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30日間6000キロ! キャンピングカーの旅〜Miyuuの自然と旅と音楽と〜

2022/7/17 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、自然と旅を愛するシンガー・ソングライター「Miyuu(みゆう)」さんです。

 Miyuuさんは、VAN LIFE、いわゆる、車を中心にしたライフスタイルに憧れ、高校生の時に体験した家族とのキャンピングカーの旅の思い出も手伝って、日本全国を車でめぐる旅を計画。そして去年、運転免許を取得し、キャンピングカーを借りて、念願の旅に出たんです。

 その旅の記録は先頃『30 DAYS VAN LIFE〜Trip on Music』という楽曲付きフォトエッセイとして出版されました。

 そんなMiyuuさんに、走行距離6000キロのキャンピングカーの旅や、旅先で行なったフィールドレコーディング、そして自然や環境への思いなどうかがいます。

Miyuuさん

30日の旅、1日1日を噛み締めて

●今週のゲストはシンガーソングライターのMiyuuさんです。初めまして。よろしくお願いいたします。

「初めまして。よろしくお願いします」

●今年の5月に『30 DAYS VAN LIFE〜Trip on Music~』というタイトルの本を出されました。この本は、VANいわゆるキャンピングカーで、30日間かけて旅された時の体験が記されていますよね。私も読ませていただきました。写真も豊富に載っていて、日本をまわられている様子がすごく素敵で、一緒に旅をしているようなワクワク感を味わうことができました。

「めっちゃ嬉しいですね。まさに一緒に旅しているっていうイメージで作ったので・・・ありがとうございます」

Miyuuさん

●いつ頃、旅に出たんですか?

「旅自体は去年の10月1日から30日間ですね」

●30日間の旅は、埼玉県の秩父を出発して、群馬県の水上町と尾瀬を経由して、その後は南へ下って、主に西日本・四国・九州を経て、今度は一気に北上して横浜で旅を終えるというルートで、走行距離は6000キロでした。このルートにしたのは、どうしてなんですか?

「もともとは全部の都道府県をまわろうぜ! っていう意気込みだったんですけど、やっぱり各地の、人の生活だったり営みだったりとか、いろんなことをされているかたの思いというのを、もっとより深く知りたいなと思って、旅に出る前にある程度、お話しをうかがいたい人へ連絡をとっていたりしていたんですね。

 例えば、もともと関わりがあった日本自然保護協会のかただったりとか、あと広島でビールを作っている若者たちがいて、そのかたには直接お話しをうかがいたいなと思って、旅前に連絡していたんです。

 一カ所に2〜3日くらい留まって、そのかたたちといっぱいコミュニケーションをとって、思いだったりっていうのを深く知りたいって思ったら、全国はさすがに行けないな〜って・・・なのでピンポイントで、じゃあここ! って目的地を決めて、その間に出会いがあったらいいな〜みたいな感じで動いていました」

●ひとりで旅に出られたわけではないですよね?

「そうですね。幼馴染みのふたりと行きました。コロナ禍でけっこうみんな生活が変わっちゃって、私自身もぜんぜんライヴができなくなって、なんかちょっと悶々とした気持ちというか、なんかしないといけないなという気持ちがありました。

 で、大阪に帰った時に、その幼馴染みたちと喋っていて、“旅出えへん? もうなにかしないとあかん!”みたいになって、最初そんな感じでスタートしたんです。でも3人でキャンピングカーに乗り込むのはいいねんけど、運転できるのはよく考えたら私だけやなって思って(笑)」

●えーっ! じゃあ交代で運転していたわけではなく・・・?

「そうなんです。まだみんな免許を持っていなくて・・・」

●ということは、ずっとMiyuuさんが運転していたんですか?

「そうなんです。私自身も去年の6月に免許を取ったので、免許ほぼ取りたてみたいな感じで、(車の)前後に初心者マークを貼って運転していました(笑)」

●実際にキャンピングカーで旅に出られて、いかがでしたか?

「もう本当にめちゃめちゃ楽しくて・・・3人の中でもいろいろ話し合いがあったりとか、撮影で同行して、また別の車でついてきてくださったスタッフのかたたちとも、30日間の間にすごく話し合いをしました。

(このキャンピングカーの旅は)すぐ終わるんだろうなっていうのは、最初からわかっていたんですけど、本当に一瞬で・・・でも30日っていう制約があったからこそ、1日1日を絶対ムダにしないでおこうって思って、毎日、1日1日を噛み締めて旅ができたかなって思っています」

Miyuuさん

(編集部注:Miyuuさんは、キャンピングカーのレンタル会社に、こんな旅がしたいんですとご自身で働きかけ、借りることが決まったそうです。そして30日間の旅用に、車の内装を少しカスタマイズすることになり、お料理用にスパイスボックスの棚をつけたり、ウクレレのスタンドを取り付けたり・・・さらに、ベッドを寝心地の良いものに交換してもらい、旅に出たそうですよ。準備段階から自分で動くなんて、行動力がありますよね)

自然にお返し、ビーチクリーン

※キャンピングカーの旅は、どんなところが魅力的ですか?

「私、旅行がもともと好きで、ホテルとか旅館とかに泊まることもあるんですけど、やっぱり時間に縛られないっていうのがいちばん大きいかなって思っています。
 例えば、目的地に向かおうって思うけど、きょうはちょっとしんどいなと思ったら、途中で停まって・・・で、行き先も、こっちのほうに行こうと思っていたけれども、きょうはこっちにしようかなってことも、その場で決められるじゃないですか。なので、なんか今を生きているなっていう感じがすごくしましたね」

●車の中で寝泊まりをしていて、幸せを感じる瞬間っていうのはありました?

「毎日幸せでしたね(笑)。車にもよると思うんですけど、雨が降った時にすごく雨音が聴こえたりするんですね。それがたまにうるさいなと思うこともあるかもしれないけど、家では絶対感じられないので、雨を感じられるのは、キャンピングカーの良さかなとも思いますね。あとカーテンを開けた時に毎回違う景色が見られるのも(幸せでしたね)」

●いいですね〜!

※旅の途中、広島県江田島で「日本自然保護協会 (NACS-J)」のビーチクリーン・イベントに参加されていました。これはどんな経緯で参加することになったんですか?

Miyuuさん

「まず、日本自然保護協会さんとは以前お仕事をご一緒させていただいたことがありました。私自身もやっぱり自然からすごくパワーをもらっていたり、そのパワーを得て音楽を創っていたりするので、今回の旅のテーマとして、自然から(パワーを)もらった分、なにか還元したいなとふわっと思っていたんです。

 具体的に何をやればいいのだろうと思った時に、日本自然保護協会さんに、何か一緒に旅中にできるってことってあったりしますか、っていうお話しをさせていただいていました。
 そうしたら日本自然保護協会さんが全国でビーチクリーンをするような『全国砂浜ムーブメント』というのを毎年やっていて、その時期にちょうど旅も被っていたので、みんなでどこかで落ち合って、一緒にビーチクリーンしませんか、っていう話から、広島の江田島で牡蠣の養殖のパイプゴミが問題になっているから、そこに行って一緒にビーチクリーンしましょうっていうお話になって実現しました」

●実際に参加されていかがでした?

「そうですね。私、神奈川に住んでいることもあって、湘南とか千葉の海にもよく行くんですけど、場所によって落ちているものが全然違うなって感じて、特に江田島はやっぱり牡蠣の養殖が盛んなので、私が想像していたより(パイプのゴミが)たくさんありましたね。

 パイプの形として残っているものもあれば、粉々になって、ほぼ砂のような大きさになっているものとかもあって・・・地元のかたたちともお話しさせていただいて、“やっぱり拾うのが大変なんだよね。だから外から来てくれる人がいて、すごく嬉しい”っていうお声はいただきました」

自然と一体化、フィールドレコーディング

※旅の途中に、自然の中で弾き語りを録音するフィールドレコーディングをされていました。これは旅に出る前からやってみようと思っていたんですか?

「そうですね。フィールドレコーディングは絶対やりたいと思っていて、真っ先にこの旅でやろうって決めていたことなんです。
 すごく大好きな映画で『はじまりのうた』っていう、分かりますか。その映画が大好き過ぎて、完全にそれにインスピレーションを得た感じですね(笑)。あの映画は街中でレコーディングしているけど、私は自然の中で・・・森の中のスタジオじゃないですけど、ブースも自分で作ってレコーディングしてみたいって思ってました」

●何ヵ所で録ったんですか?

「(楽曲付きフォトエッセイに)3曲入っているので、3ヵ所で録りましたね」

●それぞれどこで?

「1曲目は旅の前半に行った尾瀬、群馬県の森で録って・・・2曲目は愛媛の、海にいちばん近い駅、梅津寺(ばいしんじ)っていう駅があるんですけど、本当に目の前が砂浜なんです。その砂浜に機材を広げて、電車の音が後ろから聴こえて、船の音だったり、波の音だったりが結構入るところで録音しました。

 最後は、最終日に長野県の駒ヶ根高原教会の中で歌わせていただきました。それに関しては、教会で歌うって決めていなかったんですけど、旅中にたまたま出会ったかたが、教会で歌ったら、みたいな感じで言ってくださって、最後はそこでフィールドレコーディングっていう形になりましたね」

●実際にフィールドレコーディングされて、いかがでした?

「なんだろう・・・すっごく自然と一体化している感じを、自分の中で感じながら気持ちよく歌えたなっていうのと、あとやっぱりスタジオの中で歌うと、防音室だとか無音のところで、本当に声を綺麗に録れるっていうのがあるんですけど、フィールドレコーディングは常に何かの音が鳴っている状態なので、自然の音をより自然に聴いてもらいたいなと思えば思うほど、マイクを置く位置がすごく難しくて・・・」

Miyuuさん

●確かにスタジオで録るのとは、全然違いますよね。
 
「ですね〜。しかもほぼ一発録りだったので、録っている時間よりもマイクを
セッティングする時間がすごく長かったです」

●スタジオでいざ録るぞ! っていう時よりも開放的になれるというか、気持ちよさそうだなっていうのを感じたんですけど、いかがでした?

「めちゃめちゃ気持ちよかったです!」

自分なりにできることを発信

※先ほどもお話がありましたが、Miyuuさんは「日本自然保護協会(NACS-J)」が行なっている『全国砂浜ムーブメント』というキャンペーンに協力されていて、オンラインのイベントにもMCとして参加されていました。なにか協力するようになったきっかけとか、あるんですか?

「きっかけっていうのは、もともと旅にもご一緒に協力させていただいたりとか、それ以外にもお話をさせていただいたりして、日本自然保護協会さんのテーマである多様性ということについても、自分自身もっと学びたいなって思っていました。

 海も山も川もすべてが繋がっていて、切り離せないっていうことをいつも教わっていて、本当にそうだなと思っています。
 それって人間関係にも通じることってすごくあるなと思って、今の私がいるのは両親がいて兄弟がいて、仕事仲間がいて友達がいてっていうことで、すべての出来事だったりとか、出会った人が今の自分を作っているんだなって、環境問題から教わったというか、日本自然保護協会さんからいろいろ教えていただきましたね。

 自然環境についてより深く掘り下げることで、今後私たちの子供だったりとか次の世代に美しい世界を残していけたりとか、より豊かな自然を残していけるっていうことプラス、自分自身の人生ももっと環境問題を学ぶことで豊かになっていくんじゃないかなって思っています。
 なので、協力させてくださいと、むしろ私から学ばせてくださいという感じで、イベントのMCとかもさせていただいたりしています」

●以前から自然や環境を保全するような活動に興味があったんですか?

「そうですね。興味はあったんですけど、どういうふうに自分が踏み出せばいいかっていうのが分からなくて、心の中ではずっとなんかしたいな〜みたいな気持ちがあったんですね。
 その気持ちが芽生えたきっかけっていうのが、おばあちゃんが愛媛県に住んでいて、私は大阪で育ったので、いつも瀬戸大橋を渡って愛媛のほうに行くんですけど、その瀬戸大橋から見える工場地帯からすごく煙が上がっていて、子供ながらに空気が汚くなるよみたいな、すごくもやもやした気持ちになったんです。

 やっぱり大人になるにつれて、小学校高学年くらいから、ああいう工場があるから自分は今、車に乗れているし、豊かな生活が送れているんだなと思ったら、なんかそれを否定するのも違うな・・・でもやっぱり環境は汚れているし、矛盾だらけで、どうしたらいいんだろうみたいな感じで・・・気づけば、それもまた年が経っていくごとにその感情すらもちょっと薄れていく自分がいて・・・。

 でも、そうしているうちに一方で、それに対して声を上げている人たちがいるっていうことを知って、シンプルにそうやって声を上げている人はかっこいいなーって思って・・・自分ができていなかったから、その人たちからいっぱい学べることってあるんじゃないかって思って・・・日本自然保護協会のかたたちもそうなんですけど、一緒に私もそういう人たちから学んで、自分なりにできることを発信したいなって思いました」

知ることの大事さ

※環境問題で今、いちばん気になっていることはありますか?

「ふたつあるんですけど、まずは海ごみの問題、マイクロプラスチックだったりとか・・・。それはシンプルに、私は夏になるとサーフィンをしたりとか、海に行く機会がすごく増えるんですけど、やっぱり汚い海より綺麗な海のほうが自分の心も気持ちよくいられるしって思ったのが、海ごみに関心を持ったきっかけなんですね。

 海にはすごくいろんな生物がいて、プラスチック自体がその生物たちの邪魔になっているということも、(以前は)想像力が乏しかったので考えていなかったんですけど、日本自然保護協会のかたから教わったりすることで、人間もそうだし、生き物たちもやっぱり海は綺麗なほうがいいよなって思って・・・。

 私がオフィシャルグッズ、自分のグッズを作る時に、できるだけ海を汚さないような工夫をしている企業さんとのコラボ商品を作ったりもしていたり・・・ステンレスストローだったりとか、少しでも長く着られるような素材を使ったTシャツだったりとか、自分ができることをちょっとずつしています。

 もうひとつは、洋服の廃棄だったりっていうことなんですけど、このふたつに関心があるのは多分、自分にいちばん身近な問題だったからだと思っています。

 大手の企業さんだったりとかファッションブランドさんが、最近着なくなった服を回収してくれるサービスとかあったりするじゃないですか。すごくいろんな取り組みをされているんだなと思って・・・私もやっぱり安い服を買えると嬉しくなるし・・・でもそういうものって生地がちょっと薄かったりとかして、2回着たらもうダメになるとかあるじゃないですか。そういう服をリサイクルできるからと思って、(回収ボックスに)入れていて、それでなんか気持ちよくはなっていたんですね。

 ある日、YouTubeで回収された服たちが、どこに行っているのかっていう動画をパッとたまたま見てしまって・・・そうしたら、循環していると思っていた洋服たちが、アフリカのある国に送られているだけで、その人たちもその服を着れないし、必要としていないから、どんどんそこにゴミが溜まっていく、悪循環になっているんだっていう問題提起の動画を見つけたんです。

 やっぱり知ることって大事だなと思ったし、その問題を根本から解決するためには、自分が少しでもひとつのアイテムを長く着続けることだなと思って、そういう問題に関心があるというか、まず自分ができることにトライしようかなっていうふうに思いました」

●私たちはどんなことを心がけたらいいんでしょうか? 

「私自身も今すごく勉強している段階で、大きいことは言えないんですけど、本当にひとりの小っちゃい力が集まれば、どんなことでも、大きいムーブメントを起こせるんだろうなと思っています。
 例えば、さっき言った少しでも自分の持っている服を長く着るとかもそうだし、ステンレスストローにしてみようかなとか、本当に小っちゃいことでもいいと思うんですけど、それをみんなひとりひとりがやったら、気づけば大きいことになっていくので・・・私自身もたまに、タンブラー忘れた! みたいな時もあるけど(笑)、徐々に自分ができることをやっていくのが、いずれは大きなムーヴメントになると信じています」

※では最後に、シンガー・ソングライターとして、今後歌っていきたいことはなんでしょう?

「知ることの大事さをさっきお話ししたんですけど、私はそれを自然環境から学んだんですね。なんか人間関係も同じだと思っていて、大嫌いな人が例えばいるとして、人の悪口をいつも言っていたり、嫌だ、聞きたくないと思う人もいると思うんです。でも私たちってその人の多面的な部分の、ひと部分しか多分見えていないと思うんですね。

 イマジネーションというか、その多面的だということを想像することがすごく大事だと思うし、知ることだと思うんです。そういうことの大事さをメッセージとして、音楽で届けていけたらいいなと思って、曲作りもそういうメッセージを込めて作りたいなって思っています」

●Miyuuさんの音楽にやっぱり自然の体験は必要なことですか? 

「そうですね。旅だったりとか、自然との関わりから、なにか音楽をやろうって思ったので、すごいきっかけを与えてもらったという意味では、自然と音楽は私自身、切り離せないなってすごく思います」

(編集部注:Miyuuさんは、30日間のキャンピングカーの旅を通して、人はひとりでは生きられないことを再確認したそうです。そして、夢はVAN LIFE! そんなライフスタイルも発信していきたいとのこと)


INFORMATION

『30 DAYS VAN LIFE〜Trip on Music』

『30 DAYS VAN LIFE〜Trip on Music』

 Miyuuさんの楽曲付きフォトエッセイをぜひ読んでください。主に西日本から九州を巡る30日のキャンピングカーの旅の記録。旅先で出会った人のインタビューや体験、フィールドレコーディングの裏側なども掲載。1日1日を大切にしながら、ありままを楽しんでいる姿が写真からもよくわかりますよ。ナチュラルなMiyuuさんの音楽、そして生き方に今後も注目です。

 このフォトエッセイはMiyuuさんのオフィシャルサイトからお買い求めいただけます。また、お話にも出てきたオリジナルのステンレス・ストローのほか、可愛いトートバックなども販売。ぜひチェックしてください。

◎MiyuuさんHP:https://avex.jp/miyuu/

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