毎回スペシャルなゲストをお迎えし、
自然にまつわるトークや音楽をお送りする1時間。

生き物の不思議から、地球規模の環境問題まで
幅広く取り上げご紹介しています。

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清水国明さんの定点観測27回目!〜ベトナム、パクチー、ネコニャンキャップ

2022/5/22 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、芸能界きってのアウトドアズマン、清水国明さんです。

 清水さんは1950年、福井県生まれ。73年に原田伸郎(はらだ・のぶろう)さんとのユニット「あのねのね」でデビューし、「赤とんぼの唄」が大ヒット!90年代からは、アウトドア活動に夢中になり、2005年に河口湖に自然体験施設「森と湖の楽園」、その後、瀬戸内海の無人島に「ありが島」という名前をつけて、同じく自然体験施設を開設するなど、いろいろなプロジェクトを手がける実業家でもいらっしゃいます。

 清水さんには、毎年この時期にご出演いただいて、そのとき、どんなことに夢中になっているのかをお聞きする定点観測をやらせていただいています。きょうはどんなお話が飛び出すのでしょうか。

☆写真協力:LIVER HOUSE

清水国明

LIVER HOUSE TV、ベトナム編!?

●今週のゲストは、芸能界きってのアウトドアズマン、清水国明さんです。清水さんにお話しをうかがうのは1年ぶりとなります。きょうはよろしくお願いいたします!

「はい。よろしくお願いいたします。27年目になりますか?」

●そうですね。清水さんの定点観測、今回で27回目! いや〜本当に長いお付き合いありがとうございます!

「いや〜本当にありがとうございます! これはいわゆる研究素材になるんじゃないかなと思いますね」

●本当ですね!

「つまり、人間ってやつは1年経つと、どれだけ言うことが変わっていくというかね(笑)。俺、自分で去年言ったこと覚えていないから、つき合わせて調べていくと、とんでもなくいい加減な奴になると思いますけど(笑)」

●この番組も30周年なんです。

「すごいですね」

●はい、この4月から31年目に入りました〜。

「うわ〜おめでとうございます」

●きょうもいろいろとお話しをうかがっていきたいと思っています。

「はい、お願いいたします」

清水国明さん

●まずはこの話題からいきましょう。LIVER HOUSE TV! これはYouTuberでもある清水さんが配信されている動画コンテンツですよね?

「そうですね。今やYouTuberというよりもLIVERですよね。生配信しながら、しかもそれによって投げ銭っていうんですか、スーパーチャットっていうんですか、そういうのもあると同時に、自分がおすすめする商品をECサイトにあげて、販売もしていくという・・・。

 これからの物が売れるというプロセスは、誰かそれに関してだったら一晩中しゃべっていられますわ〜っていうような奴がいて、その人の熱意でファンの人が増えるとする、リスナーとかフォロワーっていうのかな。そういう人に対して、俺はこれがいいと思うんです! って言った時に、それは買うじゃないですか。

 商品力だけではなくて、それに惚れ込んだ人のメッセージで物が売れていく、動く時代だと思うんですね。確かに欲しい物とか、いい物はいっぱいあるけれども、それを誰がすすめるかによって物の流れが変わってくる。つまりその人の信用力で物が売れる、信用がお金になるという時代だと・・・受け売りでーす(笑)」

●あはははは〜(笑)

「そう思いませんか?」

●そうですよね。LIVER HOUSE TVのコンテンツはいろいろありますけれども、ベトナム編がありましたよね?

「そうなんです。これね、グローバルっていうのかな、世界にどんどん広がっていって、この間、ベトナムに行ってきたんですけど、“ベトナムLIVER HOUSE”というスタジオが開局してですね。ベトナムも世界どこでもそうですけど、スマホをみんな持ち歩いて、それでいろんな情報を得てますよね。そこからデビューする人たちもいるし・・・。

 そういう意味では、ベトナムのLIVER HOUSEはエンターテイナーとか、商品を売るようなスペシャリストを育てて、そこからベトナムだけではなくて、日本にも発信する。で、逆に日本の商品を、日本のエンターテイナーをベトナムに紹介する。まずはこの2国間で、直にやりとりしようと、スタートしたわけですね」

●ベトナムに行ったのは初めてですか?

「そうですね。なにしろね、余談ですけどね。私自慢じゃないけど、パクチーを食えないんです(苦笑)。あれはカメムシですよ! いや本当に! 化学的に成分を分析した人がいて、カメムシとパクチーの臭いはおんなじ成分なんだってね。

 俺、小さい頃、桑の実、口がむゎーっと紫になるやつを、駄菓子がないド田舎だから、つまんで食べていたら、ちっこいカメムシの子が桑の実にくっ付いていて、それを知らずにガシッと噛んで、ぐわーって、ぺっぺっぺって、カメムシを何回か噛んだことがあるのよ。だからそれがあってパクチーは全然(食えないんだよね)。

 ただね〜パクチーの花は好きなのよ。パクチーの種をもらってきて、ベランダで育てたら、綺麗な真っ白い花が咲いて、綺麗やな〜と思って顔を近づけるとパクチーの臭いがするんだよ! なんじゃこりゃ〜刈り取ったろうかーと思うくらい・・・(笑)。

 ところが今回ベトナムに行って、8日間行きましたけれども、もしパクチーが食えなかったら、ベトナムの食事って食べるものないんですよ。ほんで俺はやっぱりね〜苦手を克服する人生だから、1日でパクチーを食えるようになりましたね。

 そしたら、びっくりしたんだけど、周りの今まで俺に気を遣っていた人たちが大喜びしたんですよ。こいつパクチー食えないって言ってるけど、これから8日間、なに食わそうかと思っていた人が、やったー! とか言って大変喜んでもらって、私のパクチー克服でね。まあそんなことがあって、楽しく8日間過ごさせていただきました」

ネコニャンキャップ復刻!?

※パクチーを克服した清水さん、ベトナムではこんなビジネスも進めてきたそうですよ。

「ベトナムは、こっちのLIVER HOUSEで販売する商品、自社製品やね、そういう物を開発しようと。人様の物をお預かりして売るというのがLIVER HOUSEなんですよ。人とか物とか事を応援する会社なんで、そういう風にやっているんです。でもマージンが少なくてなかなか儲けにならないから、自社開発した物を売りたいなぁと。

 それで考えてみたら、私は一から十までアウトドアの人間だから、テント! それを自社ブランドで、LIVER HOUSEというマークの付いたテントをどこか作ってくれないかなと言ったら、いいのがあるんだ〜。向こうの人の紹介で飛び込んでいったんですけど。

 行ってみたら、日本で言う最高ブランドが使っているのと同じ材質で同じ縫製で、ここに(日本のブランドが)頼んでいるんちゃうかなと思うような工場を見つけて、それで一目で惚れてですね。そこにとりあえず500個テントを頼んできて、それだけではなくて、その会社の工場の株を出資してきましたですね。約半分くらいうちのグループの出資になって、ということは、ベトナムに我が社のテント製造工場ができたということです」

●すごーい! ベトナムに!

「すごいでしょ! で、そのほかにぬいぐるみ工場みたいのがあって、そこへ行ってどうしても今回、発注してきたいものがあったんですよ! 何かというと、お若いかただからご存じかもしれませんが、今TikTokで『ネコ、ニャンニャンニャン』(*)がバズっているんですって! この間、聞いたら、一億回再生されたというぐらい!

写真協力:LIVER HOUSE

 その『ネコ、ニャンニャンニャン』がむちゃくちゃバズっているというのを聞いて、さらにその時にむちゃくちゃ売れたのが『ネコニャンキャップ』というやつなんです! これ、私が考案したんですけど、バズっている間にベトナムで作ってきちゃろ! と思ってですね。これも500個限定で・・・だからみなさん、『ネコニャンキャップ』を家宝にしていただこうと思いますけれど(笑)」

(*編集部注:『ネコ、ニャンニャンニャン』はあのねのねの79年の大ヒット曲)

●ベトナムでの収穫はすごくたくさんあったんですね!

「そうですね。ほかにもベトナムのブレーンに頼まれて・・・ニャチャンというところがあるんですよ。これからはハワイじゃなくてベトナムのニャチャンだと、新婚旅行もね。そのくらい良い観光地なんですが、その村に日本人村を作るプロジェクトがあって、そのプロデューサーということで・・・いわゆるアウトドア系のグランピングとかコテージとか、いろんなものを作る、湖もあって、そういうところの要請があって行ったというのもひとつですね」

「森と湖の楽園」をリニューアル!

※河口湖にある「森と湖の楽園」をリニューアルしているそうですが、どんなところを変えているんでしょうか。

「まず第一のリニューアルは、私がリニューアルされてしまいましたね(笑)」

●清水さん自身が!?

「そうそう、私の名前入り、顔入り写真の看板が外されてしまいました(苦笑)」

●あははは〜(笑)

「これは、ビジネスや事業にとって絶対乗り越えないといけないことで、いつまでも清水国明の名前で事業するわけにもいかないし、中西という私の懐刀というか右腕というか、そいつがずーっとやっていて・・・それから田中とかね。そういう人にどんどん任している、人的なリニューアルが行なわれています。

 私があの頃、一生懸命頑張ったデッキ作り! 広いデッキを作っていて、この間行ったら壊されていました(苦笑)。薪だらけになっていましたけど、それでいいんですよ。木も腐っちゃうからね。そういうのに若い連中がどんどん取り組んでくれているから、それはそれで嬉しいなと。

 だからと言って、俺は老兵は去るのみではなくて、新しく千葉県の鴨川に、LIVER HOUSEキャンプ場というのを作りました。今、手賀沼というところにも、今度ツリーハウスキャンプ場を森の木の上に、今はとりあえず10棟作るんですけど、木の上でテントを張ったり、小屋を作ったりする、そういうウッディなキャンプ場をふたつ作ってます。さっきのベトナムを入れると3つ、それから山口県の“ありが島”も入れると4つ作ってますかね」

写真協力:LIVER HOUSE

●「森と湖の楽園」は研修施設としても利用されているということなんですよね?

「そうなんですよ。キャンプ場をやってすごく苦労したのが、シーズナリティって言うらしんだけども、季節変動があるじゃないですか。いい季節、春から夏にかけてとか、まあ秋もしばらくはいいんだけど、寒くなるとぴたーっと(お客さんが来ない)。ただ従業員を養っているだけになってしまう・・・。

 それを平均的に収入を得るにはどうしたらいいかというと、繁忙期、混んでる時じゃない時にお客さんが来るようなシステムというかニーズを開発しなきゃいかんということで、企業研修、内定者研修、幹部研修の野外版を考案しました。

 野外で焚き火を囲んで、自分の夢とかモチベーションとか、それからチームビルドっていうのをやったら、バカ受けでね。160社くらいが毎年リピートしていただき、これはほんとに背水の陣で、もういかんなという時に思いついた、ひとつのビジネスモデルなんですよ。
 これ、いろんな自然体験施設にもおすすめしていて、講師も要請していますので、これから役立っていくんじゃないかと思いますね」

(編集部注:お話にあった千葉県・鴨川のキャンプ場、そして手賀沼に作っているツリーハウスのキャンプ場は、LIVER HOUSEに登録すると利用できるそうです)

念願の漁師さんに!?

※YouTubeの「くにあきの自然暮らしチャンネル」の動画で、瀬戸内の漁業協同組合の正組合員になったと喜んでいらっしゃいました。これはプロの漁師さんになったということですか?

「これね、準組合員っていうのは、どこの漁業組合も年会費さえ出せば、組合員になれるんですよ。もう4年から5年くらい経つから漁業組合員長に、ねぇそろそろ正組合員にしてよ〜って、魚釣りの腕は認めてもらったからね。そうしたら、住民票もない奴を正組合にできないとおっしゃったんですよ。はっは〜そうくるかということで、俺はそれまで富士河口湖町の特別町民で、住民票を移せなかったんですね。東京にも暮らしていたんだけど・・・。

 で、去年の暮れに山口県大島郡周防大島町というところに住民票を移したんです。そうしたら、その組合長が、正組合員にせざるを得ないじゃない!? 男の約束ですから、いやおうなしに正組合員にして、私の船に正組合員の証っていうのがぼーんと(貼られたんですよ)! 

 この喜びはうまくは言い表せないんだけど、漁師群がガーッと釣りしている時に、プレジャーボートでは入っていけない漁場があるんですよ。もちろんそこには普通のボートは行けないんだけど、準組合員の時にもちょっと後ろめたいわけね。ところが正組合員だと、おらーどけどけ〜、おらおら〜とか言って、もう完全に漁師はちまきしながら、釣りができるっていうこの喜びはたまりませんね(笑)」

(編集部注:清水さんは山口県の周防大島の廃校を利活用してワーケションヴィレッジを作る事業も手掛けていらっしゃいます。5Gのサブシックスという通信方法が導入されれば、大容量のデータをあっという間に送信できるということで、地方創生にもつながる事業として注目されているそうです)

友だち再確認ライヴ

※清水さんは、自然を体験できる施設を、河口湖の林の中や、瀬戸内海の無人島、そして千葉県の鴨川や手賀沼にも作っていらっしゃいます。やはりそこには、自然体験が「生きる力」をつけるという思いがあるからなんですか?

「そうですね。これ人類のって(笑)また大きな話になるけども、我々の最終的な着地すべきゴールというのは、森から出てきて、やっぱり森に還る、海に還るというようなところなので、そのゴールを手放さずにっていうか、見失わずにずっとそっちへ漕ぎ続けて行かなければいけないんですよ。

 自然を遠ざけたり自然から離れようとする動きは、不自然なんですね。あんまり心地よい未来に到達しないと俺は思っているので、やっぱりなるべくみなさんを自然にいざないたいということとか、そういうところでの活動というのに、私は重きを置いているということでしょうかね」

●清水さんはいつもパワフルで、いつも何かに夢中になっているイメージがあるんですけれども、その原動力ってどこからくるんですか?

「う〜ん・・・これは、マイクの前では言えないようなこともあるんですけど(笑)、あのね、俺71歳になったんですけど、若い奴が、いやすげ〜なって・・・俺の想像の中では、71の爺さんが女の子を追いかけるのは一切なかったんですけどもね。ところが71になっても可愛い子がいたらね、声かけるしね。そういうことかな・・・急になんていうか歯切れが悪くなりましたですね(苦笑)」

●あははは。今後ライヴをされるっていうお話をうかがったんですが・・・?

「そうです。歌を忘れたおっさんみたいになってますが(笑)、6月12日! はい、メモしてください! 6月の12日に曙橋にある”Back in Town”というアコースティック専門のライブハウスがあってですね。すごく著名ないろんなアーティストが海外からも来ているところで、(キャパは)80人くらいなんですけど、そこで”ライバーハウス祭りNFT ”、” Non-Fungible Tomodachi”っていう、かけがえのない友だちというタイトルです。NFTでチケット販売するんですけれども、そのライヴをやります。

 ”清水国明 友だち再確認ライヴ”っていうんですけども、一回、友だち確認ライヴっていうのを横浜のほうでやったんですよ。その時に、いろんな友達とかアキラとか、いっぱい来ていただいたんですが、なんと! 原田伸郎が来なかったんですよ(笑)。なんでなんや、お前友だちじゃないのか!? ってことになって、もう一回リベンジで、友だち再確認ライヴというのを6月12日にやります。それに原田が来るかが勝負!(笑)まあそんなのやりますんでぜひぜひ! ヒマなかたはお越しいただけたらなと思います」

☆この他の清水国明さんの定点観測シリーズもご覧下さい


INFORMATION

『ライバーハウス祭りNFT- Non-Fungible Tomodachi -清水国明 友だち再確認ライヴ』

◎開催日時:6月12日(日)夕方6時から
◎会場:曙橋のバック・イン・タウン。チケット代は4,500円。

 果たして、あのねのねの相棒「原田伸郎」さんは来るのか!? Tik Tokでバズっている「ネコ ニャンニャンニャン」は聴けるのか!? ぜひあなたの目と耳でお確かめください。復刻した「ネコニャンキャップ」の販売もあるそうですよ。

 LIVER HOUSEオリジナルのテント、鴨川の専用キャップ場のことなど、いずれも詳しくは「LIVER HOUSE」のオフィシャルサイトをご覧ください。

◎「LIVER HOUSE」HP:https://liverhouse-xwin.com/

 清水さんプロデュースの、河口湖にある自然体験施設「森と湖の楽園」、瀬戸内海の無人島「ありが島」についてはそれぞれのオフィシャルサイトを見てください。

◎森と湖の楽園HP:http://www.workshopresort.com

◎ありが島HP:http://arigatou-island.jp

オンエア・ソング 5月22日(日)

2022/5/22 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. SO AMAZING / LUTHER VANDROSS
M2. パクチーの唄 / 宇多田ヒカル
M3. ネコ、ニャンニャンニャン / あのねのね
M4. BRAVE NEW HOPE / BASIA
M5. HOPE/ 平井大
M6. FISH! / JEFFREY FOSKETT
M7. 生きるチカラ / 清水国明

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

山の感動をポケットに〜「マウンテン・コレクター」プロジェクト

2022/5/15 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、山岳収集家の「鈴木優香(すずき・ゆか)」さんです。

 山岳収集家とは鈴木さんオリジナルの肩書で山に登って、写真を撮って、景色を集め、それをもとに物づくりや、文章を書いたりする人のことだそうです。

 鈴木さんは2011年に、東京藝術大学大学院を修了後、アウトドアメーカーに入社、商品企画やデザインを担当。その後、独立し「マウンテン・コレクター」プロジェクトをスタート。現在は山と旅をライフワークに、写真、デザイン、執筆などを通して表現活動を行なっていらっしゃいます。

 きょうはそんな鈴木さんに山の風景をハンカチに仕立てる「マウンテン・コレクター」プロジェクトや山への思いをうかがいます。

☆写真協力:鈴木優香

鈴木優香さん

ハンカチ、こだわりは透け感!?

※鈴木さんが進めている「マウンテン・コレクター」プロジェクト、改めて、どんなプロジェクトなのか、教えてください。

「これは2016年から私が始めたプロジェクトなんですけども、山で見た景色をハンカチに仕立てていくプロジェクトです。具体的には、山に登ってそこで撮影した写真を布に落とし込んで、日記を書いていくようなイメージで、山の景色を表現しています」

●どうして始めようと思ったんですか? 

「このプロジェクトを始めたきっかけは、ずっと山で撮りためてきた写真を何か手に取れる、形のあるものにして残していきたいと思ったからです」

写真協力:鈴木優香

●どうしてハンカチだったんですか? 

「ハンカチにしたのは、もともと私は大学が美大に通っていたんですけれども、そこでずっと布を扱う作品を作っていたことと、あとは大学卒業したあとにアウトドアメーカーに勤めていました。
 そこでも登山用のウェアなどを作っていて、ずっと布を扱う仕事をしてきたので、私が写真を落とし込むのであれば、やはり紙にプリントするのではなくて、布に載せるのがいいのではないかなと思ってハンカチになりました」

● Tシャツとかではなくハンカチなんですね。

「そうですね 。Tシャツなどにしてしまうと、やはりそのものに意味が生まれてきてしまうので、やっぱり山の美しい景色を純粋に表現するのであれば、ただの四角い布のほうがよかったんですね」

●鈴木さんのサイトで商品を見させていただいたんですけれども、ハンカチが透ける素材なんですね。

「そうですね、とても透け感があって、光が当たるとその柄が見えなくなってしまうくらいの透け感のある生地を使っています」

写真協力:鈴木優香

●透ける素材っていうのは、具体的にどういった素材なんでしょうか? 

「このハンカチで使っている素材は綿の素材なんですけども、とっても軽やかで、私のイメージとしては山にいる時の澄んだ空気を思わせるような透き通った感じとか、あとは二度と出会うことはできない山の景色の、儚い感じを表したような薄い生地になっています」

●作品いろいろ見させていただきましたが、どの商品も本当に色も美しくて、その場の空気感が伝わってくるような、本当にもう何枚も集めたくなるような素敵なハンカチでした! 

「ありがとうございます」

●最初は、ほかの素材とかでも試されていたんですか? 

「もう最初からあの透ける素材のイメージが頭に浮かんでいて、もう絶対にこの生地がいいなということで、それで決めてしまいました」

(編集部注:鈴木さんが作るハンカチ、お話にあったように透け感のある生地が特徴なんですが、初めて試作品を見た時にご本人も感動し、そして自信も芽生えたそうです)

素敵!山の景色がポケットに

※鈴木さんは物づくりのポリシーとして、実体のあるものが重要だということで、デジタル・カメラではなくフィルム・カメラで撮影されています。フィルムは撮れる枚数が限られているので、1枚1枚を大切に撮っているそうです。

被写体は山の風景だけじゃないんですね?

「山全体が写っている写真ももちろん撮るんですけれども、もっと寄った被写体、例えば水面を撮ったものとか、あとは岩の色を撮ったものとか、そういうものも多いですね。あとは山小屋のご飯とか、ちょっと身近に感じられるようなものも撮っています」

●写真を撮りたくなる被写体は、どんなものなんですか? 

「やっぱりその時々で自分の流行りがあって、最近は岩の色とか、あと木の幹の枝のラインとか、そういうものに注目して撮ることが多いですね」

●ハンカチにする写真は、どんな目安で選んでるんですか? 

「やっぱりその山行の中で、いちばん印象に残った写真をハンカチにすることが多いですね。例えば、花がとっても美しい山だったら、花の写真になることもあるし、あとは眺めのいい山であれば、遠くの山を撮ったものとか、山によっていろいろな写真をハンカチにしています」

●鈴木さんの商品はすごく色合いも素敵だなって思ったんですけど、色に関してのこだわりはあるんですか? 

「そうですね。色はほとんど加工などはしていなくて、撮ったものをそのまま使っている感じですね。やっぱり山の景色って本当に何もしなくても綺麗なので、撮ったそのままをなるべく活かしたいなと思って作っています」

●実際に購入されたかたがたの反応は、いかがでしたか? 

「結構綺麗なのであんまり使いたくないというか(笑)、飾っておきたいというかたも多くて、お部屋に写真を飾るような感じで飾っていただいているかたも多いですね。
 ただ私はやっぱりハンカチとして使っていただきたいなと思っていて、山の景色がポケットに入っているってすごく素敵だと思うので、そんな感じで山に出かける時とか、あとは旅行に行く時とか、日常でも使っていただけたらいいなと思っています」

(編集部注:鈴木さんは、ハンカチにする写真は、しばらく寝かせて・・・1ヶ月とか長い時には1〜2年おいて選ぶそうですよ。その理由として、山から戻ってすぐに選ぶと、どれもいい写真に見えて、たくさん選んでしまうからだそうです)

憧れのエベレスト街道

※鈴木さんが山登りを本格的に始めたのはアウトドアメーカーに入社した2011年から。コロナ禍になる前は月に2〜3回のペースで国内の山へ出かけていたそうです。

ところで鈴木さん、以前、ネパールに行ったそうですね?

「そうですね。2018年の秋に初めてネパールで山登りをしました」

写真協力:鈴木優香

●どうしてまたネパールを選ばれたんですか?

「やはり、世界最高峰のエベレストがあるということと、あとはエベレスト街道というエベレストに登る人たちが必ず通る登山道があるんですけど、そこに強い憧れがあったので、いつか行ってみたいなとずっと思っていたんですね。
 で、ちょうどいいタイミングで友人に行ってみないかと誘ってもらったので、ちょっと勇気を出して行ってみました」

●実際に行かれていかがでした?

「山のスケールが日本と全然違うんですよね。標高が7000メートル、8000メートルを超えている山がほんとうにたくさんあって、見上げないと視界に入らないくらいの景色がずーっと続いているというような感じで、ほんとうに衝撃を受けるような、世界観が変わったと言ってもいいほどの景色でした」

●日本だと、どのあたりによく行かれるんですか?

「日本で好きな山は、立山ですね。富山県の立山です」

写真協力:鈴木優香

●どんなところが魅力なんですか?

「立山は、ロープウェイとかケーブルカーを乗り継いで、2400メートルくらいのところまで行けるんですけど、そこからわりと簡単に3000メートルの山頂に立てるというのもあって、よく足を運んでいます。
 そこから見る景色が本当に、なんというか広大で壮大な素晴らしい景色なので、何度も足を運んでしまいます」

●鈴木さんが楽しみにしている、山での時間ってどんな時ですか?

「やはり稜線から見晴らしのいい景色を見ながら歩くことが、いちばんの楽しみですね」

1週間だけのオンライン販売

※「マウンテン・コレクター」プロジェクト、今後はどんな展開になりそうですか?

「マウンテン・コレクターのハンカチを、山に登ってハンカチを作るという活動はずーっと同じようにコンスタントに続けていって、私が山に登り続ける限り、続いていくというような感じですね。
 あとはやっぱり今は行きにくくなってしまったんですけど、海外の山にまた登って、そこで写真を撮って作品にしていく活動もしたいなと思っています」

●ハンカチ以外での何か企画はあるんですか?

「以前、ハンカチ以外に、『トレッキングジャーナル』という冊子を作ったことがあって、山ごとに一冊ずつ作るような写真集と、それにエッセイを付け加えたものを作ったんですけども、そういうものもやっています」

写真協力:鈴木優香

●どんなことを伝えたいっていう思いがあるんですか?

「本当に私がやっている活動は、山を歩いた自分の記録としてやっているので、誰かに何かを伝えたいという気持ちが強くあるわけではないんですけど、やっぱり私の写真を見て、山ではこんな綺麗な景色が見られるんだなとか、あとは行ってみたいなという気持ちになってくれたら嬉しいなと思っています」

●鈴木さんの商品はどこで手に入るんでしょうか? リスナーさんが欲しいと思った場合はどうしたらいいのでしょうか?

「はい、通常はオンラインストアがメインで販売していて、ちょうどきょう5月15日から1週間、オンラインストアをオープンしているので、もしよろしければ、そこで見ていただけたらいいなと思います」

●販売期間が1週間ということですか?

「そうですね。基本的には月に1週間だけオープンして、それ以外はずーっと閉めています」

●どうして1週間だけの販売なんでしょうか?

「制作する時間をしっかり取りたいというのと、それと販売して発送するなどの時間と、あとは制作活動と・・・あとは山に行ってしまう時間が長くなったりとか、長期で遠方に取材に行ってしまったりすることもあるので、1週間と決めて、それ以外はほかのことをするというようにメリハリをつけています」

●そのメリハリがあるからこそ、あんな素敵な商品が生まれるんですね!

「はい、そうだといいですね」

●改めて、この「マウンテン・コレクター」を含め、活動を通してどんなことを伝えたいですか?

「先ほどお話ししたことと同じになってしまうのですが、私の作品を見て、山の綺麗な景色に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいなと思います」


INFORMATION

写真協力:鈴木優香

 ぜひ鈴木さんが作っているハンカチをオフィシャルサイトで見てください。山の風景が透け感のある生地で表現されていて、とても素敵なんです。ハンカチを広げた状態でも、もちろん綺麗なんですが、畳んでも、なんともいえない美しさがあるんです。

 5月15日から1週間、オンラインストアで販売されます。プレゼントにもおすすめです。ぜひポケットに山の風景を!

 詳しくは鈴木さんのオフィシャルサイトをご覧ください。

◎オフィシャルサイト:https://www.mountaincollector.com/

◎オンラインストア:https://mountaincollector.stores.jp/

オンエア・ソング 5月15日(日)

2022/5/15 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. AIN’T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH / MARVIN GAYE & TAMMI TER-RELL
M2. COLORS OF THE WIND / SARAH ÀLAINN
M3. HAND IN MY POCKET / ALANIS MORISSETTE
M4. Walkin’ In My Lane / milet
M5. それを愛と呼ぶなら / Uru
M6. SIMPLE PLEASURES / BASIA
M7. KEEP THE FAITH / MICHAEL JACKSON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

地球の中には何があるのか〜中心まで6400キロ、地球深部の謎に迫る!

2022/5/8 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、東京大学大学院の教授「廣瀬 敬(ひろせ・けい)」さんです。

 廣瀬さんは、地球の中がどうなっているのか、地球はどのように生まれ、進化してきたのかを調べている世界的な研究者でいらっしゃいます。

 1968年、福島県生まれ。東京大学・理学部から大学院に進み、理学博士に。その後、東京工業大学、アメリカ・カーネギー地球物理学研究所などを経て、2017年から現職。専門は高圧地球科学、地球内部物質学。
 そして先頃『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』という本を出されました。この本は地球の内部を徹底的に解剖した、読み応えのある一冊です。

 きょうはそんな廣瀬さんに、地球内部の構造や、中心部にあるコアの重要性、そして実験の成果についてうかがいます。

提供:廣瀬 敬
提供:廣瀬 敬

地球の中はドロドロ!?

※私たちの足もとにある地面の下がどうなっているのか、考えたことはありますか。土と岩石!? ドロドロの溶岩!?・・・果たしてどうなんでしょうね。
 地球の内部はどうなっているのか教えてください。

「地球は、その中心まで地表から6400キロの深さがあります。それだけ掘っていかないと、地球の真ん中にはたどり着かないっていうことですね」

●その6400キロが、いろんな層に分かれているんですよね?

「そうですね。基本的には、まず我々の足もとは地表から2900キロまでが、石の塊でできています。そこを”地核”と言ったり”マントル”と言ったりするんですね。その下に金属の塊があって、その金属の塊は、実は大部分が溶けているんですね。だからそこはドロドロの金属なんです。

 ところが、我々は金属のことをマグマとは言わないんです。マグマっていうのは、あくまで冷え固まると溶岩っていう石になるもの、それをマグマと言っているんです。金属がドロドロに溶けているものは、マグマとは言わないですね」

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

●本に”コア”っていうのも載っていましたけれども、このコアっていうのは何でしょう?

「コアが今言っているドロドロの金属です」

●では、地核があって、マントルがあって、そしてコアがあるということですか?

「その通りです!」

『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載
『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載

●どうして、それぞれ形状が違うんですか?

「まず、石はなかなか溶けないですね。なので個体というか、溶けていないということです。一方で鉄の塊の金属は、難しい話をすると、いろんな不純物が入っているんですね。鉄はなかなか溶けないんですけれども、不純物を入れると簡単に溶けるようになるんです。それでコアと呼ばれる鉄の塊は液体だということです」

●えっ! 液体!?

「ドロドロって言っているのは、液体だっていうことですよね。マグマも、イメージできないかもしれないけど、液体ですよね」

●金属っていうのがちょっとピンとこなかったです。

「我々の足もとには、深さ2900キロメートルまでは、石が続いていて、その下、地球の真ん中、6400キロの深さまでは、今度はドロドロに溶けた金属の塊があるっていうことですね。ただし、地球の真ん中のまでいくと、その金属も固体になるんです。それは溶けていない、固まっている、我々が知っている金属です。硬い鉄のことです」

(編集部注:地球はおよそ46億年前に誕生したとされていて、その時の地球はドロドロのマグマの状態で、その後、徐々に冷えて固まり、大気と海、マントル、そしてコアと、現在の姿に近づいていったそうです)

地球の深部は高圧高温

※地球の内部を調べるためには、素人考えでは、深い穴を掘って研究するのかなと思ったりするんですが・・・どんな方法で調べているんですか?

「地球の中の深いところの研究はいくつか手法があるんですけれども、私たちがやっているのは高圧実験といって、実験室で地球の深い部分を再現して、例えば石がどういう状態になっているかを調べています」

●実験室で地球の深いところがわかるんですね?

「そうですね。地球の深いところは、上からぎゅーって押されているので、高い圧力と、高い温度の環境なんですね。高圧高温の環境ってことです。そういう環境を実験室の中で作ってあげる。そうすると、例えば地表にある石が、全然違った石に変わるんです」

●どうなっちゃんですか?

「例えば、鉱物の色がどんどん変わっていったりとか、あまり電気を流さない鉱物が、すごく電気を流すようになるとか・・・非常によく知られた例だと、地球の深いところでできるダイヤモンドを地球の浅いところに持ってくると、本来はグラファイトといって鉛筆の芯になってしまうんです」

●え〜〜〜っ、ダイヤモンドが!?

「そうですね。逆にいうと鉛筆の芯を深さ150キロよりもっと深いところに持っていくと、ダイヤモンドに変わってくれます」

●え〜〜っ、全然違ったふたつに見えますけど・・・深さによって変わるんですね!

「そうです。もとの材料は同じなんだけれども、深いところに持っていくと全然違う物質に変わります。だから地球の深いところは、今我々が目にしている岩石とは全く違う岩石からできているんです」

(編集部注:廣瀬さんの研究室ではダイヤモンドを使った特殊な実験装置で地球内部の環境を作り出しているそうです)

ダイヤモンド・アンビル・セル装置(提供:廣瀬 敬)
ダイヤモンド・アンビル・セル装置(提供:廣瀬 敬)

大発見! ペラペラ剥がれる岩石!?

※廣瀬さんの研究室で以前、大発見があったそうですね。どんな発見をされたんですか?

「地球はまず表層に地核があって、その下にマントルという部分があると、先ほど申し上げましたね。両方とも岩石でできています。そのマントルの部分も、実はよく見るといくつかに分かれているんです。何が違うかっていうと、いちばんたくさん入っている鉱物の種類がどんどん変わっていく、そういうことになっているんですね。

 私どもの研究室で発見したのは、そのマントルのいちばんたくさん入っている鉱物が、何回か姿を変えていくんですけれども、その最終形です。マントルのいちばん深いところで、どういう姿形になっているかを、その研究で明らかにしたっていうことですね。
 論文が出たのが2004年のことなので、今からもう18年も前ですね。昔の話ですけど、当時はマントルの新しい部分、”マントル最下部層”っていうのが発見されたということで、かなり興奮したものですね」

●どうしてわかったんですか?

「実験室で高圧高温を作っていって、ある深さ、もしくはある圧力を超えたところで、急にその鉱物の姿形がガラッと変わったということですね。それがちょうどマントルの底の付近に対応していたということです」

●大興奮だったんじゃないですか? 廣瀬さん自身も!

「それは、もちろんそうですね。マントルのいちばん深いところ、たかだか深さ数百キロくらいの領域なんですけれども、そこの部分は、それまで知られていなかった岩石からなるってことが分かりましたから。またその岩石、もしくは鉱物の性質が、その上のほうにあるマントルとは全然違うものだったので、非常に面白かったですね」

●どう違うんですか? 

「みなさん”雲母(うんも)”って、分かりますか? ペラペラ剥がれていくような鉱物があるんですね。雲母がなぜペラペラ剥がれるかっていうと、結晶が層状になっているんです。原子が層状に積み重なっているんですね。なので、層と層の間がペラって剥がれるんです。そういう層状の鉱物なんですね、”雲母”っていうのは。

 実はグラファイトも層状の鉱物で、だから鉛筆の芯として書けるんですね。簡単に剥がれてくれるので、鉛筆の芯になってくれるっていうことですね。マントルの底も、実はそういう層状の鉱物からなっていることが、その時初めて分かったっていうことですね」

地球は磁場に守られている

※2003年に『ザ・コア』というアメリカ映画が公開され、話題になりました。この映画は地球のコアの回転が止まり、地球の磁場が不安定になって地上が大混乱になるというSFパニック映画なんですが・・・コアは回転しているんですか?

「コアは地球の真ん中にあって、そんなの我々に関係ないじゃないかって、普通は思うんですけれど、全くそうではなくて、地球全体が磁石なんですね。
 最近は使わないけれども、コンパスの針は北を向きますよね。それは地球が磁石であることの証拠なんです。それで今、(針は)北を向くんですけれども、実は少なくとも77万年よりももっと前、かなり前の時代はコンパスの針は逆を向いていたはずなんですね」

●えーっ!? どうしてなんですか?

「それは、地球は磁石なんですけれども、電磁石と言って電気が流れている磁石なんですね。電気の向きを、プラスとマイナスを替えると、磁石のN極とS極が入れ替わる、そういうことが起きるんですね。地球はそういうことを何万年、何十万年かに1回繰り返しやっているんです。

 そのN極とS極が入れ替わる時に数千年ぐらい、結構長い間、地球の磁石が弱くなってしまう。そうなると地球は宇宙とか太陽から来る有害な光、放射線というかなり有害なものがあるんですけれども、それを地球はまともに浴びてしまうんですね」

『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載
『地球の中身』(講談社ブルーバックス)より転載

●え〜〜〜大変じゃないですか!

「そうですね。それで人類が絶滅するとか、そういうことは多分ないんです。どうしてかっていうと、人類が生まれてから数百万年経っていて、その間、N極とS極の入れ替わりは、数万年から数十万年に1回・・・要するに人類が誕生してから10回以上は経験しているので、人類が滅びちゃうとか、そういうことはないんだけれども、おそらく現代文明には非常に大きな影響があるだろうと考えられています」

●具体的にどんな影響が出てきてしまうんですか?

「よく言われているのは電子回路ですね。電気を使ういろんな装置がありますよね。例えばパソコンとかもそうなんですけれども、そういった電子回路が宇宙線の影響を受けて、駄目になっちゃうってことがよく指摘されています」

●磁場ってすごく影響しているんですね、私たちの生活に。

「そうです。もし空気がなくなったら、みんな死んじゃうんだけど、空気があって当たり前だと思っているから、そんなにありがたがらないのと同じで、磁場があるのが当たり前なんで、みんな、ありがたくもなんとも思ってないんですけれども、実はなくなるととっても困ります」

●守ってもらっているんですね。

「そうですね。例えば、火星の研究は、最近すごく進んできているんですけれども、実は火星は約40億年前に磁石ではなくなった、そうしたらその2億年後くらいに今度は海が蒸発しちゃったんですね。だから地球も、もし磁石じゃなくなると数億年後くらいに、海がなくなっちゃうかもしれないんです。

 だから本当に地球が磁石であること、別の言葉でいうと地球に磁場があることは、我々の生活もしくは環境にとって、ものすごく大事なことなんですけども、普段はもちろんそんなことは意識していないですね」

(編集部注:廣瀬さんから、約77万年前に地球のN極とS極が入れ替わったというお話がありましたが、その痕跡が確認できる場所が千葉県市原市の養老川沿いで見つかった世界的にも重要な地層。2年前に「チバニアン」として正式に地質年代の名前として採用されたことは記憶に新しいですね)

コアは不純物がたっぷり

※今後の研究でどんなことを解き明かしたいと思っていますか?

「まだまだ地球の中ってわからないことがいっぱいあって、不思議だって言われていることがたくさんあるんですね。中でも先ほどからたくさん話に出ているコア、金属の塊なんですけども、たくさんの不純物が入っていると言われています。

 ところがどういう不純物なのか、例えば、水素だったり酸素だったり炭素だったり、どういう元素がどのぐらい不純物として入っているかは、実はよくわかっていないんですね。

 地球のコアは地球全体の重さ、質量の三分の一を占めているので、その三分の一のところに不純物がたっぷり入っているんだけど、その不純物が分からないので、地球全体の化学組成は、実はまだわかっていないんですね。

 逆に言うと、それさえわかれば、地球を作った物質は一体何だったのか、地球はどうやってできたのか、そういう地球の起源、誕生の謎を飛躍的に解明できると思っています。今コアの化学組成、不純物の正体を明らかにしようと頑張っているところです」


INFORMATION

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

『地球の中身〜何があるのか、何が起きているのか』廣瀬 敬

 地球内部のことをもっと知りたいというかた、ぜひこの本を読んでください。私たちが暮らす地球がどんな星なのか、興味深い話が満載です。地球科学の入門書的な一冊、おすすめです。講談社のブルーバックス・シリーズの一冊として絶賛発売中。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社HP:https://gendai.ismedia.jp/list/books/bluebacks/9784065266601

 廣瀬さんの研究室のサイトもぜひ見てください。

◎研究室HP:http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~hirose/

オンエア・ソング 5月8日(日)

2022/5/8 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. CORNER OF THE EARTH / JAMIROQUAI
M2. EARTH / LIL DICKY
M3. DIAMONDS ARE FOREVER / SHIRLEY BASSEY
M4. IF I AIN’T GOT YOU / ALICIA KEYS
M5. 瑠璃色の地球 / 松田聖子
M6. IN THIS LIFE / BETTE MIDLER
M7. PEACE ON EARTH / RAUL MIDON

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

世界を巡る定住旅行家。伝えたいのは人々の暮らし。

2022/5/1 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、世界を巡る定住旅行家のERIKOさんです。

 ERIKOさんは鳥取県米子市出身。モデルの活動と並行して定住旅行家としても活躍、これまでに訪れた国は50か国以上。滞在したご家庭は100家族を超えているそうですよ。

 この定住旅行家という肩書を初めて聞いたかたも多いと思います。定住旅行とは、ひとつの場所に滞在する旅行のスタイルというのはわかるんですが、普通の観光とはどう違うのか、そしてその魅力はどんなところにあるのか、きょうはERIKOさんにじっくりお話をうかがいます。
  
☆写真協力:ERIKO

Photo by KATSUMI ITO
Photo by KATSUMI ITO

優等生じゃ面白くない!?

※それでは早速、お話をうかがっていきましょう。定住旅行家とは旅先に定住しながら、その体験を書くお仕事ですか?

「はい。世界各地に出掛けて、そこで、普通であれば、みなさんホテルとか宿泊施設に滞在されると思うんですけども、私の場合は現地の家庭に、本当に一般家庭なんですけれども、そこに滞在をして、その旅の様子を、具体的には暮らしを伝えることをライフワークにしております」

●1ヶ所にどれくらいの期間、滞在されるんですか?

「国によって滞在期間が違うんですけども、最低でも1ヶ月以上は滞在をしています」

●えっ! 1ヶ月以上、一般のご家庭にお世話になるっていうことですか?

「そうです。はい(笑)」

●そもそもどうやって一般のご家庭を探すんですか?

「全部、段取りは日本でやっていくんです。行きたい国を最初に決めて、地域もそうなんですけれども、そこからそこに行ったことがある人とか、そこと関係のある人に声をかけて、誰か泊まらせてくれる家庭を知りませんか?とか、知っている人いませんか?っていうのを聞いて、そこから話を進めていきます」

●では、まったくの知らない人っていうよりは、知り合いの知り合いとか、友達の友達とか・・・。

「そうです、そうです」

●へえ〜。ERIKOさん、おひとりで行かれるんですよね? 

「基本的にはひとりで行かないと、人と一緒に行ってしまうと、その人と話す時間とか、過ごす時間が多くなってしまって、現地の人と交流をしに行っているので、時間がちょっともったいないなっていうのもあります。
 受け入れるほうもひとりを受け入れるのと、ふたりとか3人、複数人を受け入れるのは多分違うと思うので、基本的にひとりで行ってます。そもそも私、人と一緒に旅行に行くのが苦手で・・・(笑)。ひとりが楽ですね」

キューバのご家庭
キューバのご家庭

●お客さんとして招かれるわけでなく、一般のご家庭に入って家族になるために、ERIKOさんなりに何か工夫されていることってあるんですか?

「私は自然体でいるんですね。末長く、私はお付き合いしていきたいので、1回定住した先に何度も行くことも結構たくさんあります。なので、その時だけではない、長いお付き合いをしたいなって思っていて、そうなると、そこの家のルールみたいなものとか、あとは風習みたいなのがあるじゃないですか。そういうのにもちろん合わせることをするんですけど、優等生だとあんまりよくないっていうか(笑)、なんでもかんでも”この子、いい子ね”だけだと面白くないんですよ、向こうの受け入れる人も。

 なので、私が意識しているのは、自分からも何か相手に与えるというか、個性を出すことを意識していますね。この子、面白いなって思ってもらえると、長続きというか、そのあとの関係性もすごく長く続いていったりするので、あまり優等生にならないようにはしています」

(編集部注: お世話になるご家庭に滞在費を払っているのか気になりますよね。 ERIKOさんにお尋ねしたところ、最初にお金を払ってしまうと、ゲストになってしまい、本来の目的である、現地の本当の生活が見えなくなってしまうため、最初にお金の話はしないそうです。
 そしてそこのご家庭を離れるときに、現地の平均給与や物価を参考に決めた滞在費をお渡しするそうですが、これまで滞在した100家族を超えるご家庭で受け取ったところはほんの少しだったそうです。生活を共にし、すでに家族のような関係になっているんですね)

言葉の使い方の価値観

※そもそもなんですけど、定住する旅のスタイルにこだわるのは、どうしてなんですか?

グリーンランドでお世話になった方と
グリーンランドでお世話になった方と

「もともとそんなに旅が好きではないっていったらあれなんですけど(笑)、旅を目的としていなくて、現地の人がどういうふうに生活しているのか、生きているのかがすごく気になるんですね。旅行とか観光というより、やっぱりそこにちょっと住んで、現地の人の目線で物事が見たいなっていうので、そうするためにはやっぱりホームステイしかないかなと思っています。

 ただそういうスタイルで旅をされている方って、いらっしゃるとは思うんですけど、あまり私は知らなくて、それで自分で『定住旅行家』と名前をつけて活動しております」

●言葉はどうされているのですか?

「私はもともと定住旅行家になる前に、言語がすごく好きで、色んなところに留学をしていたんですよ。なので一応6カ国語を話すんですけど、そこで対応できる国もあれば、できないところは行く前に準備段階で、そこの言語を勉強してから行くようにしています。
 準備はだいたい半年くらいかかるんです。その間に(外国語の)レッスンに通ったりとか、読み書きはできるようにならないと、例えばローカルのバスに乗れなかったりするので、一応読み書きと、あとは日常会話でよく使うだろうと思われる言葉は覚えてから行きます」

●文化とか習慣の違いで戸惑ったことはありますか?

「そうですね・・・例えば、それぞれの国で言葉の使い方の価値観が違ったりするのは、結構大きいな〜って思っています。例えば、ネパールに行った時、ネパール人は“ありがとう”ってあまり言わないんですよ。インドでもそうなんですけど、相手が困っていたら助けるのが当たり前なので、それに対して、ありがとうっていうことがすごく不自然だったりするんですよね。

 日本人の感覚だと何かしてもらったら、すぐ“ありがとう”って言ってしまって、それがちょっと向こうの人は変に感じるというか、そういうのがあるので、言語的に使うタイミングとか、全然違うなっていうのはよく感じますね」

ジョージアの文化と言葉

※ERIKOさんは先頃『ジョージア 旅暮らし 20景』という本を出されました。以前はグルジアと呼ばれていた東欧の国ジョージア。大相撲の力士「栃ノ心」のふるさととしても知られていますよね。この本ではそんなジョージアの一般家庭に滞在したときの体験が綴られています。

『ジョージア 旅暮らし20景』

 ジョージアは「ヨーロッパ最後の秘境」とも言われているそうですね。どんな国なのか、教えてください。

「国土は北海道よりも少し大きいくらいで、地形は山岳地帯で、カザフ山脈に面しているっていうのもあります。カスピ海とか黒海の近くは温暖な気候であったりするので、すごく多様性に富んだ自然環境がある国なんですね。
 人口は370万人しかいないんですけども、コロナ禍の前は観光客が年間500万人訪れていたっていうことなので、ヨーロッパの人からすると、有名というか人気の観光地っていう印象がありますね」

●文化ですとか、伝統でいうとどんな感じなんですか?

「結構、古風な国だなと思っていて、ずっと戦いの歴史がある国なんです。その中でも、ジョージア語がすごく古くからあって、そこに詩とか文学のベースがあるんですけども、国民の人たちはすごくそれを誇りというか、アイデンティティになっていて、しっかり継承している印象もありますね。

 あとはジョージアは、キリスト教が世界で2番目に国教になった国なんですね。すごく古い歴史があって、国民の人たちはもちろんキリスト教を信仰されているんです。信心深いかたが多くて、そういったことが国民の人たちのマインドのベースになっていると思います」

●ジョージア語は勉強されて行ったんですか? 6ヶ国語の中にジョージア語は入っているんですか?

「6カ国語の中には入っていないですね。事前に少し勉強してから行きました」

●例えば、ジョージア語で、こんにちは!とか、お元気ですか?はなんて言うんですか? 

「こんにちはは、”ガマルジョバ”って言います」

●ガマルジョバ!?

「はい、ガマルジョバって言います。元気ですか?は”ロゴラ ハルト”って言うんです。ガマルジョバって”あなたに勝利を”っていう意味なんですね。ジョージア語は言語学者の中では有名な言語で、独立言語なんですね。どこの言語グループにも属していない特殊な言語で、すごく古くからの歴史があります。

 海外に行かれる時に、挨拶のひとつだけでも覚えて意味を調べると、すごくその国の特徴っていうか歴史が分かったりします。日本語だと”こんにちは”っていうのは”今日様(こんにちさま)”という太陽に向かって言う言葉なので、やっぱり”天照(あまてらす)”とか、そういった神話の感性が日本人の中にあると思います」

ジョージア人は宴会好き!?

※ERIKOさんは、ジョージアでは3ヶ所のご家庭に滞在されたそうですよ。

ジョージア・カヘティ地方で滞在したご家庭
ジョージア・カヘティ地方で滞在したご家庭

「その中でもすごくジョージアの文化に触れさせてもらったのが、東部の”カヘティ地方”っていう場所がありまして、そこがすごく印象に残っていますね。そのカヘティ地方はすごく有名なワインの生産地で、ジョージアはワインの発祥地なんですよね。国民の70〜80パーセントくらい、ご家庭でみなさん、ワインを自分で作る習慣があるんです。もちろん毎日、ご飯を食べる時にワインが出てきて、私も楽しませてもらいました。

写真協力:ERIKO

 そこでこれこそジョージアだなって思ったのが、”スプラ”っていう宴会なんです。宴会自体が儀式になっていて、タマダと呼ばれる司会者が演説をしたり詩を詠んだりりして、時計回りにみなさんそれぞれ演説をしていく儀式的な宴会みたいなのがあります。これは多分、ジョージア人に招かれると、おもてなしとして受けることのひとつだと思います」

●家庭で宴会をやるっていうことですか?

「家庭でもありますし、友達同士で集まってやるパターンもあるんです。家庭でご飯を食べるときもちょっと演説みたいな、スプラが行なわれることも結構ありますね」

ジョージアのヨーグルト
ジョージアのヨーグルト

(編集部注:ジョージアの食べ物で有名なのは「マッツォーニ」と呼ばれるヨーグルト。ご家庭に自家製のヨーグルトがあって、毎日欠かさず食べるそうです。特徴は水分が多くて、最初、口に入れると酸味を感じ、そのあと甘みが出てくるそうですよ。口当たりはお豆腐に近いとERIKOさんはおっしゃっていました。食べてみたいですよね)

※ERIKOさん、ジョージアではトレッキングに出かけたそうですね。

「そうですね。コーカサス山脈の近くの、スバネティ地方っていう場所があるんですけど、そこに滞在した時にトレッキングをしました。私は山がすごく好きなので、いろいろ見て回ったんですけど、中でも”ウシュバ山”っていう山があるんですね。ピークがふたつある特徴的な山なんですけども、そこに行った時はすごく美しいなって、非常に印象に残っている場所ですね」

ウシュバ山
ウシュバ山

日本に対する思い

※今までたくさんの国を訪れ、滞在されて、改めて定住旅行の醍醐味はどんなところにあると感じてますか?

「観光だと、本当に分からない人の暮らしだったりとか、生き方に触れられることがいちばん醍醐味じゃないかなと思います」

●やっぱり実際に行ってみて体験することで分かることってたくさんありますよね。一方で日本に対する思いに変化があったりはしましたか?

「日本に対して・・・うーん、そうですね・・・やっぱりすごく日本は有名な国ですよね。人口がすごく多いし、それは国力にも繋がることだと思うので、そういったことが、ずっと日本にいたらあまり感じなかったことですけど、客観的に見えるようになったかなって思いますね。

 あとは、本当に日本はガラパゴスみたいになっているなっていうふうに思っていますね。もちろんそれが個性だと思うんですけど、陸続きじゃないので、そこはやっぱり島国としての特性がすごくあるなって思いますね。今グローバル化がすごく進んできていて、これから日本はどういった立ち位置でいろんなことを繰り広げていくんだろうっていうのはすごく見ています」

●コロナ禍でなかなか思い通りに海外に行けなくなってしまいましたけれども、今後の定住旅の予定がありましたら、ぜひ教えてください。

「今年はポルトガルに行く予定にしていますね」

●ポルトガルは何度目か、なんですか?

「ポルトガルは初めて行く国ですね」

●そうなんですね。どんな旅にしたいですか?

「そうですね。ポルトガルは日本に初めて西洋を持ってきた国のひとつでもありますし、すごく日本とは関係が深いので、そういった文化面も含めて色んなところを見ていきたいなと思います。昔、大航海時代は世界を制していたような国ですけども、今人々はどういうふうな生活をしているのか、そういったところも見られたらなと思います」

☆この他のERIKOさんのトークもご覧下さい


INFORMATION

『ジョージア 旅暮らし20景』

『ジョージア 旅暮らし20景』

 ERIKOさんの最新刊。一般家庭に入り、生活をともにすることで見えてきたジョージアの人たちの生きかたや暮らし、文化などが綴られています。定住旅行家としての視点を感じる一冊。ERIKOさんが撮った写真もたくさん掲載されていますよ。ぜひご覧ください。東海教育研究所から絶賛発売中です。

 そして現在、本の発売を記念して、ジョージアゆかりのグルメがあたるキャンペーンを実施中!詳しくは出版社のサイトをご覧いただければと思います。

◎東海教育研究所HP:
https://www.tokaiedu.co.jp/kamome/georgia2022/?fbclid=IwAR2WyXTvwneEIhfpys0pRU4CM_w1h6GQJc_beMpcdMIZTUVbyTOSJHbcgQk

 ERIKOさんのオフィシャルサイト、そしてYouTubeチャンネルもぜひ見てくださいね。

◎ERIKOさんオフィシャルサイト:http://chikyunokurashi.com/

◎YouTubeチャンネル:
https://www.youtube.com/channel/UCzbr3YbLejEbjq2LTb2O36g

オンエア・ソング 5月1日(日)

2022/5/1 UP!

オープニング・テーマ曲「KEEPERS OF THE FLAME / CRAIG CHAQUICO」

M1. DREAMTIME / DARYL HALL
M2. FOR A LIFETIME / MÊLÉE
M3. WORDPLAY / JASON MRAZ
M4. IF THE LIGHTS GO OUT / KATIE MELUA
M5. 陽はまた昇るから / 緑黄色社会
M6. DAYS OF WINE AND ROSES / ANDY WILLIAMS
M7. What A Wonderful World / JUJU

エンディング・テーマ曲「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」

2022年4月のゲスト一覧

2022/4/24 UP!

◎高砂淳二(自然写真家)
Aloha〜ハワイアンの知恵や自然観に学ぶ』(2022.04.24)

◎篠原かをり(動物作家)
「いきものミステリークイズ」!〜ゴリラは美味しいご飯を食べると、何をする!?』(2022.04.17)

◎稲垣栄洋(静岡大学大学院教授・植物学者)
春爛漫〜誰かに話したくなる草花のエピソード』(2022.04.10)

◎風間深志(冒険ライダー・NPO法人「地球元気村」大村長)
30周年記念! 番組のシンボル、風間深志さん登場!〜「地球元気村は笑顔と元気の源」!』(2022.04.03)

Aloha〜ハワイアンの知恵や自然観に学ぶ

2022/4/24 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然写真家「高砂淳二(たかさご・じゅんじ)」さんです。

 高砂さんは1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング専門誌のカメラマンを経て、1989年に独立。これまでに世界100カ国以上を訪れ、自然や生き物、星空や絶景などを捉えた、まさにミラクルな写真を発表、数多くの写真集も出されています。

 そんな高砂さんの最新の写真集が『Aloha〜美しきハワイをめぐる旅』。ハワイの島々で撮った海や山のダイナミックで美しい風景、生き物や植物など、素晴らしい作品を掲載した集大成的な写真集なんです。

 きょうはそんな高砂さんに、30年以上通い続けるハワイの自然や先住民のハワイアンから学んだ知恵のお話などうかがいます。 

そして、今週はスペシャル・プレゼントがありますよ。
最新の写真集『Aloha〜美しきハワイをめぐる旅』を直筆サイン入りで3名のかたにプレゼントします。 応募方法はこちら

☆写真協力:高砂淳二

高砂淳二さん

大事な言葉、Aloha

※写真集のタイトル『Aloha〜美しきハワイをめぐる旅』にはどんな思いが込められているんですか?

「”アロハ”っていうのは、みんな聞いたことがある言葉だと思うんですけど、ハワイの人たちの間ではいちばん大事にしている言葉です。ひとことで言うと愛とか、慈悲だったり優しさだったり、色んな意味合いがありますね。ハワイアンはこれをいちばん大事にしています。

 僕はハワイに長くずーっと通っている中で、先住民のハワイアンの、色んな人に色んなことを教えてもらっていて、ふたことめには、”アロハでいきなさい。アロハをシェアしなさい”って言われています。それで僕の中でもアロハがいちばん大事な言葉になったので、タイトルはこれだよね! と思って付けたんですね」

●そうなんですね。今回の写真集は、ハワイの魅力がぎゅっと詰まったような集大成的な作品集ですよね。

「そうですね。初めて行ったのは、1986年とか1987年とかそんなもんなんですよ」

●もう30年以上前ですね。

「そうですね。真剣にというか、通い始めたのは2001年からですから、いずれにしても長いですよね」

●写真集に掲載されている写真の中から、特に気になった作品についてうかがいたいと思います。まずは、この夕方の空の写真! これすごいですね〜。グラデーションになっていて、薄紫、青、黄色、オレンジ、赤・・・って、なかなか日本では見られない空の色ですよね。

「そうですね。日本でも出ないことはないと思うんですけども、なんだろうね・・・ハワイにいる時って割と気持ちもゆったりして、空を見上げたりする気持ちのゆとりがあるっていうのも、あるんだと思うんですよね」

写真協力:高砂淳二

●そうなんですか。私、ヤシの木が大好きなんですけど、下からヤシの木を撮っている写真がありましたよね。青い空に向かってヤシの木が伸びていて、すごく気持ちのいい写真だなって思ったんですが、これはどこで撮った写真ですか?

「これはカウアイ島のカパアっていう町の、ショッピングセンターから少し先に行った所って言いますか・・・割と人も住んでいるようなところなんですけどね。ヤシ林があって、そこに入り込んで真上を見たら、こんな感じでニョキニョキっと空に向かって、そびえ立っているみたいな感じでしたね」

●やっぱりハワイと言えば、ヤシの木っていうイメージもありますよね。

「そうですね。南国のイメージで、日本人もやっぱりヤシの木を見ると、憧れが
わき上がってくる感じですよね」

●私のひとり暮らしの家にも、ヤシの木の写真を飾ってあります(笑)。

「そうなんですか。僕も昔、大きいヤシの木を事務所に飾ったりしてましたね。でも実はハワイには昔、ヤシの木はなくて、ポリネシア人が持って入ったんですよ」

●そうなんですか。

「ヤシの木は、もちろん実も食べられるし、中のジュースも飲めるし、あとはココナッツの内側の繊維を使ったりとか、木の幹を使ったりとかね。全部が使える有用な木で(ポリネシアの島から)運んで、そこからなんですよね。ハワイの今のシンボルですけどね」

ドローン撮影の利点

※最新の写真集には、去年10月にハワイに行って、ドローンで撮影した写真も掲載されています。ドローン撮影の良さはどんなところにあるのか、お話いただきました。

「ヘリコプターとかセスナでも、もちろん空撮はできるんですけど、真下の写真を撮ることはちょっと無理なんですね。ヘリコプターでも斜め下くらいは撮れますけれどね。あとは細かいところに、あそこにピンポイントで行きたいとか、そういうことはなかなか(ヘリコプターは)難しいですけど、ドローンだと、許可されているエリアの話ですけど、例えば、あそこの崖っぷちに僕がいたら、こんな風景が見えるのにっていうような、イメージのまんま、要するに自分の目だけをそこに運んで撮れる感じなんですよね」

写真協力:高砂淳二

●例えばこの写真集では、どの写真をドローンで撮ったんですか?

「表紙の写真、これはビーチと海が写っていますよね。どこの海だろうって思うかもしれませんけど、日本人には有名なアラモアナ・ショッピングセンターの前のアラモアナ・ビーチなんですよ」

●へぇ〜! 真上から見ると、こうなっているんですね。

「そうなんですよ。しかも去年の10月はコロナで日本人は全然行っていないし、アメリカ人もやっと行き始めていた頃なので、水もすごく綺麗になっています」

●そうですね〜。エメラルド色というか、またこれもグラデーションになっていて綺麗ですね。

「上からよく見ると、ビーチサンダルが並べてあって、そこからみんな海に入った様子とか、細かく見ても結構楽しいですね(笑)」

●ドローンだと、こういう楽しみ方ができるんですね〜。

「そうですね。海に潜るとか、波の上でカヌーに乗りながら撮影したりすると、実際になんて言うかな・・・そこに棲んでいる生き物も、自分もそこにお邪魔して撮ることで、臨場感とか(生き物との)関係性を持って撮れたりしますね。波乗りしている人の写真だとしても、こっちも波に一緒に乗って撮ることで、波に乗っかっている感がやっぱり違うんですよね、陸から撮るのとは」

●確かに、今回の写真集は生き物の写真も多いですけれども、例えばイルカが高く飛んでいるような写真は、よし飛ぶなっていうのは、なんとなく分かるものなんですか? 

「そうですね。イルカは一回(海面から)飛び出すと、上手くすればですけど、何か所かで何頭かがジャンプし始めたりするんですよ。一頭が飛ぶともう一回そのイルカが飛ぶ可能性も結構あって・・・だから一発飛んだの見つけたら、すぐにそこにカメラを向けてピントを合わせておいて、来い来いって(笑)、そうするとたまにビュンと飛んでくれるんですよね」

●すごく躍動感にあふれる写真でした!

「そうですね。なかなか簡単じゃないですけどね」

高砂淳二さん

月の光で出現する夜の虹

●夜の虹の写真「ナイトレインボー」がとっても印象的でした! 夜に虹が出ることを私は知らなくて・・・この写真はどの島で撮ったんですか。

「マウイ島で、まさに(ハワイに)通い始めた2001年に見たんですよ! その時はちょうど先住民の人に出会って、不思議なハワイの、先住民の色んな知恵とか自然感みたいなものが面白くって、そういうのを聞いてハマり始めた時に、ナイトレインボーの話を聞いて、数日後のある夜に、バン! と出たんですね」

写真協力:高砂淳二

●へぇ〜〜! 夜の虹が出る条件っていうのは?

「基本的には、昼間に雨が降って太陽の光で虹が出ますけど、これが太陽の代わりに月なんですよ。ある程度、光が強くないといけないので、満月とかそういう時のほうが出やすいんですね。
 太陽の昼間の虹の時も、朝とか夕に出ることが多いと思うんですけど、光源が高いと出ないんですね。なので、朝とか夕方の(光源が)低い時に出る。夜の虹も同じで、月が低い時に出ますね。でもなかなか条件って揃わないんですよ」

●そうですよね〜。

「昼間は割と、にわか雨的なものとか、通り雨とかありますけど、夜はあんまりそういうのは・・・大地が暖められて雲ができるっていうのがないので、結構珍しいですよね」

●初めてご覧になった時にいかがでした?

「いや〜もう震えましたよね。ちょうど3日前にそのナイトレインボーの話を聞いたばっかりだったんですね。そんなタイミングで見たもんだから、うわ〜やばい! (笑)って感じでしたね」

●本当に簡単には撮れないものだと思うんですけど、次からの撮影では、よし来るぞっていうのは、なんとなく予感があったりするんですか?

「いや〜全然ですね。もうそこから結局、ナイトレインボーにハマって、それを探す旅に何度も何度も行くことになって・・・でもなかなか見られないので、本当に苦労しましたね」

●ナイトレインボーは、今まで何回くらい撮影に成功されたんですか。

「そうですね・・・ハワイで10〜15回くらいでしょうかね。あと他の国でも、ニュージーランドとか、それからアフリカとか南米でも見ましたね」

写真協力:高砂淳二

ハワイアンの知恵に学ぶ

※先住民のハワイアンから生き方とか、自然との接し方のようなことを教えてもらったそうですが、どんなことを教わったんですか?

「そうですね。まず”アロハ”が大事だよということですね。アロハは、色んな人が色んな表現の仕方をするんですけど、僕が感じた言い方だと、基本的には”愛”なんですね。
 この空間は、本当はそれで満たされていて、僕らの中もいつもアロハがいっぱいあるんだけど、それをちゃんとシェアしたり、アロハを与えようと、そういうふうな意識を持った時に、それがぐるぐる回り出して、自分の中を駆け巡るというのかな・・・外からどんどん入ってくるみたいな感じになるような気がするんですね。

 だからそういうことをやればやるほど、なんか自分も元気になっていくっていうのかな・・・日本でいう”気”とか、色んなエネルギーみたいなのがありますけど、
 そういうものの温かいバージョンというか、そういうものかも知れないですね。

 そんな大切さを教わったことと、あとは”ホオポノポノ”っていうのを聞いたことが、もしかしたらあるかもしれませんけど、自分を取り巻く色んなものとの接し方をすごく大事にしていますね。
 基本はアロハなんですけども、必ずなにか、例えば誰かと接するとか、それから動物もそうだし、自分と地球との関係もそうだし、そういう時にちゃんとアロハを持って接しようっていう気持ちを持つとかね。

 それから尊重する。例え相手が人間であっても地球であっても生き物であっても、尊重することとか。それから物を食べたりする時も、何かをもらう時も感謝の気持ちを持つとか。いさかいになりそうな時には、許そうっていう気持ちを持つとかね。

 そういうのをちゃんとやっていくことで、周りとの関係が構築できて、もっと言うと、ハワイアンの人たちは、自分の周りの環境は自分が作り出していて、自分を写している鏡みたいなものだって言うんですよ。
 だから、そういうふうに接すれば、多分周りもそんなふうに返してくれるから、気づいた時にはそういうものが周りにあるっていう状況なんだと思うんですよ。だからすごくシンプルだけど、すごい知恵だなと思いますね」

高砂淳二さん

※高砂さんは、カウアイ島のフラの指導者「クムフラ」のプナ・カラマ・ドーソンさんと一緒にいる時に、こんなことがあったそうですよ。

「ある時に、崖に行って海見ていたら、ウミガメが顔を出したんですよ。それを見たプナさん、”まあ〜私たちの兄弟のウミガメだわ〜”って。ホヌって言いますけど、ウミガメは。”ホヌだわ〜”って感動して。いつも見てるだろうって思うんですけど、感動して。なんていうのかな・・・兄弟姉妹に会ったみたいな感じで喜んで、アロハを示していましたね。やっぱり僕らみたいに都会に住んでいる人と、本当に感覚が違うんだなっていう気がしましたね。

 あと、フラじゃないんですけど、カイポさんていう、いちばん最初に色んなことを教えてもらった人がいます。その人は男の人で、”ヘイアウ”っていう、ハワイの聖なる、神社みたいなところって言ったらいいのかな、そういう場所が(ハワイには)何か所もあるんですけども、そういうところにお供えを持って行って、お祈りしたりとかして、よく立ち会ったんですね。
 自分でお供えものを作って、ここの神様はこういうものが好きだから、このプレゼントを用意してお供えして、それから歌って踊って捧げるんですね。

 それがやっぱりプナさんと同じ。そこに神がいて、本当に(神に)語りかけている感じ、形でやっている感がまるでないんですよね。僕らの大地とか神との付き合い方も信じ方も、全然違うんだなっていう感じがしましたね。
 多分本当にそこにはそれがあって、そういうのが大地を守って、そういうのに対してどんな気持ちかっていうのを、本当に心底、関係を作っているっていう感じがしましたね」

居心地、いいよね〜

※ハワイに行った時、やっぱりハワイはいいな〜と思うのはどんな時ですか?

「うーん、そうですね。ハワイって行くとなんか居心地がいいんですよね。それで空港に入った途端に係のおばちゃんとかが”アロハ〜”とか、おじちゃんが”アロハ〜”って言ってくれて、それでまず和むんですよ。
 で、空港に降り立ってちょっと外に出るとプルメリアの香りとか、特にあの辺でレイをかけてくれている人たちがいるから、そういう花の匂いがぷ〜んとして、なんかもうウェルカムされちゃった! みたいな感じですよね。

 やっぱりそういうのもハワイアンがいつも心がけているアロハが島に染み付いているというか、空気を作り出していると思うんですけど。それでもう居心地がいいなって、それに浸るとやっぱりいいよね〜って感じがします」

●いいですね〜。確かにひとりひとりがアロハを心がけることで、もう島全体が優しい温かい空気になりますよね。

「そうですね。本当なんです」

●今後もハワイには通い続けられますか?

「そうですね。自然との出会いって、頭で考えている以上のことが起こるのでね。最初にナイトレインボーと出会った時みたいに、全然そんな存在も知らなかったのに、ちょっとしたことで出会うことになって、そこからまたハマるとかってありますのでね。
 また次なる段階の出会いがあるのかなと思って、まずは行って、それで自然に触れて溶け込んで、撮影し始めたら、またなにか起きるんじゃないかなと思って期待しています」

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『Aloha〜美しきハワイをめぐる旅』

『Aloha〜美しきハワイをめぐる旅』

 ハワイで撮った作品の集大成的な写真集。ページをめくる度に、ハワイの日差しと風、そして匂いさえも感じられて、まさにハワイにいるような気分にさせてくれます。ドローンで撮った表紙の写真にも注目ですよ。ぜひご覧ください。パイインターナショナルから絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧いただければと思います。

◎PIE International :https://pie.co.jp/book/i/5617/

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