2023/5/7 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、気象予報士の「わぴちゃん」こと「岩槻秀明(いわつき・ひであき)」さんです。
子供の頃から自然や気象のことが大好きだった岩槻さんは、小学校高学年の時にニュースで気象予報士という国家資格があることを知り、さっそく勉強を始めたそうです。そして絶対に合格するという強い意志のもと、高校2年生の時に、3回目のチャレンジで見事合格!
そんな岩槻さん、現在は気象予報士、そして自然科学系ライター、さらに千葉県立関宿城博物館の調査協力員としても活躍されています。
そして先頃、『空を見上げるのが楽しくなる! 雲の図鑑』を出されました。このムック本には、100種類以上の雲の写真が掲載されていますが、そのほとんどが岩槻さんの撮影なんです。
きょうは雲博士、岩槻さんに雲の不思議や種類、そして珍しい雲のお話などうかがいます。
☆写真協力:岩槻秀明

雲のメカニズム
※改めてなんですが、雲はどのようにしてできるのか、そのメカニズムをなるべくわかりやすく解説していただけますか?
「天気の現象で、雲はどうしてできるの?とか、雨はどうして降るの?とか、風はどうして吹くの?って、小っちゃな子供たちからも出てきそうな質問なんですけど、その仕組みを説明するとなると、すごく複雑なんですよね(笑)。なので、いつも大変苦労はしているんですけれども、雲ができるメカニズムはいくつかのポイントがあります。
まずひとつは空気、その中に目に見えない水蒸気が含まれている。これがひとつポイントですね。空気の中にある水蒸気は空気の温度、気温が高くなるほど、水蒸気をいっぱい持つことができるんですよ。
で、気温が下がって冷たい空気になると、あまり水蒸気を持つことができなくなるので、持ち切れなくなった水蒸気が追い出されて、小っちゃな水とか氷の粒になって出てくるんですね。ひとつはこれなんです。
もうひとつは、空気がなんらかの理由で、下から上に持ち上げられると、ふわっと膨らむんですよね。下はすごく空気がいっぱいあって、ぎゅうぎゅうに押し込められた感じなんですけど、上のほうは空気が薄いので広がっていく。まわりから押さえつけられる力がなくなるので、わーっと広がる。で、広がる時にエネルギーを使うんですね」
●エネルギー!?
「はい、膨らむのにエネルギーを使うんですよ。熱のエネルギーを使ってしまうので、使ってしまった分、冷たくなるんです。
だから今のふたつの前提がありまして、まず空気中に水蒸気を含んだ空気があって、それがなんらかの理由で持ち上げられると、もわっと膨らんで、その時に熱エネルギーを使うので冷やされる。冷えてしまうと、空気は水蒸気をあまり持てなくなるから、その持ち切れなくなった水蒸気が水の粒とか氷の粒になって漂う、それが雲です」
(編集部注:雲の正体は、とても簡単に言ってしまうと、水蒸気が冷やされてできた小さな水滴や、極めて小さな氷の結晶の集まりだそうです)

雲は何種類!?
※雲を分類するにあたって、何か基準になるものはあるんですか?
「雲の分類、昔の人はよくやりましたよね。昔、最初にやろうとした人の中には、そんな無駄なことはやめて、別のもっと役に立つことをやれって諌められたっていう話があるくらいで、よくやったなと思うんですけどね。とりあえず今は10種類に分けておりまして、その視点があるんですね。
まずは浮かんでいる高さ。雲は地上から上空だいたい1万3千メートルくらい、対流圏っていうところで、できるんですけれども、それを3つに分けるんですね。5千から1万3千メートルくらいの間の対流圏上層、それからちょっと被っているんですけど、2千〜7千くらいの対流圏中層、あと2千メートルより低い下層、その3つに分けて、上層にできる雲か、中層にできる雲か、下層にできる雲かっていうのが、まずひとつの視点。
もうひとつは雲の形というか性質というか、モクモクって上に向かって伸びる性質があるタイプなのか、横にベタ〜っと広がる性質がある雲なのか、あとは筋みたいにシュッシュッシュッてなるタイプなのかという3つ。あと雨を降らせるかどうか、これの組み合わせで10種類になっている感じですね」

●本の中で面白い説明が付いている雲を見つけました。「羽根雲(はねぐも)」って言われている雲がありましたよね。これはどんな雲なのか教えてください。
「文字通り、鳥の羽根みたいな形(笑)」
●それは普通に私たちも見ることができる雲ですか?
「時々出ていますね。筋みたいな『筋雲(すじぐも)』って呼ばれる雲がいっぱい広がっている時に注目して見ると時々できていますね。これがよく出やすいのが飛行機雲ができて、その飛行機雲が時間と共に変化するパターンですかね」
キャッツアイ/猫の目雲
●あと「キャッツアイ」っていう雲もありましたよね?
「ありますね。波頭雲(はとううん)という雲ですね」
●これはどんな雲なんですか?
「これまた、言葉で説明するのが難しい雲なんですけど(笑)」
●さきっぽがくるんって巻いてあるというか、波にようになっていますよね。
「はい、よく言われるのが日本画に出てくる波!」

●あ〜はいはいはい! まさに波打っている波っていう感じですよね。
「くるん!となった、鎌みたいなというか、それがいくつも並んだ状態で、正式には『ケルビンヘルムホルツ波』っていう舌を噛みそうな名前の風の波、それに雲が巻き込まれてできるものなんですけれども、ケルビンヘルムホルツ波が時間と共にくるっと巻いていますよね。先がどんどん巻いていくんですよ、くるくるくるって・・・。
最終的には猫の目みたいな形になるので『キャッツアイ/猫の目雲』って言われるんですけれども、そこまでいくまでに崩れちゃうことが多いので、私は綺麗な形の猫の目は見ていないんですよね」
●先ほどもちょっとお話に出ました飛行機雲ですけど、何か定義はあるんですか?
「はい、すごくざっくり言っちゃうと、飛行機によってできる雲なんです。今回のこの雲の本でも使っている国際的な基準があるんですね。雲の分類の『国際雲図帳(こくさいうんずちょう)』っていう、全世界で使われている基準みたいなものがあります。度々改定が重ねられてきて、私が生まれてからつい最近まで、ずーっと同じのが使われていたんですけれど、それが2017年版で改定になったんですね。
改定前までは飛行機雲って、すごく宙ぶらりんな位置付けだったんですよ。とにかくそれこそ飛行機によってできる雲くらいの位置付けしかなくて・・・今回2017年版できちんと明記されたというか、どうなったかって言いますと、やっぱり10種類のどれかに位置付けることになったんですね。
氷の結晶でできて、シュッシュッてしているから『巻雲(けんうん)』、人工的なメカニズムでできた巻雲ということに位置づけられました。ただちょっと条件がついたんですよ。飛行機が通ってから10分以上雲として残り続けたら、人工的な巻雲、飛行機の巻雲として認めますよって・・・」
●確かに毎回、飛行機雲って出現するわけじゃないですよね?
「そうですね。空気が乾燥しているとすぐ消えちゃったりとかしますね」
(編集部注:岩槻さんの『雲の図鑑』には、出会える頻度「レア度」がAからDの4段階で表示されています。Aはよく見られる、Bは時々見られる、Cはたまに見られる、そしてDは極めて稀。お話にあった「キャッツアイ」はレア度はCでした)
滝のように溢れ出る雲
※5月から7月にかけて、よく見られる雲はありますか?
「意外に雲って例えば、モクモクした雲は夏の雲で、筋みたいな雲とか羊雲は秋の雲だとか、よくイメージはあるんですけれども、意外に季節的な傾向はありそうでなくてですね」

●そうなんですか?
「そうなんですよ。だから今この季節だから、この雲は出ないなんてことはなくて、多分1ヶ月毎日、丁寧に見ていれば、十種雲形の10種類はちゃんと揃えられると思います。これから夏休みの季節でも十種雲形を集めようと思えば、多分毎日ちゃんと見ていれば、集まると思います」
●自由研究とかいいですね?
「あっ、いいですよね。その中でも5月から7月って梅雨時なので、梅雨にまつわる雲が出やすいかもしれないですね」
●こういう雲が出てきたら雨が降るとか、そういう雲が出てくるってことですか?
「雨雲系ですからね。世間一般的にはあまり嬉しがられない、乱層雲みたいなしとしと雨を降らせるやつ・・・あとは5月くらいだと、まだ冬の名残りみたいな寒波が上空に流れ込んできたりすることがあるので、積乱雲が発達することがありまして、雷雲が見られます。
5月6月って実は意外に雹(ひょう)が多い季節でもあって、雹の災害に気を付けなきゃいけないんですね。なので積乱雲とかそういった梅雨時の乱層雲とかが比較的よく見られる雲かもしれないですね」
●今まで岩槻さんが見てきた中で強く印象に残っているとか、珍しかったなって思う雲はありますか?
「実はもう数えきれないほどいっぱいありまして(笑)、どれを出そうかってすごく悩むんですけれども、やっぱりいちばん印象に残っているのは、とあるテレビのロケで行った滝雲(たきぐも)。

秋の終わりぐらいの冷え込んだ朝に霧が出ることがあるんですけれども、その霧が山と山の窪みの盆地みたいなところに溜まるんですね。その霧がまるで盆地の入れ物から溢れるように、滝のように溢れ出るような感じで動く雲、それを滝雲って言うんですけど、それをテレビのロケで見に行ったんですね。それでロケ日にぴったりと、わーっとダイナミックな光景が見られたのですごかったです」
(編集部注:地形の影響で出現する滝雲、岩槻さんは新潟県の南魚沼で目撃したとのことですが、調べてみると魚沼市にある「枝折峠(しおりとうげ)」が滝雲の有名なスポットで、息を呑むほどの神秘的な光景を見られるそうですよ)
自然と触れ合う、雲をそのきっかけに
※雲は天気の変化や、季節の移り変わりを知らせてくれるメッセンジャーかも知れませんね。
「その通りですよね。まずその季節の変化も感じますし、昔の人はそれで天気の予報をしていましたしね。あとこれからの季節で、いわゆるゲリラ豪雨って呼ばれているような天気の急変、雷雲とか前兆となる雲があります。それを知っていれば、あの雲が出てきたから、ちょっと早めに撤収しようかって逃げることもできますし、まさにメッセンジャーですよね」
●岩槻さんは仕事柄いろんな雲をご覧になっていると思うんですけれども、純粋に雲を見てどんなこと感じますか?
「これは雲の種類とかにもよって変わりますけれども、綺麗な雲を見たら素直に綺麗ってなりますよ。 で、綺麗な雲を見つけた時って、滅多に見られない雲とか憧れの雲を見つけた時って、カメラを構えるんですけど、手が震えるんですよね。だから意外に、あれっ?あれっ? みたいな感じで撮れていないとかなっちゃうっていう、結構冷静なようで感情的に見ているなって・・・(笑)」
●でも、それだけ心揺さぶられるものがありますよね?
「揺さぶられますね〜」
●では最後にこの本『空を見上げるのが楽しくなる! 雲の図鑑』を通して、いちばん伝えたいことを教えてください。
「みなさん、外に出たら・・・なかなか今は、まわりを見渡すとスマートフォンの画面をご覧になっちゃっているかたのほうが多いんですね。それはそれでもいいんですけれども、ぜひ空を見たりとか、あと肌で空気を感じてみたりとかね。
それから身のまわりの、雲の流れ、風の動き、自然の振る舞いとか、いろいろ感じてみるのもいいと思いますので、外に出た時は自然と触れ合える、雲はそのひとつのきっかけ、ひとつの要素として、ぜひ雲も取り入れてみていただけると嬉しいななんて思っていたりします。
あと、第二第三の私みたいな雲の図鑑を作るような雲博士が登場して、どんどんこの業界を盛り上げてほしいななんて思っていたりもします」

INFORMATION
岩槻さんが出されたムック本には、100種類以上の雲の特徴が網羅されています。ほかにも雲のメカニズムや眺めるときのポイントなどがわかりやすく解説、写真が大きいので雲の形がよくわかりますよ。マキノ出版から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎マキノ出版HP:https://www.makino-g.jp/book/b620661.html
◎岩槻秀明さんのオフィシャルサイト:http://wapichan.sakura.ne.jp
2023/5/7 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. Walking on the clouds / 藤原さくら
M2. 流れる雲を追いかけて / サザンオールスターズ
M3. 白い雲のように / 猿岩石
M4. ひこうき雲 / 荒井由実
M5. 晴れたらいいね / Dreams Come True
M6. FEET IN THE CLOUDS / PAUL McCARTNEY
M7. 愛にできることはまだあるかい / RADWIMPS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2023/4/30 UP!
◎渡貫淳子(南極地域観測隊の元調理隊員)
『南極生活で培った暮らしの知恵〜南極地域観測隊・元調理隊員に学ぶ』(2023.04.30)
◎『シリーズ「SDGs~私たちの未来」第12弾~お花のロスレスブーケ、カラーコスメをアップサイクルしたクレヨン~』(2023.04.23)
◎きのしたちひろ(海洋動物研究家/イラストレーター)
『生き物の世界は謎だらけ! だから面白い!〜研究&論文のエッセンスを楽しもう!』(2023.04.16)
◎白石康次郎(海洋冒険家)
『白石康次郎、世界一過酷なレース「ヴァンデ・グローブ」に再挑戦!』(2023.04.09)
◎風間深志(冒険ライダー/NPO法人「地球元気村」の大村長)
『次の世代に! 〜「地球元気村」35年目の決意』(2023.04.02)
2023/4/30 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、南極地域観測隊の元調理隊員「渡貫淳子(わたぬき・じゅんこ)」さんです。
渡貫さんは第57次・観測隊の調理隊員として、2015年12月から2017年2月まで
およそ1年3ヶ月にわたって、南極の昭和基地に滞在、隊員30名の食事を毎日作るミッションを担っていらっしゃいました。
そんな南極での活動をまとめた『南極の食卓〜女性料理人が極限の地で見つけた暮らしの知恵』という本を出されたということで、番組にお迎えすることになりました。
きょうは、隊員たちの胃袋を満たす毎日の献立や、私たちの生活に通じる、ゴミを出さない調理の知恵などうかがいます。
☆写真協力:渡貫淳子

毎日30人分の食事を朝・昼・晩!
※渡貫さんは青森県八戸市(はちのへし)生まれ。料理の専門学校を卒業後、その学校に就職。結婚・出産のため、退職するも、家事や子育てをこなしながら、飲食業界で調理の仕事を続けていたそうです。
そして30代後半に、南極に行ってみたいという夢を抱き、3度目のチャレンジでついに合格!ちなみに渡貫さんは、昭和基地史上ふたりめ、民間人としては初めての女性調理隊員だったそうですよ。
正式に隊員になった渡貫さんの、最初の大きな仕事は、南極に持って行く食材の発注、仕入れ、そして船への積み込み。その量たるや、隊員ひとり1年間で1トン、それが30人分ですから、トータル30トン以上にもなるんです。
調理隊員はふたり、ということで、相方さんと一緒に入念に準備、電卓をたたいて計算し、発注したあとも、これで足りるかな〜という不安が常にあったそうですよ。
日本での準備が整った渡貫さんたち南極地域観測隊の隊員は、まず、飛行機でオーストラリアに入り、先に日本を発った「南極観測船しらせ」と合流し、いざ、南極へ。そして、およそ3週間の航海を経て、昭和基地に到着したそうです。

●これは何度も聞かれていることだと思うんですけど、南極にやっと着いた時、どんな気持ちでしたか?
「それがですね、意外とあっけないというか、一面の銀世界じゃないんですよ。南極に着く時はちょうど夏の時期にあたるので、意外と雪がなくて、岩が露出してゴロゴロしていて、茶色! って感じです」
●へ〜〜、想像とちょっと違うという感じだったんですか?
「はい、なんか岩山に来たぞ! みたいなそんな感じなので、イメージとしては何もない真っ白い世界と思っていたのがちょっと違うんです(笑)」
●いざ南極での生活が始まって、越冬隊員30人分の食事を調理担当のおふたりで作るわけですよね?
「そうですね。私たちが作るものしか逆に食べ物がないので・・・日本だったらちょっと缶コーヒーを買いにとか、コンビニに行ったりとかできると思うんですけど、もちろんそれはないので、とにかく食べるものを用意してあげないと、みなさん食べられない・・・ですから、常に作っているそんな日常ですね」
●私も去年結婚して、きょうの夜は何を作ろうって日々思っているんですけど、渡貫さんの場合はそれが朝・昼・晩ですし、しかも30人分ですよね。どうやってこなしていたんですか?
「それがですね・・・私の感覚からすると、そんなに大変じゃないと言ったら怒られそうですけど・・・例えば、おうちでご家族の食事を作っていらっしゃる方も同じだと思うんですよね。家族のために1日3食であったりお弁当であったり、あとおやつを作ったり、みなさんされていることだと思うんです。
それが人数が少ないか、30人かっていうだけで、私としては普段から飲食業界で、すごく多い人数の食事を作っていたので、全然抵抗なくこなすことができたかと・・・。
あとは主婦で毎日作り続けることには慣れていたので、ある意味、そこは主婦のスキルが活かせたんじゃないかなって思います」
●とはいえ、南極に持って来た食料の中からやりくりするっていうことですよね?
「まぁそれしかないので・・・(笑)。でも意外と諦めがつくというか、欲しいものがあっても届ける術もないですし、なのであるもので・・・ですから冷蔵庫の中を見てどうしようかなっていうそういう毎日ですかね」
●まず何から使っていくとか、そういったセオリーはあったんですか?
「実はセオリーはないんです。そもそも30〜40トンの食料を一気に運んでしまうと、とにかく段ボールの山なんですよ(笑)。なので正直どこに何があるかを探すのが大変。
ですから最初のうちは手前にある段ボールを開けて、そこにある食材からとにかく作っていく。時間の経過とともにだいたい冷蔵庫の中身が把握できてくるので、そこからこの材料はちょっと多いから、ここから消費していこうかなみたいな感じで、本当に冷蔵庫の中と相談しながら献立を考えていくという形なので、メニューは考えていかないんですよ」

人気の献立は普通の定食!?
※朝・昼・晩の定番メニューみたいなものはあったんですか?
「基本的には朝ご飯は、食べる人、食べない人がいらっしゃるので、ビュッフェスタイルで、ご飯食もあり、パン食もあり、ビジネスホテルの朝食みたいな感じですね。
お昼はやはりみなさん、仕事と仕事の合間に取る食事になるので、さっと食べてまたすぐ仕事に戻れる、もしくは少しでも休憩が取れるように、麺類とかどんぶりだったり、そういったものが多かったかなと・・・。夜は定食のようなご飯とお味噌汁に、メインと小鉢があってみたいな大体それが日常の食事ですね」
●なるほど。渡貫さんの得意料理はなんですか?
「なんですかね・・・実は私もともと和食が専門だったこともあって、そんなにカレーライスを作るほうではなかったんですけれども、 南極だと1週間に1回カレーライスなんですね。カレーライスの時にはやはりみなさんご飯の消費量もすごく多いので、逆に南極に行ってカレーを作るのが得意になったかなとは思います(笑)」
●そうなんですね(笑)。
「あと意外だったのは、やっぱり時々お誕生日とか、何か行事食っていうことで、パーティーのようなお料理を作ることもあるんですけれども、それ以上にきょうのご飯は良かった! とか、美味しかった! って言ってくださるのは、普通の焼き魚定食みたいなものだったり、本当に飾らない日常の食事のほうが反応はよかったなと思います」

リメイク料理「悪魔のおにぎり」!
※渡貫さんが先頃出された本に生ゴミを出さないための知恵として「リメイク料理」が載っていました。どんな料理なのか、教えてください。
「そもそもゴミを(南極から)日本に持って帰らなければいけないんです。 もちろん、生ごみを生ごみとして持って帰るわけではなくて、最終的にきちんと処理をした状態で、灰にして持って帰ってくるんですけれども、やはり持って帰る以上、ゴミの量を極力減らさなければいけない。そうすると日常で出てくる食事の残り物を減らさなきゃいけない。
じゃあどうしようかなと思った時に、その日に出した料理をちょっと形を変えて別のものにしてあげて、次の料理につなげていく。そういったことが環境に負荷をかけないためにも必要だったっていう、そんなこともあって生まれた料理かなと思います。
日本だったらシンクに流せる液体も、なかなか南極ではそのまま処分できないので、たとえば缶詰でしたら、缶詰の固形のところは料理に使う、液体のところはまた別の料理にしてあげるという形で、極力全部、余さず残さず作るような工夫が南極では必要でした」
●そのリメイク料理で有名になったのが「悪魔のおにぎり」ですよね。日本に帰ってこられて、某コンビニチェーンで商品化されましたけれども、考えたのは渡貫さんだったんですよね?
「考えたと言ってもね・・・材料は天かすと天丼のタレのようなものと、青さのりだけなので、そんなにたいそうなおにぎりではないんですが(笑)、私が夜食用に作っていたおにぎりがもとになりました」

●本に載っていたレシピをメモらせていただきました(笑)。改めてどんなおにぎりか教えていただけますか?
「私はいつも厨房で、残った材料を使って、夜食のおにぎりを作っていたんですね。実はいろんな種類のおにぎりがあったんですが、唯一そのおにぎりだけ名前がつきました。
お昼ご飯に天ぷらうどんを作った日だったんですけれども、その日は余った材料が天かすしかなかったんですよ。どうしようかな〜と思って、とりあえず白いご飯はあるので、そのご飯に天丼のタレのような、ちょっと甘じょっぱいタレで味をつけて、天むすのエビが入ってない感じっていうんですかね・・・そんなのを作ろうと思って天かすを入れて混ぜたんです。
なんかちょっと物足りないんだよなと思って、厨房に余っていた青さのりを入れたんですけど、青さのりのおかげで、すごく香りがよくなって、なんでしょう・・・天かすが入っていて油っぽいのに食べやすい、食べ進むっていうことで、みなさん結構好んで食べてくださったんです。
ただ問題は、このおにぎりを私が出す時間が22時とか23時なんですよ。夜の時間帯に食べるには、ちょっとこれ、夜に食べちゃいけないよね(笑)。ですけど、みなさん美味しさはわかっているので、どうしても負けてしまう、葛藤しながらも結局負けて食べてしまうので、悪魔的なおにぎりだということで、食べていた人が名前をつけてくださいました」
●それほど、食が進むってことですよね(笑)。
「ちょっと夜中には危険なおにぎりだったと思います」
(編集部注:渡貫さんの仕事は、朝昼晩の食事を作る以外に、日帰りで作業に出かける隊員のためにお弁当作りもありました。冷たくなると美味しくないので保温機能の付いたお弁当箱を持たせたそうですよ。
忙しい日々を送っていた渡貫さんが、南極でいちばんの癒しスペースと表現している場所が昭和基地の中にあるんです。その場所とは「グリーンルーム」! 野菜を育てるための小さな部屋で、南極で緑が見られるのは、ここだけだそうです。
実は南極には環境を守るための保護条約があって、土や植物のタネは持ち込めません。そのため、事前に環境省に申請し、許可されたタネを持っていき、水耕栽培で、トマトやキュウリ、モヤシや水菜などを育てたそうです。
隊員たちにとって、新鮮な生野菜はいちばんのご馳走で、食卓に並ぶと、みんなテンションがあがっていたとおっしゃっていましたよ。
渡貫さんの本『南極の食卓 女性料理人が極限の地で見つけた暮らしの知恵』には、グリーンルームや収穫した野菜の写真なども載っていますので、ぜひ見てください)

便利なこと=幸せなのか
※およそ1年3ヶ月にも及ぶ南極・昭和基地での活動を終えて、帰国されてから、なかなか普段の生活になじめなかったそうですね。
「見事に社会不適合になって帰ってきました」
●それはどんなことに違和感がありました?
「まず、いろんなものが溢れているんですよね。物もそうですし、食べ物もそうですし、あと情報も・・・交差点に立った時に、いろんな音が耳の中にうわーっと入ってきて、頭が整理できなくなって、(南極に行く)前は普通にできていた日常生活がこんなにストレスを感じるのかっていうのが実感でした」
●そうなんですね。当たり前すぎて、特に気にしたことはなかったです。
「それが普通の生活だと思っていたんですが、逆にいろんなものに制約があって、必要最低限のものだけで生活をしていた・・・そこから何不自由ない便利な生活に戻ったら、逆に便利なこと=幸せとはちょっと違うのかなって、私は思うようになってしまいました」
●一方で南極滞在中に身についた習慣で、今もやっているよっていうようなことはありますか?
「やっぱりゴミに対する躊躇する感覚は今も抜けないので、いかに自分の日常生活でゴミを減らせるか・・・あとは危険予知と言って、やはり何が起こるかわからない生活だったので、ひとつのことを行なうにしてもいくつかの方法を準備するんですね。
日本に帰ってきても、たとえば電車が遅延した時にどの手段で目的地まで行くかっていうルートをいくつか用意したり、携帯電話の電源が切れてしまったら、できなくなることがいっぱいあるじゃないですか。なのでメモを取ったりですとか、ちょっとアナログな部分でも同時並行で必ずバックアップ体勢を作るように、これはもう無意識に身についた術なのかなと思います」
●南極での生活は、私たちの今の日常とつながっているんですね。
「多分みなさん、きっと別世界だと思っていらっしゃると思うんです」
●思っていました。
「実はすごく近いというか、逆に災害時の備えにつながったりとか、すごく日常生活に活かせることが多かったと思います」
●食品ロスについてもそうですよね。いろんな知恵がいっぱいありますよね。
「そうですね。みなさん食品ロス削減って言われると、すごく難しいテーマに捉えられがちなんですが、実は本当に日常のちょっとした工夫で減らせることって、いくらでもあるんじゃないかなとは思います 」

南極での経験を活かして
※では最後に、南極生活から得た経験を今後、どう活かしていきたいか、教えてください。
「それだけのチャンスをいただいて、日本では得られない、ありがたい経験をさせていただいたなっていうのがまずひとつと、これをせっかくなので、日本の生活でも(活かして)、そのままもとに戻るのはもったいないなと思います。自分ひとりができることってたかが知れている小さなことだと思うんですけど、その小さな積み重ねがいつか大きな変化につながれば、そんな思いでこれからもいろんな活動ができたらなと思います」

(編集部注:渡貫さんは、屋外でペンギンを観察したり、魚を釣ったりという活動もされていたそうです。渡貫さん曰く「ドアの向こうは、むき出しの自然」だったそうですよ。
ちなみに渡貫さんたちの観測隊が、巨大な魚を釣りあげ、それがニュースになったことがあったそうです。その魚の名前は「ライギョダマシ」、全長はなんと157センチ! 観測隊史上最大の獲物だったということで、日本に持ち帰り、現在は葛西臨海水族園に展示されているとのことです)
INFORMATION
南極での生活や奮闘ぶりを垣間見られるほか、南極大陸や昭和基地内の写真、そして献立の写真なども豊富に掲載。主婦でお子さんもいらっしゃる、ひとりの料理人の挑戦の記録とも言える一冊です。食品ロスを減らすヒントもありますよ。
家の光協会から絶賛発売中です。ぜひ読んでください。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。この番組のホームページにリンクをはっておきます。
◎家の光協会HP:http://www.ienohikari.net
渡貫さんは食品ロスや防災に関する講演活動なども行なっていらっしゃいます。ぜひネットで検索してみてください。
2023/4/30 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. COUNT ON MY LOVE / LIZ PHAIR
M2. レシピ / 山下達郎
M3. COME ON A MY HOUSE / HEY! SAY! JUMP
M4. MIDNIGHT AT THE OASIS / THE BRAND NEW HEAVIES
M5. アイオライト / AWESOME CITY CLUB
M6. EVERYDAY LIFE / COLDPLAY
M7. THANK U / ALANIS MORISSETTE
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2023/4/23 UP!
SDGsという言葉、ここ数年で随分浸透してきたように思いますが、いかがでしょうか。SDGsはご存知の通り「SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字を並べたもので、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」。
これからも地球で暮らしていくために、世界共通の目標を作って資源を大切にしながら経済活動をしていく、そのための約束がSDGs。2015年の国連サミットで採択され、全部で17の目標=ゴールが設定されています。
この番組、ベイエフエム / ザ・フリントストーンでは「SDGs〜私たちの未来」というシリーズ企画を立ち上げ、これまでにSDGsに取り組んでいる事例をいろいろご紹介してきました。
今週は、そんなシリーズの第12弾! SDGsの17の目標=ゴールから「つくる責任 つかう責任」ということで、「ロスを減らす、なくす」をテーマにお花の「ロスレスブーケ」、そしてカラーコスメをアップサイクルしたクレヨン「ハロヨン」をクローズアップ!
今までにないシステムを作り、イノベーションを起こした、ふたりの女性起業家、「FLOWER」の小室美佳(こむろ・みか)さん、「COSME no IPPO」の大澤美保(おおさわ・みほ)さんにご登場いただきます。
☆写真協力:FLOWER、COSME no IPPO
可愛くてお得!

※まず、ご紹介するのは「FLOWER」という会社が提供している「ロスレスブーケ」です。このサービスはいろんな種類のお花の、可愛くてヴォリュームのあるブーケがお手頃な価格で利用できる、とても優れたサービスです。
それでは、このサービスを企画し、展開している「FLOWER」の小室美佳さんにお話をうかがっていきます。
この「ロスレスブーケ」というネーミング、ポイントは「ロスレス」なんですよね。そのことも含め、どんなサービスなのか、ご説明いただけますか。
「ロスレスブーケは、私たちが作った新しいワードなんですけども、端的に言いますと、数量限定で売り切り販売をすることで、そもそも破棄とかロスになる花を生み出さずに販売するサービスです。なので、ロスゼロブーケでもいいんですけど、ゼロに近づける努力をするっていう意味でも、ロスレスブーケと名付けております。
一般的にはお花屋さんは、やはり(お花は)生物ですし、仕入れた時に花の状態も個体差、人間と同じで生き物なので、個体差がありますし、すべてが売り切れる前提で販売はしていないのが当たり前の業界なんですね。
いちばん(お花が)綺麗な状態でお客様に届けるって意味でも、仕入れたお花の中でも綺麗なものを選ぶし、かつ売り切れなかった場合に関しては、その分も考慮して売価にちょっと転換させて、お花を売るのが業界の、そういうものだよねっていう考え方があったんです。
もっと手軽に、もっと新鮮に、もっと可愛いものを人に届けるにはどうしたらいいのかなっていうところを、私たち含めて改めて考えた時に、じゃあ仕入れた分を数量限定で売り切っちゃって販売をすることで、何か新しい仕組みにならないかなって考えた上で、このロスレスブーケが誕生しました」
●確かにサイトに載っている、ロスレスブーケのいろんな種類のお花を見ると、残りわずかっていう表示が出ていますよね。
「そうですね」
●いちばんのセールスポイントは、どんなところにあるんですか?
「いちばんのセールスポイントは、やはり可愛いっていうところなんですけど、もうひとつ・・・いちばんがふたつあるんですけど(笑)、お得っていうところです。可愛いブーケがお得に手に入るっていうのがセールスポイントです」
(編集部注:気になる販売価格は、10本前後のお花のブーケが送料込みで2,200円くらいから。ほかで購入すると3,500円から4,000円ほどのお値段になるブーケだそうです)
お得だけじゃダメ!?

※もともとお花の業界とは無縁だった小室さんが、なぜこのサービスを始めるに至ったのか、それは以前、在籍していた会社の仕事が多忙を極め、深夜、家に帰って寝るだけという生活を送っていた頃、ある時、友人の結婚式でお花をいただき、持ち帰って部屋に飾ったところ、そのお花に癒され、「自分の時間」を取り戻すことにつながったそうです。
そこで「小室」さんは、お花のある暮らしを多くのかたに、手軽にリーズナブルに提供できないかと考え、試行錯誤のすえ、1年半ほど前に「ロスレスブーケ」のサービスを始めたそうです。
●小室さんは、お花の仕入れにも関わっているんですか?
「はい、そうです。もともと定期便(*)も含めて、別の会社のフローリストさんにも入ってもらったりしたんですけど、今回のロスレスブーケってお得だけじゃダメなんですよね。やっぱり可愛くてお得! それを私がなんとなく抱いている、可愛いみたいなものを言語化して、実際に売るところを別の方にやってもらった時期もあったんです。
でも、うまく伝わらなかったり、やっぱり(花は)生き物なので、実際に思うようにいかなかったりしたこともありましたね。
私も割とぱっと行動しちゃいたい人間なので、私やってみるか、みたいな感じで・・・経験はなかったんですが、それまでもずっと毎日、花のことを考えているような人だったので、気づいたら知識とかも増えていたこともありまして(やるようになりました)。
私が仕入れとあと、当日の撮影ですとか、実際に(お客様に)アプリを見てもらう時に、ブーケの(写真に添える)タイトルにも、とてもこだわっているんですけど、そういう編集まわりも含めてやっています」
(編集部注:小室さんの会社「FLOWER」では「ロスレスブーケ」のほかに「ポストに届く定期便」(*)というサービスも行なっています。「ロスレスブーケ」に関しては、毎週90種ほどの新作が登場しているそうですよ)
お花のある暮らし

※部屋にお花があるだけで、ぱ〜っと明るくなるというか気持ちまで晴れやかになりますよね。
「いちばん気軽に自分のテンションを高めてくれるというか、花が目に入った瞬間、風速早く、可愛い! ってなるのって、実は花しかないんじゃないかなと思っています。花か私だったら自分の子供か、みたいな・・・ケーキとかコスメとかも含めて、私のまわりは可愛いものに溢れているんですけど、手軽にかつ可愛いキュン! って思うものは、もしかすると花の力なのかなって最近思っています」
●リスナーさんたちがロスレスブーケが欲しいと思ったら、どのようにしたらよろしいですか?
「嬉しいお言葉です。その場合は、今『FLOWER』というアプリをiOSとandroidでダウンロードできるようになっていますので、検索していただいてアプリをダウンロードいただくか、あとは最近WEBでも注文ができるようになりましたので、まずはちょっとWEBからやってみようかなという、そういう方に関してはインターネットで検索していただいて、そこからご注文いただけます」
●ロスレスブーケのサービスを通して、いちばん伝えたいことを教えてください。
「いちばん伝えたいこと・・・いっぱいあるんですけど(苦笑)、やっぱり私、1ユーザーとして思うのは、花がきっかけで、花のある暮らしを続けることで、自分の時間が好きになるというか、今の私いいじゃん! じゃないですけど、自分の暮らしが好きになるなと思っています。
それのいちばん手軽な存在で、かつロスレスブーケの場合はお得っていうところもあるので、ハードル低く、自分の理想的な状態を実現できる素敵なツールだと思っています。
みなさんがなんとなく抱いているお花のある暮らしっていいよね! っていうものを続けることが、もし『FLOWER』で出来るのであれば、すごく素敵な時間を毎日生活の中で続けられるんじゃないかなって、今信じてやっているので、そういう時間がみなさんに増えたら嬉しいなと思っています」
<食品ロスの現状>
私たちの生活を見てみると、「食品ロス」も大きな課題ですよね。農林水産省のホームページによると、日本では1年間におよそ612万トンもの食料が捨てられているそうです。これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量で、国民ひとりあたりに換算すると、毎日お茶碗一杯分の食料を捨てていることになるとか。
一方、世界では、まだ食べられる食料が年間およそ13億トンも廃棄されているそうです。
日本での食品ロスの原因は、大きく分けてふたつ。ひとつはスーパーマーケットやコンビニなど、小売店の売れ残りや返品、飲食店での食べ残し、売り物にならない規格外品などの事業系食品ロスが328万トン。
もうひとつは、家での料理の作りすぎや、買ったのに使わずに捨ててしまうなど、家庭系食品ロスが284万トンとなっています。
環境への影響や、世界的な人口の増加による食糧危機を考えると、食品ロスの削減は緊急な課題といっても過言ではありませんね。
そんな中、日本でも自治体や企業での取り組みが広がりつつありますが、私たちにもすぐできることがあります。例えば、買い物に行く前に冷蔵庫の中やストックしている食材を確認し、無駄な買い物をしない。
それから、お腹が空いている時やイライラしている時に買い物に行くと、買う予定になかったスイーツやお惣菜など、余分な物を買ってしまうので買い物に行くタイミングを見計らうのも大事かもしれません。
ほかにもご家庭で、そしてひとりひとりが出来ること、たくさんありますよね。ひとりの小さなことでも、1000人が、10000人が続ければ、大きな削減につながるはずです。
カラーコスメをアップサイクル!

※ここからは、カラーコスメをアップサイクルしたクレヨン「ハロヨン」をご紹介します。この「ハロヨン」は、大澤美保さんが進めているプロジェクト「COSME no IPPO」から生まれたアイテムで、使われなくなったカラーコスメを回収し、クレヨンに生まれ変わらせた画期的な商品なんです。
一箱に5色入っていて、持つと手に馴染む独特なフォルム、そして、箱ごとにクレヨンの色が違うのも特徴なんです。見た目も可愛いし、発色もいいし、中にはラメが入っているクレヨンもあるんです。さらに一般的なクレヨンは1本1本を紙で巻いていますが、「ハロヨン」は巻紙がないのでゴミにならないのもいいな〜と思いました。

そんな「ハロヨン」を開発した大澤さんにお電話でお話をうかがいました。まずは「ハロヨン」というネーミングに、どんな思いが込められているのか、お聞きしました。
「大好きなコスメをアップサイクルして、クレヨンという新しい価値に変えていくっていうことで、その新しいクレヨンに、こんにちは、っていうような意味で、ハロー、それにクレヨンをくっつけた造語です」
●ハローとクレヨンで、ハロヨンなんですね〜。
「はい! そうなんです」
●改めてCOSME no IPPOとは、どんなプロジェクトなのか教えていただけますか?
「美容業界のゴミゼロを目指して活動しているんですけれども、具体的にはお役目を終えた、もう使わなくなったアイシャドウとかチークとか口紅などのカラーコスメを、クレヨンにアップサイクルしてお届けしているというプロジェクトになります」
ワクワクの循環
※カラーコスメをクレヨンにするという発想が素晴らしいなと思っているんですが、そのアイデアはどこからきたのか、お話しいただきました。
「私自身、すごくコスメが大好きなんですけども、やっぱりカラーコスメは何にワクワクするかっていうと、色や発色だったりすると思うので、それを捨ててしまって、さよなら! にしてしまうのではなくて、何かに活かしたいなと思ったんですね。
(私には)娘がふたりいるんですけれども、娘たちが絵を描いていることとか、世の中を見渡してもアートという業界が盛り上がっていることなどもあって、絵を描くものに変えたいなと考えまして、そこからいろいろ試行錯誤した結果、あの形になっています」
●コスメは、例えばアイシャドウとか最後の最後まで使い切ることって、私自身はなかなかなくって、かといって捨てるのもっていう感じで、どんどん溜まっていってしまうんですけど、悩ましいですよね〜。
「そうなんです。ワクワクして買ったものをワクワクした形に変換するという『ワクワクの循環』というふうに呼んでいるんですけれども、喜んでくださるお客様も多くいらっしゃるので、まだまだもっと多くの方に知っていただきたいなと思って活動しているところです」

(編集部注: カラーコスメの回収方法なんですが、「COSME no IPPO」の公式インスタグラムからコンタクトしていただくか、百貨店のイベントでも回収しているそうです。
「ハロヨン」はプレゼントとして、とても人気で、お子さんだけでなく、大人の女性も使っているそうですよ。大澤さんは今後「ハロヨン」で描いた絵の展覧会を開催したいとおっしゃっていました)

INFORMATION
<「ロスレスブーケ」「ハロヨン」情報>
「ロスレスブーケ」を取り寄せてみたいと思われたかたは専用のアプリ、またはサイトからご注文いただけます。お値段はブーケによって異なりますが、送料込みで2,200円ほどから購入できます。詳しくは「FLOWER」のオフィシャルサイトをご覧ください。
◎「FLOWER」:https://flowr.is
「ハロヨン」は一箱5色入り、箱ごとにクレヨンの色が違うのでどんな色が入っているか、開けるときのワクワク感もあります。価格は一箱税込で1,980円。ご注文は「COSME no IPPO」のオフィシャルサイトから、どうぞ。
◎「COSME no IPPO」:https://cosmenoippo.official.ec

応募はメールでお願いします。
件名に「プレゼント希望」と書いて、番組までお送りください。
メールアドレスはflint@bayfm.co.jp
あなたの住所、氏名、職業、電話番号を忘れずに。
番組を聴いての感想なども書いてくださると嬉しいです。
応募の締め切りは4月28日(金)。
当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募は締め切られました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
2023/4/23 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. LIFE IS A FLOWER / ACE OF BASE
M2. 花束を君に / 宇多田ヒカル
M3. 愛の花 / あいみょん
M4. THE HEART OF LIFE / JOHN MAYER
M5. INVISIBLE TOUCH / GENESIS
M6. I WAS BORN TO LOVE YOU / QUEEN
M7. JUST THE TWO OF US / GROVER WASHINGTON JR.
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2023/4/16 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、おもにウミガメやクジラなどの海洋動物を研究されている「きのした・ちひろ」さんです。
きのしたさんは岡山県生まれ。子供の頃から生き物が大好きで、虫や魚をつかまえて、おうちで飼ったり、動物園や水族館に行くのが大好きだったそうです。そして東京大学大学院から東京大学・大気海洋研究所を経て、2022年から名城大学に特別研究員として在籍されています。
専門は、生き物の行動を、繁殖の視点で研究する「行動生態学」、そして水中に潜る動物の体内で、何が起こっているのかを明らかにする「潜水生理学」ということで、おもにウミガメや海鳥を研究。その一方でイラストレーターとしても活動されています。
きょうはそんなきのしたさんに、生き物の不思議で面白い行動や生態についてうかがいます。
☆写真&イラストレーション協力:きのしたちひろ

「バイオロギング」という手法でウミガメを研究
※実はこの番組できのしたさんを知ったのは、葛西臨海水族園のイベント情報で、「ウミガメの研究者で、イラストレーター」と紹介されていて、ぜひお話をうかがいたいと思ったからなんです。
きのしたさんのおもな研究対象がウミガメなんですよね。どんな研究をされているんですか?
「私は野生のウミガメの、海の中の行動や生態について8年間ほど研究しています。特にアカウミガメという種類のウミガメを対象としているんですけど、ウミガメはマッコウクジラなどと同じように肺呼吸動物であるにもかかわらず、数時間、息をこらえて潜ることができます。
潜ってそこで何をしているのか、あるいは体の中はどうなっているのかっていうことについて興味を持って調べています」
●水族館では水槽の中を泳ぐウミガメを観察できますけれども、海を広く泳ぎ回って潜ったりするウミガメはどんな方法で研究するんですか?
「(海を)広く泳ぎ回るウミガメたちを、生身の人間が追うのは非常に難しいっていうか無理なので、私たちのチームはウミガメにできるだけ負担にならないような、小型の機械でカメラが付いた、深度とか泳ぐ速度が分かるような装置、データロガーって言われるものなんですけど、これを取り付けて、海の中の行動を追うバイオロギングと呼ばれる手法を使って研究をしています」
●バイオロギング!? その研究方法からどんなことが分かってきたんですか?
「本当にたくさんあるんですね。例えば、私たちはずっと岩手県でウミガメの研究をしているんですけど、そこに来るアカウミガメは結構広い範囲を泳ぐんです。日付変更線を越えるぐらいまで泳いで行ったりとか。
あるいは、ウミガメは暖かいところにいるイメージがあると思うんですけど、移動経路を見てみると、北方領土の歯舞諸島とかあの辺まで泳いで行っている個体もいることが分かりました。今まで想像していたのより広いなっていうことが分かりましたね(笑)」
(編集部注:きのしたさんによれば、ウミガメは日本にはアカウミガメ、アオウミガメ、ヒメウミガメ、オサガメ、タイマイの5種とアオウミガメの亜種としてクロウミガメが生息しているそうです。ちなみに、千葉県はアカウミガメの産卵の北限にあたり、一宮あたりの砂浜で産卵することがあるそうですよ)
論文のエッセンスをイラストに
<きのしたさんが先ごろ出された本『生き物「なんで?」行動ノート』を拝見させていただきました。論文で発表されているような内容が元ネタになっているんですね。本には昆虫、魚、鳥、哺乳類など生き物全般の、その行動の理由などがイラストと手書きの文字でとても分かりやすく載っていましたけれども、これだけ多くのネタを集めるのは、すごく大変だったんじゃないですか?
「全部で52個プラス、細々としたコラムが8〜9個くらいあるんですけど、ネタ集めに関しては、学会に参加してすごく面白いと思った話とか、あるいは専門書を読んだりとか、あとは学術雑誌のサイトがあるので、そういったものを行ったり来たりしている間に自然に集まったのかなという気がします(笑)」
●そもそもこの本を出そうと思ったきっかけは、何かあったんですか?
「生き物の不思議とか面白さを取り上げた本は結構あるんですけど、その生き物の不思議がどうやって明らかにされていくのかっていう、そのプロセスに注目した本があまりないなっていうか、多分当時ほとんどなかったと思うんです。
そういったものを解説するのに、学術論文の流れというのが非常にいいのかなと思っていて、それらのエッセンスだけを抽出して、全部イラストにしてみたら、もしかしたら子供から大人まで楽しめるんじゃないかなっていうので、思い切ってやってみた感じです」
ザトウクジラの「トラップ・フィーディング」!?
※それでは、きのしたさんの本『生きもの「なんで?」行動ノート』から、面白い生き物の生態を、いくつか解説していただきましょう。
まずは「あせった魚をだますザトウクジラ 」、これはザトウクジラのフィーディング、つまり、どうやって獲物をとって食事をするか、なんですが・・・説明していただけますか?
「ザトウクジラは世界中にいるクジラなんですけど、場所によって、いろんな餌の採り方をします。有名なのが『バブルネット・フィーディング』です。泡を出してカーテンみたいなものを作って、そこに小魚を閉じ込めて、下からまるのみして食べる、そういった食べ方が有名なんですね。
それ以外にも海底を(あごで)ねこそぎスコップみたいな感じで掘り出して、海底の生き物を食べたりとか、魚が集まっているところに突っ込んで食べたりとか、結構多彩なことをしているんですけど、実はアクティヴに動かないやり方があって・・・(笑)。
口をぼーっと開けているだけで、魚が口の中にピュンピュン入っていくみたいな・・・『トラップ・フィーディング』って言うんですけど、そういうフィーディング方法が報告されつつあります。
口を開けると何が起こっているかっていうと・・・そのトラップ・フィーリングをしている場所は、海鳥に追い込まれているような魚たちが多いんです。クジラが影になってやることによって、ここだったら海鳥から襲われない避難所だと思って、魚が勝手に(開けている口に)入ってしまう、それをクジラが食べる、そういったトラップ・フィーディングというやり方が報告されていて、面白いなと思って取り上げました」

●クジラと言えば、ヒソヒソ声で話すミナミセミクジラも本に載っていましたよね。
「そうですね。クジラは沖合にいるだけじゃなくて、割と浅瀬のほうにも寄ってくるんですね。親子で結構コミュニケーションをとっているのが、ミナミセミクジラと呼ばれるクジラなんです。コミュニケーションをとっているのは、それはそれでいいんですけど、その海域にはシャチもいて、シャチは天敵なんですよね。
見つかると本当にやばいんで、声をできるだけ、親子間ぐらいで聞こえる範囲の、すごくヒソヒソした声で、シャチにギリギリ見つからないぐらいのコミュニケーションの取り方をしているのが、面白いなと思って紹介しました」
●あんなに大きなクジラが小さく囁いているんですね。
「水中はすごく音が通ってしまうので、本当に小っちゃい声だと思います」
フルーティーな匂いでメスを誘惑!?
※きのしたさんの本『生きもの「なんで?」行動ノート』から、続いては「ワオキツネザルの魅惑の体臭」。生き物にとって、匂いは大事なんですよね。
「そうですね。ワオキツネザルが面白い動きをしているのは、結構前から言われていたんですけど、尻尾を手でこすって何をしているんだろう? っていうのをしっかりと調べた研究がありました。
手の付け根にフローラル・フルーティーの香りがする、臭腺(しゅうせん)みたいな匂いが出る腺があるんですけど、そこから匂いを出して尻尾にこすりつけて、尻尾をブンブン振ることによって、メスにアピールしているというような・・・香水をふるような感じですかね、人間で言うと・・・」
●人間の男性もアピールするためにコロンをつけたりとかしますけど、まさにそんなような感じですよね?
「はい、同じ感じだと思います。(フローラル・フルーティーは)結構いい匂いなのかな? 私も実際嗅いだことはないんですけど・・・」

●へぇ〜、嗅いでみたいですね。ほかにも本にメスのライオンの狩りの話が載っていて、得意なポジションで集団ハンティングをするんですよね?
「これも非常に面白いというか、サッカーとかラグビーのポジションみたいなのが、実はメスのライオンが狩りをするときにはあって、センターとか左右のウイングに分かれているってことが報告されている論文なんです。
獲物を追い立てる時にみんなが散りじりになるんじゃなくて、それぞれに馴染みのポジションがあって、そこにきちっとハマった時には、狩りの成功率がすごく高まることが分かったっていう研究です」
●本当にスポーツみたいですね。ポジショニングされているんですね!
「本当にそうですね。かっこいいです」
●あと本には、ぐるぐる回る海洋動物の謎というのもありましたね。海の生き物は観察が難しいと思うんですけど、どんな生き物がぐるぐる回ることがわかったんですか?
「ぐるぐる回っているのは本当に理由は謎なんです。機械みたいにぐるぐる回っている動物としては、アオウミガメ、キングペンギン、ナンキョクオットセイ、アカボウクジラ、ジンベイザメ、イタチザメっていうふうに、魚から哺乳類までバラバラで、いろいろと考察はされているんですけど、本当に謎の行動っていうことで紹介しています」
●なんで回るんですか?
「もう本当にこれは、なんで? っていうのはめちゃくちゃ難しいんですけど、(ぐるぐる回るのは)潜水艇とちょっと似ているかなと思っています。潜水艇が深海に潜っていく時に、どっちが北でどっちが南か、方位を定める時にぐるぐる回りながら補正をしていくという動きをします。
結構それに似ていて、特にアオミガメは生まれた砂浜に卵を産みに行くんですけど、方向転換が必要な要所要所でぐるぐる回っていたので、もしかしたら方向を定めるようなナビゲーションに使っているのではないかと考えているんですね。でも明らかにするのはこれからで、分からないっていうのが今の段階です」
研究とは、研究者とは
※生き物の世界は謎だらけ、だと思うんですけど、だからこそ、面白いんでしょうね。
「そうですね。例えば、夕方になると公園とかにコウモリが飛んでいると思うんですけど、一晩のうちに1000匹近く蚊を食べていて、すごい頻度だと思うんですね。そんな身のまわりで繰り広げられている生き物のドラマ、そういった行動が分かるようになってくると、散歩するだけでも非常に幸せな気持ちになるというか・・・。
あとは目の前の生き物はいろんな進化の過程があって、今ちょうどここにいるっていうわけなんですけど、例えばこれが少しでも過去のシナリオが違っていたら、全く別の状況になっていたことを妄想するだけでも、すごく楽しいし奇跡的だなと思ったりもします」
●今、研究者としていちばん明らかにしたい謎はありますか?
「動物たちは環境によって、体の中の状況をすごく柔軟に変えることが、クジラやウミガメ、そういったものを通してわかってきました。 例えば餌の少ない環境にいると、人間でもそうなんですけど、飢餓状態みたいになって、体を維持するためのカロリー量とかエネルギー量がどんどん少なくなって、調節されていくことが知られています。
こんなふうに環境変動に対して、動物がどんなふうに体の中の状況を変えていって、地球温暖化や気候変動とかに対応できるのか、対応しているのか、そういうことを今後明らかにしていきたいなと思っています」
●では、最後にこの本『生き物「なんで?」行動ノート』を通して、どのようなことを伝えたいですか?
「この本では、おっしゃっていただいた通り、生き物の行動の面白い謎をたくさん紹介しているんですけど、それに加えて研究とは何かを本の中でアピールしています。
研究者は最近、メディアとかにも出演されることが多いと思うんですけど、その研究者たちの普段の研究のプロセスとか、あとは研究者がどういう生活をしているのとか、どうやって研究者になるのとか、そういったものを良くも悪くも知ってほしいなと思って、本の中にコラムをたくさん入れています。
例えば、お子さんが突然、”僕は生き物の研究者になりたい! 目指したい!”って言ったら、多分困惑される親御さんは多いと思うんですけど、そういった親御さんにも見ていただいて、あっ、こういうものなんだっていう現状を知ってもらいたいっていう、そういうメッセージがあります」

INFORMATION
この本では、小さなアリから大きなクジラまで、いろいろな生き物のユニークな行動や不思議な生態が、可愛いイラストと手書きの文字で紹介されています。とてもわかりやすいし、楽しめますよ。おすすめです!
SBクリエイティブから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎SBクリエイティブHP:https://www.sbcr.jp/product/4815612382/
きのしたさんのイラストレーターとしての活動などについては、オフィシャルサイトを見てくださいね。
◎きのしたちひろさんHP:https://lunlundi.com
2023/4/16 UP!
オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」
M1. MY BEAUTIFUL CREATURE / CURLY GIRAFFE
M2. TURTLE BLUES / BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANY featuring JANIS JOPLIN
M3. WHY / AVRIL LAVIGNE
M4. JIVE TALKIN’ / BEE GEES
M5. THERE’S NOTHING LIKE THIS / OMAR
M6. ハルノオト / MIWA
M7. SMELLS LIKE ME / CHARLIE PUTH
M8. JUST WANT YOU TO KNOW / BACKSTREET BOYS
エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
2023/4/9 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、海洋冒険家の「白石康次郎」さんです。
世界一過酷なヨットレースと言われている「ヴァンデ・グローブ」は、第1回大会は1989年から1990年にかけて行なわれ、その後、4年に一回開催されています。スタートとゴールはフランスのレ・サーブル・ドロンヌという海辺の町。コースは南半球を一周、およそ4万8千キロ! 速いヨットで80日間ほどで走破!
世界一過酷と言われる由縁は、単独・無寄港・無補給! つまり、たったひとりで、どこの港にも寄らず、補給も受けないという条件のもとで実施されるからなんです。
そんなヨットレースの前回大会に参戦し、見事、アジア人として初めて完走したのが、海洋冒険家の白石康次郎さん。白石さんは、これまでにヨットによる世界一周をなんと4回も成し遂げている、日本が世界に誇るトップセーラーなんです。
そんな白石さんが来年、再び「DMG MORIグローバル・ワン」のスキッパーとして「ヴァンデ・グローブ」に挑戦します。ということで、きょうは「白石」さんをお迎えし、再挑戦する熱い思いに迫ります。
☆写真協力:DMG MORI SAILING TEAM

水平線の向こうに
●今週のゲストは海洋冒険家、白石康次郎さんです。初めまして、小尾渚沙と申します。3年ほど前からこの番組「ザ・フリントストーン」を担当しております。よろしくお願いいたします。
最初から私事で恐縮なんですけれども、白石さんはTUBEの前田亘輝さんとも親しいんですよね?
「そうなんですよ。兄貴と呼ばせていただいて、何曲かヨットの歌を作っていただいているんですよ」
●実は私もゆかりがあって、私が生まれた当時、父がレコード会社に勤めていて、担当していたのがTUBEだったんですね。
「あ、そうなんですか!?」
●そうなんです! で、女の子が生まれたら「渚沙」にしようって、前田さんが名付けてくださったんです。
「そうなの! ソニー(ミュージック)の!?」
●そうです、そうです!
「そうでしたか! それで渚沙なんですね。名付け親なんですね(笑)。それは素晴らしいね!」
●男の子だったら、忠犬ハチ公の「忠」に武士の「武」で、「忠武(ちゅうぶ)」だったんです(笑)。
「へぇ〜、女の子でよかったんじゃないんでしょうかね〜(苦笑)」
●(女の子で)よかったです(苦笑)
「今度、前田さんに会った時にちょっと言おうかな」
●ぜひぜひ! 白石さんにこの番組に初めてご出演いただいたのが、1994年の10月だとスタッフから聞いているんですけれども、もう30年近くこの番組にお付き合いいただいているっていうことですよね。
「いや〜、こちらこそ! 最初に世界一周したあとですね。つっぱっている頃だったので、本当にお声がけいただいて、ザ・フリントストーンさんとは、なんていうかな、成功も失敗も共に歩んできましたね」
●嬉しいです。94年に世界一周の最年少記録を樹立されたんですよね。
「そう、最初の世界一周でしたね」
●この世界一周は、レースというわけではないんですよね?
「そうです。僕、世界一周したいっていうのは、子供の頃からの夢で、やるんだったらひとりで、つっぱっている頃なんでね(笑)。世界一周してやろうということで、やったのが最初でしたね。で、2回失敗してね。もう、コテンパンにやられて、3回目でやっと成功してね」
●何度も聞かれていると思うんですけど、そもそもどうしてひとりで、ヨットで世界一周しようって思われたんですか?
「これは好奇心です。好奇心です、はっきり言って。僕、子供の頃、鎌倉で育ったんですよ。海岸に立った時に、みんな海を見て何を思うんだろうなって・・・。
僕は水平線の彼方に思いを馳せて、当時、外国旅行なんかまだまだできない時代で、とにかく好奇心だね! この水平線の向こうには、何があるんだろうっていうのが動機で、飛行機とかいろんな方法あるんだろうけど、僕は船で世界一周したい! というのが夢だったんです」

船が飛ぶ!?
●今年の1月には、来年の「ヴァンデ・グローブ」出場と、その先のチームの目標について発表されたということで、来年も「ヴァンデ・グローブ」に「DMG MORIグローバル・ワン」のスキッパーとして出場されるんですよね。どんなお気持ちですか?
「今回5回目のチャレンジで、チームを立ち上げて2回目になるんですけれども、前回の2020年はセイルを破ってしまって、うまいこと走れなかったので、今回はもうちょっとうまく走りたいかな。船ともコミュニケーションが取れてきたので、もう少し前回よりうまく走れるんではないかと思っていますね」
●前回2020年は、白石さんにとっては初めての新艇で、しかもオーダーメイドだったんですよね?
「そうです、そうです。フォイル艇で、今は船が飛ぶんですよ、半分」
●船が飛ぶ!?
「水中翼船みたいに、風の力で」
●羽があるってことですか?
「そうなんですよ、羽があるんですよ。今の船は特殊で、本当にレース艇ですね。それに初めて乗りました。僕にとっては初めての新艇だったのね。それで出場して完走して、次はそれを改造して、さらにもうちょっと上の順位で回れればなと思っていますね。
さらに2028年はまた新しい船を作ると・・・僕らのチームは長期計画なので、それに向かって一歩一歩前進していきたいと思っていますね」
●すごいですね〜、夢がありますよね。羽が生えている船は具体的にどれぐらいの大きさなんですか?
「船の長さは18メートル60フィート、大きいです。マストの高さが28メートルだから(建物でいうと)7階建てぐらい。一般にみなさんが思うヨットよりも大きいですね。そのヨットをひとりで、世界一周すると非常にスピードも出ます」
●もうすでに、共に荒波を乗り越えてきたわけですよね。
「そうです、そうです」
●もちろん愛着もすごくありますよね?
「そうですね! いい船ですよ「グローバル・ワン」は」

自然に敬意を
白石さんが所属する「DMG MORIセーリング・チーム」はスキッパーが女性を含めて5人、ほかにエンジニアなどのスタッフが10数名、総勢20人ほどの国際的なチームだそうです。
ベースはフランスのロリアンという港町にあり、そのロリアンには、世界中のトップチームが集結しているそうです。白石さんがおっしゃるには、フランスはヨットが盛んでフランスの国技といってもいいそうですよ。
●ヨットや海から学ぶことも多いんじゃないですか?
「多いです。今SDGsで、持続可能なっていうことをやっていますよね。あれ何かって言ったら、やっぱり人間は自然との関わりなくして生きられないんだよね。簡単にいうと海、山、川ってあるでしょ。これは人間が創り出したものじゃないでしょ、海も山も川もね。だからそこにやっぱり敬意を持っていないと、人間はどんどん苦しくなってくるんだよね。
それがちょうど今、変革期で、僕なんかの時代は物がなくて、作ろう作ろうという時代だったんだけど、これからはもっと地球とコミュニケーションを取って、我々は地球の外では生きられないので、もう少し地球と共にという考え方がやっと芽生えてきたんじゃないでしょうかね。江戸時代は、そういうのはあったんですよ」
●江戸時代!?
「そうそう、そのものがSDGsだったから、持続可能なものだったんだけど、そうだな〜、産業革命があって石油が掘り出されて、それからちょっと変わってきたかな。今振り返ってみると、ゴミは多いよねとか、僕なんかの時代そうだったのね、公害時代だから・・・。
でも今やっぱり綺麗のほうがいいよね、多少不便でも。おいしい空気の方がいいよねとか、綺麗な海の方がいいよね、ということで、多分どうでしょうかね・・・みなさんの時代の方が意識は高いんじゃないかな。みなさん今若い人たちは、ファッションもすごくシンプルでしょ」
●そうですね。
「そうそう、ミニマリストみたいに。何も物のない時代で育った人は、物があって幸せになんだよ。で、みなさんみたいに物がある時代に育った人は、別に物があっても驚かないんだよね」
●当たり前だったわけですよね。
「それより大人しく綺麗に生きようっていう、ちょうど今、時代の変わり目、風が変わってきたね。いいことだと思いますよ」
世界一周は日常!?
●「ヴァンデ・グローブ」は、ひとりでどこにも寄らずに長時間レースをしているわけじゃないですか。その間に寂しいなとか、感じたことはないですか?
「僕を見て寂しいと思いますか?」
●まったく思わないです(笑)
「思わないですよね! このまんまですね!」
●でもずっとおひとりなわけじゃないですか、夜も。
「ひとりは面白いよ! あの満天な星を独り占めです、最高だねぇ〜。だから海にたったひとり、地球という最大の星で、地球の最小単位のひとりでいるわけよ。これが素晴らしいわけです」
●ほんとに独り占めですね。
「独り占めでしょ! でね、連絡はなかなかできないので、今、都会でいちばん難しいことができるんだよ。自分と会話、自分との向き合い方が長いね」
●どんなこと考えるんですか?
「何も考えてないです(笑)。早く帰りたいな、ぐらいしか考えたことないんだけど・・・そうそうだから、考えない時間を作るっていうのは、いいね」
●贅沢かもしれませんね。
「今はもう(みなさん)考えすぎ!」
●考えすぎていますね、みんな確かに。
「情報過多、外からの情報が多いんだよね、今の人はひとりでいると。だからみなさんは情報処理が得意なんだよね。携帯電話もなんでもそうでしょ。僕の場合はうちから外へ出す情報発信が多いんですよ。そこがヨットでひとりの魅力かな。寂しいことは何にもないです」
●そうなんですね。でも、聞くところによると、随分昔、レース中に海の上から奥様に何度か電話されたそうですね。
「いやいやいや(電話が)かかってくるのよ!」
●あれぇ〜(笑)
「去年は1回だけかかってきました。僕からかけることほとんどないんだよ。1回なんかね、電話かかってきたわけ。何? って聞いたら”銀行のパスワード教えて”。それから前回の大会は”あんた車検どうすんの?”っていうのが1回かかってきたね。
その前の大会は”引っ越ししたから”って(世界一周の間に)引っ越しされました! そういう電話が大体、世界一周で1回かかってくるんですよ。来年はなんだろうね(笑)」
●面白い〜(笑)。来年「ヴァンデ・グローブ」に挑戦することを知って、奥様はなんとおっしゃっていたんですか?
「え、何も・・・うちら家族、娘もいるんだけど、娘が生まれてからもう3回世界一周しているかな。だから世界一周が日常なんですね」
●わぁ〜かっこいいですね。すごいことですよね。
「お父さんは世界一周して帰ってくる人なので・・・」
●ずっと家にいるのは、もう考えられないっていうことなんですかね。
「はい、だから世界一周して帰ってきても(娘は)携帯電話を見ながら”おかえり!”、それだけですね、以上ですね」
(編集部注:白石さんのご家庭では、ヨットレースの話は出ないそうですよ。きっとそれは奥様の心遣いだと思いますが、白石さんがヨットレースに夢中になれるのは、やはりご家族の存在が大きいのではないでしょうか。今後、できるなら、奥様やお嬢さんにもお話をうかがってみたいですね)
世界一周は「確かめること」
※白石さんは、世界一周を果たしたあとに、何を学びましたか?と、よく聞かれるそうです。そんなとき、白石さんはこう答えるそうです。
「確かめたんですと、これでいいんだと。世界一周は確かめることなんです、学ぶことではないんですね。だから人生はよく学びだっていう人がいるんだけど、僕はちょっと違った考え方で、学びは知らないことを知ることじゃない? 僕は自分は何者であるか、確かめるのが人生ですよ! って言っているんですよ。
(それぞれ)すべてを持っていて、すべてがあるんだよね。それを確かめることで、学ぶことではないんですよ。自分以外にはなれないってことを覚えといて、自分らしくないと苦しいんです」
●人と比べてしまったりとか・・・。
「そう、そうすると孤独を感じるんです。だから海の上でも(僕が)孤独を感じないのは合っているんだよね。合っているんですよ、それでいいんですよ」
●やっぱり夢の力っていうのも大きいですよね?
「大きい大きい。だから苦しいことをやっているわけではないんです。苦しいことをやった先に何があるかっていうと、もっと苦しむんだよ。みんな勘違いしちゃダメよ。苦しさの先に楽があるんじゃないんだよ。楽しさの先に楽があるんだよ。
だから間違って苦しんでいる人はすごく多くて、苦しいでしょ。何を言っているかって、それ違いますよってサインなんだよ、苦しいってことは。違っているのに、さらに頑張って苦しくなっちゃうんだよね」
●白石さんは厳しいレース中も、心身ともに楽しいってことですか?
「そうそう、要するに(ひとりで世界一周は)大変ですよ。たったひとりで眠る時間もないし寒いしね。でもやりがいがあるんだよね。で(自分に)合っているから乗り越えられるんで、これは人に頼まれたわけではないんですよ」
●やりたいと思っているからってことですよね。
「人に頼まれたら、まず乗り越えられないです、苦しくて。たったひとりで海が楽しいと思う人と、孤独って思う人がいるんだよね。これ解釈なの。たったひとりでも人によって違ってくるんだよ。ここがポイントなんだよね。あんまり無理しないで自分らしくあるってことかな」
●26歳で初めて世界一周を果たした白石さんは、今でもヨットや海に対する思いはまったく変わらないですか?
「変わらないですね。まだ幼稚園を卒園してないですよ。何も変わらないですね。おもちゃの大きさだけです、変わったのは。おもちゃがどんどん大きくなっただけで、それだけですね」
●では、最後に来年も世界一過酷なヨットレースと言われる「ヴァンデ・グローブ」に出場する白石さんにとって、最高のレースとはどんなレースでしょうか?
「前回は、結構トラブルが多かったので、なんていうかな・・・気持ちよく走りたいね。気持ちよく走るのが最高のレースじゃないかな。みんな楽しく、思いっきり「ヴァンデ・グローブ」を楽しみたいなと思いますね。次は何が待っているんだろうね。
僕がトラブれば、トラブルほど、まわりが喜ぶんだ、またこれが! 喜ばせたくないね! つまんないって言わせたいの! 僕の夢はまわりに”白石さん、つまんなくなりましたね!”って言わせたいね(笑)」
●またお話を聞かせてください。期待しています!
(編集部注:今後、白石さんは予選会のようなレースに出場しながら、ヨットを調整、来年11月10日スタート予定の「ヴァンデ・グローブ」に備えることになっています。今後の動向に目が離せません)
INFORMATION
白石さんが所属する「DMG MORIセーリング・チーム」ではセーリング・アカデミーを開設、外洋セーリング界で活躍できる人材発掘と育成を目的に若手の登竜門といわれている大西洋横断レース「ミニトランザット2027」への出場・完走を目指す研修生を募集しています。
募集人員は4名、応募の締め切りは4月30日。年齢、性別は問わないとのことですので、ヨットレースにチャレンジしたいというかた、ぜひご応募ください。
◎「DMG MORIセーリング・チーム」HP:
https://en.dmgmori.com/company/dmg-mori-sailing-team-jp
白石さんの最新情報含め、詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎白石康次郎オフィシャルサイト:
https://kojiro.jp









