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オンエア・ソング 6月11日(日)

2023/6/11 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. CREATURES OF THE NIGHT / HARDWELL & AUSTIN MAHONE
M2. MY BEAUTIFUL CREATURE / CURLY GIRAFFE
M3. EVERYTHING HAS CHANGED / TAYLOR SWIFT feat. ED SHEERAN
M4. あてもなく / Aimer
M5. ときめきpart1 / スピッツ
M6. COMES A TIME / NEIL YOUNG
M7. SOUL PARADISE / DES’REE

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

若き古生物学者、ウンチ化石に挑む!?〜地層から読み解く化石の謎

2023/6/4 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、千葉大学准教授で古生物学者の「泉 賢太郎」さんです。

 泉さんは1987年、東京都生まれ。子供の頃から、地球や生き物に関心があり、ざっくりいうと「昔」が好きで、歴史本や図鑑、博物館に置いている石などに興味を抱く少年だったそうです。

 その後、東京大学大学院で地球惑星科学を専攻し、2015年に博士課程を修了。専門は、古生物の活動の痕跡である「生痕化石(せいこんかせき)」に記録された生き物の生態の研究など。

 泉さんは、チバニアンの研究チームで活躍するなど、その活動が注目されている若き古生物学者です。

 ちなみに古生物学とは、泉さんによると遥か昔、地球上に生息していた生き物の暮らしぶりなどを、化石や今生きている生き物の研究を通して推論する学問だそうです。

 そんな泉さんが先頃、『化石のきほん』という本を出されました。きょうはその本をもとに、ティラノサウルスのものと考えられている超巨大なウンチ化石や、チバニアン含め、地質や地層と化石の密な関係についてお話をうかがいます。

☆資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

糞の化石を研究!?

※まずは、化石の基礎知識。
 化石は大きく2種類に区分されます。ひとつは、恐竜の骨や歯、アンモナイトなどの古生物そのものの痕跡で、「体の化石」と書いて「体化石(たいかせき)」。

 もうひとつは、足跡や巣穴、糞など、古生物の活動の痕跡である「生痕化石」。
1万年より古いものを化石と呼ぶことが多いそうです。

 泉さんは、化石の中でも「生痕化石」に着目されていて、中でも糞の化石、いわゆるウンチ化石を研究されています。

 もっとも化石にならないと思われる糞が、化石として残っているというお話に驚いたんですけど、この本『化石のきほん』に、ティラノサウルス類のウンチ化石と推定されるものが発見されたと書いてありました。どこで、どれくらいの大きさの化石が見つかったんですか?

「これは、数は少ないんですけど、カナダで見つかっています。大きさは、いちばん大きいやつで、長さが60センチぐらいで、幅というか太さが20センチですね」

●巨大ですよね〜。

「巨大ですよね。両手で持って、たぶん崇めるみたいな、そんなものだと思うんです。実は私も対面したことがなくて、そういう意味でも貴重な化石標本なんですけど・・・」

●でも、それがティラノサウルスのものだというのは、どうやってわかるんですか?

「そこがすごく個人的には興味持っているところです。論文もしっかり端から端まで読んでみると、だいたい3本の推論の柱みたいなのがありますね。

 イメージ的には事件現場に残されたあらゆる痕跡を頼りに、その容疑者が自分がやりましたって言わない限りは、厳密には証明できないので、同じようなジレンマを持っているんですけど、なんとか可能性の高い仮説を出したいというので、ひとつめの証拠がまずそのサイズですよ、でかい! 

 でかいだけだと、でかい動物だろうということにしか絞れないんですけど、次は中身ですね。でっかいウンチの一部を切り出して、プレパラートみたいなのを作って顕微鏡で見てみると、中に骨の断片とか(見つかると)肉食性のでかい動物だろうというところが第2段階ですね。

 第3段階が状況証拠・・・アリバイっていうんですかね。化石は、ウンチ化石でも骨の化石でも、必ず地層の中にもともとは埋まっているんですね。なので、登場人物を洗い出すっていうイメージで、その当時の同じ地層にどういう化石が見つかるか、いろいろ登場人物を洗い出すんですね。
 その中でこのふたつの特徴、大きいかつ肉食動物の化石の中で、いちばんでかいのはティラノサウルスだよねと! そんな感じで推論されています」

(編集部注:なぜ糞が化石になるのか、不思議ですよね。糞は、一般的には微生物などで分解されてしまうんですが、例えば、水中とか酸素が少ないところに落ちて、その後、なんらかの作用が働き、鉱物化してしまったのではないかということなんです。でも、実際のところはわかっていないそうですよ)

泉 賢太郎さん

化石と地層の密な関係!?

●泉さんの新しい本『化石のきほん』の最初のところに、地質年代表っていうのが掲載されていました。やはり化石と、地質や地層は非常に密な関係にあるということなんですね。

「そうなんです。おっしゃる通りです。この『化石のきほん』でひとつ重点的に意識したのが、”化石のきほん”というタイトルなんですね。
 その化石の文脈っていうんですかね・・・地層の中に埋まっているので、その化石からいろいろ読み解いていくためには、文脈ごとにやっぱり知る必要があるんです。化石と地層の関わりはすごく意識して書きました」

●化石の中にはいろんな情報が込められているんですね?

「そうなんです。ただ地層から取り出して、綺麗な化石だけの状態になってしまうと、見た目は美しくなるかもしれないんですけど、文脈が失われてしまうので、その途端に情報量が激減してしまうんですね。
 古生物の研究者は私も含めて、いろんな研究対象とかいろんな目的があるので、全員というわけじゃないんですけど、地層ごと化石の資料を取るということが多いんですね。

 そうすると、化石とまわりについている地層を同時に観察することができるんです。文字通り、本当に切っても切り離せないというか(情報が)埋まっているので、そこを化石だけ取り出すことができる場合もあるんですけれども、大半はこの本の表紙のようにまわりの地層ごと化石を取り出します。

 たとえば、アンモナイト化石が地層の岩石に埋まった状態のイラストが、表紙に載っているんですけど、これもこだわりのひとつです。ここに生物学を代表する有名化石のアンモナイトが、アンモナイトの化石単体じゃなくて、地層に泥岩に埋まっているこの状態を、やっぱり出したかったんですよね、表紙に」

●化石だけじゃなくて、地層ごと取る化石っていうことですね。

「まさにおっしゃる通りです。そこに地層をなくしちゃうと、化石から見ための情報は増えるかもしれないんですけど、どういう時代に生きていたのか、どういう環境にいたのかと、そういった背景にある文脈の情報が一気に失われてしまうんですね。
 目的次第なんですけれども、完全に化石のことを知るために、化石だけを見るっていうよりも、一般的には地層も含めて見たほうが、より広範囲にわかるかなと思います」

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

「チバニアン」誕生に貢献

※3年ほど前に、地質年代にラテン語で「千葉の時代」を意味する「チバニアン」が誕生し、一大ニュースになりました。泉さんも協力されたということですが、どんなことをされたんですか?

「専門のひとつである生痕化石ですね。地層に生痕化石が何種類ぐらいいるんだろう、どんな種類がいるのかなというのを観察することで、その当時の生態系の様子を推定したりですとか・・・。生痕化石も、地層がどんな環境でできた地層なんだろうっていうのを推定するのに一役買っているんですね。

 見た目は本当に何の変哲もない川沿いの崖って感じで、調査に行ってみたら、その辺の崖って感じでしたね(笑)。その辺の崖と言っても、なかなか人によってイメージが違うかもしれないんですけどね。そんなところで、文字通り這いつくばるというか、壁にぺたっと(はりついて)生痕化石を探したんです。

 こういう種類とこういう種類がいるってことは、たとえば水深帯だったら、これぐらいでとか、こういう環境でできた地層じゃないかなと・・・そういったデータを出して、それが研究プロジェクトの中のひとつの立ち位置っていうんですかね。

 地層の成り立ちを、やっぱりその由来を知らないと、ここの地層がいいと言っても、どういう理由でいいのか、どんなことがわかっているのか、なにがわかっていないのかとか・・・。ほかと比較するとこの辺がやっぱり優れていると、一個一個証拠を出すということで、生痕化石の観察というところでは、うまくひとつデータを出せたかなと思っています」

●あの一大ニュースの裏には化石が活躍していたわけですね!

「ほかにも目に見えないぐらいちっちゃくて、顕微鏡じゃないと見えない、微笑の微に化石と書いて“微化石”って言って・・・」

●微化石!?

「それはそれで顕微鏡から広がる形も多様で、いろいろ見た目も綺麗なんですけれども、そういったちっちゃい、人知れず崖の中の泥とか砂粒の粒子と同じぐらいの大きさの、そういうのを一個一個取り出して調べて、どれぐらいの年代だったんだろうとか、あとどういう環境でできたりするのかなとか、そういうのを調べたんですね。ということで、千葉の名前が世界中に、地質学の中でもひとつ認知されたと・・・。

 たとえば有名な地質時代、ジュラ期っていうのがあると思うんですけど、『ジュラシックパーク』『ジュラシックワールド』のジュラシックが、”ジュラ期の”っていう意味なんです。あれも地名なんですよね。ジュラ山脈っていうヨーロッパの地名から来ているんですね。ジュラ期とかジュラシックが有名になりすぎて、地名に由来しているんだっていうこと自体が逆に(知られていないと・・・)。

 けっこう地名が由来となっている場合が多くて、ほかにもペンシルバニア期とか 、“ペンシルバニアン”って言いますし、意外と地名由来っていうところがあったりします」

(編集部注:泉さんによると、古生物学の研究が盛んなのは、太古の地質が残っているヨーロッパで、国でいうと、ドイツやイギリス、フランスなどだそうです。一方、恐竜の化石が多く見つかっているのは、アメリカやカナダ、中国あたりだそうですよ)

資料協力:『化石のきほん』泉 賢太郎 著、 菊谷 詩子 イラスト(誠文堂新光社)

化石は意外と日常に!?

※化石は意外と私たちの身近にあったりしますよね?

「“近すぎて見えない化石”と呼んでいるんですけど、たとえば珪藻土(けいそうど)、吸水性がいいので、よくバスマットとかに使われていますよね。あれも珪藻って植物プランクトン、目に見えないちっちゃいプランクトンがガラス質の殻を持っているんです。
 そのプランクトンの本体の、アメーバ状の部分は化石に残らないんですけど、そのまわりを覆っている殻が化石になって、たくさん集まっていると・・・化石の殻にいっぱい穴が開いているんですよね。吸水性がいいってのはスカスカなんですよね、珪藻土のマット自体。なので、水が効率的に染み込んでいくということなんです。

 本当に感動しますよね。足を乗っけてすぐ乾いている、みたいな! 緻密な岩石で、中にスカスカの空間がほとんどないやつだと、水がベチャってなったまんまっていうのがあると思うんですけど、珪藻はガラス質で穴がたくさんあるスカスカな化石がいっぱい詰まって、そのスカスカの部分がいっぱいあると水がすぐ浸透していくと、そういうことが起こります。
 あとはビルの石材とかですかね。デパートの白っぽい壁や床に大理石が使われたりとか。そういうところにアンモナイトの化石があったりすることもありますね。

 個人的には、お寺の石碑っていうんですかね。黒っぽい文字が刻まれたりしているんですけど、そこにむしろ生痕化石を見ちゃうと。文字は読めないけど、なんて書いてあるかわかんないけど、生痕化石はあるな! みたいな、そういう体験もします」

●素人の私たちが、なにか見つけるコツがあったりしますか?

「あると思います。一応こういうやつがいるかも知れないよみたいな、いくつかの鑑定ポイントみたいなのはありますね。ただ日常生活だとやらないぐらい(石碑に)近づかないと・・・。触れられないところでも見ることはできると思うので・・・生痕化石のひとつのいいところって、見て楽しめるっていうんですかね。採取禁止みたいなところでも、あ〜こういう生痕化石があったと・・・そこから僕も話が盛り上がっていきますよね」

(編集部注:お寺の石碑などに生痕化石が見つかることもあるということでしたが、見つけるコツはまわりと違う模様や構造を探すことだそうですよ。じっくり根気よく見るしかないですね。ちなみに泉さん自身は、化石探しはうまくないとおっしゃっていました)

泉 賢太郎さん

ワクワクする気持ちを大事に

※最後に、古生物学を勉強したいと思っている子供たちや、学生さんに向けて伝えたいことがあれば、ぜひお願いします。

「これはですね、いちばんここが本でもこだわったところで、ページ数としてはあまり割いていないんですけど、ぜひ興味を持ち続けて、それで目の前の勉強に一生懸命取り組んでくれればいいかなと思っています。

 というのも私自身も・・・ほとんど過去の自分に向けて言っているような感じになっていますけど、いわゆる同じぐらいの世代で、めちゃめちゃ詳しくて経験もあって、化石のこともよく知っていて発掘もしていてっていう人がいると、どうしても、比べたくなくても比べちゃって、こんな自分でもやっていけるのかなって思うかもしれない。

 研究はまた別の枠組みだなとすごく感じています。そこは過去の経験の差が生きることもあるかもしれないですけど、思っているほど関係ないのかなと・・・ちゃんと目の前の勉強を一生懸命するとか、目の前のことに取り組む。

 あと何よりも、古生物学の研究をやってみたいな、そういう研究者になってみたいなと思っているのであれば、その気持ちを持ち続けて欲しい。研究をやり始める前にやっぱり自分には無理だっていう子がすごく、もしかしたらいっぱいいるのかもしれない。それってすごくもったいないなと思うんですよね。

 経験がなくても好きだ、興味があるっていう気持ち自体が、ひとつ素晴らしいことかなと思います。化石発掘とかよく知らないからダメなんだじゃなくて、なんかよくわかんないけど、ワクワクするっていう気持ちがあったら、それは大事にしてほしいなって思いますね。
 ただそれだけでやっていけるわけでもないので、やっぱりちゃんとした学校の勉強とか、そこは本当に礎かなと思うのでしっかりと、まあ世代にもよるんですけど、勉強を頑張るといいかなと思います」


INFORMATION

『化石のきほん~最古の生命はいつ生まれた? 古生物はなぜ絶滅した? 進化を読み解く化石の話』

『化石のきほん~最古の生命はいつ生まれた? 古生物はなぜ絶滅した? 進化を読み解く化石の話』

 チャプター1の「ようこそ、化石の世界」からチャプター5の「めざせ、古生物学者」まで5つの章に分かれていて、全部で60項目ありますが、見開き2ページで完結しているので興味のあるところから読めますよ。イラストも豊富で楽しめます。化石の入門書的な一冊、ぜひチェックしてくださいね。
 誠文堂新光社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎誠文堂新光社HP:https://www.seibundo-shinkosha.net/book/science/78757/

 泉さんのオフィシャルサイトもぜひ見てください。

◎泉 賢太郎さんHP:https://www.cn.chiba-u.jp/researcher/izumi_kentaro/

オンエア・ソング 6月4日(日)

2023/6/4 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. BONES / THE KILLERS
M2. FOSSIL / ADAM RAGSDALE
M3. TIME MACHINE / ALICIA KEYS
M4. タイムマシンにお願い / サディスティック・ミカ・バンド
M5. 東京フラッシュ / Vaundy
M6. SEARCHING / STEPHANIE HEITZ
M7. I STILL HAVEN’T FOUND WHAT I’M LOOKING FOR / U2

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

2023年5月のゲスト一覧

2023/5/28 UP!

◎荻野千佳(漫画家・イラストレーター)
家庭菜園は、自然と遊べるエンターテインメント!〜超初心者向け、野菜作り入門』(2023.05.28)

◎綿貫宏史朗(愛知県犬山市にある「日本モンキーセンター」の学芸員)
デュエットするテナガザル、女性飼育員に恋するゴリラ、焚火にあたるニホンザル 〜霊長類専門の動物園「日本モンキーセンター」の愛すべきサルたち』(2023.05.21)

◎鈴木喜生(宇宙開発や宇宙旅行に詳しいフリーエディター)
宇宙旅行の時代がやってきた!〜宇宙日帰りプラン!? 宇宙ホテルに宿泊!? 月面史跡巡りツアー!?』(2023.05.14)

◎岩槻秀明(気象予報士の「わぴちゃん」こと)
雲博士に聞く、雲の不思議と珍しい雲』(2023.05.07)

家庭菜園は、自然と遊べるエンターテインメント!〜超初心者向け、野菜作り入門

2023/5/28 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、漫画家でイラストレーターの「荻野千佳(おぎの・ちか)」さんです。

 荻野さんは富山県出身、現在は東京の郊外にお住まいです。2016年から家庭菜園を始め、すっかりハマってしまい、ついには、日本家庭園芸普及協会認定のグリーンアドバイザーの資格を取得されています。

 そして先頃、『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』を出されました。

 きょうはそんな荻野さんに、超初心者に向けて、おもにベランダ菜園で必要な道具、失敗しないコツ、そして、すぐ収穫できるおすすめの野菜のお話などうかがいます。

☆写真&イラストレーション:荻野千佳

荻野千佳さん

短期間で収穫できる野菜がおすすめ!

●荻野さんが先頃出された本を拝見いたしました。

「ありがとうございます!」

●可愛いイラストでわかりやすく、野菜の育て方が描かれていて、これなら私も始められるかもと思いました。読んでいて、すごくワクワクしました。

「ありがとうございます! 嬉しいです」

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

●私は家庭菜園には興味はあるんですけど、実際に育てたことがあるのはミニトマトとか、あとは豆苗で再生栽培するぐらいで、本当に全くの初心者なんです。やはり野菜作りと聞くと作業が大変で、なんか難しいイメージがあるように思うんですけど、実際はいかがでしょうか?

「なんか大変そうっていうお気持ち、すごくわかります。外で一生懸命やるのかなって思われるかと思うんですけど、基本、誰でも簡単にできる、自然と遊べるエンターテイメントだと私は思っているんですね。

 私の場合ですと2016年から自宅の狭い庭で、夏野菜を育て始めたのがいちばん最初なんですけれども、素人ながら今年で8年目になるんですね。今は自宅の庭でプランター栽培をやっていまして、あとは農業体験農園っていう貸し農園のグループに参加して、そこで家庭菜園をやっています。

 経験上なんですけど、育てるのが難しい、失敗したって、なってしまう理由として、収穫までの時間が長くかかる野菜を選んでしまっているんじゃないかなと思うんですね。収穫まで時間がかかると、いろんな虫に食べられちゃったりとか、急に台風が来たりとかして・・・。

 例えばスイカは、タネから始めて収穫までに4ヶ月かかってしまうんです。その間に収穫直前に大雨が降って(スイカが)割れちゃったとか、そういうことがあるかもしれないなと・・・。なので、最初のうちは収穫までの時間が短い野菜を選ぶと、作業も簡単で心配いらずで、収穫までを楽しむことができるかなと思います」

写真:荻野千佳

道具はジョウロ、ハサミ、スコップ

※私はマンション住まいなんですけど、まず何から始めたらいいですか?

「ちなみに何の野菜を育てたいとかって、ご希望はあります? 例えば、できれば気軽に始めてみたいなっていう感じもあるかと思うんですけど・・・」

●それが最優先です!(笑)

「そうですよね! 先ほど小尾さんが、豆苗の再生栽培をなさったことがあるっておっしゃっていたんですけど、実はタネからも(栽培は)できるんです。
 たぶん再生栽培ってことは、買ってきたものをチョキンと切って、料理で使って、もう1回伸ばしたっていう形だと思うんですけど、豆苗はタネから発芽させて、いちばん最初の、売っている状態まで育てられるんです。

 それが私の中でいちばん簡単な家庭菜園かなと思っております。これだと100円ショップに水切りかごっていう、ちっちゃな二重に重なった、お皿なんかを入れて乾燥させるような、上部が網で下がかごになっているのがあるんですけど、それがあれば(豆苗の栽培は)できますね」

写真:荻野千佳

●道具は、ほかに何か必要なものはありますか?

「サラダに使いやすいような葉物、ベビーリーフなんかをもし気軽にやりたいなっていう場合ですと、3つの道具だけで始められるんですね。それはジョウロ、ハサミ、スコップ、この3つだけが、まずは道具としてはあれば十分です」

●土はどんなタイプのものを用意したらいいのでしょうか?

「土は、ホームセンターなんかでいっぱい並んでいると思うんです」

●いっぱいありますよねー。

「私も最初はどれがいいのか、わからなかったですね。腐葉土とか赤玉土とか鹿沼土とか、もっと細分作化された、なになに用の土とかって売っていると思うんですけども、プランターに使う土であれば、袋に培養土と書いてあるものがあれば、それには土の中に最初から肥料が含まれているのでベストだと思います。袋に野菜用の培養土と書いてあるものであれば、全然問題ないですね。

 また、培養土の重さに配慮した、軽い培養土もあるんですね。これは運ぶのは楽ちんですごく便利なんです。私も最初はそれをよく使っていたんですが、経験上、便利は便利なんですけれども、背が高くなる野菜、例えばミニトマトなんかを植える時に、プランターに軽い培養土を入れてしまうと、(プランターの)移動は楽なんですけれども、土台が不安定になってしまって、風で倒れちゃうっていうようなこともあったので、軽い土をお使いになる時はご自分の環境によって、プランターが倒れないように、ちょっと縛るなり、何か工夫をなさったらいいかなと思います」

写真:荻野千佳

おすすめはニラ!

※荻野さんおすすめの野菜はありますか?

「めちゃめちゃおすすめは、ニラなんです(笑)」

●ニラ! へぇ〜!

「これも繰り返し収穫できるんですね。収穫のやり方として、発芽して成長して収穫する時に、地ぎわから3センチぐらい残して、ちょきんと切って収穫します。そして「お礼肥(おれいごえ)」って言うんですけど、ある程度肥料を足したあとに、新しい芽が出てくるんです。それがまたもとの高さぐらいになって、また収穫するっていう、そういうのを3年ぐらいは繰り返せるんですよ。

 冬場はさすがにちょっと緑はないんですけれども、私は庭のプランターでいつもニラを育てているんですね。手軽にちょっと庭に出てチョキンと切ってスープに使うっていう感じです。切ったあとにニラ特有の匂いがして、なんか気分が良くなるというか、やってるわ〜みたいな感じで楽しいですね」

(編集部注:いつ植えるのがいいのか、初心者にはわからないことのひとつだと思いますが、野菜全般について言えるのは、春か秋に植えることが多いそうですよ)

イラストレーション:荻野千佳

水やりのコツを伝授

※水やりも初心者には難しいと、よく聞きますよね。基本的に地植えは、土が乾いていなければ、水やりの必要はなし。一方、プランターは水やりが大事になってくるそうです。何かコツのようなものはありますか?

「ポイントとしてジョウロで水やりをする場合は、ジョウロの先についている穴があると思うんですけれども、あれは取り外しできるんです。あの部分を『ハスクチ』って言うんですね。あれを下のほうに水が出るように180度逆にして付けて、葉の上からジャバジャバではなくて、植わっている土の辺りにかけるようなイメージで、水やりなさるといいかなと思います」

●なるほど。葉っぱ自体にはかけちゃいけないっていうことですか?

「そうですね。葉っぱにかけちゃうと泥はねとか、土の中にいる雑菌が野菜の葉っぱに付着しちゃって、病気の原因になるっていうことがありますので、上からじゃなく株もとにたっぷりやるのがコツとなりますね」

●わかりました。水やりは朝とか夕方とか決めておいたほうがいいんですか?

「タイミングと季節にもよるんですけれども、例えば春先にタネまきをして、その時、水やりをするとなると、まだ気温が低いので、午前中のちょっとポカポカした時に、水道水をそのままじゃっと出しちゃうと、水の温度も低いので、できればちょっと(水を)汲み置きして常温になっている水をあげるといいですね。

 野菜のタネって発芽温度っていうのがあるんです。だいたい25度前後なんですが、そこに冷たい水をかけちゃうと発芽率に関わってしまうので、できれば常温のお水をあげたほうがいいかなと思いますね。

 で、逆に6月以降の真夏のようなカンカン照りの時は、朝か夕方が最適ですね。
 朝と夕方、1日2回の水やりは、仕事が忙しくてできないっていう方で、1日1回ならなんとかっていう方には、夕方をおすすめします。
 というのも夕方ですとそのまま夜になりますので、水持ちしている時間が長いわけなんですね。朝(水を)やっちゃうとそのまま、がっと温度が上がって、すぐなくなっちゃうので、夜の間ですと、ゆっくりゆっくりなくなっていくようなイメージなので、夜がおすすめです。

 最後にこれ重要なんですけど、真夏のプランターの水やりは、真昼には絶対していただきたくないことなんですよ。真夏のお昼にプランターに(水を)やりますと、あっという間にプランターの中でお湯になってしまって、野菜が傷んでしまうんですね。なので、絶対に夜か夕方あたりにしていただけたらいいかなと思います」

(編集部注:真夏にプランターへの水やりは要注意というお話でしたが、直射日光が当たるようなベランダは、熱を和らげるためにウッドパネルや人工芝、よしずなどを設置して環境を整えてあげてくださいともおっしゃっていましたよ。

写真:荻野千佳

 また、肥料についてなんですが、最初に肥料を与える「元肥(もとごえ)」と、あとで追加する「追肥(ついひ)」というのがあるそうです。ちなみに、培養土には最初から有機物が入っているので、元肥の必要はないとのことでした)

自然からの贈り物

※野菜作りを始めて、8年ほどということなんですけど、荻野さんは、野菜と向き合っている時に、どんなことを感じますか?

「やはり自然からの贈り物としての野菜は、ありがたいなっていうことにつきますね。やっぱり人間ですから、食べないと生きていけないので、感謝しながら収穫しているっていうところですね。

 あと野菜は成長がすごく早いので、成長している姿に気づいた時・・・数日前は背が低かったのに、あれっ! こんなに伸びているってなった時に、ちょっと恥ずかしいんですけれども、”うわっ! 君は頑張っているね、ありがとう!“みたいなことを、本当に声に出して話しかけてしまうことも、ほかの方がいらっしゃらない時になんですけれども(笑)ありますね」

●もう我が子のような感じですよね〜。

「確かにそんな感じですね〜」

●これから収穫を迎える野菜っていうと、どんな野菜になるんですか?

「まさに今楽しくてしょうがない、収穫期を迎えたなって感じなんですけど、やっぱり夏野菜ですね。代表的なのはトマト、ナス、キュウリといったもので、みなさんも(家庭菜園を)やっていらっしゃる方はもうワクワクが止まらないと思うんですけれども・・・。
 あとは春にタネをまいて収穫が終わったような、春菊のような葉物はもう終わっちゃった頃なので、少し空いている土地があれば、9月までに収穫まで終われるような、新しい野菜を育ててもいいかなと思います」

写真:荻野千佳

家庭菜園は体力がつく!?

※ご自分で野菜を作るようになって、食に対する意識が変わったりしましたか?

「例えばスーパーマーケットで売られている野菜を見て、自分も育てているので、この野菜はアタリかハズレかっていうのが判断できるようになりましたね。

 例えば大根なんですけど、食べる白いところをよく見ると、ちっちゃいくぼみの穴みたいなものが、てんてんてんと並んでいると思うんですよ。あれが両サイドに2列並んでいるはずなんですね。
 その並び方がまっすぐであればあるほど、中の組織も揃っているって目安です。成長の段階で問題なくすくすく育った証なので、そのてんてんのくぼみがまっすぐ並んでいるものを選んでいただけたらと思います」

●覚えておきます(笑)。野菜作りの生活を続けていて、ご自身の中で心身の変化とかもありましたか?

「やっぱり自分で育てて収穫する分、野菜をめちゃくちゃ食べるようになりましたね。旬の野菜をその時期にたくさん収穫することができるので、育て方の勉強に加えて調理法も畑の仲間に聞いたりとかして詳しくなりましたね。

 あと圧倒的に体力がつきましたね。私の場合、畑にいると土を踏んで作業するので、自然に体幹が鍛えられるといいますか・・・。あと自動車を持っていなくて自転車で行きますので、収穫期には行ったり来たりしながら運ぶっていう、まあ楽しい作業の中で自然に体力がつくようなこともあるかなと思います」

荻野千佳さん

●そうなんですね。これから家庭菜園で野菜作り始めてみようと思っている方に、ぜひアドバイスをお願いします。

「自分で育てた野菜を収穫して食べる楽しみはもちろんなんですけれども、野菜を見ていて癒されるとか、仲間や家族で楽しむとか、育てるだけじゃない、いろんな楽しみ方があると思うんですね。遠出しなくてもできる、日常に寄り添ったアクティヴィティなんじゃないかと思っています。

 収穫したてのトウモロコシとか枝豆は、お子さんも好きだと思うんです。甘みが強くて非常に美味しいので、遊びながら食べるっていうような身近な楽しみ方のひとつかなと思うので、簡単ですのでぜひ始めてみていただけたらいいかなと思います」


INFORMATION

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

『野菜づくり、はじめます!〜マンガと図解でわかる! 一番やさしい家庭菜園の本』

 野菜作りを始める前の荻野さんに、8年後の荻野さんが野菜作りのアドバイスをするというストーリー仕立てになっています。全編マンガなので、絵を見てすぐ理解できます。また、図解による野菜の育て方や、野菜のミニ知識も掲載。超初心者に向けた野菜づくりの入門書です。ぜひお買い求めください。
SBクリエイティブから絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎SBクリエイティブ:https://www.sbcr.jp/product/4815618438/

 荻野さんのオフィシャルサイトもぜひ見てくださいね。体験農園や、日々の野菜作りのレポートも載っていますよ。

◎荻野千佳さんのサイト:https://ogichika.com

オンエア・ソング 5月28日(日)

2023/5/28 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. ベジタブル / 大貫妙子
M2. VEGETABLE / RADIOHEAD
M3. VEGETABLE SONG / THE SINGING WALRUS
M4. AQUA DE BEBER / ASTRUD GILBERTO, ANTONIO CARLOS JOBIM
M5. セロリ / 山崎まさよし
M6. FUN DAY / STEVIE WONDER
M7. LET’S STAY TOGETHER / AL GREEN

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

デュエットするテナガザル、女性飼育員に恋するゴリラ、焚火にあたるニホンザル 〜霊長類専門の動物園「日本モンキーセンター」の愛すべきサルたち

2023/5/21 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、愛知県犬山市にある「日本モンキーセンター」の学芸員「綿貫宏史朗(わたぬき・こうしろう)」さんです。

 「日本モンキーセンター」は、公益財団法人が運営する霊長類専門の動物園で、先月末の時点で56種、およそ750頭のサルのなかまを飼育・展示していて、サルのなかまに特化した動物園としては世界最多を誇ります。

 そんな「日本モンキーセンター」の飼育員さんたちがイラストや解説文を手掛けた本『飼育員がつくったサルの図鑑〜かならず会いたくなっちゃう56のなかまたち』を出されたということで、きょうは解説文を担当された綿貫さんに、オスとメスでデュエットするテナガザルや、女性飼育員に恋するゴリラなど、飼育員さんだからこそ知っている、サルたちの興味深いお話をうかがいます。

☆写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

『飼育員がつくったサルの図鑑〜かならず会いたくなっちゃう56のなかまたち』

サルたちを通して、地球と人を研究

※愛知県犬山市には、日本の霊長類学の研究をリードしてきた、現在は名称が変わっていますが、京都大学の霊長類研究所があります。そのお隣にある「日本モンキーセンター」は、実は霊長類研究所よりも早く、60数年前に開設され、飼育員のほかに調査・研究する学芸員がいる、日本の動物園としては珍しい施設です。

 そんな学芸員のひとり、綿貫さんは、1986年生まれ。ご本人曰く、熊本の山奥で育ち、子供の頃から動物好き。そして漫画「動物のお医者さん」に影響を受け、東京農工大学に進学、その後、獣医師の資格を取得。

 現在は「日本モンキーセンター」のほか、京都大学の研究員として「大型類人猿情報ネットワーク」プロジェクトに携わり、日本国内で飼育されているゴリラやチンパンジーなど、貴重な研究対象の情報を集める活動もされています。

 ちなみに綿貫さんは、日本の動物園水族館協会に加盟するおよそ90の動物園を数年前に制覇、海外の動物園にも出かけるほどの動物園マニアで、ご自分で「動物園学研究家」を名乗っていらっしゃいます。

綿貫宏史朗さん

●世界的にも珍しい霊長類専門の動物園「日本モンキーセンター」が目指していることって、どんなことですか?

「やはりサルのなかま、霊長類は、私たち自身もその一員であるということで、私たちにいちばん近い存在の動物たちなわけですよね。

 私たちにいちばん近い、いわゆる隣人というか、そういう動物たちを通して、地球環境ですとか、人がどういうふうに誕生して、どういうふうにこの地球上で生きているのか、そんなことをみなさんに知っていただくために研究をしていく、そういうような場所としてやっていきたいと、そんなことを目指しています」

愛のデュエットをするテナガザル

※先頃発売された『飼育員がつくったサルの図鑑〜かならず会いたくなっちゃう56のなかまたち』は、「日本モンキーセンター」の現役の飼育員さんがイラストを描き、綿貫さんが飼育員さんたちから集めた、とっておきのネタやサルの雑学を原稿化した本なんです。

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

 その中からいくつか気になったことをお聞きしていきたいと思います。シロテテナガザルは歌を歌うと書いてありますが、ほんとなんですか?

「はい、シロテテナガザルはテナガザルのなかま、私たち人に比較的近い類人猿と呼ばれる手の長いサルなんですけど、その手の甲の部分がどんな個体も真っ白なんですね。それでシロテテナガザル、白い手のテナガザルってそういう意味なんですけれど、歌を歌うんです。
 テナガザルのなかまはシロテテナガザルに限らず、歌を歌うんですね。オスとメスがペアになってデュエットで」

●へぇ〜〜!

「実はサルのなかまでもテナガザルはちょっと珍しくて、あまり大きな群れとか作らないんですね。オスとメスとその子供たちっていう、人間でいうところの核家族みたいな、そういう単位で暮らしているサルのなかまなんです。

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

 で、いわゆる夫婦、オスとメスのペアの絆を確認するためだとか、あるいは単位が非常に小さいので、ご近所関係はあまりよくないんですね。隣の家族にここは私たちがいるところだから、あまりこっち来ないでねって、アピールしているっていうふうにも言われているんです。
 そういうことで非常に大きな声で歌を歌って、オスとメスがそれぞれ違うパートを歌って、重ね合わせてデュエットするという、そういう特徴があるんですよね」

●大声ということは、かなり迫力がありそうですよね。

「はい、テナガザルの中でもいちばん大きなのがフクロテナガザルといって、全身は真っ黒なんですけれど、喉の下に自分の顔と同じぐらいの大きさの喉袋があって、そこを膨らませて声を共鳴させて大きい音を出す。それがサルのなかまでいちばん大きな声を出すと言われているんですね。だいたい4キロぐらい遠くまで聴こえると言われています。

 なので、日本モンキーセンターでもフクロテナガザルが、ちょうどこの収録の直前まで鳴いていたので、収録に影響が出ないかなって心配していたんです(笑)。犬山駅がちょっと離れたところにあるんですけど、その駅前でもたまに風向きによって、声が聴こえたりすることもある、すごく大きな声ですね」

●そうなんですね! 近くで聴いたら本当にものすごく大きな声なんでしょうね。

「そうなんです。園内でガイドしている時に、ちょうどそのデュエットが始まったりすると、私たちのガイドの声が来園者の人たちに聴こえないこともあったりします。そういう時は歌が止むのを待ってから、”これがお聴きいただきました通り、テナガザルの歌です”なんて、そんな話をしますよ」

女性飼育員に恋するゴリラ

●ほかに顔の色が派手なマンドリルというサルがいるんですよね。鼻筋が赤くて、その両脇が水色でとっても綺麗ですけれども、これは生まれた時から派手なんですか?

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

「実は、生まれた直後の赤ちゃんの顔は真っ白なんですね。成長と共にだんだん色がついていって、初めは真っ黒い感じの顔になって、それから成長とともに鼻筋がうっすら赤くなり、顔のこぶのところが青くなる感じです。

 大人のオスですと顔が非常によく目立つんですけれど、金色のヒゲが生えたりとか、あとお尻がピンクから紫にかけた、なんとも言えない絶妙なグラデーションの色になったりとか、非常にカラフルで目立つ 動物ですね」

●顔だけじゃなくてヒゲもお尻も派手なんですね。あと、ニシゴリラのタロウくんには、お気に入りの女性飼育員がいるということで、男性飼育員が一緒にいると怒るっていうふうに本に書いてありましたけど、本当なんですか?

「そうですね。やはりなんか嫉妬みたいなものがあるようなんですね。実はうちのタロウさん、先日4月20日にちょうど50歳になったところで、日本国内のオスのゴリラとしては最高齢なんですよ。

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

 非常に長寿のゴリラなんですけれど、実はドイツの動物園で生まれていて、16歳の時に日本に来ているんですね。
 お母さんが育てられなかったということで、50年も前のことなので確かな記録もないんですけれど、女性の飼育員の方が子供のタロウさんを育てたという逸話が口頭で残っています。それで女性の飼育員に特に愛着を持っているというふうに語り継がれています」

●そうなんですね〜。ちゃんとそういうふうに認識しているんですね。

「お気に入りの女性飼育員を取っていきそうな人が近くにいるのは、やっぱりちょっと不安になったりするのかもしれないですね」

焚火にあたるニホンザル

※「日本モンキーセンター」では屋久島に生息するニホンザル「ヤクシマザル」を130頭ほど飼育しているそうですが、その群れが、冬になると焚き火にあたるって、ほんとなんでしょうか?

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

「日本モンキーセンターの冬の風物詩ということで、『焚き火にあたるサル』っていうのを毎年開催しているんです。実は屋久島のニホンザル、ヤクシマザルなんですけれど、今飼育している個体はすべて、犬山市生まれなんですね。屋久島から来た世代から数えると、だいたい8世代ぐらいの子孫たちっていうことになるんです。

 かなり歴史を遡るんですが、大昔この辺に伊勢湾台風という大きな台風が来た時に、近くを流れている木曽川に大量の木材とかが流れ着いたりしたそうです。

 当時ヤクシマザルたちは、ここモンキーセンターの、今ある場所ではなくて、木曽川沿いにあった『野猿公苑』っていうところで飼育をしていたんですね。そこで台風の時の木材を焚き火として燃やしていたら、そこにサルたちがいつの間にか集まってきて、暖を取るようになってきたと・・・。

 火は、焚き火は、本来だったら動物は怖がるはずですけれども、怖いよりも多分暖かくて、いいものだっていう認識になったんでしょうね。それがいわゆる群れの文化っていう形で、親から子に焚き火はいいものなんだよ、みたいな・・・教えはしないですけど、そういうものが個体から個体にどんどん学習して伝わっていったと言われています」

5つの環境エンリッチメント

※「日本モンキーセンター」では飼育方法の工夫のひとつとして、「環境エンリッチメント」という手法を取り入れているそうですね。どんなことなのか、教えていただけますか。

「環境エンリッチメントっていうのは、平たくいうと飼育している動物たちの暮らしを豊かにして、できるだけ幸せになってもらいたい。そのために飼育担当者が行なう、あの手この手の工夫のことを環境エンリッチメントと言っています。

 環境を改変することで、間接的にその動物たちの行動が変わって、それで暮らしが豊かになるという、動物の行動に直接影響させるんではなくて、環境を変えようという、そういうのを環境エンリッチメントと呼んでいます」

●具体的にはどんなことがあるんですか?

「これは本当にいろんな種類があるんですけれども、私たちの動物園では分類をしていて、5つの種類があります。
 ひとつは採食と言って食べ物に関するものですね。どんな動物も基本的に食べ物に非常にモチベーションが湧きますから、例えば1日1回決まった量だけをどさっと与えるのと、何回かに分けて、しかもそれを頑張って探してっていうのでは、食べ物にかける時間が全然違ってきますよね。

 野生だとやっぱり動物は、食べ物を探すために森の中をウロウロするとか、いろんな行動をしているわけなんですけど、動物園だとどうしても上げ膳据え膳になってしまうのを、できるだけそうしないように、野生と同じように食べ物を探す行動をやってもらいたいということで、取り組んだりするんです。そういうのも『採食エンリッチメント』って言っていますね。

 ほかにも飼育している場所、それ自体をいろいろ改変する『空間エンリッチメント』ですとか・・・それから動物たちにはいろんな社会性があります。ひとりで暮らしたり群れで暮らしたり、テナガザルみたいにペアで暮らしたり・・・そういう動物にはその動物それぞれに適した社会的な刺激、ほかの動物と一緒に飼育する、同じ種類だったり別の種類だったり・・・そういう動物との社会的な刺激を作ってあげるという『社会エンリッチメント』ですね 。

 それから感覚、視覚とか聴覚とか嗅覚とか、そういうものを刺激するような機会を与える『感覚エンリッチメント』ですとか。あるいは認知。動物もやっぱり大かれ少なかれ、みんな自分で考えて行動しているわけです。その知能を使うような機会を発揮する『認知エンリッチメント』と、今ご紹介したような5つの種類に分けて実施することが多いですね。

 環境エンリッチメントは、日本の動物園の中ではメジャーな手法になっています。たいていどこの動物園でも飼育動物に対してはやっているという、そういう状況になっていますね」

●さまざまな工夫が施されているんですね。

「例えば、動物園に行ったりした時に、動物を展示しているエリアの中になんか見慣れない人工物みたいなものが入っているぞ、なんていう時は、実はよく観察しているとそれがエンリッチメントのための道具だったりすることがあります。

 動物がそれを使って、いろんな行動が引き出されて、いろんな行動を見せてくれたりするかもしれませんので、動物園に行った時にはただ漫然と動物を眺めるだけじゃなくて、そういう飼育上の工夫がどこかしらに隠されているんじゃないかなと思って見ていただけると、動物園の見方がより面白くなるんじゃないかなと思いますね」

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

(編集部注:飼育員さんたちの大事な仕事のひとつとして、サルたちの健康管理があるそうです。そのためには個体識別が重要で、一頭一頭、顔と名前を照らし合わせて、動きや餌の食べ具合などをチェックしているそうです。サルたちへの愛情がないと続かない仕事ですね)

便利な暮らしの裏側に

※気候変動や生息環境の減少などが野生動物にいろいろな影響を与えていると言われています。綿貫さんがいちばん気になっていることはなんですか?

「やはり人間の活動がサルたちが暮らす環境を脅かしているということで、サルは基本的に暖かい地方に棲んでいる動物なんですけれども、熱帯雨林とかっていう環境が今どんどん壊されているわけですね。
 そういう熱帯の森は、例えば先進国である私たちの普段の暮らしの中で使う、家を建てる木材だとか事務所で使うコピー用紙だとか、そういうものを作るために熱帯雨林の木々が伐採されていると・・・。

 伐採した後、裸になった地面にもう1回、森を育てるのではなくて、我々が普段の食生活の中で意識せずに口にしている植物性油脂、それを採るためのヤシ油のヤシの木を育てるプランテーションになっているんですね。
 私たちの見えないところで、サルたちの暮らしがどんどん脅かされているっていう現状があるわけですね。

 と言っても、今すぐにこの暮らしを全部変えるのは非常に難しいですけれども、どこか意識の片隅で、我々のこの便利な暮らしの裏側に、そういうことが起きているって意識して、日々できるところから、ちょっとずつ行動を変えていくことが重要になってくるのかなと思うんですね。
 そういう我々の活動が野生で暮らしているサルたちの環境を脅かしているのが、気になっているところですね」

●「日本モンキーセンター」のサルたちに会いに行こうと思っている方々に、綿貫さんからここを見てほしいっていうポイントがあれば、ぜひ教えてください。

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

「当園、非常にたくさんの種類のサルたちを飼っていて、みんなそれぞれちょっとずつ違うんですね。その違いをよく観察して、体の違い、行動の違いを見て、楽しんでいただきたいですし、できるだけサルたちが幸せに暮らせるようにと、私たちは常に配慮して飼育に取り組んでいますので、動物たちが快適に暮らしている様子を楽しんでいただきたいなと思います。

 そういう様子を含めて、サルたちと同じ時間を過ごしていただいて、彼らが野生で暮らしている環境に思いを馳せていただきたいと、そういうふうなことを願っています」

写真&イラスト協力:公益財団法人「日本モンキーセンター」

INFORMATION

『飼育員がつくったサルの図鑑〜かならず会いたくなっちゃう56のなかまたち』

『飼育員がつくったサルの図鑑〜かならず会いたくなっちゃう56のなかまたち』

 「日本モンキーセンター」の現役の飼育さんたちが作った本です。サルたちの特徴をよくとらえたイラストが素晴らしいです。飼育員さんだからこそ知っているサルの裏話や、綿貫さんによるサルの雑学は面白いですよ。ぜひお子さんと一緒に見ていただければと思います。
 くもん出版から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎くもん出版:https://shop.kumonshuppan.com/view/item/000000003396

 公益財団法人「日本モンキーセンター」のオフィシャルサイトもぜひ見てください。

◎日本モンキーセンター:https://www.j-monkey.jp

オンエア・ソング 5月21日(日)

2023/5/21 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. THE LAZY SONG / BRUNO MARS
M2. Around The World / MONKEY MAJIK
M3. BEAUTY AND THE BEAST / CELINE DION & PEABO BRYSON
M4. FIRE / BABYFACE & DES’REE
M5. Symphony / 平井 大
M6. ZOO / ECHOES
M7. WISHING HEART / LISA LOEB

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

宇宙旅行の時代がやってきた!〜宇宙日帰りプラン!? 宇宙ホテルに宿泊!? 月面史跡巡りツアー!?

2023/5/14 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、宇宙開発や宇宙旅行に詳しいフリーエディターの「鈴木喜生(すずき・よしお)」さんです。

 出版社の編集長から、現在はフリーのライター、そしてエディターとして活躍する鈴木さんは、生まれた年の1968年にアポロ8号が史上初めて月の周りをまわり、翌年にはアポロ11号が月面に着陸する偉業を達成。また、小学生の頃に映画「スターウォーズ」や「エイリアン」、「宇宙戦艦やまと」や「銀河鉄道999」などに影響を受けて、宇宙や宇宙船に憧れる少年時代を過ごしていたそうです。

 そして現在は、宇宙に関連する本をたくさん出していらっしゃいますが、宇宙開発の情報を常にストックしておくために、アメリカのNASAや、日本のJAXA、そしてヨーロッパの宇宙機関ESA、さらには、民間の宇宙開発企業が発表するプレスリリースを日々、入念にチェックされているそうです。

 そんな鈴木さんが先頃出された『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』は、これまで人類が宇宙に放った無人探査機などから得られた貴重なデータをベースに書いてあるので、半分はフィクションでも、まったくあり得ない話ではないそうですよ。

 きょうは近未来の宇宙の旅ということで、宇宙旅行日帰りプランや宇宙ホテル滞在プラン、そして月面史跡めぐりツアーのお話などうかがいます。

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

無重力体験、ひとり45万ドル!

※本のチャプター1で「宇宙パッケージツアー」として「お手軽日帰りプラン」が3つ紹介されています。そのうち、2つは既に実施されているんですよね?

「この第1章だけは、いわゆるほんまもんと言いますか、ガチの宇宙旅行ガイドなんですね。以前、前澤(友作)さんが宇宙に旅行したじゃないですか。あれが2021年なんですけども、あの頃まではロシアのソユーズっていう宇宙船を使っていたんですよ。

 過去にだいたい延べ12人ぐらいが自己資金でISS国際宇宙ステーションに個人旅行しているんですけども、ご存知の通りロシアがウクライナに侵攻したことで、そのサービスが今止まっちゃっていると・・・。
 では、今どうしても宇宙に行きたい人はどうすればいいかというと、今言われたそのふたつのサービスがあって、ひとつは有名なリチャード・ブランソン氏が立ち上げたヴァージン・ギャラクティック社、ここの『スペースシップ2』という宇宙船があります。

 もうひとつは、みなさんご存知のアマゾンを立ち上げたジェフ・ベゾス氏、彼が立ち上げたブルーオリジン社の『ニューシェパード』というこのふたつが、今お金を出せば、宇宙に行けるツールであるということになっています」

●それぞれどんなツアーなんですか?

「地球のまわりをくるくる周回する、いわゆる地球周回軌道に乗るわけではなくて、例えばボールを空に投げると、そのまま放物線を描いて落ちてきますけども、それと同じ飛び方をするんですね。
 つまりはその宇宙船がいちばん高いところに行ったところが宇宙であると・・・。いちばん高いところで宇宙に到達するんですけど、だいたい4〜5分の間、無重力が体験できるという、弾道飛行って言うんですけども、そういう飛び方をします」

●体験してみたいです!

「非常に時間は短いんですけども、ヴァージン・ギャラクティック社の『スペースシップ2』が、ホームページ にちゃんとお値段が出ていて、(ひとり)45万ドル、1ドル130円で換算するとだいたい5800万〜5900万円ぐらいです。今都内のマンションの平均価格が6000万ちょっと超えているぐらいなんで、マンション1室を買うのは諦めれば、5分間の無重力体験ができるというそんな感じですよね」

写真協力:鈴木喜生
写真協力:鈴木喜生

巨大なバルーンで宇宙旅行!?

※本では「お手軽日帰りプラン」の3つめに、巨大なバルーンに乗って高度30キロから地球を見るツアーが紹介されていて、驚いたんですけど、こんなツアーがあるんですね?

「これ僕、いちばんおすすめです」

●巨大バルーンで・・・!?

「これ実は、高度30キロなんで宇宙には到達しない、つまりは成層圏を漂うんです。一般的に宇宙っていうと、だいたい高度100キロぐらいから上が宇宙とされているんですね。ただ30キロまで上がると、もう上を見ても空が青くなくて真っ暗なんですよ。星が見えるんですよ。で、その下を見れば、例えばISS国際宇宙ステーションから見た時みたいに地球が見えるっていう、その眺めが体験できます。

 もうひとつは、さっきお伝えした宇宙船は打ち上がる時と、降りてくる時にすごくGがかかるんですよ。重力がだいたいいちばん高いと6Gぐらい。つまり寝そべってその上に自分が6人乗るぐらいの重力がかかるんですけど、このバルーンの場合は1Gのまんま。つまりなんの負荷もかからないで2時間かけてゆっくり上がって、高度30キロのところに2時間留まって、また2時間かけて降りてくるんですよ。で、この機内に入るとまずバーカウンターがあって・・・」

●びっくりしました。本に載っていてびっくりです!

「ソファーがあって、普通のトイレがあって、機内は高速wi-fiが飛んでいます(笑)。(スペース・パースペクティブ社の)ホームページを読むと書いてあるんですけど、要するにドリンク、アルコールも飲めるし、軽食もサービスで付くと・・・この前報道されたんですけど、ベンチャー会社の勢いのある社長さんが、これを社員のためにひとつチャーターしたみたいです」

●実際、いつからツアーが始まるんですか?

「来年から本格スタートだったと思うんですけども・・・2024年下期ですね。(料金は)おひとり12万5000ドルなんで、まあ1500万円ちょいなのかな、こちらは。だから高い車1台買うのを我慢すれば6時間遊べるという、お手軽価格です」

ヒルトンが監修する宇宙ホテル!

※『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』には、国際宇宙ステーションISSに接続する、史上初の宇宙ホテルが紹介されています。ほかにも、ホテル大手のヒルトンが監修する宇宙ホテルが載っていました。これはどんなホテルなんですか?

「簡単に説明すると、今NASAはいわゆる国の組織なんで、税金で宇宙開発しているんですけども、徐々に民間に仕事を開放しているんですね。で、在米の企業に宇宙ホテルを作れる会社ありますかって募集をかけて、応募してきてくれた会社のプランを見て検査して、それで良さげなものには補助金を出して開発に当たらせるという・・・。

 今は3社が選ばれて、その3社に基礎設計の協力金を出しているっていう状態で、またその次のステップで審査があるんですけども・・・。だから今アメリカではISSに接続する宇宙ステーションと、あと3機、宇宙ステーションを開発しているということです。

 そのうちのひとつが、ヒルトンが提携しようとしている『スターラブ』っていう宇宙ステーションなんですね。このスターラブ、いちばん面白いのは1回の打ち上げで、もう完成しちゃうと・・・。つまりはモジュールをひとつ 打ち上げて、あとはそこに空気を送り込んで、風船みたいに膨らませるんですよ。で、そこが居住区画になって4人が滞在できるんです」

●定員4名ということなんですね。

「その内装のデザイン、管理をヒルトンと提携してヒルトンがやると・・・。だからこっちはもう本当にお客さん目当てというか、そういう演出が効いている宇宙ステーションということになりますよね」

月面史跡巡りツアー!?

※アメリカの起業家イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業「スペースX」社は、全長120メートルの史上最大の宇宙船「スターシップ」で月のまわりを回るツアーを計画。また、NASAが中心となって進めている国際的な月面探査プロジェクト「アルテミス計画」も注目されています。月は地球人にとって、宇宙開発の象徴のような天体と言えるかも知れません。

 鈴木さんの本に「月面史跡巡りMAP」が載っていて、近い将来、史跡を巡るツアーが現実になるかも知れないと思ったんですけど、こんなツアーがあったら、面白いだろうな〜というのを紹介していただけますか。

「僕は宇宙、宇宙と言っても天文からロケットマニアからいろいろな(タイプがあって)要するに電車マニアもすごく細分化されているじゃないですか。それと同じように宇宙も、すごくここが好きっていうふうに分かれるんですけど、僕はどちらかというと、天体というよりはロケットとか宇宙船が好きなんですね。月に行っても多分、殺風景ですぐ飽きちゃうと思うんですよ。

 ですから、今までにアメリカとかロシアとかソビエトとか中国とかが(月に)いっぱい探査機を送り込んでいて、それが要するに風化しないもんですから、月面は風も吹かないし、空気もないから、その当時のまんまバッテリーが切れた状態でポツンとあるはずなんですよね。

 それを1個ずつ巡るとまあ面白いのかな・・・記念品でちょっと部品を持ってこようかなみたいな・・・要するにトレジャーハントだと思うんですけど、そういうのは面白いかもしれないですよね」

●月面から美しい地球を見たいなって思うんですけど、絶景ポイントってありますか?

「ご存知の通り月って、片面が常に地球に向いているじゃないですか。ずっと同じ面を向けて地球のまわりを回っているんで、そちら側にいると常に真っ青な地球が見られるんですよ。ただその裏側、月の裏側に行くと何が起こるかというと、真っ暗になるわけですね、基本的に。そうするとものすごく星が綺麗に見えるはずなんですよ」

●あ〜そうだ〜!

「それも見てみたいですよね」

火星旅行〜山と峡谷!?

※実はイーロン・マスク氏の「スペースX」社は火星に人を送るプランも進めているほか、NASAも有人の火星探査を計画しているそうです。

 近い将来、月まで行ったら、火星旅行もしたくなりますよね。火星で見逃せないポイントと言ったら、何がありますか?

「火星は見所がふたつあって、太陽系でいちばん高い『オリンポス山』、これがだいたい22キロぐらいの標高があるんですね。だからエベレストの3倍くらいはあるのかな。
 もうひとつは『マリネリス峡谷』、火星のよくある写真を見ると、左下に見えるんですけど、すごく深い亀裂みたいな、傷みたいなのがあるんですよ。そこがすごく深くて総距離が4000キロぐらいある峡谷なんですね」

●巨大な峡谷!?

「はい、今火星のまわりの周回軌道を無人探査機がくるくる、一生懸命いろいろ観察して、観測して調べているんですけども、それの電磁波もしくはレーザー照射で調べたところ、このマリネリス峡谷に水があるらしいということになってます」

(編集部注:火星に水があるかも知れないということですが、もしあれば、今後の宇宙開発にとって、重要な意味を持つそうです)

地球を大切にしましょう

※鈴木さんが宇宙旅行に行くとしたら、どの星に行ってみたいですか?

「僕はね、地球がいいですね!」

●えーっ!(笑)地球ですか!?

「宇宙に行くと現状、お酒を飲めないんですよ。多分、宇宙に行くと血が頭のほうに均等に上がってきちゃうんで、顔がパンパンになって、足は細くなるんですけど、おそらくその状態でアルコールを飲むと、すごく酔っ払うと思うんですね。 あとお風呂に入れないでしょ!」

●はい(笑)

「ただね、1個だけ(行ってみたいのは)木星の衛星で『ガニメデ』っていうのがあるんですね。その表面は、おそらく岩石と氷に覆われているんですけど、中に海があるんですよ。内部海って言うんですけど、ESA欧州宇宙機関がそこに向けて『ジュース』っていう無人探査機を打ち上げたばっかりなんです。

 それを周回軌道から観測して、もしかしたらその海に生命がいるかもしれないということを探索するんですけど、ちなみにそこに(ジュースが)到着するのが8年後なんですね。だから結果を僕が見られるかどうかはわかりませんね」

●いやいや、でもすごいですね。また新しい発見につながるかもしれないってことですね。鈴木さんは地球人として、地球という星にはどんな思いがありますか?

「太陽系のほとんどの惑星、衛星はかなり詳しく分かるようになってきたんですね。最近、写真も撮れているし、探査機も到達しているし・・・やっぱり地球ほどいい星はないんですよ。
 氷ばっかりだったりとか、木星とか土星はガスですからね。表面にほんのりアンモニアが乗っかっているわけですよ、多分行ったら臭いんだと思うんですけど・・・。だからそういうのと比べて考えると、地球みたいにいいところは、おそらくないので、みんな大切にしましょうね、地球を! っていう感じでしょうかね」


INFORMATION

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

『宇宙の歩き方〜太陽系TRAVEL BOOK』

 この本には、実際に行ける宇宙旅行パッケージツアーほか、月や火星エリア、水星や金星の岩石惑星エリアなどが豊富な写真やデータとともに紹介。
 QRコードが載っていて、スキャンするとYouTubeで貴重な動画も見られます。NASAが撮ったISSから見るオーロラや夜景、宇宙旅行日帰りプランでご紹介したバルーンから見る景観を動画で再現してあったりと、見所満載です。ぜひチェックしてください。
 G.B.から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎G.B.: https://gbeshop.thebase.in/items/69825180

『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』

『宇宙望遠鏡と驚異の大宇宙』

 もう一冊、鈴木さん執筆の最新刊。軌道上の宇宙望遠鏡80機以上の詳細な解説と、最新画像を豊富に掲載した240ページにも及ぶ豪華本です。見たこともない壮大で神秘的な写真に圧倒されます。こちらもぜひ!
 朝日新聞出版から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎朝日新聞出版:https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24201

オンエア・ソング 5月14日(日)

2023/5/14 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. SPACE COWBOY / JAMIROQUAI
M2. MORE THAN A FEELING / BOSTON
M3. HOT AIR BALLOON / OWL CITY
M4. STAR LOVE / CHERYL LYNN
M5. アポロ / ポルノグラフィティ
M6. LIFE ON MARS? / DAVID BOWIE
M7. EARTH SONG / MICHAEL JACKSON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

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