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Z世代の起業家が見つめる未来「ありがとうの連鎖が生まれる地球」

2025/3/30 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、Z世代の起業家、株式会社「Hands UP」の代表取締役「難波 遥(なんば・はるか)」さんです。

 難波さんは2000年1月、静岡県生まれ。4人兄弟の末っ子。田んぼとお茶畑のある自然豊かな田舎で伸び伸びと育ち、高校時代には陸上の7種競技に打ち込み、なんとインターハイに出場。

 そしてフェリス女学院大学在学中にHands UPを立ち上げ、代表として活動していくなら、影響力を持ちたいと考え、フェリスのミスコンテストやミスユニバーシティに出場し、見事、グランプリを受賞! 現在は会社経営の傍ら、テレビ番組でレポーターを担当されるなど、マルチに活躍されています。

 きょうはそんな難波さんに起業した理由や、現在の事業内容のほか、具体的な事例として「SDGsすごろく」や「はしわたしプロジェクト」そして体験イベント「海ヨガ」のお話などもうかがいます。

☆写真協力:株式会社Hands UP

株式会社「Hands UP」の代表取締役「難波 遥」さん

転機はフィリピンの語学留学

※まずは、Hands UPについて。学生時代に起業されたということですが、どうして会社をやろうと思ったんですか?

「私が大学2年生の時にフィリピンに語学留学で行きました。最初はほんとに勉強だけしようと思って行ったんですが、(現地の子供に)物乞いをされたりだとか、日本ではあまり見ない光景を見てしまい、これは何かこの子たちのためにできることはないかと思ったんですね。

 それと、自分自身それまでの人生で、社会課題とか地球課題に対して何かをしようって思ったことがなかったので、そういう後悔もあって、何かやっていこうと思って、日本に帰ってきて地球課題に対して何かをやっていく学生団体を立ち上げたのが最初のきっかけですね」

写真協力:株式会社Hands UP

●まず、何から始めたんですか?

「最初はやっぱり仲間を集めなくてはいけなかったので、フィリピンの留学で出会った名古屋の、同じ大学生の女の子と一緒に活動を始めました。内容としてはSDGsですね。私も高校生くらいからSDGsっていう言葉を耳にするようになって、大学でも授業でちょっとだけ聞くような機会があったんですね。

 SDGsはもっと啓蒙していかなきゃいけないし、みんなが当たり前のように取り組まなきゃいけないけれども、それが特に私の世代の子たちには広がっていないなと感じたので、SDGsや地球の課題に若者が取り組みやすいような設計、仕組みづくりをしていく必要があるなと思いまして、最初はSDGsのイラストをお洒落に可愛くしていくっていうところから始まりました」

●イラストというのは、スタジオにお持ちいただいた、これですか?

「そうなんですよ~」

●ステッカーですよね?

「はい!」

●可愛い~~キラキラでカラフルですね!

「ありがとうございます! 私の高校の先輩でデザインをやっているかたがいて、その方に“SDGsを可愛くイラスト化するんだったら、どんなデザインがいいでしょうか?”って相談をして、描いていただいたものなんです。これでグッズを作ったりだとか、クリアファイルにして配ってみたりだとかというところが、ほんとに最初の入り口でしたね」

●お洒落ですよね~!

「ありがとうございます!」

写真協力:株式会社Hands UP

●これ、ひとつひとつがSDGsの目標になっているっていうことですか?

「そうなんです! 実はこれ、18個あるんですね。SDGsの目標って17個なんですけど・・・」

●そうですよね~。

「18項目めに勝手にHands UPで、“守ろう、自分の命”というものを加えました。SDGsって結構、他者向けというか、誰かのためにっていうところがすごく多いなと感じていました。
 もちろんそれがいずれかは自分に返ってくると思うんですけれども、まずは自分の命を守って、自分のことも大切にしようっていう意味を込めて、“守ろう、自分の命”という項目とイラストを付け加えて、いい感じに長方形になるようにしました」

●社名のHands UPっていう名前には、どんな思いが込められているんですか?

「Hands UPは、“手を挙げよう”っていう意味だと思うんですけれども、ここに込めた思いとしては、助けて欲しい人も手を挙げるべきであり、助けられるよっていう人も自ら手を挙げていこう、お互いに手を挙げあって、手を取り合う、そういう社会になってほしいなという思いを込めてHands UPという名前にしました」

●SDGsは2015年に国連サミットで採択されて、2030年の12月までに達成しようという世界共通の目標ですけれども、難波さんのような若い世代、いわゆるZ世代のみなさんはSDGsをどんなふうに捉えているんでしょうか?

「そうですね・・・あくまで通過点というような捉え方が多分根底にあるとは思うんですけれども、当たり前にやっていくべきこと、というような感覚なのかなと感じていますね。

 私たちが住んでいる地球や環境というものを、私たちの生活によって汚してしまうことがあるのであれば、私たちの生活によってまた綺麗にしていくべきだし、それを守っていくのは自分たちを守ることにもつながりますよね。

 地球上で生きている私たちは自然と共存していく必要があるということを、小学生の頃からSDGsとかで学んできている世代だと思うので、そういう考えが根本にあるのかなとは感じていますね」

(編集部注:活動するためには資金が必要になってくるので、そのことをお聞きしたら、学生団体の頃は難波さん自身がアルバイトをいろいろやって、稼いだお金を活動資金に充てていたそうです。ある時、それでは持続可能な活動にならないと気づき、サステナブルな仕組みを作って、ビジネスで社会貢献していこうと、2021年12月に株式会社にし、代表取締役に就任。

 現在、活動を共にするのは、おもに20代のコアメンバー10人のほか、業務委託を含めると20人ほどで活動。また全国の学生団体と協力しあったり、仕事のクオリティーを保つため、ベテランのビジネスマンに顧問として参加してもらっているそうです)

写真協力:株式会社Hands UP

課題解決のための事業展開

※改めてなんですが、現在はどんな事業を展開されているのか、教えてください。

「今ふたつの事業をやっています。ひとつめがソーシャルクリエイティブ事業で、もうひとつがAI (アイ)ヒーロー事業です。私たちの会社は、まずやっぱり課題を解決していきたいっていう思いがありまして、そのアプローチ方法としてふたつとっています。

 ひとつめは、広くビジネスを展開している企業のかたがたと手を取り合いながら、“社会貢献できるプロジェクト”を一緒に作って、事業を回していこうっていう新規事業の開発をやっています。

 AIヒーローのほうは、“人を育てる”というところにフォーカスしています。これまでいろんな企業さんと手を取り合いながらやってきたんですけれども、やっぱり地球の課題がほんとに多いので、一企業さんとやっているだけだと間に合わないなっていうことを感じてきました。
 そういう課題に興味がない子たちに興味を持ってもらって、課題解決できる能力を身に付けてもらって、貢献をしていく人たちを増やしていこうっていうようなサービスを始めました。

 それがAIヒーローというサービスです。サービス内容としては、AIって今では結構みなさん聞くと思うんですけれども、AIのプロンプト能力、指示を出す能力だったりとかを、学生さんに無料の学習を提供させていただいて、スコアリングをして、彼らと企業さんをマッチングするっていうサービスをやっています。

 AIを使うことによって、いろんな課題解決に貢献できる人材になると思うので、そういった子たちをいい企業さんとマッチングをして、さらにビジネスを加速していくっていうところをお手伝いしている事業ですね」

地球を作る「すごろく」!?

※Hands UPの資料を見て、番組として特に気になったのが、ソーシャルクリエイティヴ事業の中の「SDGsすごろく」と「はしわたしプロジェクト」なんですけど、それぞれ具体的にどんな事業なのか、教えてください。

写真協力:株式会社Hands UP

「SDGsすごろく、これはDream Earth Tile(ドリーマースタイル)という名前でやらせていただいているんですけれども、大学2年生の時に作ったゲームで、東大生の子たちと一緒に作りました。SDGsを小学生の子供たちでも楽しく学べるようなゲームになっています。ルールとしては自分が国のトップになったつもりで、すごろくに参加するんですね。

 すごろくって普通、すごろく盤を囲んでいる人たちはみんな敵になると思うんですけど、このゲームの場合は、“ひとつの地球を作り上げる仲間”みたいな形で参戦してもらって、時間内の20分間で、何個のSDGsの課題が解決できました! ってところを、ほかの地球と競い合うっていうゲームになります。

 なので、自分が地球を作る感覚を養って欲しいなと思ったりだとか・・・例えば友達に絆創膏をあげるとか、そういった優しさもSDGsにつながっているんだよ っていうところを、若い学生の子たちにもわかってもらえたらな~っていう思いでやっているプロジェクトで、企業さんとか学校で研修をさせていただいております」

●いいですね~。他人事として捉えがちですけれども、ちゃんと自分事として捉えられるようになりますよね~。

写真協力:株式会社Hands UP

「そうですね。あともうひとつの“はしわたしプロジェクト”は、障害を持ったかたがたに間伐材を使って割り箸を作ってもらいます。割り箸には箸袋が付いていると思うんですけれども、箸袋を私たちのお洒落なSDGsのイラストにして、さらに企業さんのロゴだったりキャラクターとコラボをすることができるんですね。

 そういったイラストを入れることで、企業さんの広告物にもなるということで、企業が広告を出すだけで社会課題の解決にアプローチができるような商材を作ったというプロジェクトですね」

●ほかにもイベントもいろいろやっていますよね?

写真協力:株式会社Hands UP

「そうですね。やっぱり私自身もひとつの体験から、課題解決をしていこうって思いが芽生えたので、オフラインの体験を多くのかたがたにしてもらう重要性をすごく感じています。

 そこで例えば、“海ヨガ”っていうイベントをやっているんですね。ただ単に海でヨガをする! っていうイベントでして、海でヨガをすると本当に砂の温かさだったり太陽の光だったり波の音だったりとか、自然をすごく感じることができるんですね。

 そういったことを感じてもらって、やっぱり自然が好きだな~とか、地球が好きだな~って思ってもらうことが、何かしら貢献しようって思うことの原点につながるかなと思っていて、そういったイベントもやらせていただいております」

写真協力:株式会社Hands UP

自転車で日本一周!?

※話は変わりますが、自転車で日本一周をされたんですよね。なぜ自転車で日本を一周しようと思ったんですか?

「これはHands UPを通じて、人の課題を見つけて、それに対して何かプロジェクトを産んだり、事業を作ったりっていうことを若者とやってきたんですけれども、その時に課題に感じていたのが、今の子たちとか私自身も含めてSNSからいろんな情報を得るので、人の課題もSNSから情報を得たりするんですよね。

 SNSの情報って結構、色が付けられていたりとか、誰かの思いにいろんな人の思いが組み合わさった状態で誰かに届いてしまうことって、良くも悪くもあると思うんですね。
 何かプロジェクトを作って、それが終わりましたってなって振り返ると、“あれっ? 結局これって誰の課題を解決したんだっけ?”ってなって・・・社会の中ではこれが課題だよねって思われているけれども、一個人がその課題を本当に持っているかが、ちょっとずれちゃっているなって思ったときがあって・・・。

 これはダメだと・・・私自身が人の本当の課題、そこにある人の課題をしっかりと耳で聞いていかなければならないなって思いまして、ひとりひとりの話を聞くには車より、自転車のほうがみんな話しやすいなと。日本の課題を聞きに行こう! っていうところで、日本一周を始めたっていうのがきっかけでしたね(笑)」

●え~〜! 実際に日本一周しながら、いろんな人のお話を聞いたっていう感じだったんですか?

「そうですね・・・だったんですけど、振り返ってみると、おじいちゃんとかおばあちゃんと話していた(笑)って感じなんですけど・・・課題とかも聞けたりだとか、普通にどういう人たちが生きていて、今ってどんな暮らしがそこにあるのかな~っていうところをちょっと探れた期間になりましたね」

写真協力:株式会社Hands UP

●改めて自転車で日本一周を果たして、どんなこと感じました?

「東京と地方って全然違うのかなって思っていたんですよね、最初は。でも振り返ってみると、日本って大体全部同じような感じだなって(笑)、まとめると。東京で活動していると、地方との差を感じてしまうことって、いろんな面であったんですけれども、みんなの笑顔とか生活とか、“物価が上がったよね~、下がったよね〜”とか、そういう会話って変わらないから、差を感じなくていいんだなっていうところも感じましたね。

 あとはいろんな人が生きていて、いろんな生活スタイルがあるので、自分自身も今の生活スタイルにハマらなくてもいいんだな~みたいなのを感じたりだとか、本当にさまざま、色とりどりだな~っていうのを感じましたね」

(編集部注:日本一周は基本的にはひとりで行ない、各地にいる知り合いや起業家仲間にお世話になりながら、仕事の合間に時間を作って、コツコツと自転車旅を続行。当初、半年の予定がなんと2年かけて日本一周をやり遂げたそうです。

 行く先々ではたくさんの出会いがあったそうですよ。中でも山口で出会った農家のおじいちゃん、おばあちゃんたちのグループとは一週間ほど、一緒にご飯を食べるなどして過ごし、今でもつながっているとのことです)

100年先を見据えた取り組みを

※Hands UPを法人化して、3年4ヶ月ほどが過ぎました。自分が思い描いていたように進んでいますか?

「正直、まあ~30点くらいかな~と、自分自身を振り返ると・・・仲間は100点満点なんですけれども。やっぱり毎日ビジネスをしていくと、できないことの積み重ねで、私はなんでこんなに(できないんだ)もっとできるようになったらなって思うことが多いんですけれども、それも含めて全部楽しいな~って思いますね。

 新たな世界を見せてくれるのが、今ビジネスの世界だなって自分自身は感じているので、できないことを克服していって頑張りたいなって思っています。今後の新たな目標ができたりしたので、次のステップに進ませてくれる、成長させてくれるのがHands UPだなというのは感じていますね」

写真協力:株式会社Hands UP

●SDGsという視点でいうと2030年が目標達成のリミットということで、あと実質5年ほどになりましたよね。どんな思いがありますか?

「そうですね・・・あっという間ですよね~。私が活動を始めた時は、あと10年もあるなって思っていたので、ついにあと5年になってしまったかという感覚なんですね。
 あくまで5年間っていうこの区切りはあると思うんですけれども、やっぱり私たちは10年20年100年先を見据えた取り組みをしなければならないと思いつつも、私たちで決めた目標だと思うので、そこはなんとしても全人類で達成をしていくという、もう一度気合を入れ直して頑張らなければならないなというふうには思っていますね」

●難波さんは25年後に50歳になりますけれども、その時、私たちの母なる星「地球」は、どんな地球であってほしいですか?

「そうですね・・・地球・・・すごく難しい(苦笑)」

●壮大な質問ですけれども・・・(苦笑)

「そうですね・・・例えば、ですけど・・・地球が言葉を発するなら、私たち人に“ありがとう”って伝えたくなるような人類であるべきだなと思いますし、人も地球に“ありがとう”っていう、ありがとうの連鎖が生まれているような地球になっていたら、あったかいなって思いますね」

産休のご挨拶、そして!

※ここまでマルチに活躍されているHands UPの難波 遥さんにお話をうかがってきましたが、実は私、小尾渚沙は来月4月から産休に入らせていただきます。

 5月下旬の出産予定です。初めての妊娠出産で不安なこともたくさんありますが、頑張って元気な赤ちゃんを産んでまいります。みなさんにいいご報告ができますように、そして産後、益々パワーアップした小尾渚沙をお届けできますように、毎日楽しんで過ごしていきたいと思います。

 その間、私に代わって、この番組「THE FLINTSTONE」のパーソナリティを担当してくださるのが、難波さんなんです!!

「そうなんです~」

●難波さん! あとをよろしくお願いします!

「がんばります! こんなに素敵な小尾さんのあとをしっかりと引き継げるように・・・大先輩ですので。
 地球のことを、いろんな角度からお届けできるように、いろんな素敵なゲストのかたがたがいらっしゃると思うので、楽しくお話をして、みなさまにお届けできたらいいなと思っております。そして小尾さん、頑張ってください!」

●ありがとうございます! 頼りにしています! 難波さん!

「ありがとうございます!」


INFORMATION

 

写真協力:株式会社Hands UP

 難波さんが代表を務める「Hands UP」にぜひご注目ください。人材を育てる「AI(アイ)ヒーロー」や、社会や地球の課題に取り組む「ソーシャルクリエイティヴ事業」、それぞれの事業内容など、詳しくはぜひオフィシャルサイトでご確認ください。

◎Hands UP:https://handsup-sdgs.com

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