ何が違うんだろうっていうような、私が全然見分けがつかないようなやつで、全く違う種類だったりとかね。種類によってたたずまいが全然違うもんだから、不思議だなぁと思いますよね」
●例えば、どんなものがありますか?
「例えばなんですけれども、まずさっきのタンポポ、日本だけで20種類あるって言いましたけれども、正直そっくりなんですよ」
●そうですよね~。
「でも全然違う種類なんですよね。ほかにもいわゆる雑草って呼ばれる類のものに多いんですけど、例えば“ペンペン草”がいいかな・・・“春の七草”でもおなじみですね。
あれって葉っぱの形がすごく変化するんですよ。ギザギザギザって鳥の羽のように切れ込むものから、全く切れ込まなくて、まんまるに近いものまで、“これとこれ同じ葉っぱなんだよ~”“ええっ、マジで?”みたいな・・・そんな感じになのが、“ナズナ”だったりするっていうね」
植物の世界が広がるキーワード!?

※新しい本には植物の専門用語も解説されています。その中からこの専門用語を知っていると、植物の見方が変わるとか、植物の世界が違って見えるとか、そんな用語があったら、教えてください。
「実はこれ、敢えて専門用語って呼ばれるものをたくさん入れたんですよ。今ってあとで調べようと思えば、ネットとかいろいろ使えるので、それに役立つキーワード・・・専門用語がキーワードとして使えるので、みなさんがフィールドに出て、そのキーワードをもとに自分なりに話を膨らませてほしいなっていう意味で、敢えていろいろ専門用語的なものをたくさん盛り込んだんですね。
専門用語の数を増やせば増やすほど、“あっ、これにはこういう名前がついているんだな!”とか、さらにこの名前で何か関連する情報があるかなっていう感じで、世界を広げられるので・・・。
やっぱり専門用語的なのを知って覚えていくと、話が広がりやすくなるのと、あと図鑑に登場する言葉、専門用語・・・花の形とか葉っぱの形、いろんな植物の葉っぱの形があって、言葉で表すんですけれども、ちゃんとキーワードがあるんですよ。
例えば、切れ込みかた・・・浅く切れ込むのは、浅く裂けると書いて『浅裂(せんれつ)』とか、ちょっと深く切れ込むと、真ん中くらいまで切れ込むので『中裂(ちゅうれつ)』、深く切れ込むのは深く裂けるで『深裂(しんれつ)』、付け根まで全部裂けると『全裂(ぜんれつ)』とかって呼び方が変わったりするんですね。
そういうキーワードを知っていると、図鑑の記述ってなんかおまじないみたいな難しい言葉が並んでいるように見えるけれども、実はその葉っぱの形を言葉で表しているのがわかるようになるので、そういう言葉も覚えておくと、いざという時いいかも知れないですね」
フィールドワークが育む「観察の眼」
※新しい本の中で「フィールドワークを大切にしている」と書かれていました。やはり、フィールドに出てこそ、わかることがあるということですか?
「いっぱいあるんですよ。むしろ図鑑に書いてあることは、本当にいろんな人たちが集めている情報の、わかっているところをちょっと切り抜いていて、しかも紙面の関係があるので、さらに情報を省いているだけなので、現物を見て得られる情報って全然違うものがありまして、図鑑に書いてないようなことがいっぱいあったりします。
あとは、図鑑だと言葉と写真なので、目で入ってくる情報なんですけれども、実物と対面した時に“あっ、なんか触ってときにベタベタする”とか、“不思議な匂いがするな~”とか、“写真で見ている以上にちっちゃいんだな~”とか・・・。
私が出前授業とかで(フィールドに)行ったときに、よくあるパターンが“えっ、これ、こんなにちっちゃかったのね!”っていうのがありますね。やっぱり図鑑だと、わかりやすく見せるために写真を拡大してパーンと載せますのでね」

●やっぱり観察の眼はフィールドワークが育むと言っていいっていう感じですね。
「あっ、いいと思います! 実物、現物を見たものがまさにそれが答え、そこで自分で感じたものが答えですので、やっぱり自分の目で見て、自分で感じ取るのがいいかもしれないですね」
●では改めて著者として、新しい本『かんさつの眼をつくる 身近な植物ふしぎ発見図鑑』をどんなふうに活用してくれたら嬉しいですか?
「ありがとうございます。とりあえず60のテーマで観察の眼っていうのを載せてみました。“観察の眼”ってなあに? っていうと、植物を見る時の、こういう視点で見てみると面白いっていう、その“視点”なんですね。
視点はとりあえず60載せたけれども、載せきれなかったものがいっぱいあるので、これをもとに自分なりの新たな観察の眼をどんどん作っていっていただければな、書き足していただければなというのと・・・
先ほどちょっとお話しした専門用語ですね。キーワードをたくさん盛り込みましたので、キーワードをもとに調べてみたりとかして、自分なりに幅を広げていっていただくと、新しい発見があるのかなというところですかね」
●では最後に、この本を通していちばん伝えたいことはどんなことでしょうか?
「今はAIとか、それからネットが普及して、それこそパソコンとかスマホとかチャチャっとやると、いろんな情報が出てきて写真も出てきてね。それだけで知った気になっちゃうんですけれども、それってあくまで自分で見たものじゃなくて、既にあるものの寄せ集めに過ぎませんので・・・
ぜひ自分の目で見て、自分の足で稼いで、自分の肌で感じて、自分なりの気付きを、この時代だからこそ、得ていただけると嬉しいなというところを伝えたいなと思って、(本の)はじめにと終わりにもその旨を書いてみたりしました」
(編集部注:フィールドワークが大切だというお話がありましたが、身近な場所でのフィールドワークでも注意していただきたいことがあります。
服装は長袖・長ズボンが基本。これからの季節は帽子もお忘れなく。靴は履き慣れたものがおすすめです。虫刺されなどからお肌を守るために、首元にタオルなどを巻くのもいいですね。わぴちゃんはスカーフを愛用しているそうですよ。
水辺などは特に足元に注意。道端での観察は車にも注意しましょう。里山などに行くと、危険な生き物もいますので、事前に調べてから出かけるほうがいいかもしれません)
INFORMATION
フィールドワークに出かけて、植物を観察する際は、わぴちゃんの新しい本を持っていきませんか。オールカラーで300点以上の写真を掲載。知っておきたい植物の用語や、観察のポイントをわかりやすく解説してありますよ。
時事通信出版局から絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎時事通信出版局:https://bookpub.jiji.com/book/b674423.html
わぴちゃんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。
2026/4/19 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. マリーゴールド / あいみょん
M2. Azalea / 米津玄師
M3. ハナミズキ / 一青窈
M4. ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ / 松任谷由実
M5. 紫陽花のうた / 浜田省吾
M6. 心の花を咲かせよう / いきものがかり
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/4/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、野鳥写真家の「大橋弘一(おおはし・こういち)」さんです。
野鳥の撮影キャリア37年の大橋さんは、図鑑や書籍、新聞や雑誌、テレビやラジオなど、いろいろなメディアで日本の野鳥の魅力を伝える活動を続けていらっしゃいます。
大橋さんは、野鳥の生態を写真で伝えるだけでなく、鳥の名前の語源や由来を丹念に調べ、解説することを専門とされている唯一無二の野鳥写真家なんです。
そんな大橋さんが『鳥たちの素敵な名前の物語』という本を出されたということで、番組にお迎えすることになりました。
きょうは、「鳥の名前」のスペシャリスト大橋さんに古い文献や書物から導き出した、スズメやウグイス、ツバメやカモメなど、その名前の知られざる秘密についてうかがいます。
☆写真協力:大橋弘一

日本の野鳥を撮る
※現在、札幌にお住まいの大橋さんは早稲田大学を卒業後、21年間の会社員生活を経て、野鳥写真家に転身されています。
会社員時代、この職種では自分の能力を活かせないと迷いながら会社員を続けていたという大橋さんなんですが・・・ある時、転勤になった北海道で「ノビタキ」という野鳥に出会い、たまたま持っていたカメラで写真を撮ったそうです。
その瞬間に、自分には鳥があった!と気づき、鳥の写真を仕事にしようと決断!
実は大橋さんは、子供の頃から野鳥の図鑑を見るのが大好きで、中学生の頃は親のカメラを借りて、鉄道の写真をよく撮っていたそうです。
「ノビタキ」に出会ったことで、「野鳥」と「カメラ」と「写真」が一瞬にして結びついたんでしょうね。言い方を変えると、野鳥写真家になるべくしてなった、
そういう運命だったということでしょうか。

●野鳥写真家として掲げているテーマとしては、どんなことが挙げられますか?
「日本の野鳥なんですよ、最初から日本の野鳥。私は何をするにも、まず自分が日本人だっていう意識がどこかにあって、やっぱり日本のものを突き詰めたいっていう思いが一方ではあるんですよね。野鳥に関してもそういう感じなんです。
ただし、日本の野鳥をテーマにしている野鳥写真家はたくさんいるわけです。だいたい日本人だったら、まず身近なところから、日本の野鳥から撮り始めるのが普通ですから・・・だから誰でもやっているテーマっていうことになってしまうんですけど、それを突き詰めて考えて、ただ日本の野鳥とは言わずに、これをどういうふうにみなさんに広く伝えられるかっていうことを考えながら、そういうテーマを持ってやっていると言ったらいいんでしょうかね」
●野鳥を通して、日本の姿を伝えていらっしゃるっていうことですね。
「結果的にそういう活動に今なっていますね」
●撮影も日本国内にこだわっていらっしゃるんですね。
「こだわっているというか日本国内でしか撮りません。というのは、さっき言ったように私はやっぱり自分が日本人であるということは、どこかに必ず持っている意識なので・・・。
ただし、鳥は渡りをしますので、夏に日本で見られる鳥が、冬には東南アジアに行っていたりということもあるわけですよ。それでもし、夏の間に日本で撮影している鳥の、冬の生態も写真として必要だということが起こった場合、その時は私は越冬地である東南アジアにも、その鳥の取材のために喜んで飛んでいくつもりはあります」
●季節によって撮影のフィールドも変わると思うんですけれども、これから4月後半から5月、6月にかけてですと、どんな野鳥を求めて、どちらに出かけますか?
「そうですね・・・その年その年によって違うんですけど、4月から5月、6月って1年の中でもいちばんいい季節なんですよね。鳥たちの活発な繁殖の活動が見られる面白い時期になります。
それから南のほうから日本に渡ってくる夏鳥と言われるものがたくさんやってきて、こういう鳥たちは姿も声も美しいってことになりますので、そういうものをメインに撮る季節になるかなと思うんですね。

で、今私がいる北海道で言えば、例えば森・・・いろんなところにいろんな森があります。どこの森へ出かけるか、その日の気分次第ってところがありますけど・・・。
それからもうひとつ、同じような渡り鳥で干潟に現れる鳥がいるんですね。シギ類、チドリ類って言いますけど、こういうものを探してシギ・チドリ類のいる場所へ行く、干潟や海岸へ行くということもあります。
千葉県で船橋に三番瀬っていうところがありますけれども、ここなんか、そういう意味でとってもいいフィールドなんですよね」
(編集部注:大橋さんがこれまでに撮った野鳥は400種ほどだそうです。日本で記録されている野鳥はおよそ600種。大橋さんとしては、図鑑を作りたいという目標があるので、全部を網羅したい気持ちはあるそうですが、「日本らしい鳥」にこだわっているので、いまのところ、400種くらいだとおっしゃっていました)
面白い!鳥の名前の語源や由来
※ここからは、先頃出された本『鳥たちの素敵な名前の物語』を参考にお話をうかがっていきます。

この本はタイトルにあるように「鳥たちの名前」にまつわる「物語」を記した本ですが、鳥の和名に興味を抱くようになったのは、いつ頃からですか。なにかきっかけがあったんでしょうか?
「これはちょっときっかけがありまして、2003年にほかの出版社から出した『鳥の名前』っていう本があったんですよ。で、この本を作らないかという話をいただいた時に、その時はまだ鳥の名前に対する興味はあまりなかったんですね。でも鳥の名前を詳しく語る本ということだったんですね。
それを執筆するためには、正しいことを書かなきゃいけないっていう責任がありますので、図書館にずいぶん通いましたし、ネットで調べるってことももちろんやりますけど、ずいぶんその本を作るためにいろんな鳥の名前の語源や由来、これを調べたんですね。
で、その2003年の本がひとつのきっかけにはなったと思っているんですけど、実はそういうことをやろうと思うひとつの理由として、野鳥写真家として活動し始めて、どういう意識を持っていたかということもお伝えしたいんですね。
写真家は自分が撮る被写体、つまり私のような野鳥写真家の場合は、野鳥に関してもプロフェッショナルでありたいと、専門家じゃなきゃいけないっていう意識がもともと強かったんですよね。
野鳥をとにかく深く知ってこそ、いい写真も撮れるっていうイメージと言ったらいいんでしょうかね。そういう気持ちを強く持っていたので、写真の専門家であると同時に鳥の専門家でなければならないという思いがあって・・・。
で、そこへ持ってきて、『鳥の名前』という本を書かないかと言われて調べていたら、これが面白いんですね、鳥の名前の語源や由来が・・・。
それでいわゆるハマってしまったというか・・・。 毎日のように鳥の名前の語源や由来を調べる生活を続けていましたので、その本が出た後も何か鳥のことを考えるときは、必ず語源や由来まで調べないと気が済まないような、そういう生活習慣ができちゃったんですよ。それでその本が出た後もずーっと調べ続けているということなんですね」
●そうだったんですね。この本には鳥の名前にまつわる59の物語が掲載されています。ページをめくるたびに野鳥の美しい写真に釘付けになるんですけれども、日本の歴史や文化に由来する奥深い話にも圧倒されました。
「ありがとうございます」
●その一方でわからないことも多いということで、古い文献とか古文書を深掘りしながら、まるで謎解きの冒険に出ているかのような感覚になりますよね。
「そうですよね。そう言っていただけると嬉しいなと、著者としてはそう思いますね。でも知っている人でも調べていくと、どんどん謎が出てくるんですよ。新しい謎をまた調べるというすごく奥深い世界があるので ・・・。
鳥に限らずですけど、名前の語源を考える時に、どうしても古い昔の、歴史的なと言ってもいいかもしれませんが、古典文献とか、古い昔の辞書とか、そういったものにも、どんなふうに書かれているかっていうことを、どうしても調べる必要があるんですよね。
中には例えば、清少納言の『枕草子』とか、あるいは有名なところでは『万葉集』とか、みなさん名前を知っているような古い文学作品がありますけど、そういうものもありますし、全然聞いたこともないなって思うようなものもたくさんある・・・そういうものを調べていく作業になります。そうすると今言ったような奥深い世界が待っている、そんなことなんですよね」
(編集部注:大橋さんが鳥の名前の由来や語源を調べる際によりどころにしている本を教えてくださいました。その本とは1993年に出版された『図説日本鳥名由来辞典』。700ページほどもある分厚い辞典で、図書館などに置いてあることが多いとのこと。
この辞典には、ある鳥の名前の語源は、この文献にこういうふうに書かれていると簡単に記されているそうで、大橋さんはそれを参考に古い文献などを調べるか、ネットで国会図書館や博物館のアーカイヴにアプローチするか、または『枕草子』や『源氏物語』など有名な本は現代語訳を読んで調べるそうです)
『シュンシュンメ』はスズメ
※大橋さんの本に載っている「鳥の名前の物語」から、一般のかたがすぐ思い浮かぶ野鳥に絞って、お話をうかがいたいと思います。
まずは「スズメ」。よく知られている鳥ですが、古い文献にもよく出てくるんですか?

「そうですね。やっぱり昔から人間の身近にいた鳥のようなんですよね。例えば、古いところでは『古事記』、それから『日本書紀』、そういったものにも出てきます。
さっきから名前を出している『枕草子』には・・・『枕草子』って清少納言が好きなものを結構並べて書いていたりするんですよね。”春はあけぼの”で始まる、みなさんよくご存知だと思うんですけど、その中に”心ときめきするもの”っていう表現があるんですね。
心がときめくものっていう意味だと思うんですけど、心ときめきするものの例のひとつとして、“スズメの子飼い”っていうのが出てくるんですよ。これはスズメのヒナを飼育して育てるっていうことですね。だから平安時代、『枕草子』の時代にスズメのヒナを育てることを、みなさん楽しんでいたんじゃないかなっていうこともわかるわけですね。
それから、『源氏物語』にもスズメの子飼いのことが出てきます。逆に意外なのは万葉集には、スズメを読んだ歌がひとつもないんですよ。これは私自身、意外でしたね。これだけ昔から親しまれていたのに、和歌の題材とは見なされていなかったということなんでしょうね、きっとね」
●スズメの名前の由来って何なんですか?
「スズメっていう言葉で、みなさん現代人は呼ぶわけですけど、スズメのスズの部分は鳴き声だと思われるんですね。それは今スズメの鳴き声って、だいたい”チュンチュン”って思うかたが多いんですけど、これを昔の人は”シュンシュン”って聴いていたらしいんですね。
シュンシュンに最後、“メ”をつける『シュンシュンメ』という言葉だったようなんです、昔は。メという言葉は小さい鳥を意味する接尾語なんです、古い接尾語。だがら、シュンシュンメって言うとシュンシュンと鳴くメ、鳥っていう意味になる。シュンシュンメって言っていたのがシュジュメ、シュズメ、スズメに変化して落ち着いたと、そういうふうに想像されるわけです」
(編集部注:鳥の名前は地域によって呼び方が変わることも多く、例えば、スズメは千葉県や富山県では「おはぐろ」、千葉県でも、ある地域では「いじくろ」と呼ばれることもあるとか。大橋さんがおっしゃるには「おはぐろ」「いじくろ」の「くろ」はスズメのほほに黒い大きな斑点があるので、そのことではないか、ということでした)
名前の由来は「ウーーグイス」!?
●では続いてウグイスです。本にこの和名は鳴き声を表した呼び名と書いてありましたけれども、鳴き声って“ホーホケキョ”ですよね?
「はい、これも現代人はみなさん“ホーホケキョ”だと思っているんですけど、それは結構新しい時代になってからのことなんですよ、そういうふうに聴こえるのは。実は例えば、平安時代とか室町時代、鎌倉時代、このあたりは“ウーーグイス”と聴こえていたんですよ(笑)どうも・・・」
●え~~っ!?
「“ウーーグイス”、そのものです、名前が。“ス”っていうのは、実はやっぱり鳥を示す接尾語だっていう説もあって、若干大きめの鳥は・・・先ほどスズメの“メ”は小さい鳥って言いましたけど、ウグイスの“ス”は、ホトトギスなんかもそうなんですけど、大きめの鳥の場合は“ス”って使っていたのかなって、そういう説もあるんですね。
一方では“ウグイス”っていう言葉が全部鳴き声だと、”ウーーグイス“だったと、そういう説が定説になっていますね。だから鳴き声をそのまま表したのが、ウグイスってことになるんです」
●そうだったんですね。
「じゃあなぜ、“ホーホケキョ”だと思ったのか・・・?」
●確かにそうですね。
「思いますよね。これは戦国時代ぐらいに、臨済宗の有名な御坊さんが、どうも“ホケキョウ(法華経)って聴こえるぞ”って言い出したんですよ。“ホーホケキョ”、我々現代人が言う“ホーホケキョ、法華経”って言うことですよね。
そういうこと言い出したのは、法華経って仏教のお経ですから、やっぱり仏教を仕事にしていらっしゃるかた、お坊さんはいつもそういうことを考えていると、そう聴こえるんですよね、きっとね。
でもそう言われたら、誰しもが“ああ、なるほどな、法華経、ホーホケキョって言っているよな”って思う・・・こういう鳴き声を人間の言葉に置き換えることを、“聞きなし”って言うんですけど、とってもうまい聞きなしなので、これが定着した。
ですから、だいたい戦国時代にそういう話が出てきて、江戸時代ぐらいからはみんなウグイスの鳴き声は“ホーホケキョ”って言うようになったと、いろんな文献を見てみるとそういう歴史的なこともわかってきますね」
「籠(かご)の目」がカモメの由来!?
※この時期に日本に渡ってくる「ツバメ」の名前の由来は、どんなことがあるんでしょうか?
「これも鳴き声由来なんです。やっぱり鳴き声が語源になっている鳥って多いんですよね。ツバメの場合は“チュバチュバ”って鳴く“メ”、さっきのスズメの“メ”ですよ。“チュバチュバ”で“チュバメ”、これが縮まってツバメになったと・・・ほかの説もあるんですけど、これが定説になっていますね」
●カモメはどうですか?
「カモメは、これは鳴き声語源ではないんです。カモメは結構難しい難解な鳥の名前だって言われています。
例えば、カモに似ていて小さいから、スズメのメ、これをカモに似ている小さいカモのメで“カモメ“と、メをつけているんじゃないかって説もあるんです。
これは江戸時代の新井白石っていうかたが提唱した語源説なんですけど、これはどうもちょっと腑に落ちないというか、カモよりも大きいくらいの大型のカモメもいるので、これも違うだろうって思っちゃうわけですね。

ほかにもいろいろな説があって、今ほぼそうだろうなって思われている説は、カモメは白っぽかったり、そこに翼の色がグレーだったりっていう姿を思い浮かべると思うんですけど、幼鳥のうちは、若いうちは茶色っぽいんですよ、全体が。
茶色っぽくて細かい模様が全体に入っていて、まるでそれが籠(かご)の目のように見える、細かい茶色い模様がたくさんあるので、籠の目に見える“籠目”、カゴメって言っていたものが、だんだん言葉が変化して“カモメ”になったんじゃないかと・・・」
●なるほど。
「これが定説と思っていい考え方なんですね」
美しい名前の付け方、「ヤブサメ」!
※鳥の名前を紐解いていく中で、特に印象に残っている由来や説があったら教えてください。
「“ヤブサメ”ですね。ヤブサメって言うと、馬に乗った武士の姿をしたかたが弓矢で的を射る、そういう伝統行事がありますよね。これを思い浮かべるかたが多いんですけど、“ヤブサメ”っていう名前の鳥の、ヤブサメの意味はそうではなくて、“藪(やぶ)”っていう字に“雨”、“藪雨”と書いて“ヤブサメ”って読むんです。
どういうことかと言うと、これもやっぱり鳴き声に関連するんですけど、ヤブサメという鳥の鳴き声は、非常に高い声で“シシーーシーシーシシーー”、あまり似てないと思いますけど・・・。すごく高い声で“シーシシーー”ってこんな感じなんですね。
これはまるであえて声と言うなら、虫の音みたいに聴こえるし、鳥の声とはとっても思えない、音ですよね・・・声なんですけど、この音を笹藪(ささやぶ)の葉っぱに当たる雨の音にたとえたんですよ。笹薮に降る雨、それで藪の雨だから“ヤブサメ”っていう名前がつけられたっていうことがわかっているんですね。定説として・・・。
私この名付け方に、これを知った時に感動しました。なんて美しい名前の付け方たなんだろうと・・・。日本語の古い時代の伝統的な表現なのかなとも思いましたし、すごく詩的ないい名前の付け方だなと思ったんですよね。
これがいちばん今でも名前としては好きな鳥なんですけど、でも調べると実は意外と、ヤブサメって呼ばれるようになったのは新しい時代のことなので、そんなに古い昔の言葉ではないみたいなんですけどね」
知るは楽しい
※鳥の和名を探究することは、私たち日本人の歴史や文化を知るきっかけにもなりますよね?
「さっきも言ったように、古い古典文学作品とか歴史上の書物にどうしてもあたる必要があるので調べる。そういう物を調べないとわからないという世界なので、調べていくと鳥の名前からだんだん離れてきて、“あっ日本ではそういう文化が昔あったんだな”っていうことにも気がつくんですね。
例えば、スズメの子飼いの話をさっきしましたけど、平安時代、枕草子の時代に、そういうことが行なわれていたとか・・・現代ではそんなことはやれませんからね。スズメを飼育するなんていうことは、禁止されていますから、できませんので・・・。
それから鳥が、どういうふうに利用されていたかっていうことも、古い文献を見るといろいろわかってくるわけなんですよね、そういうことが面白い。
結局それって例えば、学生時代に習う歴史とか古典の授業から離れた、歴史でも教えてくれない、“昔はスズメのヒナを飼っていたんですよ”なんてことは、歴史の教科書に書いていませんので、そういったこともわかってくるわけですよね。
鳥の利用っていうと例えば、食べることがよく行なわれていました。現代では基本的にそういうことは行なわれません。だから大きなギャップがあるわけですよね。
そうすると昔から日本人が鳥とどう接してきたのかっていうことを知ることにもなって、それが日本の文化にもつながるし、日本の歴史を別の意味で知ることにもなる。これがとっても面白いことなんですよね。私自身がとても面白い。この面白さを広く伝えたいっていうのが、今回のこの本っていうことになるんですよね」
●鳥の名前を調べるようになって、写真の撮り方が変わったりしましたか?
「そうですね。撮り方というよりも(鳥の)見方が変わりましたよね。昔の人がこの鳥と、こういうふうに接していたんだってことを知ると、そのことを表現するような形で写真に撮りたいなって思うようになる。そういう鳥を見る目が変わったというか、そんな感じが自分ではしています」
●では改めてになりますが、著者として『鳥たちの素敵な名前の物語』を通して、いちばん伝えたいことはどんなことでしょうか?
「それは、私がこの本を書くためにいろいろ調べてきました。古い文献にもあたりました。それで先ほどもちょっと言いましたけど、とにかくそうやって調べて新しいことを知るのは、とっても楽しいんですね。鳥と関連づけて新しいことを知ることの楽しみ。まさに“知るは楽しい”っていうことなんです。
こういったことを、この本を読んで実感してもらえると嬉しいし、そこからさらに自分も調べてみたいなって思うようなかたが、ひとりでもふたりでも出てくれれば、とっても嬉しいなと・・・。それからそういったものを通して広く、日本の野鳥に親しんでくれるかたが増えればいいなと、そんな願いを持っていますね」
INFORMATION
大橋さんの新しい本をぜひ読んでください。日本の鳥59 種の名前の、語源や由来が書かれています。一級品の素晴らしい写真を見るだけでもわくわくしますが、「読み物」としての奥深さにどんどん引き込まれると思います。この本を読んで、鳥の名前を探究する世界にどっぷりハマってみませんか。
文一総合出版から絶賛発売中! 詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎文一総合出版:
https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-7518-3/Default.aspx
大橋さんは「ウェルカム北海道 野鳥倶楽部」を主宰されています。この倶楽部は、バードウォッチングなどの野鳥の趣味を、総合的に楽しむためのもので、会員になると、大橋さんから北海道のどこに行けば、どんな鳥が見られるかなどの情報をもらえたり、レクチャーがあったりと、いろんなサービスを受けられるそうです。入会方法など詳しくは、大橋さんのオフィシャルサイトを見てください。
◎オフィシャルサイト:https://ohashi.naturally.jpn.com
2026/4/12 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. ヘロン / 山下達郎
M2. BIRDS / PAUL WELLER
M3. TWO BIRDS / REGINA SPEKTOR
M4. SPARROW / MARVIN GAYE
M5. ツバメ feat ミドリーズ / YOASOBI
M6. FREE AS A BIRD / THE BEATLES
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/4/5 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、冒険ライダーで地球元気村の大村長「風間深志」さんです。
風間さんは1982年に日本人として初めて「パリ・ダカールラリー」に参戦。その後、バイクによる史上初の北極点と南極点に到達するなど、前人未到の数々の大冒険を成し遂げたレジェンドです。
そして1988年に宇崎竜童さんほか、仲間と共に「地球元気村」を設立。現在はNPO法人として「人と自然が調和している社会」の実現を目指して活動されています。
きょうは、そんな風間さんが代表を務める「日本ライダーズフォーラム」の一大イベント「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」や「地球元気村」の活動など、うかがいます。
☆写真協力:地球元気村、日本ライダーズフォーラム

SSTR、明日に向かって大地をかける
●今週のゲストは、冒険ライダーそして地球元気村の大村長、風間深志さんです。去年は私が産休のため、お会いできなかったんですけれども、お久しぶりです!
「どうもどうも、こんばんは!」
●この番組「ザ・フリントストーン」は、この4月から35年目に入りました。
「もうそんなになるんですか!? 長いですね、35年!」
●風間さんは記念すべき1回目のゲストでしたので・・・
「いや〜(笑)、ついこの間のようですね!」
「そうなんだよね」
●今回もよろしくお願いいたします。
「はい、どうも! 年1回じゃ忘れちゃうので、もう少し出して欲しいな~(笑)」
●4月の第1週は風間さんと決まっているので、今回もお願いします!
「そうだね。年度初めね」

●まずは、風間さんが総合プロデューサーを務めるオートバイのツーリングイベント「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」についてうかがいたいんですけれども、今年も5月に開催されることになっています。
「はい、14回目を迎えますね。あっという間だ、これも!」
●このイベントの主催は一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」なんですよね?
「そうですね」
●風間さんが立ち上げた・・・?
「立ち上げた!」
●改めてこのSSTRって、どんなイベントなのか教えていただきたいです。
「これはツーリングですね。まずジャンル的に言うと、ちょっと冒険のスパイスを散りばめて、“あなたも冒険の旅に出よう!”みたいな感じでね。
スタートは東の海、昇る朝日を見てキックオフですね。そこをスタートにして日本列島を、縦に横にどうやってもいいから、コースを自分でクリエイトして、あそこの観光地に行こうとか、あの人に会いながら行こうとか、橋をいくつか渡って行こうとか、いろいろ考えながら山を越えて峠を越えて・・・。
それで日本海の能登半島・・・スタートはどこでも自由だけど、ゴールは千里浜っていうところに設けてあるゴールゲート、そこに行ってください。日没までサンセットまでに・・・それで『サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー』って呼んでいますね」
●速さを競うようなラリーではないんですね?
「もちろん! 自分で時間内、日の出から日没までの間に、自分の考えたコースと自分で設定をしたものをクリアしてゴールする。5月だとデイライトがだいたい13時間近くあるんですよね。その間に自分の決めたコースに挑戦して、それで時間内だったら完走、時間外だったらリタイアっちゅうわけですね。
その間に各都府県にある道の駅とかで、最低でもひとつふたつクリアしてこなければダメだよとかね。そういうふうに少しお休みいただきつつ、ゲームを楽しんでくださいっていう、バイクのツーリングラリーです」
●今年もテーマはあるんですか?
「今年のテーマは・・・何だっけ? 毎年なんか決めて、今年は・・・え~となんだっけ?」
●『明日に向かって・・・大地をかける。』じゃないですか?
「ははは! 知っているじゃないですか! ちゃんと調べてくれたんですね。“明日に向かって撃て”じゃなくて、“明日に向かってかけろ”。
能登の復興はまだまだ続いているんですね。そういうわけで1日も早い復興を願いながら、かつ“明日に向かっていこうよ!”っていう、一緒に参加者と共に能登の復興を願って、やっていくイベントになっています」
(編集部注:今年5月に開催される「SSTR=サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」。年々参加者が増え、今年はなんと! 14,000人あまりが参加することになっています。残念ながら、今年の応募は締め切られていますので、参加したいかたは来年、ぜひチャレンジしてみてください)
地域のために、にっぽん応援ツーリング!
●日本ライダーズフォーラムのイベントとしては、今月4月から「にっぽん応援ツーリング」も開催されますね。
「そうですね。今月29日に海の森公園、オリンピックをやったところに集まって、これから半年間ですけれども、ツーリングしがてら地域の応援にまわって、例えば災害地に行ってお手伝いするとか、いろいろな地域のためになるような走りをしようよ! というわけですね。これも11回目になりますけれど、『最優秀ライダー』っていうのを決めて毎年やっているんですよ。それを表彰しています」
●誰でも参加できるんですか?
「誰でも! 誰でも参加して、みんなで共有する一定のルールがあるからね。自分の旅をクリアしながら、地域の人たちのためにもなるというね。
僕は二輪ライダーで、二輪(ライダー)の地位向上と言うと大げさだけれど、二輪ライダーが地域とか人の役に立つような走りをすることは、とても大事なことだと思って、最近そういうことも一生懸命やっています」
●改めて、どんな楽しみ方があるんですか?
「楽しみ方? あるんですよ! 僕らはその楽しみ方の指標として・・・僕は冒険家だから、日本には最南端、最西端、最東端とかそういうのがあるから、4極巡りとか・・・本州、中国、四国、九州の4ブロックの中で、4極があるから16極巡りとかね。そういうことをいくつか示唆しながら、僕らは400ヵ所も500ヵ所もポイントを作るから、そこをクリアしてポイントを稼ぎつつ、自分のテーマをクリアしながら・・・そういうことだね。
例えば『ジオパーク協会』が日本にはあるよね。そういった地理的な部分とか、来てほしい地域はいろいろあるから、そういう団体さんの掲げるいろんなテーマを含めながら、みんなのためになりながら旅をするという、そういうことをやっています」
(編集部注:「にっぽん応援ツーリング」は4月25日から11月1日までの開催で、4月29日には東京都江東区の「海の森 水上競技場」東イベント広場でキックオフ・ミーティングが開催されることになっています。参加は無料です。詳しくは一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトをご覧ください。)
☆日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com
モンゴル、素晴らしいショック!?
●では続いて、地球元気村の話もうかがいたいんですけれども・・・。
「はい、地球元気村、まだやっていますよ、しっかり(笑)」
●2013年から始まった地球元気村のモンゴルでの活動・・・去年は風間さんが講師を務める「東京環境効果専門学校」の生徒さんと一緒に行ったんですよね?
「行きましたね。モンゴルはずーっと植林しながら、好きなバイクに乗ってるんだけどね。ここは遊牧民のかたたちが住んでいる、自然と共に生きる人たちの国だから、そこへ行くと大きな学びがあるし、ある種カルチャーショックにも近い状況の中で、寝起きをして帰ってくるのは、とてもいいですよ(笑)」

●どれくらいの日程で行かれたんですか?
「だいたい10日間ぐらいで、馬に乗ったり、日本にはない植生があって、植物にも動物にもあるから、それをフィールドワークで観察したりしながら、乗馬をしてテント泊をして、夜は星を眺めて、焚き火をやって帰ってくるっていう、とても素晴らしいメニューで喜んでもらっていますね」
●生徒さんたちは何名ぐらい参加されたんですか?
「だいたい・・・えっとね、20人ぐらいかな・・・去年はね。今年もまた2回目やるんですけど、みんな喜んでいますね」
●去年参加した生徒さんたちからは、どんな反応がありましたか?
「なんていうかな・・・日本では得難い感動があるからね。心に突き刺さるようなぐっとくる、かみ締めるようなね。やっぱりある種、素晴らしいショックがあるんだよね、動物を見ても・・・。

あるいは、そこで生活している人々の暮らしぶりは、例えば、自然と共に生きる人たちの家族の絆とか・・・家畜がいるわけだよね、空を行きかう鳥がいるわけだよね。そういった中で“あ〜いいな~”って本当の意味で生きていて、よかったなってものを感じ取れるわけ。
自然というのはそういうものなんだよね。自然は力強い何かを見せてくれる、シーンで見せてくれる。あるいは姿でそれを訴えてくるからね。それを感じ取るのはやっぱりこっちも生きている生き物として、なんかぐっとくるんだよね。
そんなものを感じるのは、ああいう自然体験っていうか・・・ダイナミズムがモンゴルはすごく顕著に、砂漠にしても草原にしても、でっかいイヌワシがいるとかね。すごいですから・・・」
世界遺産「熊野古道」と、地球元気村
※去年、地球元気村として、世界遺産に登録されている和歌山県「熊野古道」の清掃活動をされていました。これは、どんな経緯で清掃活動をすることになったんですか?
「何しろ和歌山県の、昔は大塔村(おおとうむら)って言ったんですね。現在の田辺市、そこで地球元気村をやったのが33年前なんですよ、第1回目。元気村全体で38年しかないからね。そのうち去年、32回目をやったんですよ。
ほぼ地球元気村と同じような歴史をたどって、ずっと元気村を絶やさずに開催してきてくれた『田辺市地球元気村』、『大塔地球元気村』って呼ぶんだけど、今は合併して田辺市になっていますけど、未だに頑張ってやってくれたこと自体がものすごいこと。
何しろその規模は、花火大会も一緒にやっているんで、1万5000人ぐらいの規模の地球元気村になっている・・・ちゃんとみんなで地球元気村の歌を、宇崎さんには言えないけどね(笑)、向こうで作って(笑)、みんなでギターを弾いて全員で合唱したりしているんですよ。びっくりしたね! ここまで盛大に元気村が発展しているのは、例を見ないという感じで、こちらも学ばせていただきましたよ!
そこは何が秘密かって言うと、みんなが楽しめる花火大会がひとつあること。一方、ちゃんと元気村の主題でもある“自然と人との調和”って言うものを、例えば、去年は『SDGs展』をやったりとか、川魚を捕る子供たちとかと何かやったりとか、そういう基本を外さないで、みんなが楽しめるようなことをやったりとかね。
警察署長さん、農協の組合長さん、県会議員さん、市議会議員さん・・・ありとあらゆる人たちが総出で実行委員会やっているんだよね。これがやっぱり長く続けるひとつの(秘訣)・・・あらゆる人間を取り込んでいるってことね。
つまり多様性のある生活の、あらゆるものをテーマした地球元気村だから、やめるきっかけにはならないんだね。だからずっと続けてくれるっていうのは、そういう構成する人たちの顔ぶれもあるな~とかね。

そんな中で、あそこが長くつながってきたのは、やっぱり世界遺産の熊野古道が存在すること。あと、日置川(ひきがわ)とか、すごい清流があるとか、和歌山県の奥に高野山もあるよね。あの辺の山から湧き出た水を集めて流れる川があるっていう、やっぱり誇らしい自然がある。あるいは自然遺産みたいなものがあるっていうことが、やっぱり長く続いているひとつのストーリーになっているかもしれないね。
だから1300年も続いてきた熊野古道を、やっぱり地元のひとたちは誇らしく思っているし、そこを清掃することは大事なことだよね。それを僕らが清掃させていただいて、去年から本部からも行って応援している状況だけど、今年も行って(清掃を)やろうと思っています」
自然との共生はエンドレス!?
●以前にも増して、益々勢力的に活動されているような印象を受けるんですけれども・・・。
「しゃべりっぱなしで、うるさいでしょ(笑)。反省しています」
●いえいえ、アウトドアでの活動は、風間さんの原動力というか活力源になっているっていうことですね?
「そうだね! 好きだから(笑)」
●好きという気持ちが、ここまでのモチベーションになるんですか?
「やっぱり自然との共生は、エンドレスなんだよね。つまり古来、縄文時代からそのテーマで、みんなはいかに、より豊かにより楽しく、それで安全に、そういうものをテーマにあらゆる時代にも闘いがあったわけだね。だから元気村の活動は終わるわけないですよ。元気村、あと2年だね?」

●1988年に設立されているので、2年後に40年を迎えるんですね。
「40年! でも何も変わってないですよ。昔のほうがよりよく、まだある意味ではおじいちゃん、おばあちゃんたちの習慣、慣例・・・いろいろな節句の習わしとか継承してきてたじゃん。それがだんだん希薄になって、新しければいいのかよ!? っていう、そういう時代でもあるわけだよね。
そんな時にやっぱり我々の未来は、古来の懐かしい時代の中にあったりするわけです。そういったものをもう1回リプレイして継承していったり、あるいはその中からまた新しいテクノロジーや科学を駆使して、自然に寄り添ったライフスタイルとか、そういうものも考えていきたいなといろいろ思っている・・・だから試行錯誤はずっとこれからもある。終わらないんですよ(笑)」
●今年も自然の中でいっぱい遊ぶんですか?
「まあ、そうだね。基本は自然が心地よく、みなさんの愉快さとか楽しい時間を演出するものであるのは、間違いなく保証するから、自然の中に行ったら、きっと楽しい時間を間違いく手に入れることができると思う。なので頑張ってほしいです。いろいろやることは山積しておりますけど、(私も)頑張っていきたいと思います」
INFORMATION
地球元気村ではモンゴルの植林ツアー、熊野古道の清掃活動のほか、福島県只見町でのイベント、さらには山梨市にある地球元気村ファーム「天空のはたけ」での活動など、4月以降もいろんなイベントが予定されています。
ほかにも地球元気村が運営している山梨県山中湖村の「村営 山中湖キャンプ場」もありますので、ぜひご利用ください。

地球元気村のログマークがあしらわれたTシャツがモンベルから発売されました。このTシャツを購入していただくと、売り上げに応じて、モンベルクラブ・ファンドから地球元気村に活動資金として寄付されることになっています。
◎モンベル・オンラインストア:
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1114958
地球元気村では、随時村民を募集中です。プレミアム村民は会費が年間10,000円、村民になると年4回、会報誌「地球元気村」が届くほか、イベントの参加費が割引になるなどの特典がありますよ。詳しくはNPO法人「地球元気村」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎地球元気村:https://chikyugenkimura.jp
風間さんが主宰されている一般社団法人「日本ライダーズフォーラム」のオフィシャルサイトは以下から、どうぞ。
◎日本ライダーズフォーラム:https://www.round4poles.com
2026/4/5 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. (MEET)THE FLINTSTONES / B-52’S
M2. THUNDER ROAD / BRUCE SPRINGSTEEN
M3. LIFE IS A HIGHWAY / RASCAL FLATTS
M4. A SKY FULL OF STARS / COLDPLAY
M5. 春の歌 / スピッツ
M6. 雨でも花火に行こうよ / TOMOO
M7. 地球は元気 / 地球元気村の仲間たち
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」









