三方を海に囲まれる房総半島に位置する千葉県。
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千葉の郷土料理2「九十九里いわしのごま漬け」

2024/12/6 UP!

今年もあと1ヶ月を切りましたね。お正月に食べるのを楽しみにしているものとかありますか?帰省などで各地の郷土料理を楽しみにしている方も多いと思います。

千葉にも古くからその土地で食されている「郷土料理」がいくつもあります。今回その中から、「九十九里のイワシのごま漬け」をご紹介したいと思います。江戸時代からイワシ漁が盛んな九十九里で水揚げされるカタクチイワシを原料にした加工品で、この地方ではお正月に欠かせない伝統料理として親しまれています。まずは「イワシのごま漬け」を生産販売している九十九里町の老舗、大正時代創業「カネヨン水産」代表の古川克俊(ふるかわかつとし)さんに、おききしました。

古川さん:昔、みりん干しまた煮干しやったんですけども、20数年前からですねこのイワシのゴマ漬けを始めました。これはですね、この九十九里のこの地域で、お正月に食べるような状態で各家庭でですね、保存食として作ってたんですよね。それをまあ商品化というか、うまいからやってみようということで、始めたわけなんですけども。セグロ、まあカタクチイワシをですね、頭と内臓を取って、塩にして。でそれを今度は酢にして調味酢にして、作って それで仕上がり。船が海岸から海に出すだからおっぺしって女の人がいっぱいいたんですよ。 そこで浜で各船のとこに行って入札をして、後で買ったものを取りに行くと。下は砂ですからね。大変だったんですけども。何年後には港ができて。まあ、その浜での入札がなくても、ほとんどが港でやっている状態なんですけどもね。

おっぺしというのは、浜に上がった船を海に押し出したり、海から上がってきた船を砂浜に押し上げることをしていた、主に女の人たちのことをそう呼んだそうです。港がなかった時代は大変だったんですね。カネヨン水産は、古くからこの地に根付いているごま漬けを、伝統的な製法を活かしながら、「九十九里いわしのごま漬け」として商品化。平成18年には、「銚子つりきんめ」と同時に『千葉ブランド水産物』第一号にも認定されています。 一方で、最近のニュースでは「イワシが穫れない」なんて話もききます。温暖化の影響なども心配されますが、今年のイワシの水揚げ量をきいてみました。

古川さん:昨年の終わりごろ原料(イワシ)もうちも乏しくなってきて、こういう量の変化っていうのは、今までないですね。いつもこのカタクチイワシが上がるのが(年の)暮れなんですよ。暮れには必ず(イワシが)来るとそんな状態で昔は九十九里では12月頃あがったものをごま漬けにして、さっき言ったように各家庭で作って でお正月に食べると、まあそんなものだったんですけどもね。

そしたら今年になってね。5月6月になったら今までにない量が九十九里に上がったんですよ。まあなんていうか運もいいっていうかね。で、その時に、昔あのこのゴマ漬けっていうのは生で作ったんですけど、やっぱり安定供給するために、冷凍したものを確保するという状態で、その時期にそれなりのトン数は確保したところですね。安泰ですね。ラッキーですね。なんかそんな状態ですね。

さて、スタジオにもカネヨン水産のいわしのごま漬が用意されまして二人で試食しました。

ごま漬けの味をきめる調味酢ですが、昔、家庭で作っていた頃は、例えばお味噌に各家庭の味があったように、ゴマ漬けの味も家によって少しずつ違っていて、「あそこの家のはうまい!」とか「売り物になる!」なんて話が出たりしたそうです。加工の仕方は、年々変化していますが、カネヨン水産では今も工程の大半を手作業で行っています。オンラインショップもあって、いろんな地域から注文が来るそうです。

古川さん:昔はね、このゴマ漬けっていうのはね、あの生でやったやつを加工して酢にして、で最後押しをかけたんですよ。だからこうおそらく名前の由来っていうのは押してたからゴマ「漬け」ってんじゃないですか?これよくゴマ酢漬けっていう人もいるんだけど、お客さんでね。そういう形で昔の製法とはちょっと変わってるんですけどもね。で、これが今の流れでちょうどいいかなと。まあいうふうにあの思ってんだけどもね。売れてるとやっぱり関東近辺が多いですよね。ただでも沖縄とか北海道のお客さんにも送ったりしてますけども、やっぱり関西の方はままかりの方がなんか主流になっているようで、発信方法を色々考えながらですね。今度、若い層にちょっと向けて、食べ方も、色々工夫しながらやっていきたいと、そういうふうに思ってるんですけど。

岡山の方でも小魚の酢漬け「ままかり」が人気ですが、九十九里のイワシも全国に知られてほしいですよね。お話にあったとおり、全国から注文がくるそうですので、ふるさと九十九里の味が どんどん広がっているのが嬉しいことですよね。

昔からのスタイルや味をキープしながら、新しい若い世代にどうアプローチしていくのか、ここ、結構大事なところだと思います。 そのあたり、色々と古川さんにはアイデアがあるようなんです。

古川さん:今はですね、このものをそのまま食べるというのが今主流なんですけども、これからはですね、例えばイタリアンまたフレンチにね。まあ使えるような、食べ方をしていただきたいなと。なんかね私も発想だけはそういう発想なんですけども、意外といけるような気がするんですけども、何しろ今までの食べ方をまたそれに付加価値をつけて、それをあの買ってくれた人が食べていただいて、その反応を聞きたいですね。一度ですね、カネヨン水産のこのゴマ漬けを購入していただきですね、それでその皆さんにこれはこういうした方がいいよと、評価もまたいただきたいし。私もゴマ漬けはねこれからも続けていきますので、原料も豊富にありますので。今年はいいものを納められますので、よろしくお願い致します。

今年の冬は安泰ということでホッとしています。ところで、 イタリアンとかフレンチなんていう言葉が出てきましたけど、よくよく考えたら、カタクチイワシの塩漬けを発酵させたものは「アンチョビ」ですからね。ジャパニーズスタイルアンチョビってことでいいんじゃないでしょうか?

古川さんは、これから、九十九里の味、そしてイワシの味をもっと広めていくには、和食以外にもごま漬けが使えるのではないかと感じているようなんです。コメントでアイデア募集されていましたけど、ごま漬けを使った洋食も食べてみたいですね。海外の方々にも受けそうですよね。

そして、ここだけの情報ですが、いわしがあがった日には、冷凍せずに加工した出来立てのごま漬けが買えるということで、そろそろ時期かなと思ったらお店に電話で問い合わせしてその日にあわせて買いにくるリピーターさんも多いそうです。出来立ては、プリプリ感がさらにいい感じなんですって。詳しくはカネヨン水産の公式サイトをご覧ください。

https://kaneyonsuisan.com

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