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水中写真家「峯水 亮」〜不思議な浮遊生物「クラゲ」にときめいて

2026/7/5 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、水中写真家の「峯水 亮(みねみず・りょう)」さんです。

 峯水さんは1970年、大阪府枚方市生まれ。20歳の時に友人に誘われて、関東で人気のダイビングスポット、西伊豆大瀬崎で、初めてダイビングを体験。

 真冬の一月、水温15度くらいの海にスウェットを着て潜ったら、カラフルな魚たちや大きなイソギンチャクなど、まるで水族館で見たような光景にすっかり魅了されたそうです。

 その体験から、ダイビングを仕事したいと思い、西伊豆大瀬崎で7年間、ダイビングガイドとして活動。1年に300日ほど潜るというダイビング漬けの日々を送っていたとか。

 そんな中、もっともっと多くのかたに海の素晴らしさを伝えたいと思うようになり、水中写真家に転身。1997年からフリーの写真家として活躍されています。

 峯水さんは国内外の海で、大きなクジラから小さなプランクトンまで、様々な海洋生物や海辺の風景を写真や映像に収め、その作品で「日経ナショナルジオグラフィック写真賞」グランプリ賞を受賞されたこともある、世界的に注目されている写真家なんです。

 そんな峯水さんの新しい本が「ときめく図鑑Pokke!」シリーズの一冊として出版された『ときめくクラゲ図鑑』。この本には、峯水さんが出会ったクラゲの中から特におすすめのクラゲが美しい写真とともに紹介されています。

 きょうはその図鑑を参考に、不思議な浮遊生物「クラゲ」の魅力や知られざる生態のほか、峯水さんの専門とも言える夜の海に潜る「ブラックウォーターダイブ」の醍醐味などうかがいます。

☆写真協力:峯水 亮

峯水 亮さん

クラゲはプランクトン!?

※改めてなんですが、クラゲがどういう生き物か、教えてください。

「生物の分類としては刺胞動物の仲間なんですね。サンゴとかイソギンチャクとかと同じ仲間です。分類で言うと刺胞動物なんですけど、プランクトンっていう括りに当てはまっています。

 プランクトンは日本語で言うと浮遊生物なんですけど、自分の力で泳ぐというよりも、潮に流されながら漂ったりする、そういった生き物を表す言葉なんですね。

 で、みなさんがイメージするクラゲはお椀型の傘があって、その下に足があってっていう感じのクラゲをイメージされるかもしれないですけど・・・。この本を見ていただくとわかるんですけど、実はそういう形だけじゃなくて、四角いクラゲだったり、すごく細長いクラゲだったり、いろんな形があって面白いです」

写真協力:峯水 亮

●クラゲの体ってほとんど透明ですよね。これはどうしてなんですか?

「クラゲってほとんどが水分なんですね。ゼラチン質で海水と似たような成分だから、透明だと言えるんですけど、それは外敵から見つかりにくくするためだと考えられます」

●体の構造って、どんなふうになっているんですか?

「みなさんがよくイメージする一般的なクラゲはとてもシンプルで、プルプルしたゼリー状の傘があって、その下に口があって長い触手がある。その傘をゆっくり動かして泳いで、この触手で小さなプランクトンなどを捕まえて食べたりしています」

●脳はあるんですか?

「人間の体の作りと同じような特定の場所を、脳と呼ぶような部位はないんですけど、そういう意味では体全体が脳だと言えます」

●クラゲって水中をふわふわ漂っているイメージがあるんですけれども、自分の意志で動いているわけではないんですよね?

「ただ流されているわけじゃなくて、傘をパクパク動かして、ある程度は自分で泳いでいると思うんです。ただし、魚みたいに力強く泳いで海流に逆らって進むことはできないので、大きな潮の流れに任せながら、少し向きを変えたり、上下に動いたりっていうイメージですね」

写真協力:峯水 亮

●クラゲが食べるのは、プランクトンだけなんですか?

「まあなんでも食べるんですけど、魚ももちろん食べたりしますし、中にはクラゲがクラゲを食べる、そういった種類もいます」

●え〜っ! クラゲは、どうやって増えていくんですか?

「クラゲは基本的にはオスとメスがいるんです。卵と精子で受精して小さな幼生になって、海に漂い海底にくっついて、ポリプっていう状態になるんですね。ポリプ自体は無性生殖で分裂しながらどんどん増えていって、このポリプ自体がまた赤ちゃんクラゲを生み出すんです。

 なので、クラゲはふた通りの増え方があって、ポリプは無性生殖で増えて、クラゲ自体は有性生殖で増えるっていう増え方です」

●寿命はどれくらいなんですか?

「寿命自体は種類によっても違うんですけど、だいたい数ヶ月から1年くらいのものが多いですね」

(編集部注:夏の海水浴シーズンになると、クラゲに刺されたという話を聞きますが、そのことを峯水さんにお聞きしたら、クラゲは触手の中に「刺胞(しほう)」という小さな細胞があって、刺激に反応して毒針を発射するとか。クラゲが攻撃するというよりは、反射的に刺すんだそうです。海水浴に行って、クラゲを見つけても、不用意に触ったりしないようにしましょうね)

海の中の「宝石」に魅せられて

※峯水さんがクラゲに興味を持ち始めたのは、ダイビングを始めた頃で、すでに35年くらいは経っているそうです。クラゲのどんなところに惹かれたんですか?

「海の中でクラゲって、あまり注目されるような生き物じゃないんですけど、実際、写真を撮ってみるとすごく綺麗というか、海の中の宝石のような存在なんですよね。だから最初はそういう見た目が綺麗だなっていうところから興味を持ちました」

『ときめく図鑑Pokke! ときめくクラゲ図鑑』

●本当に美しいですよね。今回の図鑑にはおよそ90種のクラゲが掲載されていますけれども、これまでに何種類くらいのクラゲを撮影されたんですか?

「おそらく400種ぐらいは撮ったかと・・・」

●え〜っ! 日本には何種類くらいのクラゲがいるんですか?

「日本にはだいたい600種ぐらいですね」

●そんなにいるんですね! 世界だと・・・?

「世界だと4000種近くいるって言われています」

●撮影した中でいちばん小さなクラゲは、どんなクラゲでしたか?

「小さなクラゲは実はすごく多くて、傘の大きさで1ミリぐらいしかないものがかなり多いですね。名前も『コツブクラゲ』とか・・・本当に1ミリくらいのクラゲがたくさんいます」

●逆に大きいクラゲもいるんですか?

「そうですね。大きいクラゲは、日本でも時々現れる有名な『エチゼンクラゲ』っていうのがいます。エチゼンクラゲとかはかなり重くて大きくて、(傘の)直径が2メートル近くあるものもいます」

写真協力:峯水 亮

●ええ〜っ! 大きいですね! 

「クラゲの分類の中で『クダクラゲ』っていう種類は、よくある丸い傘のようなものはまったくなくて、食べるグミのような弾力のある、かくばったゼラチンのようなパーツがたくさん集まって構成されているようなものもいます」

●峯水さんが出会った中で、びっくりしたクラゲとかっていますか?

「最近、新種として発表した、沖縄の海で採取した種類で『シライトトンボダマクラゲ』っていうのがいるんですね。これは傘はあるんだけど、触手がないんですね。

写真協力:峯水 亮

 で、触手がないってことは餌をどうやって捕まえているのかなって(笑)、でも口はあるんですよ。なので、どうやって餌を捕まえているのかっていうのが、未だに謎なんですけど、そういったクラゲも最近見つかっています」

光るクラゲ、若返るクラゲ!?

※光っているクラゲもいますよね。光るのは自ら光っているんですか?

「そうですね。発光するクラゲとして有名なのが『オワンクラゲ』というクラゲなんですね。そのほかにも『チョウクラゲ』というのが、発光する種類として知られています。

 ちょっと難しい言葉なんですけど、『ルシフェラーゼ反応』っていう、酵素と酸素が反応して光る現象なんですね。これはクラゲの傘の中にそういう成分があって、それが周りの酸素と結合することによって、バッと化学反応として光るんですけど、こういった光るクラゲが知られています」

●自然界の中で、クラゲが果たしている役割みたいなものってありますか?

「そうですね・・・あらゆる生き物の隠れ場所だったり、あと餌を捕るための道具として使われていることもありますし、時には動物たちの餌となっていることもあります。

 クラゲってよく栄養がないって言われるんですが、正確には水分が多いので、魚とかに比べるとカロリーは低いんですね。でもクラゲの体の中にはタンパク質とか脂質とかの栄養がちゃんと含まれていて、ウミガメとか甲殻類とかがクラゲを積極的に食べているんですね。

 ある意味、クラゲってそんなに泳がないので、捕まえやすかったり消化しやすかったり・・・大量にいるので、彼らにとっては餌としては、すごく楽に捕まえられる重要な資源になっていますね」

●図鑑に、地球上でいちばん長生きするという「ベニクラゲ」、不老不死のクラゲとして注目されているっていうふうに書いてありましたけど・・・。

「自分たちは生まれてから、どんどんどんどん歳を取るだけだと思うんですけど、ベニクラゲの場合は、歳を取ってからまた赤ちゃんに戻ることができるんです(笑)」

●え〜〜っ、若返るんですか?

「若返るんですよ(笑)。なので、環境が悪くなってクラゲとして生きていけないなと思ったら、ちょっと前に戻って・・・要はポリプみたいな形で元に戻っちゃうんですよ。

 だから、地球上で何か天変地異が起きたとしても、ベニクラゲとか、そういった不老不死のクラゲたちは、若返ってその状態でやり過ごして、また環境がよくなったら戻るというような、そういったことがおそらくできるんじゃないかなと思います」

●どうして若返ることができるんですか?

「実はそのベニクラゲだけじゃなくて、何種類かそうやって若返ることが知られているんですけど、面白いですよね」

●形も変わるっていうことですよね?

「そうですね。形もクラゲからポリプに戻ることができるんですよ」

●面白いですね。ほかにも図鑑に水中でチョウのように羽ばたく「チョウクラゲ」というのも載っていました。美しいですね。

「そうですね。このクラゲも先ほどちょっと話したんですけど、光るクラゲとして有名です」

●本当に形がチョウのような、羽ばたいているような感じですよね。

「そうですね」

●このままチョウのように、羽ばたくようにしながら泳いでいくんですか?

「はい、本当に“パタッパタッパタッ”という感じで羽ばたいています」

夜の海に潜る「ブラックウォーターダイブ」

※峯水さんのオフィシャルサイトに、一般参加者と行く「ブラックウォーターダイブ」というツアーが載っていました。このブラックウォーターダイブというのは、どんなダイビングなんですか?

「基本的に夜の海を潜るダイビングなんですけど、潜る場所が普通のダイビングで潜るような場所じゃなくて、外洋に出て潜るんですね。つまり夜の外洋を潜るダイビングです。

 自分が今やっているのは、だいたい港から1時間ぐらい沖に出て行って、水深が1500~1600mぐらいの海の表層を潜っているんですね。なので、周りには何もない真っ暗な海だけがある、そういった場所です」

●ブラックウォーターダイブで潜っている時は、みなさんライトを持って潜るっていう感じなんですか?

「そうですね。基本的には真っ暗な海にライトを持って漂っているんですけど、実際はブイを浮かべていて、そこからロープが垂らされていて、そこに目印になるようなライトがついているんですね。

 なので、ブイの周りは真っ暗じゃないんですけど、ダイバー自体はそのブイを目印にして、だいぶ離れたりして泳いでいるんで、実際にダイバーが泳いでいるところは完全に真っ暗なところですね」

写真協力:峯水 亮

●どこを見渡しても360度、真っ暗っていうことですね?

「そうですね」

●夜の海って怖いイメージがありますけれども、そんなことはないですか?

「真っ暗なんで、やっぱりなんとなく怖いイメージがありますけど、自分は慣れてしまっているので(笑)、それが当たり前というか、水中ライトを持って泳いでいるんで、そんなに怖くはないですね」

●しっかり準備をすれば、大丈夫っていうことなんですね?

「そうですね」

●昼間にはない魅力がたくさんありそうですけれども、具体的にどんなところがおすすめですか?

「特に出会う生物が、普通のダイビングではまず出会えないような生き物ばかりに出会います。例えば、深海魚の稚魚だったり、いわゆるみなさんが知っている魚たちの小さい時の時代ですね。

 本当に潜るたびに新しい発見があるんですけど、そういったなかなか普段は出会えないような生き物にたくさん会えるのっていう、そういった魅力があります」

●被写体がライトに映し出されると、見え方も違いますよね?

「そうですね。透明な生き物が多いっていうのがあるんですけど、ライトに当たるとやっぱりキラッと宝石のように輝いて見えるんですよね」

海は「教科書」!?

※夜の海に限らず、海中での撮影は海流もあるので難しいと聞きます。なにかコツのようなものはありますか?

「自分が実際に潜っている場所は、外洋の潮の流れのある場所なんですね。実はそこに入ると自分自身も同じように潮と一緒に流れているので、特に潮に逆らって泳ぐことっていうのは全くないんですよ。

 ただ単に海の中で(体が)浮いているだけなので、そんなに難しくはないですね。もちろん海底が見えないような場所にいるので、自分がどの水深にいるかっていうのは注意してないと、どんどん沈んでいったり、逆に浮いていったり、そういった水深がわかりづらいっていうのがあるんですけど、それをさえ注意していれば
大丈夫ですね」

●小さな生き物を撮影するのも、かなり大変じゃないですか? 難しそうですよね?

「そうですね。それはすごく難しいですね(苦笑)。(生き物を)見つけたとしてもカメラのファインダーを覗いている間に見失ってしまうこともたくさんあるので、難しいですね」

写真協力:峯水 亮

●ピントを合わせるのも大変そうですけど・・・。

「そうですね。本当にそれはすごく難しいです」

●ファインダー越しに、被写体の生き物と目が合ったりとかってあるんですか?

「常に相手の目がこっちとコンタクトできるような感じでアプローチしているんですけど、向こうが(自分を)見ているなっていうのを感じることがたまにあります」

●海の中に長い時間いると、どんな気持ちになりますか?

「僕にとっては海の中っていうのは、結構当たり前のような時間になってきていて、海と一緒に、その被写体と一緒に自分がまるでプランクトンになっているような感じで泳いでいるんです。生き物との境がないというか、自分も彼らと同じような気持ちになって海を漂っています」

●海との一体感っていう感じなんですね?

「そうですね」

●海中で撮影している時は、どんなこと考えているんですか?

「珍しい生き物とかに出会うことがあるんですけど、その時に“わっ!”と自分が興奮してしまうと、大抵その撮影は失敗してしまうんですね。だから、出会った瞬間とか冷静にして、とにかくこれを写真とか映像にちゃんと撮って、ほかの人に見てもらえるように撮ってから、何かじわじわと興奮が現れてくるというか・・・撮影している間はすごく冷静ですね」

●そうなんですね。何度も聞かれているかも知れないんですけれども、峯水さんにとっ「海」とは・・・?

「自分にとっては、本当にいろんなことを教えてくれる教科書のような存在です」


INFORMATION

『ときめく図鑑Pokke! ときめくクラゲ図鑑』

『ときめく図鑑Pokke! ときめくクラゲ図鑑』

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◎山と渓谷社:https://www.yamakei.co.jp/products/2826050310.html

 峯水さんのオフィシャルサイトでは、様々な海洋生物や海辺の風景など、素晴らしい写真を見ることができます。また、ブラックウォーターダイブの情報も載っていますよ。

◎峯水 亮オフィシャルサイト:https://www.ryo-minemizu.com

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