2023/1/27 UP!
今週はその成田山新勝寺の歴史と、「よ、成田屋」の掛け声でお馴染み歌舞伎役者の市川團十郎との関わりについてもご紹介していきます。

JRや京成の成田駅から徒歩で15分ほど。参道を通って門前町の風情を感じながら歩いていくと、総欅造りの立派な総門がみえてきます。


今回は成田山新勝寺・企画課の松岡照英さんに、まずはお寺の歴史からお話しいただきました。

松岡さん:
成田山は、1000年を超えているお寺ということになります。もとをただすと天慶、平安時代から成田山が開山されたというのが歴史になっております。で、もともとは当時、平将門の乱が起こりまして、その平定を願って不動明王を京都の高尾山神護寺から捧持して、この成田の地で乱の平定を願ったということです。で、その乱の平定後、不動明王がこの地にとどまるというところから、この成田山というのが始まっているというのが歴史でございます。年数だと、平成30年で1080年経っておりますから1080年ちょっとということになろうかと思います。 当時はやはりこのような 大きな伽藍は擁してなくて、もう少しちっちゃいなお堂が何個かあったと言うことだったと思います。

成田山の不動明王は「お不動様」と呼ばれてずっと親しまれていますが、この時、お不動様が、京都へ 戻っていたら、このお寺はなかったかもしれません。

そして、成田山新勝寺と切っても切れない縁で結ばれているのが歌舞伎役者の市川團十郎です。お家芸の荒事を歌舞伎に取り入れ人気を博した初代團十郎が子宝に恵まれず、新勝寺に子宝祈願をしたところ、めでたく男の子を授かりました。それから初代が不動明王をテーマにした舞台を、感謝を込めて創作して親子で共演すると、舞台は大当たり。これをきっかけに成田屋の屋号を使うようになり、成田山と市川家とのつながりは深まります。

松岡さん:
初代・二代と言うことで、成田山 との縁が繋がっていくんですが、またそこでしばらく間開けるとですね、七代目というのもちょっと縁が深くなってきます。当時享保年間だったもんですから、七代目は。奢侈禁令というのが、幕府から出されて華やかなものはダメだとか、そういったおふれが出されるんですね。そういったところでやはりあの時に歌舞伎役者である七代目は、そういった禁令に触れるということで、江戸を追放されたんです。その時に新勝寺に七代目が来まして、ちょうど一年半ぐらい新勝寺の延命院というところに住んでいらっしゃって、そこで街の方とかに歌とか俳句とか、教えながら一年半過ごしたという歴史があります。そのおりに、やはり今、境内にある額堂というところがですね。七代目がそれを寄進して建てたということです。現在、その境内のその額堂の中にですね、七代目・市川團十郎の石像と いうのもありますので、また来たおりにはご覧になっていただくと大変ありがたいかなと思います。

成田山新勝寺で行事の一つ、節分会。節分に会場の「会」と書いて「せつぶんえ」と読みます。歌舞伎役者や大相撲力士、大河ドラマの俳優など、著名人による豆まき式が毎回話題になっていますよね。
松岡さん:新勝寺の場合はですね。豆を投げるときに「鬼は外」と言わず、「福は内」のみで行っているんです。それはですね、成田山の本尊でもある不動明王がですね、やはりそのお力によって鬼をも改心させると言うようなことから「福は内」だけを言っているっていうのが、この成田山の節分会ということになろうかと思います。また、この成田山のご本尊である不動明王というのは、やはり憤怒の相をしておってですね、左手に剣を持って、右手に縄を持って、背中に火炎をしょっているということです。これは私たちの煩悩を断ち切ってくれる剣で断ち切ってで、その煩悩を火炎の炎で焼き尽くすと言うことでございます。要するに、お不動様の力によって心の安寧を得る。そんなような仏様。故に鬼をも改心させるということで あろうかと思ってます。

憤怒の相ってものすごい表情なんです。人々の煩悩と迷いを絶ち、全ての人を救ってくれるお不動様。あまりの迫力に、鬼も悪いことをやめちゃう。 心を入れ替えちゃうので、外に出さなくてもいいから、鬼は外とは言わないのだそうです。
そして今年は、節分会のあと、大事な行事があるそうです。教えていただきました。
松岡さん:
今年は、4月からですね。弘法大師のご誕生の1250年の記念大祭を行うということになっております。弘法大師空海という方はですね、成田山は真言宗智山派のお寺ですから、真言宗のこの宗祖である弘法大師をご誕生お祝いするという事の記念の期間でございます。で、弘法大師はですね、お生まれになってから1250年経ったということで、私たちも真言宗として、そのお祝いをしようということで4月28日から6月18日まで弘法大師の記念大祭ということで奉修を致します。内容としてはこれからということもあるんですが、記念行事を行ったりですとか、色々な催しものを行ないながら、また記念のお護摩札また記念のお守り等、皆さん方に授与できればいいかなというふうに今考えております。
詳しくはこれから発表になるそうですので、気になる方は新勝寺のホームページなどをご覧になってください。