2026/7/26 UP!
◎なかじ(麹の専門家、麹文化研究家)
『生き方、考え方のヒントにもなる「発酵」〜「麹」に生かされている日本人』(2026.7.26)
◎清水国明(アウトドアズマン)
『番組恒例企画!「清水国明」さんの定点観測31回目!〜ウイスキーづくりに、つながり応援、さらには遠隔医療!?』(2026.7.19)
◎山上剛史(「ChopValue Japan」の代表)
『シリーズ「SDGs〜私たちの未来」第28弾!〜割り箸のアップサイクル「ChopValue Japan」』(2026.7.12)
◎峯水 亮(水中写真家)
『水中写真家「峯水 亮」〜不思議な浮遊生物「クラゲ」にときめいて』(2026.7.5)
2026/7/26 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは麹の専門家、麹文化研究家の「なかじ」さんです。
「なかじ」さんは千葉県香取郡にある、350年以上の歴史を誇る酒蔵「寺田本家」で、「蔵人」として日本酒づくりに携わり、醸造の技術や麹づくりを習得。
2018年からは、家庭の麹づくりを広める「麹の学校」を運営するなど、麹のスペシャリストとして活躍されています。そして先頃、『発酵を考えるヒント』という本を出されました。
そんな「なかじ」さんに日本人の食生活や健康には欠かせないと言ってもいい「発酵」と「麹」について、いろいろお話をうかがいます。
☆写真協力:なかじ

お米に白い毛がふわふわふわ
※「なかじ」さんは1979年、大分県生まれ。学生の頃にバックパッカーとして海外へ。旅に出たのは、地平線が見えない地域で育ったので、地平線とそこに沈む夕陽を見たいという理由で、まずはモンゴルを目指し、その後、中国、東南アジア、ヨーロッパなどを、あしかけ2年かけて巡ったそうです。
そんな「なかじ」さんが、どうして千葉県の酒蔵「寺田本家」で酒づくりに従事することになったのか。そこには不思議な巡り合わせがあったんです。
旅に出る前から民謡や民俗芸能に関心があった「なかじ」さんは、特に日本の各地に残る伝統的な「仕事歌」が好きで、覚えては歌っていたりしたそうです。海外の旅から帰国後、知り合いに連れて行かれたのが、なぜか、寺田本家。
日本酒を造る時の仕事歌を知っていた「なかじ」さんは寺田本家の先代の前で、その歌を披露したところ、先代がいたく気に入り、その冬に始まる酒づくりに誘われ、アルバイト感覚で参加したら、それが仕事になったということなんですね。
当時「なかじ」さんを含めて、日本酒づくりに参加した5人は、なんと、みんな素人。そこでお酒づくりの責任者「杜氏(とうじ)」が作業の合間の休憩時間に日本酒づくりのイロハを、まるで大学の講義のように黒板に書いて教えてくれたそうですよ。
●まずは「なかじ」さんに日本酒づくりの工程を教えていただきました。
「まず、お米を洗って浸漬(しんせき)して、水を吸わせて、そして翌日蒸して、蒸し米ができたら、それを麹にする。3日間、麹にして、そこから酒房(しゅぼう)に発酵する素であったりとか仕込みだったり、大きなタンクに仕込んだりとかっていうふうに割り振っていくって感じですね」
●麹と向き合う日々で、どんな思いが芽生えましたか?
「最初は蒸し米に対して、麹のタネである種麹(たねこうじ)っていう、ふわふわっと目に見えない小さな胞子なんですけども、それを振りかけて3日間、温かい所に置いとくと、蒸し米の表面に白い毛がふわふわふわ~っと付くんですよね。
それを夜、麹室の蓋を開けて覗いてみると、お米の全面に白い毛のような感じがふわふわ~っと生えていて、それを見た瞬間、やっぱり感動しましたね。これが麹なのか! って・・・」
●そうなんですね。で、麹にどんどん魅了されていったという感じなんですか?
「そうですね。もちろん麹だけではなくて、お酒づくりの現場なので、お酒のもろみであったりとか、酵母菌や乳酸菌の活動とか、いろんな菌が働くんですね。今まで菌が働くとか発酵とか、その歳までは人生で意識したことなかったんです。
発酵の現場に入って、目の前で目に見えない菌が動いているのを直に見せられて、お米に白い毛が生えることであったりとか、お酒のもろみ発酵、タンクであれば、お米と水を入れていたものがポコポコって泡が立ってくるとか・・・。
泡が立ってくる現象と同時に良い香りがしたり、フルーツのような香りがしたりとか、舐めてみたら甘くなっていたりとか、五感に入ってくる微生物の命の活動がダイレクトに堪能できるっていうか・・・。
微生物って本当に目の前にいて、こうやって人間に影響を与えるほど生きているんだっていうのをそこで改めて見て、麹やお酒の微生物の活動に感動したっていうのがきっかけですね」
●普段は、なかなか目の当たりにできないですよね?
「そうですね」
●結局、何年ぐらい寺田本家にいらしたんですか?
「8年ぐらいいました」
●麹専門家の原点ですね。

ありがたい「ニホンコウジカビ」
※初歩的なことになりますが「発酵」とはなにか、教えてください。
「発酵って実はその定義は非常に曖昧だったりして、一義的には微生物が有機質を分解代謝して、それが人間にとって有効的であれば発酵、それが人間にとって害があれば、腐敗っていうふうな分け方がありますね」
●確かに発酵と腐敗の違いって曖昧な気もしますけど、有益かどうかっていう違いなんですか?
「いちばん大きな視点としては、まずそこがありますね。でもひとことに発酵と言っても、例えば日本人にとって豆が腐る納豆は発酵と見ていて、日本人が納豆を美味しく食べたり、納豆の香りも日本人は“いい香りだな~”って嗅ぐことができますけども、それが欧米系の人にとっては、大豆が腐るのは腐敗なわけであって、かつ納豆の匂いというものも、なんか嫌な匂いだったりとかするわけですね。
このように文化的な背景とか、あとは知識とか、その人の胃腸の強さとか、許容範囲とかでも違ったりします」
●なるほど。発酵する微生物で、人間に有益なものの代表が麹菌っていうことなんですか?
「そうです。麹もカビなんですよ。麹の和名としての正式名称が『ニホンコウジカビ』っていうんですね。なので、コウジカビであってカビの仲間ですね。カビの仲間なんですけども、日本人とは非常に歴史が長くて、人間にとって有益ないろいろな代謝物を作ってくれるカビです」
●麹菌は何種類ぐらいあるんですか?
「現場でよく使われるのは大きくは3種類ですね。お米を分解するのは『アスペルギルス・オリゼー』、お醤油を造る『アスペルギルス・ソーヤ』、あとは沖縄とか九州で焼酎を造る麹菌があって『アスペルギルス・リューチューエンシス』っていう、この3種類がよく使われていると思います」
●確かにお酒や醤油、味噌を造るのに欠かせないものですよね。用途によって使う麹菌が異なるっていうことなんですね?
「そうですね。麹によって、お米を食べたり大豆を食べたりするときに、まずはお米が好きな麹菌とか、大豆が好きな麹菌とか、その麹菌によって繁殖しやすい環境があったり・・・。繁殖しやすい環境プラス、麹菌のいちばんの特徴としては酵素っていうのを出すんですよ。
酵素は、人間で言うところの唾液とか腸液とか・・・人間もご飯を食べて唾液で溶かして飲み込んで、腸液でご飯のでんぷん質を溶かして、ブドウ糖にして細かい単位にして、腸の壁から吸収することで栄養にすることができるんですね。
いろんな食べ物、ご飯だったりお肉だったりを分解して細かくしてくれるものが、酵素っていうものなんですね。生物はみんな持っているんですよ、この代謝する酵素っていうのを・・・。人間の体外で微生物が分解してくれる時に使うのが菌の出す酵素。
やっぱり麹菌はこの酵素をたくさん持っていて、人間の生活圏で必要な酵素を、だいたいほぼすべて麹菌は持っているって言われています。なので、麹菌はこの酵素が非常に豊富で、量の多い菌のひとつなんですよね」

「麹」から作られたものが和食
※「麹」は、日本の国の菌「国菌」に認定されているそうですね。それほど、日本人には重要な菌なんですね?
「そうですね。日本の和食、日本人たるアイデンティティとして、まず和食があると思うんですけれども、この和食の基本調味料があるんですね。
食文化は、日本だったり中国だったり、イタリア、フランスとか、いろんな民族のいろんな地域にその民族特有の食文化があって、その食をずっと小さい頃から食べていて、それで自分たちはこういう国の人間なんだなって認識していくと思うんです。
和食の場合はその基本調味料に味噌、醤油、お酢、お酒、みりんがあると思います。この基本調味料が全部、麹から作られているんですよ」
●確かに、そうですね。
「ということは、和食は麹から作られているんですね。麹から作られた基本調味料、それを海の魚とか山のものとか野菜に使って調理したものが、“和食”って定義できるわけですよね。
それを食べているのが“日本人”なので、日本人は和食の基本調味料、味噌、醤油を通して、ずっと麹を摂取し続けてきた民族と言えるんですね」
●なるほど。海外はどうなんですか? 麴菌は?
「カビ食文化はあるんですけども、麹菌はいわゆる単菌で、一種類の菌アスペルギウス・オリゼーだけを使うことはあまりなくて・・・。
もちろんアジアにもカビ食文化っていうんがあるんです。それが朝鮮半島だったり中国だったり、あと東南アジアにも多様なカビを培養して、それで味噌のようなものとか、お醤油やお酒を造るっていうカビの文化圏はあります。もっといろんな違うカビだったり、雑多なカビを使ったりするんですね。
ヨーロッパに行くとそれが酢酸菌だったり、ピクルスとかザワークラウトの酢酸菌だったり、ヨーグルトを作る乳酸菌だったり、あとはエジプトにもあるようなビールの酵母菌だったり・・・。
その民族の収穫した穀物の種類とか、あとはそこに住んでいる地域の環境温度や湿度によって、どういう微生物が優位に繁殖しやすいのかが変わってきて、それで民族ごとに使っている穀物と微生物がだんだん決まってきます」
●麹の発酵は、日本人の知恵と言っていうことですよね?
「そうですね」
●すごいことですよね。日本人が麹菌の存在に気が付いて、それを発酵させて食べるものに生かすようになったのは、いつ頃だったんですか?
「史実で残っている範囲で奈良時代700年代ですね。600年後半から700年代って言われていて、奈良の平城京の周りの木簡からお酒を造っていた記述が出てきたりとか・・・。
あとは、いろんな地方の風土記、その国の風土を書き残した文献があるんですけれども、『播磨の国』風土記にもお米を蒸して潰して、お餅にしたものを神様にお供えして、そのお供えしたものに自然に生えてきたカビ、そのカビを壺に投げ入れて発酵させてお酒を造って、それをみんなで呑んで楽しく酔っぱらって騒いだっていう記述があるくらいなので、700年代頃にはすでに記述としてカビを使っていたっていうのが残っています」
日本の発酵文化、膨大な情報量

※ここからは「なかじ」さんの新しい本『発酵を考えるヒント』について、お話をうかがっていきます。まずは、どんなコンセプトで書かれた本なのか、教えてください。
「僕は麹がすごく好きで、麴のことをいろいろ勉強してきたんですけれども、麹のことを知りたいなって思って、日本のいろんな麹、味噌屋さんとか酒屋さんとかいろんなところを訪ねていくと、実は麹であったとしても、日本酒の酒屋さんが作るる麹と、味噌屋さんが作る味噌の麹、醤油屋さんが作る醤油麹、焼酎屋さんの焼酎麹とか、麹でもたくさんあるんですよね。
なので、麹の世界もすごく膨大で、僕は酒屋から入ったので米麹を作るんですけども、別の専門家では麦を作る麦麹の職人さんがいたりとか、大豆で作る豆麹の専門家がいたりとか、それぞれの職人さんがいます。
その職人さんは一生かけて、その技術を磨いているわけですよね。またそれを研究している研究者のかたもいます。
麹菌の研究をする研究者とか、醤油の研究者とか味噌の研究者のかたがいて、それぞれがずっとそのことを研究していて、新しい技術や発見を発信し続けているんですよ。
すると、麹のことに限っても僕ひとりですべての、日本の麹文化を把握することが無理な情報量が毎年のように発信されているんですね。なので、自分だけで勉強したいとか、自分だけで勉強したりとか、自分の経験だけで知ろうと思っても無理だなって思っています。
最近、発酵がメディアとかSNSとかで注目されてきて、日本の発酵文化も世界的に注目されているんですね。これを発酵っていうふうに広げてみても、日本の中にはいろんな発酵文化があって、いろんな発酵の分野、それこそさっき言ったように職人さんもいるし、専門家もいるし、研究者もいるし、その周りの発酵系のメディアのかたとか情報発信されているかたもいて、膨大な情報量が日本の発酵文化の中にはあると・・・。
日本の発酵文化って何だろう? って思った時に、その全体像に触れられる人がいない、それぞれがその分野の専門家ではあるんですけれども、全体像を把握出来ている人は誰もいないんですよ」
●なるほど。
「なので、この本を通して、まずそれぞれの専門家にその専門の道の発酵を聞いていきたいと・・・ひとりではわからなかった知見や情報を長年研究されてきたとか、長年携わってきた職人さんに、その視点でその人の分野の発酵を教えてもらおうと・・・。
その情報を一冊に集めることによって、日本の発酵文化の輪郭をまず知りたいっていうのが、この本のきっかけです」
(編集部注:「なかじ」さんの本に登場する専門家9名のかたの中には、以前この番組にご出演いただいた発酵デザイナーの「小倉ヒラク」さんや土の研究者として知られる「藤井一至」さんのほか、600年続く種麹メーカーの29代目当主「村井三左衛門」さん、腸内細菌研究の第一人者「内藤裕二」先生も登場。
各分野の専門家との対話に、日本人の知恵や食文化、そして発酵や微生物の奥深い世界を感じ取ることができますよ)
麹をポケットで作る!?
※本に「ポケットで仕込む麹の作り方」が載っていました。そんなことができるんだ! とちょっと驚いたんですけど・・・どんな作り方なのか、かいつまんで解説していただけますか。
「これは蒸米に先ほどいった麹菌のタネをふりかけて、それを食品用のビニール袋で包んで封をして、自分のポケットに入れるんですよ。そして自分の太ももで温めて3日から4日で麹を育てるという方法ですね」
●すごいですね。人の体温は麹を作る上で、適温ってことなんですか?
「実は麹菌が成長する最も適温が約35度なんですよ。人間の体温は36度から37度なので、人間の体温で温めていくと、麹菌にとっていちばんの成長適温になるんですね」
●ポケットの中で育つって面白いですよね。
「結構よく育つんです」
●寝る時も寝床に持って行くって、本にも書かれていましたけれども(笑)
「そうですね。一緒に寝ます(笑)」
●夏休みの自由研究とかにもいいですよね。
「そうですね。ラジオを聴いているかたに補足をしておくと、ビニール袋に入れて温めるだけだと、酸欠になって(麹菌が)死んでしまうので、基本的には人間と同じような環境だと思っていただいて、たまに(ビニール袋の)口を開けて、新鮮な酸素を補給してあげるってことを3日間続ける必要がありますね」
●詳しい作り方は、本で確認していただきたいと思います。「なかじ」さんは普段の生活でも麹とか発酵に向き合っていらっしゃるんですよね。具体的には何か考え方とか生活の基準に発酵があったりするんですか?
「そうですね。寺田本家の先代に教わったことってすごく大きくて、いちばん衝撃だったのは、酒屋さんの技術的な発酵っていうよりも、先代の社長が会社経営に発酵的な視点とか、街づくりを発酵的な視点で考えていらして・・・。
会社っていうと、いかにビジネスとして、うまくやっていくのかとか、成功するのかとか、お金儲けってことを考えがちってあると思うんですけど、寺戸本家はお金を儲けるとか、ビジネス的にうまくいくとかっていう視点じゃなくて、いかに発酵させるかみたいな価値観で運営されているんですね。
その時に結構、衝撃を受けて、発酵は食品だけじゃなくて、人間が生きる方向性としてうまく活かせるとか、成功するとかじゃなくて、発酵するっていう言葉で考えて、どっちの方向に行ったら発酵するかなとか、どの選択が発酵するかなっていう言葉で考えるとうまくいくんだ! みたいなのを、まざまざと見せつけられて、それがすごく自分の中で価値観が変わりましたね」
●この本『発酵を考えるヒント』や今後の活動を通して、どんなことを伝えていきたいですか?
「まず生活の中に発酵を取り入れるっていうこと。それを通して見えない命が自分たちを活かしているんだってことを体感してほしいなって・・・そのきっかけに発酵がなれたらな嬉しいなって思いますね」
●では最後に「なかじ」さんにとって発酵とは?
「生きる指針、ですね」
INFORMATION
「なかじ」さんの新しい本をぜひ読んでください。私たち日本人の食生活や暮らしに根付く「発酵」を、いろんな視点で見つめ、その歴史や不思議を紐解いた「発酵のエンサイクロペディア」とも言える本です。先ほどお話にあった「ポケットで仕込む麹の作り方」も載っていますよ。ご家庭に一冊、この『発酵を考えるヒント』はいかがでしょうか。
エクスナレッジから絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎エクスナレッジ:https://www.xknowledge.co.jp/book/9784767835600
「なかじ」さんが運営されている、ご家庭に麹を広める「麹の学校」についても詳しくは、オフィシャルサイトを見ていただければと思います。
2026/7/26 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. GLOW / KATY ROSE
M2. BACK TO THE START / MICHAEL SCHULTE
M3. INVISIBLE TOUCH / GENESIS
M4. HOMEGROWN / MISHKA
M5. Sunny / milet
M6. CHANGE THE WORLD / ERIC CLAPTON
M7. THE CLIMB / MILEY CYRUS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/7/19 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、番組の恒例企画! アウトドアズマン「清水国明」さんの定点観測です。
清水さんは、1970年代から80年代にフォークデュオ「あのねのね」、そして芸能界で大活躍! その後、オートバイのレースに挑戦、鈴鹿8時間耐久レースに出場し、完走。
90年代からは、アウトドア活動に夢中になり、河口湖に「森と湖の楽園」、瀬戸内海の無人島「ありが島」に自然体験施設を開設。ほかにも茨城県常総市にキャンプ場「くにあきの森」を整備するなど、実業家として、いろいろな事業を手がけていらっしゃいます。
清水さんには毎年ご出演いただき、その時、どんなことに夢中になっているのかをお聞きする定点観測をさせていただいているんですが、今回でなんと31回目! つまり、30年以上にわたって、この番組とお付き合いいただいているんです。
去年は私、小尾が産休に入っていたので、代わって、同じ事務所の難波遥ちゃんにインタビューしてもらいました。なので、2年ぶりにお話をうかがうことになるんです。
きょうは、瀬戸内の山口県周防大島で取り組んでいるウイスキーづくりや、去年設立した一般社団法人「つながり応援」の活動のことなどうかがいます。
☆写真協力:kuniaki.plus

瀬戸内アイランドウイスキー、ミズナラの樽
※それでは早速、お話をうかがっていきましょう。
●まずは、この話題からおうかがいしたいんですけれども、清水さんは今年の1月に「瀬戸内アイランドウイスキー株式会社」の代表取締役に就任されました。おめでとうございます!
「ついにお酒をつくることになりましてね。ウイスキーの会社、瀬戸内アイランドウイスキーというので・・・ただ、ウイスキーね、あんまり飲まないんですよね(笑)」
●え〜〜っ!(笑)
「美味しいとか美味しくないとかってわかります? ウイスキー。どれも似たようなもので、ピリッとくるし、キリッとくるしと思ってたんですけれども、周りにウイスキーの大好きな人がおって、やろうよ、やろうよと・・・そうするとすぐ首突っ込むというか、担ぎ上げられるというか、気がついたら、またそこもやることに・・・」
●また新しい事業を始められたということですね。
「そうですね。今お世話になっている周防大島町では、蒸留所というのは初めてだったんで、場所を借りたりするのも、結構みなさん協力的で、ありがたいです」

●山口県周防大島に蒸留所があるということですね?
「そうですね」
●ウイスキーっていうと北海道とか山梨とか、寒い地域で醸造されているのかなっていうイメージがあったんですけど、瀬戸内でも作れるんですね。
「ええ、瀬戸内でも、というか、瀬戸内だからこそ、いいというね。っていうのは、台湾のウイスキーが今、賞を総なめにしているんですね。コンビニにも置いてあるような手頃なやつとか、すげえ高いのがあったりする・・・そういう台湾での蒸留、それから熟成ですね。
熟成がやっぱり温暖な気候が合うという、っていうことは、周防大島も瀬戸内のハワイと言われているところですから、これはバッチリじゃないかということで・・・。

場所的には今、体育館をお借りして、でっかい体育館の中にポツンと蒸留機が ひとつ置いてあるんですけれども(笑)、今それに付随施設をどんどん作っているところなんですね」
●もともと清水さんは、周防大島とのつながりがありましたよね。
「もう10年くらいかな。だから町も大変期待してもらっていますし、協力してもらっています」
●「瀬戸内アイランドウイスキー」で醸造するウイスキーには、どんな特徴があるんですか?
「私が代わりで、初代の社長から代わって真っ先にやったのは、ウイスキーってのは樽が命なんですね。カスクというね。それでその樽は国産のミズナラという、これがいちばんいいらしいんですけども、そのミズナラを伐採するという作業からやりました。
私は社長として、まず北海道の旭川の山に登りまして、チェーンソーを持って行ってミズナラを伐って・・・で、それを乾燥させて、樽を組む。新樽ですね。それにウイスキーの原酒をどどどっと入れると、もう香ばしいというか奥ゆかしいというか、ミズナラのエキスが出るという、そんなことをやりましたですね」

カスクオーナー制度、こだわりの水
※「瀬戸内アイランドウイスキー」ではウイスキーを熟成させるための木の樽「カスク」をまるごと買っていただくという販売方法をとっているそうです。そのあたりの説明をしていただきました。
「カスクオーナー制度っていうのをやっていまして、一瓶二瓶じゃなくて、樽ごと買ってよってお願いして・・・そうしたらカスクオーナーになってくれる人たちが、私の周りの人ばっかりだから、結構著名なかたとか経済界のトップレベルの人がどんどん買っていただいて、もう12樽売れましたですね、本当に。
その樽から400本取れるんです。700ミリリットルって言うのかな、普通のボトルね。実は正確に言うと268本しか取れないんです。樽からね。それは63度っていう強い酒が出る。
そのままだったら喉が焼けますから、加水って、水を加える。その水はいい水を使いたいんで、そのオーナーのかたがいちばん勧める水、もしくは生誕地っていう、その人の生まれた地域の水を使う。そうするとその人、独自のお酒になるんですよ」
●すごい! 特別なお水を使われるんですね。
「そうですね。ご存知ないかもしれませんが、私、清水という名前なんでね」
●存じ上げております(笑)。
「福井県の山奥の湧水育ちだったんで、家の横の谷のところに、ポコポコポコってずっと出ている湧き水を台所まで引いてきて、ずーっと流しっぱなしなんです。その水がやっぱり、気が付きませんけど、それで育つとやっぱり美味しいんですよね。
たまに帰って飲んだりすると、本当にこれは美味しいなって・・・そのぐらい生まれたところの水がその人にとってはいちばん美味しいし、その水でウイスキーを薄めると言ったらなんですけど、加水して43度にする。それでボトリングして、そうすると400本取れるんです。一樽でね。はい、そんなことやっています」
●上質な水を使うというのもこだわりなんですね。
「そうですね。日本の国産のミズナラの樽で、上質のこだわりの水でつくる。そしてさらにその中に、例えば桜のチップを入れたりですね。3年間熟成するんで、その間に通って試飲しながら、もうちょっとこんな味にしようとかって言ったり・・・。
今おひとかた、宇治のお茶屋さん、抹茶とか作っている人がその抹茶を入れようという話で、抹茶ウイスキーっていうやつで、今ちょっと流行っているらしいね、抹茶がね」
●いいですね!
「そんな遊び心もいっぱいのウイスキー、しかしその人の独自のオンリーワンな400本。で、これはもう言ってもいいんですけど、HISの澤田さんっていう創業者の『澤田ウイスキー』ってやつなんですよ。
ほかに、井川さんというかたは『井川ウイスキー』とかね。そのウイスキーを飲みながら、その人のことについて語るという、そういうシリーズなんです、これは。
ですから、このウイスキーは、その方のウイスキーというふうに紐付けて、いわゆる『リメンバーミー・シリーズ』というウイスキーにしているんです」

(編集部注:清水さんによると、カスクオーナーになると、周防大島にある蒸留所の視察や、ウイスキーの熟成度を確かめる試飲のほか、リゾート・アイランド「ありが島」で釣りを楽しみ、釣った魚をさかなにウイスキーを味わうなどの特典があるそうです。
この9月から、カスクオーナーや関係者を招いたツアーをどんどん開催していく予定とのこと。世界のひとつだけのウイスキーを所有する特別な体験ができる「カスクオーナー倶楽部」へのご入会、ぜひご検討くださいとのことですよ。
詳しくは「瀬戸内アイランドウイスキー」のオフィシャルサイトをご覧ください)
☆瀬戸内アイランドウイスキー:https://setouchiwisky.com
周防大島、深く付き合うと、面白い!
※清水さんは周防大島とのつながりが、ますます太くなっていますよね?
「ご存じないかもしれませんが、私は芸能人だったころ(笑)、今でも多少、芸能人ですが、芸能人って、いかに全国ネットかっていうことで、浅く広くをテーマにしとるんですね。
ただ、なんか周防大島というところにつまずいてしまって、ひっかかってポテッと倒れて、その人たちに助けてもらって、深く深く付き合っていくとすっげぇ面白いですよ。上っ面だけで全国を走り回っていたのかな、もったいないな~と。
一か所に留まって深くすると、何が違うって、いろんな仕事を頼まれるんですよ。ここの草刈してくれとかね(笑)。
廃校になったから、そこをなんとか活性化したいっていうので、やりましょう! ということで、先ほどのウイスキー工場も廃校だし、『ワーケーションビレッジ』っていう、スタートアップする人たちを応援するのも、5Gを使って、どこにいても仕事ができるということで・・・。
そういうようなお仕事とかライフスタイルとか、健康寿命を延ばすというような取り組みがそこでだったらできる。この付き合い方をこれからは(やっていきたい)。今、常総市という所にもキャンプ場を作って、茨城ですけれども、その次はニセコに今拠点を持とうとしています」
●すごいですね。
「ニセコ面白いですよ。今そんなことをやっています。きっかけは周防大島で、どっぷり浸かってみると全然違った魅力が見えてくるし、まあ田舎やから、僕も田舎もんやから言うけど、田舎の独特のいやらしさもあるんですけどもね(笑)。でもそれに慣れてくると、こんな心地いい所はないですね」
●周防大島の魅力を知れば知るほど、発信したいという気持ちも強くなってくるんじゃないですか?
「確かに、僕らは外から行った人間だから、その魅力がすごく明確にわかるんですね。そこに住んでいると、(地元の人は)“こんなとこ”って、自分を卑下したりしますけれどもね。
“これ凄いですよ! この海の色は最高!”とか“ガードレールの色がいいですね”とか・・・周防大島は、ガードレールの色がミカン色なんですよ。そこまでやるか、とかいって・・・全国どこへ行ってもガードレールはオレンジだ! ってみんな思っているんですけどね。いや、そんなことない(笑)。
釣り人、漁業組合に僕も入れてもらって、そこの仲間といろいろ話ししていると、釣りの奥深さというのかね。海の中の岩のありかとか、そんなことを・・・面白いですね」
>つながり応援、ライフワーク
※清水さんは 去年、設立された一般社団法人「つながり応援」の理事長としても活動されています。この「つながり応援」は、どんな目的で設立されたんでしょう?
「これは、地域の発展に寄与するということで、SNSとかそういうITを使ってですね。スマホを使って自分の好きな施設であるとか、お店とかを発信してもらう。
つまり、地域の企業とかお店が元気にならないと、その地域は元気にならないので、上から、例えば、行政の人とかお偉いさんが、“みなさん頑張りましょう!”って言うよりも、地域のひとつひとつのお店とか、みんなの活動、施設を応援することによって、そこが盛り上がってくるんじゃないかという、思いつきの発想がありまして。
最初は沖縄をやりました。それから周防大島のある山口県もやりました。宮城をやって、今は愛知県をやっています。すごい数の“アンバサダー”という、そういう地域を見つけて発信する人たちが、地図にポイントがいっぱいあって、まっ赤っかになるくらい、今いろんなところを発信して紹介してもらっている。それが活動のメインなんですけど、いろんな所でイベントやったりライヴやったりしながら、やっています」
●去年、周防大島で開催された町をあげての大イベント『つながり祭り』も、その一環だったっていうことですか?
「そうなんですよ。ところが周防大島、どこでもそうですけれども、人口が減ってね。“こんなところでお祭りやったってね(集まる)人が30人くらいかな”って町の人が言っているんですよ、役場の人がね。
それが我々の『つながり応援』の仲間の力でもって、SNSとかでいろんな発信したら、その島始まって以来の1600人が集って・・・30人が1600人だからね」

●すごいですね!
「地域の人も“何が起こったんじゃぁ~”というくらい、駐車場もいっぱいで、漁業組合長とか町長が駐車場係をしてくれましたけどね(笑)。これはSNSの力っちゅうかね。
仲間の清水アキラとか、いろいろ演歌歌手の人もボランティアで来てくれて、全員ボランティアでやっているんです。この『つながり応援』自体が県や町からお金をいただいているわけではいっさいないです。
全員がボランティアですから、私もボランティアですから、もうたいへん、台所(事情)がほんとうに交通費も出ませんから・・・けど、やって、そこでのつながりがどんどんどんどん広がりますから、それでなんとか生きているというような感じです。
それと今までやってきた宮城からホタテをいっぱい提供してもらったりと、そういうお互いのつながりで・・・。
僕がやっている防災(活動)もやっぱりつながりによって支え合うという、自助、共助、公助っていうけれども、友助っていう友達を助けるっていう気持ちで、友達のつながりがあれば、見捨てないじゃないですか。そういう意味でそういうつながりというものは、やっぱりこれからもずっと未来にも必要じゃないかなと思ってやっているライフワークですね
離島のつながり応援、遠隔医療
※今年、一般社団法人「つながり応援」として特に力を入れていくのは、どんなことですか?
「これはやっぱりSNSでみなさんに発表すると同時に、集まっていただいて、みんなで“つながりって大事だな”とわかってもらえるようなライヴ活動をやっておるわけです。
去年は『つながり旅』という全国旅やりましたけれども、今年はこの『つながり応援』の中で、離島ですよね・・・日本には『国境離島』といって離島が国を守っているという考え方もあるらしくて、離島を回りながら、みなさんに“離島はいいところですね。頑張ってくださいね“っていうようなつながりをひとつの柱としても、やっていきないなと・・・。
これ、話がそれるかもしれませんが、離島にいても、東京とか大阪とかの大都会のお医者さんとダイレクトにつながれるような遠隔医療とかもやっているんですよ。また話が複雑になってきている・・・(笑)。
遠隔医療のインフラって言うのが日本ではいちばん遅れているんですよ。電気や通信、道路と、そういうのは行き渡っているけれども、お医者さんを離島に連れてきても、みなさん早く帰ろうとされるし、専門医じゃないから、結局無理があるわけですよ。
ところが8Kという映像と、私がやっている5GというのとAIというので、映像をバチッと撮って、瞬時に送ってAIで解析するという遠隔医療を、今この事業と同時に進めている。そうすると、どこに住んでいても最新の最高の医療が受けられる。
僕は田舎暮らしとか自然暮らしを勧めているんですけれども、歳をとってくるとやっぱり不安でみんな都会に戻ってしまうんですね。いや~もったいないな~と思うんですけど、不便なのは納得ずくって行ったんだから、不便でいいんやけど、医療だけはお医者さんだけは、不安なんやろうね。やっぱり足腰がだんだんきつくなってきて・・・。
でもそんな時に家に8K映像を映すものがあって、8Kというのはものすごい映像ですからね。それとAIによって解析するという、そういうことも、今、全国ツアー『つながり応援』をやりながら、ただ“頑張ってね”って言うだけではなくて、そういった施設でつながって、みんなに長生きしてもらって健康寿命を延ばす。
命の格差があるんです。場所によって、医療を受けられるか受けられないかっていうのは、これは結構重要な問題で、そんなことも取り組み始めているというところであります」
(編集部注:現在、複数の会社を経営されている清水さんなんですが、ほかにもゴルフ学校や介護用AIロボットなどの事業も検討されているそうです。
清水さんの原動力は「挑戦する」ことにあるんでしょうね。来年は「言っていることが違うかも知れないけどね」と笑っておっしゃっていましたが、次回、32回目の定点観測を楽しみに待っていたいと思います)
INFORMATION
「瀬戸内アイランドウイスキー」のカスクオーナー倶楽部ほか、リゾートアイランド「ありが島」や茨城県常総市にあるキャンプ場「くにあきの森」の最新情報、そして一般社団法人「つながり応援」の活動など詳しくはそれぞれのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎瀬戸内アイランドウイスキー:https://setouchiwisky.com
◎くにあきの森:https://www.kuniakinomori.com
◎一般社団法人「つながり応援」:https://www.tsunagari-ouen.jp
2026/7/19 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. WHISKEY feat. ASAP ROCKY / MAROON5
M2. WHISKEY IN THE JAR / BRYAN ADAMS
M3. ウイスキーが、お好きでしょ / 竹内まりや
M4. BETTER TOGETHER / JACK JOHNSON
M5. 生きるチカラ / 清水国明
M6. BRAND NEW DAY / STING
M7. HOME / PHILLIP PHILLIPS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/7/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第28弾! 割り箸のアップサイクルにフォーカス! ゲストは「ChopValue Japan」の代表「山上剛史(やまがみ・たけし)」さんです。
今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から、「つくる責任 つかう責任」そして「陸の豊かさも守ろう」。
「ChopValue」はカナダ発の循環型製造企業で、使い捨ての割り箸を資源として回収し、家具やインテリアなどに生まれ変わらせる事業に取り組んでいます。
きょうは、廃棄物として扱われている使い捨ての割り箸を回収する仕組みづくりやアップサイクルさせる製造工程、そして製品の特徴などうかがいます。
☆写真協力:ChopValue Manufacturing Japan

創業者は木工職人
※ChopValue Japanは、使い捨て割り箸を資源として回収し、家具やインテリアなどにアップサイクルする事業を展開している循環型製造企業、ということなんですが、本社はカナダのバンクーバーにあるんですよね。
「そうですね。カナダで2016年に起業した会社になります」
●どなたが創業されたのですか?
「フェリックス・ボックといいまして、ドイツ人なんですけれども、カナダで仕事する縁がありました。もともと彼は木工職人だったので、『ChopValue』というビジネス・アイデアを考えて、で起業したという歴史になります」
●フェリックスさんがどんな思いで創業されたのか、ご存じですか?
「(フェリックスは)木工職人として木を専門に、大学まで卒業して、もともとはドイツの高級自動車メーカーの内装材の開発エンジニアとして活躍していたということです。
ひょんな縁でカナダに渡った時に、フードコートのレストランでお箸を使う機会があったそうです。自分はこの15分でこの箸を食事が終ったら捨てちゃうんだと・・・木を扱う職人として、これでいいのか? っていうところにいきついて、自分の技術を持ってすれば、この割り箸をアップサイクルし、素晴らしいものを提供できるのではないかと考えたのがきっかけだそうです」

●なるほど。その思いが反映されているのが社名のChopValueということで、“お箸には価値がある”ということなんですね。
「そうですね。職人なので、まさに製造の最初の工程からすべて立ち上げたのがフェリックスになります」
●日本食が世界的人気だと思うんですけど、カナダにもそういった割り箸の文化はあったんですね?
「カナダの状況を聞くと、多民族国家ということではなくて、いろいろな国のかたがカナダでお仕事をされていたり、お住まいになっているというところで、非常に興味を持って、実際にアジアン・レストランとかで割り箸を使う機会が多いということです」
●日本支社のChopValue Japanが設立されたのは、いつ頃なんですか?
「創業自体は2024年12月なんですが、工場がオープンしたのは2025年4月になります」
●ChopValueは、世界的に展開されているんですよね?
「そうですね。今はオフィスだけのものを入れれば、13か国で展開しております」
●拠点で言うと、何か所くらいになるんですか?
「今、工場が80ヶ所以上、できていますので、世界中に展開しているところです」
●すごいですね。やっぱり日本はお箸を使う文化がありますし、割り箸もたくさん使われていますから、日本に拠点を作るのはすごく理にかなっていますよね?
「おっしゃる通りなんです。ですから、フェリックスは早く日本にローンチしたかったのですが、先ほど言った海外ではゴミはゴミですから、勝手に持って行くのも “as you like”という感じでやれたものが、日本はどうしても“きれいな国、仕分け、リサイクル”が発達している所ですから、廃棄物及び清掃に関する法律、いわゆる『廃掃法』というものにかなり縛られます。
だからこそ、街はきれいなんですけれども、この法律があるからこそ、勝手に我々が(割り箸を)集めたりすることができなかったんですね。そういう難しい法律的な局面もあったので9カ国目になってしまった。割り箸の宝庫ではあるものの、日本へのアプローチができなかったっていうのが、フェリックスの本音だと聞いています」
●日本では、年間どれくらいの割り箸が廃棄されているんですか?
「年間で言うと200億膳というふうにも言われています。途方もない数字ですよね。みなさん15分くらいお箸で食事されたら捨てているんですね」
●使い捨ての割り箸は、現在は焼却されているっていうことですよね?
「そうです。家庭のゴミであれば、燃えるゴミで、みなさん捨てていらっしゃるでしょうし、事業、要はオフィスとかで出るゴミでしたら、一般廃棄物として、事業系ゴミとして持って行ってもらっていると思うんですね。各企業さんが事業廃棄物を処理する免許を持ったかたと契約して廃棄していると思われます」
(編集部注:山上さんのプロフィール的なことに少し触れておくと、山上さんは元航空自衛官で防衛省に勤務。世界を相手に仕事をされていたそうですが、家族の事情で退官。その後、起業し、いくつか会社を経営。
そんな中、どうしてChopValue日本支社の代表をやることになったのか・・・実は山上さんは、川崎市のお困りごとを解決するコンサルタントの仕事もやっていたそうで、ある時、川崎市から、こんな面白い企業があるよとChopValueを紹介され、コンサルの立場で事業がうまくいくように手伝っていたそうです。
そんな折り、創業者のフェリックスさんから日本支社の代表になってほしいと頼まれ、海外と仕事をしていた山上さんとしては、これはチャンスだと思い、引き受けたということなんですね。
ChopValue Japanの工場は山上さんとのご縁もある川崎市に開設。川崎市は脱炭素にも力を入れているということで、そんな自治体と一緒に事業を進めていきたいという、山上さんの思いもあって、川崎市に工場を作ったそうです)
「廃棄物」を「資源」に
※ここからは事業内容について、具体的にうかがっていきましょう。まずは、使い捨ての割り箸の回収についてなんですが・・・
廃棄される割り箸を資源にするためには、廃棄物を回収して処理する自治体への申請が必要だったりするんですよね。これはまず、川崎市に申請したってことですか?
「そうですね。川崎市もすぐには認められない。要は今までは廃棄物として分類していましたから、これを“資源です!”と我々がいくら言っても、認めていただけることにはならないので、川崎市としては、1年間『試験研究制度』っていうのを使って、実際に“これは廃棄物じゃありません”ということを証明するための取り組みを、市と一緒にやらせていただきました。
その試験研究制度において、実際に(割り箸を)回収してアップサイクルをして世の中に製品としてお戻しをするっていう、ChopValue社だけができる独自のフローがあると思うんですね。それが“廃棄物じゃないよ!“っていう証明をするのに、いろいろな条件があるんですけれども、技術的にそれができたとしても、世の中に認知されて戻っていかないと意味がないんですね。
例えば、我々が割り箸を集めたから、それをテーブルにしました。そのテーブルを誰も買ってくれなかったら、ただ単純に割り箸を集めているだけになってしまう。これは廃棄物の域を脱しないわけですね。
そこでこの一連のフローを試験研究制度を使って、実際に割り箸を集めさせていただけるレストランとか企業様があるか、それを加工して実際にそれが売れるかどうか、この一連の流れを試験研究でやった時に、今は約60店舗くらいの飲食店が、川崎市に協力してくださり、割り箸を提供してくれています」
●確かに飲食店の協力って欠かせないですよね。
「そうですね。割り箸がないと何も始まりませんので、そういう意味ではいちばん最初に入り口は(割り箸の)回収パートナーを見つけることです」

●60店舗ほどおっしゃっていましたけど、だいたい(集める)量はどれくらいになるんですか?
「現在、週で約250キロくらい集めていますね。ですから1ヶ月では1000キロ集めているんですけど、まだ2倍くらいまで集められるので、あと2倍にしたいなと思っています」
●ということは、店舗数を増やしていくっていうことになるんですか?
「そうなんですよ。先ほど言った200億膳というものが、例えば10%リサイクルできたとしても、ざっと簡単に試算すると、日本に100カ所くらい工場がないとアップサイクルが完成しないんですね。
ですから、川崎だけのキャパシティではとても追いつかないので、今はいろんなパートナー企業様も増えてきましたし、このコンセプトを一緒に取り組んでくださる企業様と2号店3号店を作るような話も計画しています」
環境に配慮した特殊な技術
※続いて、製造工程について、教えてください。ChopValueでは使い捨ての割り箸を原材料に、家具やインテリアなどを製造されていますが、どんな工程を経て製品になるのか、ざっとで構いませんので、その流れを説明していただけますか?

「まず、レストランから集めてきた割り箸をきれいに並べます。ラジオなので製品をみなさんにお見せできないのが残念なのですが、割り箸をきれいに縦に並べていくんですね。
割り箸も4種類くらい日本にはあって、みなさんがよくイベントとかで見るちょっと軽い、割れ方を間違えちゃうと、ささくれちゃうやつ。あれは“アスペン材”と呼ばれる木なんですけれども、日本特有のちょっと安いリーズナブルなお箸なんですね。
それと、今みなさんがコンビニでよく見る箸は竹なんです。きょう帰ったら割り箸を見てください。竹に代わりました。“あれ! そういえば確かに割り箸の種類、コンビニでは変わったな”と気づかれると思います。
竹って“破竹の勢い”という言葉がある通り、成長するのに約5年で成長しきるんですね。ですからリサイクル効率が良いということで、今、竹製品が見直しをされています。
割り箸も実は木材であるアスペン材を使うより、竹のほうがリサイクル効率がいいということで、今結構いろいろな割り箸を作る会社さん、使う会社さんも竹に代えてきているところなんですね。
あとはスギやヒノキといった高級なお箸は、例えば結婚式で使ったりとか神事で使ったりとか、そういったことのスギやヒノキの箸は一定程度(全体の)5%ぐらいはありますけれども、95%の割り箸は竹かアスペンなんですね。
我々が集めてきた(割り箸は)竹は竹、アスペンはアスペン・・・飲食店では基本的に一種類、同じ箸を使っていますから、その飲食店ごとに集めてきたものを並べて、特殊なレジンと呼ばれる接着剤、我々独自の接着剤に浸す。それを今度は乾燥工程を経て、高温乾燥を10時間くらい経て、あとは特殊なプレス機でプレスをして板材を作っていきます。

そのタイルを削ったりして組み合わせたりしてできるのが、テーブルだったり棚になっていくんですね。ぜひホームページをご覧いただければ、どんな製品ができているかご覧いただけるかと思います」
●衛生面がちょっと気になったんですけれども、そのあたりはどのようにされているのですか?
「これが日本人がいちばん気にするところなんですね。これを言うとちょっとがっかりされちゃうかもしれないんですけど、割り箸、洗わないんです。みなさんが食べたラーメンとかお蕎麦のお汁が付いたまんまやります。ただし特殊なレジンと特殊な乾燥工程を経ますから、汚れというものは取れてしまうんですね。
ただ日本人は非常に気にするので、環境衛生試験という神奈川県の試験機構にも出して、菌やウイルスの検出検査というのも実際に乗り越えているんです。食品工場にこの原材料が使われたとしても、問題ないレベルまで何も検出されないっていうことも証明しています」
●特殊な接着剤ということですけれど、化学物質とかは大丈夫なんですか?
「ChopValueは先ほど言った通り、フェリックスという創業者が徹底して環境への配慮を考えているので、先ほど気になっていた割り箸を洗わないっていうのは、水を使いたくないからなんですね。
水を使う、いわゆる洗剤を使う、これも環境によくないということで、そういった観念で作っていますから、水溶性のレジンで環境負荷に対しても全く問題がないものを使っていまして、これが特殊な技術になります。
いろんな技術があって、木の端材とかを固めたりして作るテーブルって、結構今ポピュラーなんですけど、だいたい他社さんのそういった端材とかを集めてテーブルにするのって、接着剤の割合が全体に対して約30%くらいの割合になってしまうのですが、我々の物は(接着剤が)6%~8%、ほぼ箸なんです」
(編集部注:製造工程については、ぜひChopValue Japanのサイトをご覧ください。写真入りでわかりやすく説明されています。
https://chopvalue.jp/ )
工場は「マイクロファクトリー」〜地消地産
※ChopValueの製品は、従来の木材から作った製品と比べて、環境への負荷はどうなんでしょう?
「もちろん普通にしていたら、ただ捨てられてしまっていたものですから、そういった意味ではある意味、役目を終えたものに命を吹き込むというところですね。
あと脱炭素の貢献で言えば、木を伐採して作って運んで、で言っていたら、捨てられてといったところから、新しいものに生まれ変わっていって、そういった意味でも二酸化炭素、脱炭素に貢献っていうのも計算ができますので、本当に新しい概念かなというふうに思っています」
●環境に優しいとはいえ、製品としての性能はすごく問われると思うんですけれども、強度だったり耐久性だったり、そのあたりはいかがなんですか?

「強度が、普通のテーブルで使われている、例えばメープル材とかオーク材、要は天然の木と比べても、それよりも硬い強度が出ていますので、 “割れちゃった”というクレームも来たこともありませんし、本当に硬い、ちょっと難を言えば重いテーブルに、重厚感があるテーブルに仕上がっています」
●やっぱり美しさも必要ですよね。
「そうですね。本当にお陰様で世界で認めていただいているChopValueのプロダクトは、一流のファイブスターホテルの共用部にも使っていただたり・・・見ていただければわかるとおり、本当に割り箸じゃないです! 言わなきゃ気づかないです」
●確かに・・・製品へのこだわりはどんなところなんですか?
「ちょっと日本人の悪いところというか、サステナビリティと言われて久しいですし、SDGsも2030年までっていう話ですけれども、どうしてもリサイクルという言葉が出てくると、ダウングレードするというか目線が下がっちゃうんですよね。
ですから我々もこの商品の説明をする時に、“これ、お箸からできているんです”と先に言いません。“これ、かっこよくないですか?”って言うと、“なんかすごくかっこいいですね!”から始まるんですね。その後に“実はこれ、お箸なんです!”と言うと、みなさんが本当に導入を検討されます」
●ChopValueのサイトを拝見すると「マイクロファクトリー」という言葉がよく出てくるんですけれども、これについてご説明いただけますか?

「“地産地消”という言葉があると思うんですけど、この逆で“地消地産”という言葉を使っていますね。“現地で使われた割り箸を新しいものに生まれ変わらせる”という意味で、地産地消をひっくり返して地消地産っていうんですけど、要はマイクロファクトリーというのは、非常に小さい100坪300平米ぐらいあればできちゃうんです。
そこに我々のスタッフで言えば、作る人間は5人ぐらいなんですよ。それで1週間で500キロぐらいの割り箸をアップサイクルできるんですけども、その小さな工場がいっぱい、ローカルエリアに1個ずつあればっていう意味で“マイクロファクトリー”って言っています。

今後大きく、例えば建材とかに応用がかなうとなると、もっといっぱいの割り箸をオートメーションさせてやっていかなければならないので、そうすると“マクロファクトリー”みたいなものができてくるかもしれません」
(編集部注:現在「ChopValue」の製品は、使用済みの割り箸を圧縮した高密度な複合素材を使って飲食店用のテーブルや椅子、壁面のパネルやインテリア、オフィスの机や、キッチンで使えるトレーなどの小物もあります。
山上さんがおっしゃるには、将来的に難燃・不燃の材料としての認定を受けられれば、建材や内装材として、もっと用途が広がるだろうということでした。
ちなみに去年開催された大阪・関西万博のカナダ館のVIPルームに7メートルのテーブルを設置。その後、在日カナダ大使館の図書館に移送され、いまも使われているとのことです)

日本中が「ChopValue」に
※「割り箸大国」ともいえる日本、言い換えれば、大量に資源がある国だと思います。今後の目標だったり、展開を教えてください。
「今は川崎に一拠点しかありませんけれども、近い未来には建材の応用とかがかなえば、日本全国に展開をしていきたいと思っています。これだけ割り箸を使っている国だからこそ、使う責任もあるし、作る責任もあると思っていますので、日本中にこのChopValue材が使われていくことを夢見ております」
●日本全国に拠点があったらいいですよね。
「ぜひ千葉にも置いていただきたいと思います」
●そうですよね。一般の人がChopValue Japanの製品を使ってみたいと思われたら、どうしたらいいですか?
「お問い合わせフォームがホームページにございますので、そちらからお問い合わせいただくこと可能です。そうしたらすぐにご連絡を差し上げますので、ぜひお問い合わせください!」
(編集部注:ChopValue Japanは今年、川崎市から『使用済み竹製割り箸の有価物認定』を取得。さらに、アスペン材の割り箸も認定の方向で進んでいるそうです。今後はほかの自治体にも働きかけていくとのことで、将来的に使用済みの割り箸はすべて「資源」になるかも知れませんね)です」
INFORMATION

ChopValue Japanの製品は大手デベロッパーのオフィスで採用されたり、ほかにもいろんな企業から引き合いがあるそうです。「割り箸が作る循環の未来」ということで、いろんな企業とそれぞれのストーリーを作って、サステナブルな社会になるように貢献していきたいと、山上さんはおっしゃっていました。
どんな製品があるのか、どんな工程でアップサイクルされるのかなど、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。
◎ChopValue Japan:https://chopvalue.jp/
2026/7/12 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. SUMMER SOFT / STEVIE WONDER
M2. NEW SOUL / YAEL NAIM
M3. KEEPING YOUR HEAD UP / BIRDY
M4. EVERYDAY PEOPLE / SLY & THE FAMILY STONE
M5. セロリ / 木村拓哉
M6. HARVEST FOR THE WORLD / THE ISLEY BROTHERS
M7. BRIGHTER DAYS / SYBIL
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2026/7/5 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、水中写真家の「峯水 亮(みねみず・りょう)」さんです。
峯水さんは1970年、大阪府枚方市生まれ。20歳の時に友人に誘われて、関東で人気のダイビングスポット、西伊豆大瀬崎で、初めてダイビングを体験。
真冬の一月、水温15度くらいの海にスウェットを着て潜ったら、カラフルな魚たちや大きなイソギンチャクなど、まるで水族館で見たような光景にすっかり魅了されたそうです。
その体験から、ダイビングを仕事したいと思い、西伊豆大瀬崎で7年間、ダイビングガイドとして活動。1年に300日ほど潜るというダイビング漬けの日々を送っていたとか。
そんな中、もっともっと多くのかたに海の素晴らしさを伝えたいと思うようになり、水中写真家に転身。1997年からフリーの写真家として活躍されています。
峯水さんは国内外の海で、大きなクジラから小さなプランクトンまで、様々な海洋生物や海辺の風景を写真や映像に収め、その作品で「日経ナショナルジオグラフィック写真賞」グランプリ賞を受賞されたこともある、世界的に注目されている写真家なんです。
そんな峯水さんの新しい本が「ときめく図鑑Pokke!」シリーズの一冊として出版された『ときめくクラゲ図鑑』。この本には、峯水さんが出会ったクラゲの中から特におすすめのクラゲが美しい写真とともに紹介されています。
きょうはその図鑑を参考に、不思議な浮遊生物「クラゲ」の魅力や知られざる生態のほか、峯水さんの専門とも言える夜の海に潜る「ブラックウォーターダイブ」の醍醐味などうかがいます。
☆写真協力:峯水 亮

クラゲはプランクトン!?
※改めてなんですが、クラゲがどういう生き物か、教えてください。
「生物の分類としては刺胞動物の仲間なんですね。サンゴとかイソギンチャクとかと同じ仲間です。分類で言うと刺胞動物なんですけど、プランクトンっていう括りに当てはまっています。
プランクトンは日本語で言うと浮遊生物なんですけど、自分の力で泳ぐというよりも、潮に流されながら漂ったりする、そういった生き物を表す言葉なんですね。
で、みなさんがイメージするクラゲはお椀型の傘があって、その下に足があってっていう感じのクラゲをイメージされるかもしれないですけど・・・。この本を見ていただくとわかるんですけど、実はそういう形だけじゃなくて、四角いクラゲだったり、すごく細長いクラゲだったり、いろんな形があって面白いです」

●クラゲの体ってほとんど透明ですよね。これはどうしてなんですか?
「クラゲってほとんどが水分なんですね。ゼラチン質で海水と似たような成分だから、透明だと言えるんですけど、それは外敵から見つかりにくくするためだと考えられます」
●体の構造って、どんなふうになっているんですか?
「みなさんがよくイメージする一般的なクラゲはとてもシンプルで、プルプルしたゼリー状の傘があって、その下に口があって長い触手がある。その傘をゆっくり動かして泳いで、この触手で小さなプランクトンなどを捕まえて食べたりしています」
●脳はあるんですか?
「人間の体の作りと同じような特定の場所を、脳と呼ぶような部位はないんですけど、そういう意味では体全体が脳だと言えます」
●クラゲって水中をふわふわ漂っているイメージがあるんですけれども、自分の意志で動いているわけではないんですよね?
「ただ流されているわけじゃなくて、傘をパクパク動かして、ある程度は自分で泳いでいると思うんです。ただし、魚みたいに力強く泳いで海流に逆らって進むことはできないので、大きな潮の流れに任せながら、少し向きを変えたり、上下に動いたりっていうイメージですね」

●クラゲが食べるのは、プランクトンだけなんですか?
「まあなんでも食べるんですけど、魚ももちろん食べたりしますし、中にはクラゲがクラゲを食べる、そういった種類もいます」
●え〜っ! クラゲは、どうやって増えていくんですか?
「クラゲは基本的にはオスとメスがいるんです。卵と精子で受精して小さな幼生になって、海に漂い海底にくっついて、ポリプっていう状態になるんですね。ポリプ自体は無性生殖で分裂しながらどんどん増えていって、このポリプ自体がまた赤ちゃんクラゲを生み出すんです。
なので、クラゲはふた通りの増え方があって、ポリプは無性生殖で増えて、クラゲ自体は有性生殖で増えるっていう増え方です」
●寿命はどれくらいなんですか?
「寿命自体は種類によっても違うんですけど、だいたい数ヶ月から1年くらいのものが多いですね」
(編集部注:夏の海水浴シーズンになると、クラゲに刺されたという話を聞きますが、そのことを峯水さんにお聞きしたら、クラゲは触手の中に「刺胞(しほう)」という小さな細胞があって、刺激に反応して毒針を発射するとか。クラゲが攻撃するというよりは、反射的に刺すんだそうです。海水浴に行って、クラゲを見つけても、不用意に触ったりしないようにしましょうね)
海の中の「宝石」に魅せられて
※峯水さんがクラゲに興味を持ち始めたのは、ダイビングを始めた頃で、すでに35年くらいは経っているそうです。クラゲのどんなところに惹かれたんですか?
「海の中でクラゲって、あまり注目されるような生き物じゃないんですけど、実際、写真を撮ってみるとすごく綺麗というか、海の中の宝石のような存在なんですよね。だから最初はそういう見た目が綺麗だなっていうところから興味を持ちました」

●本当に美しいですよね。今回の図鑑にはおよそ90種のクラゲが掲載されていますけれども、これまでに何種類くらいのクラゲを撮影されたんですか?
「おそらく400種ぐらいは撮ったかと・・・」
●え〜っ! 日本には何種類くらいのクラゲがいるんですか?
「日本にはだいたい600種ぐらいですね」
●そんなにいるんですね! 世界だと・・・?
「世界だと4000種近くいるって言われています」
●撮影した中でいちばん小さなクラゲは、どんなクラゲでしたか?
「小さなクラゲは実はすごく多くて、傘の大きさで1ミリぐらいしかないものがかなり多いですね。名前も『コツブクラゲ』とか・・・本当に1ミリくらいのクラゲがたくさんいます」
●逆に大きいクラゲもいるんですか?
「そうですね。大きいクラゲは、日本でも時々現れる有名な『エチゼンクラゲ』っていうのがいます。エチゼンクラゲとかはかなり重くて大きくて、(傘の)直径が2メートル近くあるものもいます」

●ええ〜っ! 大きいですね!
「クラゲの分類の中で『クダクラゲ』っていう種類は、よくある丸い傘のようなものはまったくなくて、食べるグミのような弾力のある、かくばったゼラチンのようなパーツがたくさん集まって構成されているようなものもいます」
●峯水さんが出会った中で、びっくりしたクラゲとかっていますか?
「最近、新種として発表した、沖縄の海で採取した種類で『シライトトンボダマクラゲ』っていうのがいるんですね。これは傘はあるんだけど、触手がないんですね。

で、触手がないってことは餌をどうやって捕まえているのかなって(笑)、でも口はあるんですよ。なので、どうやって餌を捕まえているのかっていうのが、未だに謎なんですけど、そういったクラゲも最近見つかっています」
光るクラゲ、若返るクラゲ!?
※光っているクラゲもいますよね。光るのは自ら光っているんですか?
「そうですね。発光するクラゲとして有名なのが『オワンクラゲ』というクラゲなんですね。そのほかにも『チョウクラゲ』というのが、発光する種類として知られています。
ちょっと難しい言葉なんですけど、『ルシフェラーゼ反応』っていう、酵素と酸素が反応して光る現象なんですね。これはクラゲの傘の中にそういう成分があって、それが周りの酸素と結合することによって、バッと化学反応として光るんですけど、こういった光るクラゲが知られています」
●自然界の中で、クラゲが果たしている役割みたいなものってありますか?
「そうですね・・・あらゆる生き物の隠れ場所だったり、あと餌を捕るための道具として使われていることもありますし、時には動物たちの餌となっていることもあります。
クラゲってよく栄養がないって言われるんですが、正確には水分が多いので、魚とかに比べるとカロリーは低いんですね。でもクラゲの体の中にはタンパク質とか脂質とかの栄養がちゃんと含まれていて、ウミガメとか甲殻類とかがクラゲを積極的に食べているんですね。
ある意味、クラゲってそんなに泳がないので、捕まえやすかったり消化しやすかったり・・・大量にいるので、彼らにとっては餌としては、すごく楽に捕まえられる重要な資源になっていますね」
●図鑑に、地球上でいちばん長生きするという「ベニクラゲ」、不老不死のクラゲとして注目されているっていうふうに書いてありましたけど・・・。
「自分たちは生まれてから、どんどんどんどん歳を取るだけだと思うんですけど、ベニクラゲの場合は、歳を取ってからまた赤ちゃんに戻ることができるんです(笑)」
●え〜〜っ、若返るんですか?
「若返るんですよ(笑)。なので、環境が悪くなってクラゲとして生きていけないなと思ったら、ちょっと前に戻って・・・要はポリプみたいな形で元に戻っちゃうんですよ。
だから、地球上で何か天変地異が起きたとしても、ベニクラゲとか、そういった不老不死のクラゲたちは、若返ってその状態でやり過ごして、また環境がよくなったら戻るというような、そういったことがおそらくできるんじゃないかなと思います」
●どうして若返ることができるんですか?
「実はそのベニクラゲだけじゃなくて、何種類かそうやって若返ることが知られているんですけど、面白いですよね」
●形も変わるっていうことですよね?
「そうですね。形もクラゲからポリプに戻ることができるんですよ」
●面白いですね。ほかにも図鑑に水中でチョウのように羽ばたく「チョウクラゲ」というのも載っていました。美しいですね。
「そうですね。このクラゲも先ほどちょっと話したんですけど、光るクラゲとして有名です」
●本当に形がチョウのような、羽ばたいているような感じですよね。
「そうですね」
●このままチョウのように、羽ばたくようにしながら泳いでいくんですか?
「はい、本当に“パタッパタッパタッ”という感じで羽ばたいています」
夜の海に潜る「ブラックウォーターダイブ」
※峯水さんのオフィシャルサイトに、一般参加者と行く「ブラックウォーターダイブ」というツアーが載っていました。このブラックウォーターダイブというのは、どんなダイビングなんですか?
「基本的に夜の海を潜るダイビングなんですけど、潜る場所が普通のダイビングで潜るような場所じゃなくて、外洋に出て潜るんですね。つまり夜の外洋を潜るダイビングです。
自分が今やっているのは、だいたい港から1時間ぐらい沖に出て行って、水深が1500~1600mぐらいの海の表層を潜っているんですね。なので、周りには何もない真っ暗な海だけがある、そういった場所です」
●ブラックウォーターダイブで潜っている時は、みなさんライトを持って潜るっていう感じなんですか?
「そうですね。基本的には真っ暗な海にライトを持って漂っているんですけど、実際はブイを浮かべていて、そこからロープが垂らされていて、そこに目印になるようなライトがついているんですね。
なので、ブイの周りは真っ暗じゃないんですけど、ダイバー自体はそのブイを目印にして、だいぶ離れたりして泳いでいるんで、実際にダイバーが泳いでいるところは完全に真っ暗なところですね」

●どこを見渡しても360度、真っ暗っていうことですね?
「そうですね」
●夜の海って怖いイメージがありますけれども、そんなことはないですか?
「真っ暗なんで、やっぱりなんとなく怖いイメージがありますけど、自分は慣れてしまっているので(笑)、それが当たり前というか、水中ライトを持って泳いでいるんで、そんなに怖くはないですね」
●しっかり準備をすれば、大丈夫っていうことなんですね?
「そうですね」
●昼間にはない魅力がたくさんありそうですけれども、具体的にどんなところがおすすめですか?
「特に出会う生物が、普通のダイビングではまず出会えないような生き物ばかりに出会います。例えば、深海魚の稚魚だったり、いわゆるみなさんが知っている魚たちの小さい時の時代ですね。
本当に潜るたびに新しい発見があるんですけど、そういったなかなか普段は出会えないような生き物にたくさん会えるのっていう、そういった魅力があります」
●被写体がライトに映し出されると、見え方も違いますよね?
「そうですね。透明な生き物が多いっていうのがあるんですけど、ライトに当たるとやっぱりキラッと宝石のように輝いて見えるんですよね」
海は「教科書」!?
※夜の海に限らず、海中での撮影は海流もあるので難しいと聞きます。なにかコツのようなものはありますか?
「自分が実際に潜っている場所は、外洋の潮の流れのある場所なんですね。実はそこに入ると自分自身も同じように潮と一緒に流れているので、特に潮に逆らって泳ぐことっていうのは全くないんですよ。
ただ単に海の中で(体が)浮いているだけなので、そんなに難しくはないですね。もちろん海底が見えないような場所にいるので、自分がどの水深にいるかっていうのは注意してないと、どんどん沈んでいったり、逆に浮いていったり、そういった水深がわかりづらいっていうのがあるんですけど、それをさえ注意していれば
大丈夫ですね」
●小さな生き物を撮影するのも、かなり大変じゃないですか? 難しそうですよね?
「そうですね。それはすごく難しいですね(苦笑)。(生き物を)見つけたとしてもカメラのファインダーを覗いている間に見失ってしまうこともたくさんあるので、難しいですね」

●ピントを合わせるのも大変そうですけど・・・。
「そうですね。本当にそれはすごく難しいです」
●ファインダー越しに、被写体の生き物と目が合ったりとかってあるんですか?
「常に相手の目がこっちとコンタクトできるような感じでアプローチしているんですけど、向こうが(自分を)見ているなっていうのを感じることがたまにあります」
●海の中に長い時間いると、どんな気持ちになりますか?
「僕にとっては海の中っていうのは、結構当たり前のような時間になってきていて、海と一緒に、その被写体と一緒に自分がまるでプランクトンになっているような感じで泳いでいるんです。生き物との境がないというか、自分も彼らと同じような気持ちになって海を漂っています」
●海との一体感っていう感じなんですね?
「そうですね」
●海中で撮影している時は、どんなこと考えているんですか?
「珍しい生き物とかに出会うことがあるんですけど、その時に“わっ!”と自分が興奮してしまうと、大抵その撮影は失敗してしまうんですね。だから、出会った瞬間とか冷静にして、とにかくこれを写真とか映像にちゃんと撮って、ほかの人に見てもらえるように撮ってから、何かじわじわと興奮が現れてくるというか・・・撮影している間はすごく冷静ですね」
●そうなんですね。何度も聞かれているかも知れないんですけれども、峯水さんにとっ「海」とは・・・?
「自分にとっては、本当にいろんなことを教えてくれる教科書のような存在です」
INFORMATION
「ときめく図鑑Pokke!」シリーズの一冊として出版された峯水さんの新しい本をぜひチェックしてください。峯水さんが魅了されている神秘的なクラゲ、およそ90種を掲載。それぞれのクラゲの生態や特徴の解説のほか、クラゲにまつわる歴史や文学なども紹介。浮遊感あふれる美しい写真にきっと癒されると思いますよ。
山と渓谷社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎山と渓谷社:https://www.yamakei.co.jp/products/2826050310.html
峯水さんのオフィシャルサイトでは、様々な海洋生物や海辺の風景など、素晴らしい写真を見ることができます。また、ブラックウォーターダイブの情報も載っていますよ。
◎峯水 亮オフィシャルサイト:https://www.ryo-minemizu.com
2026/7/5 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. DREAM SWEET DREAMS / AZTEC CAMERA
M2. WATER RUNS DRY / BOYZ II MEN
M3. PORCELAIN / MOBY
M4. DANCING IN THE DARK / IMAGINE DRAGONS
M5. 水槽のJellyfish / 松任谷由実
M6. TEARDROP / MASSIVE ATTACK
M7. WAIT / M83
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」








