三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
首都圏からのアクセスもよく、
通勤圏でありながら海や里山の豊かな恵みをあわせもち、
自然とともにある生活を楽しめるエリアです。
そんな「千葉の魅力」を支えるさまざまな活動や
想いムーブメントなどにスポットを当て、
現地取材の声も通して「魅力あふれる千葉」をご紹介していきます。

毎週月~木 18:35頃~「YOU 遊 チバ」はこちら
※「YOU 遊 チバ」は、ミンナノチカラ~CHIBA~と連動し週ごとにさまざまなテーマで千葉の魅力をお届けしているコーナーです。

Every Fri. 18:45~18:59

千葉のブランド牛 髙梨牧場の名人和牛 かずさ和牛

2023/11/3 UP!

今回は千葉が誇るブランド牛のご紹介です。和牛のブランドは、日本全国さまざまな種類がありますが、千葉県では、生産者が飼料や育て方に様々な工夫を凝らして、黒毛和牛、乳用牛、交雑牛をバランスよく生産し、それぞれ美味しい銘柄牛肉として世に送り出しています。今日はその銘柄牛の一つ、かずさ和牛を生産している鴨川市の生産者さんをご紹介します。

千葉県では和牛をたくさん育てています。その中でもかずさ和牛の名前を聞かれたことがある方、多いと思います。かずさ和牛とは県内32軒ある「かずさ和牛肥育研究会」の生産者がこだわりを持って育て、出荷した牛のことを言います。今日はそんな生産者のおひとり、鴨川の高梨牧場の代表の髙梨裕市さんに、まずはそのこだわりの育て方について伺いました。

髙梨さん:黒毛和牛を生産していまして「かずさ和牛」として皆さんにお召し上がりいただいてます。鹿児島の方から子牛を買い付けて、そこから牧場内で美味しい牛肉として肥育をしています。まずは牛が最後までしっかりと健康的に食べてくれるように胃腸内を整えていきます。粗飼料と言われる牧草だったりだとか、稲わらを中心にたくさんの繊維分を与えて、牛肉の旨みの土台になるような、赤肉づくりをします。肥育の中期に入ってきますと、和牛の代名詞とも言えるような霜降りがあるんですが、霜降りを作るときにはビタミンCを与えてですね、牛の負担を軽減して、風味豊かな霜降り作りをして行きます。仕上げ期になると、 米油を与えて、焼いた時に、ものすごく良い香りがするので、美味しく食べていただけるように、そういう特徴づけをしています。

髙梨牧場は、創業60年で現在裕市さんが3代目。実は子供のころから家業の畜産を継ぐつもりが全くなく、あまり手伝いもせず、東京で生活していたんですが、20才代半ばの頃、創業された初代が亡くなり、従業員の高齢化などで家業が緊急事態だということで駆り出されて、ほぼ初めて畜産を経験。やってみたところ、突然心変わりして家業を継ぐことになったんだそうです。これがのちに髙梨牧場の品質に大きな影響を与えることになるんです。長い間の慣習や、先入観などなく始めることになったのです。

本格的に畜産を始めたのが28歳。知識も経験もないことから、「名人会」という全国で和牛を出荷されている方々の集まりなどに積極的に出席して、教えをいただいたそうなんです。

髙梨さん:当初私が就農した時に、経験と勘では就農が28歳と遅かったために勝負ができないと考えていて、データとか理論とかっていう和牛づくりを模索していたんですけども、まさにそのような先進的な技術をご指導いただきました。とにかく本当にこう無我夢中。自分がこの先、本当にそもそも続けていくことができるのか?すぐに年も30歳にかかってくるわけですから、ある程度形にできなければ、いろんな選択も考えなくちゃいけないっていうような現実的なところもあったので、本当に無我夢中、必死でしたね。本当に思っていた以上に難しいことばかりで、名人会さんには本当に大きなヒントをいただいて、いろんな技術知識をいただいて、それがなければ今はないかなと考えています。

名人会というのは、産地にかかわらず、『餌』と『管理』にこだわって、科学的な裏付けをもとに、美味しい和牛を作っている畜産農家さんの集まりのことなんですが、そのみなさんの教えが今の髙梨牧場の基礎になっていったんですね。普通考えると、これは企業秘密、みたいになかなか教えてもらえなさそうですけど、名人会はより多くの方により美味しいものを提供したい共通の信念があるから、裕市さんのような新人でも仲間として迎え入れ、餌や育て方などのリアルな情報を教えてくれたんですね。お父様の時代に育てていたホルスタインなどをやめ、黒毛和牛一本に転換して、新たなスタートを切った裕市さんですが、そのたゆまぬ努力が実を結び、やがて髙梨牧場のかずさ和牛は高い評価を受けるようになってきます。

名人会などからの科学的アドバイスなどを参考にしっかりと努力を重ねた結果、35歳で初めて農林水産大臣賞を受賞。髙梨牧場のかずさ和牛はその後も高い評価を得続けています。(農林水産大臣賞計6回受賞。牧場としてはお父様も取られているので計7回)そして育てながら、こんなことも思うようになっていきました。

髙梨さん:畜産というのは、基本的に業務は牛を出荷して終わりになるんですね。格付け評価だったりだとか、牛を食べる前の評価はしっかりと返ってくるんですが、本当に食べたときの美味しさっていうのを知らないままになってしまうんですね。で、私は牛が命をかけて残してくれたものはやっぱり一つでも多く知りたくて。やっぱり牛肉っていうのは食べて美味しいって言う価値が一番生産者として提供するべきものなんじゃないかと言う強い気持ちがあったもんですから。出荷した以降にその牛肉を買い戻して、流通販売をするような取り組みをしています。従来の畜産の生産者像とはちょっとやっぱり違うので、新しい挑戦として。応援してくださる方もいらっしゃる一方で、何かこう変わったことをやってるなあというような印象を受けた 方もいらっしゃったかもしれないですね。

出荷したところで終わりではなくて、消費者の口に入るなるべく近くまで見届けたいし、その声を聞きたいということで、裕市さんは畜産農家の垣根を超えて、流通にも参入していきます。今お話にもありましたが、出荷した牛を、お肉になったところで買い戻し、そして販売する。髙梨牧場のかずさ和牛は評価が高まり有名レストランや五つ星ホテルなどでも指名で使われるようになっていくんです。

そして今回は、「髙梨牧場のA5ローストビーフ」をスタジオでいただいてみました!

ローストビーフだけでなく、ステーキは柔らかく、脂もさっぱりしているのでお年寄りにも大人気なんだそうですよ。全世代に大人気のこの美味しいお肉、育てかたで特に気を使っていることは、牛にストレスを与えないということなんだそうです。実は、取材スタッフが牛の声を録音しようとマイクを向けても全然鳴かなくて、裕市さんも「うちの牛はリラックスしてるんであんまり鳴かないんです」とおっしゃっていたそうです。中にはお腹を上に向けてくつろいで寝ている牛もいたんですって。最後に、これからの夢をお話いただきました。

髙梨さん:自分の牧場名、顔を晒して高梨牧場のかずさ和牛ということで流通販売するということは、それは自然と生産現場にやっぱり緊張感が走って、よりこう感覚が研ぎ澄まされるというか。それはもう覚悟を持って挑戦した人にしか、もうこれはもう分からない。その中で育ったやっぱり和牛のおいしさっていうのを皆さんに知っていただけたら嬉しいですね。食べる瞬間まで携わる生産者でいたいですね。美味しいと言って頂けるようなものを形にして行きたいですね。なので畜産っていうところを中心に、流通販売を含めた部分。皆さんと考えながら、より良い形っていうのを模索して行きたいなというふうに思っています。で、結果として海外というところに牛肉がわたって親しまれるような和牛作りっていうのを目指して行きたいと思います。

食べる瞬間まで、責任感をもって作っているからこそ高梨牧場のかずさ和牛は美味しくなっているんでしょうね。おいしいと言ってもらえる和牛を提供したい思いがよく伝わってきます。こちらのお肉、鴨川市内のレストランなどでも扱っているお店がいくつかあります。詳しくは高梨牧場のインスタグラム、フェイスブックをご覧ください。

https://www.instagram.com/takanashi_bokujo/?hl=ja

https://www.facebook.com/takanashibokujo/

前の記事
次の記事
サイトTOPへ戻る
WHAT’s NEW