2026/5/10 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、八ヶ岳山麓にある「風と土の自然学校」の代表「梅崎靖志(うめざき・やすし)」さんです。
実は梅崎さんには12年前にもこの番組にご出演いただいたことがあって、当時、拠点があった山梨県都留市に取材でお邪魔して、自然学校のプログラムを少し体験しながらお話をうかがったということなんです。その時の模様は番組ホームページに載っていますので、ぜひご覧ください。
きょうは「風と土の自然学校」で行なっている自給率をアップするための大人向けのワークショップのほか、梅崎さんご家族の自給自足的な暮らしについてもうかがいます。
☆写真協力:風と土の自然学校

我が家の自給率をアップ

※八ヶ岳山麓の、長野県諏訪郡富士見町に拠点がある「風と土の自然学校」は2020年4月に山梨県都留市から、現在の場所に移転。設立当初から「自給自足的な循環する暮らし」を掲げて活動されています。
●そちらのオフィシャルサイトを拝見すると「自然農とパーマカルチャーの暮らしを学ぶ大人の自然学校」と書いてありました。改めて、どんな自然学校なのか、教えてください。
「私たちの自然学校は、テーマが『我が家の自給率をアップする』、自分の手で循環する暮らしを作るということで、いろいろな講座を行なっています」
●いつ頃、どんな目的で設立されたんですか?
「もともとは、2003年に『風と土の自然学校』という名前で活動を始めたんですね。で、僕のバックグラウンドが自然体験を通じた環境教育なんです。学生の頃からそういうことに関わり始めて・・・。
で、自然体験は自然のことを好きになったり、関心を持ったりする時に、すごく大事であるのと同時に、自然体験するだけでは、やっぱり暮らしをどう変えていけばいいのかわからないっていうこともあるので、自然と調和した生き方、暮らし方、これをテーマに伝えるということを自然学校の形でしていきたいと、それがそもそもの始まりなんですね」

●自然学校の運営は、ご家族でされているんですよね?
「はい、そうです。僕たち夫婦でやっているんです。あとはヤギとミツバチと猫がいます。高校生の娘がいるので時々手伝ってくれています」
●「パーマカルチャー」っていうのは、どういったことなんでしょうか。
「パーマカルチャーっていうのは、人間が地球の上で自然とか、ほかの動植物と調和しながら、ずっと生き続けるための暮らしをどういうふうにデザインするのかっていう、考え方とか具体的な方法をまとめたもので、もともとはオーストラリアで生まれたものなんですね」
●具体的にどんなワークショップやセミナーを行なっているんですか?
「やっていることとしては、先ほど少しお話ししましたが、自分の手で循環する暮らしを作るということをテーマにしているんですね。
すごく大事なのが、できるところから少しずつやるっていうことを大切にしています。特に暮らしに必要な物って、例えば、都会の暮らしだとお金で買ってくるものが多いと思うんですけれども、すべて買ってくるのではなくて、できる範囲で楽しみながら、少しずつご自分の手で暮らしを作る・・・。
そのために八ヶ岳で開催しているものだと、循環する暮らしの実践をテーマにした大人向けの年間講座があったり、お母さんと未就学のお子さんが一緒に参加できる母子合宿講座というものがあったり・・・。
あと田んぼでお米づくりを学ぶ田んぼの会があったり、オンラインで循環する暮らしを学ぶ、そういった講座をやったりしています」

(編集部注:自然学校の畑はすぐそばに300坪ほど。お米づくり体験などを行なう田んぼは、歩いて10分くらいのところにあって、面積は450坪ほどだそうです。
ワークショップなどの参加者はほとんどが首都圏からで、年間でトータル600〜700人ほど。オンラインの講座の参加者は年間200〜300人くらいだそうです)
梅崎家は自給自足的な暮らし
※梅崎さんは、もともと自然暮らしを目指していたんですか?
「そうですね。最初の就職先が、茨城県の里山にある環境教育をテーマにした公園みたいなところで、仕事をしていたんですけれども、そこで出会った地元の農家さんがいて、いろいろな公園の管理とかに、お仕事で関わっていただいていたかたなんです。
そのかたが野菜づくりはもちろん、山仕事とか、筍掘りとか、しめ縄づくりとか、本当に何でもできるかたでした。僕は実家が練馬なので、東京暮らし東京育ちの僕からすると本当に田舎の人はすごいなと、自分もできるようになりたいなと思ったのがきっかけだったんですね」
●東京での暮らしと比べると、ガラッと変わりますよね?
「そうですね。田舎に来ると、消費をする部分だけじゃなくて、自分の手で生み出す部分っていうのがすごく多くなるので・・・だからそこが大きな違いだし楽しいところでもあると思います」
●梅崎家は自給自足に近い暮らしをされているんですよね。
「自給自足”的”な暮らしというふうに言っています。例えば、エネルギーも食べ物もすべてのものを自給自足するのは、なかなか大変なことだとは思うんですね。
うちの場合はそれをできる範囲で楽しみながらやる。前回(番組に)出させていただいた時と比べると、じわじわと自分たちでできる範囲を少しずつ広げていることもあるので・・・そんなふうに楽しみながらやるということを大切にしています。
今はお米は自給率100%は超えているんです。野菜については適宜必要なものを購入するというそんな形でやっていますね」
(編集部注:電気は、メインは電力会社の電気を利用し、補助的にソーラーパネルの電気も使うそうです。太陽熱の温水器で温めたお湯は床暖房にも使っているので厳冬期の12月から2月でも快適に過ごせるとか)
※お料理をする際の煮炊きは、どうしているんですか?
「料理をする時の煮炊きも、普段の調理はガスなんですけれども、冬は薪ストーブがあるので、薪ストーブでお湯を沸かしたり煮物をしたり、お味噌を作る時に大豆を煮たり、餅つきする時にお湯を沸かしたりとか・・・。
あとは外で燻製づくりをするとか、講座の時なんかもそうですけれども、野外調理をしたりとかっていうのに薪を使ったりという、そういう形で併用してやっています」
●お風呂は薪で沸かすんですか?
「薪でも沸かすんですけども、これも薪ボイラーがあって、薪ボイラーから台所のお湯とかお風呂のお湯を使うということもあるし・・・ガスと太陽熱温水機があるのでミックスしながら・・・。
温度が低い時とかはガスで加温をしたりとかっていう形で、自然エネルギーと、石油とかガスとかそういった化石燃料、それを組み合わせて、できるだけ自分たちの手で、手に入る身近なエネルギーも活かしながらやるっていう、そういう形でやっています」
自然の営みの邪魔をしない
※食料を自分の手で作れるというのは、安心感にもつながりますよね?
「そうですよね。タネを撒けば(芽が)出てきて、手入れをしてあげることで作物を収穫できる・・・お米もそうですよね。
去年は”令和の米騒動”でお米の価格もすごく上がったりしていましたね。お店の棚にお米がない! みたいなこともよくありましたけども、自分で育てているという意味では、お米をうちは買わないので・・・。なので“高くなったな〜”とか、そういうことは思うんですけれども、やっぱり自分たちでお米を作る、野菜を作るっていうことはすごく安心感になりますね。
田舎に行くと、なかなか喰うのが大変だみたいな、仕事の面で言ったりすることがあるけど、喰うか喰わないかっていう意味では、畑と田んぼを借りることができれば、食べるのには困らない。そういう面もあったりするかなとは思います」
●作物づくりで、何かこだわっていることってありますか?
「こだわりっていうか、大切にしていることとしては、できるだけ自然の営みの邪魔をしないっていうことです。例えば、それは農薬を使わないっていうことであったりとか、化学肥料みたいなものを使わないということは大切にしています。
うちの場合は”自然農”っていう考え方を大切にして畑をやっているので耕さない。草も虫も敵としない。そして肥料やら何かを入れない。化学肥料は特に入れない・・・。あと、そこで出た野菜の残渣がありますよね。例えば、とうもろこしの枯れたものとか、そういうものを外に持ち出さないで、そこで朽ちさせて循環させるっていう・・・。
だからそういう意味では、草には草の役割があるし、虫には虫の役割があるので、そうした自然の営みを邪魔しないように、自然の生態系を豊かにする。そんなことを意識しながらお米、そして野菜を育てることとしています」

自然がぺースメーカー
※梅崎さんは、自然学校のテーマでもある「我が家の自給率をアップする」を梅崎家でも取り組んでいて、お米は100%自給、野菜も自分たちの手で育てていらっしゃいます。自分たちで育てた作物はやはり美味しいですか?
「美味しいですね!(笑)」
●ですよね。喜びのようなものもありますよね。
「そう! よく暮らしの豊かさって何だろうって言った時に、物じゃなくて心の豊かさとか、いろんな言い方があると思うんだけど、やっぱり循環する暮らしをやっていく中で、収穫の喜びもあるし・・・例えば、田植えとか稲刈りをした時に、広い田んぼを全部、田植えをやり切ったとか、全部収穫した。そういった時の達成感があったりします。
ひとつひとつのことに時間がかかる。手間をかける。そのことが自分の中に、そのプロセスがあることによって、自分の暮らしを自分で作る喜びであるとか、満足感がある。
と同時に、工夫をする。いろいろな上手くいかないこともあったり、それをどうしようかなって工夫をする。そういったことの中で暮らしが作られていく。その中に豊かさを感じる。そんなことがすごくあると思うんですよね」
●自然暮らしをスローライフって表現していることもありますよね。でも自然暮らしってスローじゃなくて、日々忙しいと聞いたことがあるんですけど、実際はいかがですか?
「スローライフは忙しいです!(笑)っていうっていうのは、都会の暮らしだと自分の都合で、いろんなことができる部分はあるけど、自然は自然のペースに合わせて、例えば、今タネを蒔けないからとか、今苗が植えられないから、1ヶ月後にやろうと思っても、季節が過ぎていたら間に合わない訳ですよね。
だからそういう意味では自然のペースに合わせていかないといけない。自然は待ってくれないし・・・。
あと梅をたくさん収穫しましたって時に、今ちょっと梅の仕込みができないから再来週やろうとかってできない訳ですよね。これはきょうやらなきゃいけない、明日やらなきゃいけないみたいなものもあるので、そういう意味では自然がペースメーカーになってくれると同時に、季節のいろんな仕事が重なった時には忙しくなる、そんなことかと思います」
●自然が相手だと手間暇がかかりますよね。
「それがいいんですね」
循環する暮らし、じわりじわり
※「風と土の自然学校」を設立されて、23年ほどが経ちました。梅崎さんが思い描いた自然学校になっていますか?
「そうですね。お陰様で毎年講座を開催する中で、参加者さんが仲間みたいになっていって、前回(番組に)出演させていただいたのが12年前ですか? その時と比べると当時思い描いていることが随分形にできたなと、そんなふうに思います」
●これから特に力を入れていきたいことってありますか?
「”循環する暮らし”ってすごく楽しい暮らしなので、ぜひたくさんのかたにお届けしていきたいと思っています。なので、講座もこれまで通りやっていくのと同時に、電子書籍であるとかYouTubeであるとか、そういったもので情報を発信して、みなさんに小さな一歩を踏み出していただけるような、そんなことをお伝えしていくことに力を入れていきたいと思っています」
●梅崎さんは練馬のご出身ということですけれども、特に都会で暮らしているかたに伝えたいことがあれば、お願いします。
「どこに住んでいても、自分の手で作る循環する暮らしは始められるっていうことをよくお話ししているんですね。そういう意味では小さく始めて、じわりじわりと守備範囲を広げていく。これが楽しみながら長く続ける秘訣だと思っています。
『風と土の便り』というメルマガでもお役に立つ情報をお届けしているので、そういうところから情報を得ながら、できることを楽しみながらやっていただけたらなと思います」

INFORMATION
「風と土の自然学校」では、今年もお米作りの一連の作業を体験できる「八ヶ岳めぐる田んぼの会」の活動が始まりました。

この「田んぼの会」は、苗代づくりから収穫まで、肥料も農薬も使わないお米づくりを体験しながら学べる会だそうです。年間パスポートのほかに、単発参加や回数券もあるそうですよ。自分のタイミングで参加してみませんか。
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ほかにもマッチを使っての火起こしや野外調理、ロープワークなどのワークショップも開催。オンラインの講座もあるそうですよ。
同自然学校は、山梨県と長野県の県境にあって、中央高速自動車道の小淵沢インターチェンジやJR小淵沢駅から、車で10分前後だそうです。
ワークショップや講座の申し込み方法など、いずれも詳しくは「風と土の自然学校」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎「風と土の自然学校」https://lifestyle-model.jp






