2023/10/6 UP!
今回は、「老舗」がテーマです。一般的に、老舗というのは、何代にもわたって、同じ商売を続けてきた伝統的かつ格式の高いお店のことをさします。長く続けることでお客さんや取引先の人から信用を得ているお店や企業ともいえますね。千葉にもたくさんあります。
今回は、美味しい水の里にある老舗をご紹介しようと思います。お好きな方も多いとおもいます。お酒(日本酒)です。

ご紹介するのは、君津市の久留里にある吉崎酒蔵です。お酒を造るのには「いい水」が大切です。久留里の水は平成20年6月に、千葉県下では唯一「平成の名水百選」に選ばれています。古くからこの地に伝わる「上総掘り」という方法で、地下400メートル以上のところまで井戸を掘り、そこから湧き出る水を使ってお酒を作っています。その井戸からは今でもコンコンと水が湧き出ています。吉崎酒造は千葉県内で最も古いまさに老舗の酒蔵。 その歴史について、当主の吉﨑明夫さんにお話を伺いました。

吉﨑さん:寛永年間創業で大体400年ぐらいで私で17代目になります。江戸時代に越前、福井の方からこちらに移動してきたということで、屋号が越前屋といいます。メインの商標が吉に寿と書きまして「吉壽」という商標こちらが昔からある商標で、それであの「吉壽発泡清酒」「吉壽スパークリング」というのもあります。あと大吟醸ブームの後、大吟醸作るようになりまして、それをあの月に華、中華の華で「月華」っていう名前で大吟醸出してます。うちの場合は、あの蔵自体も明治時代の蔵をそのまま使ってますし、道具とかも古いもので使えるものを使って、あとこう運んだりだとかそういった重労働部分を機械化して行くみたいな。そういった形での変化はあると思います。
なぜ福井から当時の上総国久留里にきたのかはわからないんですが、江戸時代からここでお酒を作り、近くを流れる小櫃川を使って、船で木更津、そして江戸へ運んでいました。東京湾でも海の交通・舟運が発達して、久留里周辺でもお酒造りが盛んになっていったんですね。
さて、コロナ禍では、宴会や祭り、大人数でお酒を飲むことや、イベントでの振る舞い酒もできなくなってしまい、お酒をみんなで楽しむ文化が無くなってしまうかもと吉﨑さんは心配されたそうです。もちろん経営的にも厳しかったでしょう。でも最近、地元、そして久留里線を擁するJR東日本の協力もあり、少しずつイベントも復活し始めました。

吉﨑さん:コロナ以前は毎年3月1週目に新酒祭りと言って、久留里は水がいいということで酒蔵も多いので、五軒の酒蔵で新酒を持ち寄ってでそれで新酒祭りというイベントをやってまして、この春から復活しまして、その時にあのJR(東日本)さんの方で、「駅からハイク」という駅からハイキングしようというイベントがありまして、それと一緒にやらせていただいて、その駅からハイクのお客さんも含めて各蔵、各試飲ポイントを回りながら新酒種を味わっていただくというイベントを今年からまた再開させていただきました。800用意してたおちょこ全然足りなくて追加追加で1000まで用意したんですけど、 途中からもう配るの諦めたというような、そういう状況、嬉しい悲鳴でしたね。

JR久留里線・久留里駅の駅舎の中にこの地域のお酒の瓶の展示もありますし、駅を出てすぐ右側には、昨年10月「生きた水 久留里 酒ミュージアム」がオープンし、吉崎酒造をはじめ、君津市、富津市にあるかずさの8つの酒蔵蔵元のお酒の試飲が有料にて楽しめるようになりました。ですから普段から久留里に行けば美味しいお酒が味わえるし、まず、ミュージアムで試飲して、自分の好みの蔵に行けるので、いいですよね。
久留里の自慢はなんといってもその「水」 。JR久留里駅前にもこんこんと湧き出るいわゆる自噴井戸がありますし、この地域には多くの上総掘りによって掘られた井戸がたくさんあります。飲み水として使えるものを中心にその数、200ほど。地下600メートルから湧き出る水をくみに、遠くからやってくる方もいるほどです。吉崎酒造さんではその水を使って<名水百選 久留里の町の地サイダー>を造っていらっしゃいます。

久留里の上質な水を使って400年以上前から日本酒を作り続けている吉崎酒造。こちらでは、ネットでの販売を中心に人気となっているお酒があります。その名も「ふしぎな竹酒」。いったい何が不思議なんでしょうか?
山﨑さん:本当の竹に詰めた、竹の節と節のあいだにお酒を詰めた、お酒も販売してまして、それについては、その召し上がる日に合わせて予約注文という形で竹に詰めてますので、そういった変わったお酒についてネット販売の方が売れますね。どうやって詰めたか分からないように詰めてまして、召し上がる時に節に穴を開けていただいて、自分で。それで酒器に注いで頂くという形なので、どこでどうやって詰めたんだろうっていうのが、そのふしぎな竹酒の不思議の部分なんですけど、宴会とかのその話題作りにいいかなと思うんですけれど。樽酒が木の香りを楽しむように、竹の爽やかな香りを、香り付けしたお酒を召し上がっていただくという形ですね。意外と年齢関係のお祝いの時、購入にネットで見たからって言って購入に来てくださる方多いですね。あとお正月ですか。

こちらは青い竹に詰めたものと、表面をちょっと炙ったような感じに仕上げた趣のある竹に詰めたものの2種類があり、どちらも、缶詰のように穴を開けてお酒を注ぐというもの。日付指定で申し込むので、還暦や古希、米寿などのお祝い事やおめでたいお正月、お祝い事などに使いたいということでネット販売が好調なんですって。少しずつではあるけどコロナ禍以前のように戻っているのを実感しながら、吉崎さ ん感謝の言葉を話されています。
吉﨑さん:このエリアが酒処だっていうことを知っていただくだけでも、我々にとってはそれを知っていただくだけでも嬉しいことですし。またJRさんもね、その後地元、久留里の夏祭りの時に角打ち例車走らせてくださいましたし、また10月には君津の駅の近くで君津の酒祭りというイベントございますし。あと10月下旬にある久留里の久留里城祭りっていう城祭り。 その時にもJRさんが角打ち列車走らせてくださるということで、それを知っていただければありがたいなと思います。コロナ以前だったら四合瓶とか一升瓶とか、そういったのメインに詰めてたんですけど、最近はあの300mmとか180mmとか小瓶2本とか3本で持って行けるように、袋に最初からセット組んで置いてあります。 袋に入れとくとこれいただくってそのまま持ってくださる方も多いので、そういう意味ではあのありがたいですね。本当はもう 大きい瓶がバンバン売れたほうがありがたいんですけど。(笑)
お話にもありましたが10月13日には君津のハミルトンホテルKAZUSAで「第6回 きみつの地酒祭り」が行われます。実は、君津市は、首都圏(1都7県)の市町村で最も多くの日本酒の酒蔵があり、酒造りが盛んなことから、「きみつの地酒で乾杯を推進する条例」を施行しています。
4年振り、6回目を迎える今回は、吉崎酒造をはじめ市内の6蔵と富津市の2蔵の「かずさ八蔵」に加え、今年は、はちみつのお酒、ミードをつくっている「はちみつ工房」も仲間入りしての開催。きみつの地酒を存分に楽しめるきみつの地酒まつり。詳しくは公式サイトで確認ください。番組ブログにリンクを掲載しておきます。駅を降りたらぜひ「生きた水久留里 酒ミュージアム」も覗いてみてくださいね!
