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地球温暖化をテーマにした科学絵本『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』をクローズアップ!

2026/5/31 UP!

 今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、絵本作家の「坂井 治(さかい・おさむ)」さんと、講談社の「中里郁子(なかざと・いくこ)」さんです。

 先頃、講談社から出版された、地球温暖化をテーマにした科学絵本が話題になっています。本のタイトルは『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』。

 ストーリーは、連続ドラマ『ちはやふる-めぐり-』などを手がけた脚本家の「こさか しほ」さんがまとめ、絵はNHKの「みんなのうた」や「おかあさんといっしょ」のアニメーションなどで知られる絵本作家の「坂井 治」さんが担当、監修は神奈川県立生命の星・地球博物館が行なっています。

 実はこの絵本は「1.5°Cの約束」気候キャンペーン初の絵本で、2027年に横浜で開催される「GREEN×EXPO」にもつながる企画としてスタートしたそうです。

 そんな科学絵本の絵を担当された坂井さん、そして講談社の編集担当、中里さんをお迎えし、絵本に込めた想いや、子供たちの意見を取り入れた斬新な手法、そしてタレントの「石ちゃん」こと「石塚英彦(いしづか・ひでひこ)」さんがナレーションを務めた読み聞かせ動画についてもうかがいます。

『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』

子供編集者300人が参加!?

※最初に『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』のストーリーを少しだけ説明しておきましょう。

 オープニングのシーンは「空気の学校」で、地球先生がぷんぷん怒っているところから始まります。主人公の「ニコ」は生徒のひとりで、実は二酸化炭素。地球が「あちちち」になっているのは、自分のせいだと悲しくなっちゃうんです。

 そして、丸くて小さなゴミとして登場する「サク」も大事なキャラクターで、あとあとゴミじゃないことがわかるんですけど・・・そんな「ニコ」と「サク」がペットボトルの船に乗って、温暖化を止める方法を探すために、北極に行ったり、南米や太平洋の島に行ったりと、地球を大冒険するという、そんなストーリーになっています。

©こさかしほ/坂井治/モノガタリラボ/講談社

●この絵本は、子供たちが編集者として参加したそうですね。これは、どなたのアイデアだったんですか?

中里さん「これは誰のアイデアというのではなくて・・・そもそも今の地球をテーマにした絵本を作る時に、こういうような絵本を子供たちは読みたいんじゃないかとか、机上の空論ではないですが、大人だけが角突き合わせて、どういうふうに伝えようかという話はしていたんですね。

 こさかさんのお話が大まかにまとまって、坂井さんがそれに対して絵を描いてくださった時に、通常の場合は編集者が意見を返して、こういう感想ですとかっていうのを戻すんですけど、それじゃあダメだよねっていう・・・。

 子供がちゃんと子供の意見として、“ここがわかりやすい”とか、“ここがわからないとか”、“ここがすごくいいから伸ばすべきっていうのを言うべきだよね”っていう、これはなぜなら子供たちの絵本だからっていうことで・・・。

 誰のアイデアっていうよりは、私と一緒に編集している者が、“私たちだけでやっちゃいけないよね”っていう、(子供たちに)協力を仰ぎたいと、いろんな小学校や三郷市こども司書のかたにご相談したら、“ぜひ協力したい!”っていうことで、ご協力いただいたっていう流れになります」

撮影:講談社

●何人くらいのお子さんたちが参加されたんですか?

中里さん「総勢でいうと300人ちょっと、お会いしたのは300人くらいで、実は会ってないんだけど、PDFで読んでくれたみたいな子供を含めると、もっといるっていう感じです」

●いろんなお子さんたちの意見が反映されているんですね?

中里さん「そうですね。意見をすごく言ってくれて、班の発表とかもしてくれたりして・・・(笑)」

●そうだったんですね。まとめるのが大変だったんじゃないですか?

中里さん「それがですね、まとめるというか・・・今の小学生は、逆に感動してしまうほどで、ものすごく細かく見てくださっていて、意見をまとめる必要があるというよりは、“作家さんがこういうふうに悩んでいるんだけど、あなたたち編集者としたら、どういうアドバイスする?“みたいな感じだと、子供たちの側で意見をまとめてきてくれました」

●すごいですね!

中里さん「はい! 班と班で違う意見が出たら、班同士で意見を言い合って、最後は“やっぱり作家さんがよきように、作家さんはどっちがいいんですか?”とか聞いてくれたりしました」

子供たちが見て、まず楽しいが大事

※坂井さんは、脚本家の「こさかしほ」さんからストーリーがあがってきて、すぐに主人公の「ニコ」や「サク」のイメージは浮かびましたか?

坂井 治さん

坂井さん「あらすじをいただいて、そこでもいろいろ意見交換させてもらったんですけど、最初にそれこそ中里さん含めて、みんなで話をさせてもらっている時に、大体こんなことかな~っていうのは見えていましたね。細かい修正はもちろんしていったんですけど・・・」

●温暖化が原因とされている、例えば氷河が溶けたりとか海面が上昇したりとか、そんな現状が(絵本には)散りばめられていますけれども、作画する時にどんなことに苦心されましたか?

坂井さん「やっぱりいちばんは・・・結構現実的で、目の前にある大きな問題でもあるし、それぞれ読み手もそうだし、作る側もいろんな視点で、その問題に対して見ていると思うんで、なんていうんですかね・・・(絵が)リアルになり過ぎないことが、まずいちばんかなと思ったんですね。

 “ニコ”っていうキャラクターの物語でもあるので、ニコが生きている世界と自分たちが生きている世界が大きく重なる部分があって、そこをファンタジーにもちょっと見える、でも現実でもある・・・子供たちが見ていて、まず楽しいってことが大事だと思うんですけど、そういう世界をどう作ろうかな~でかなり悩みました」

©こさかしほ/坂井治/モノガタリラボ/講談社

●色使いとかも工夫されているんですよね?

坂井さん「そうですね。色使いに関しても、わかりやすく言っちゃうと、ポップな色使いっていうのを心がけてやったっていうところがありますね」

●中里さんは、坂井さんからあがってきた絵を初めてご覧になった時、どんなふうに思いました?

中里さん「本当に率直に申し上げると、最初に見た時にめちゃめちゃ感動したっていうのがすごくあります。いちばん最初に拝見したのはカバー絵の、旅立つところだったんですけれども、もうなんて言うんでしょう・・・迫力もあるし・・・。

 坂井さんの絵は、いちばん素晴らしいのは上質感だと思うんです。それに加えて旅立つ不安とか、かたやサクのほうはワクワクしてしょうがないとか、キャラクターの絵にすでに人格というか感情も乗っかっている・・・(大冒険は)横浜の港から出発しているんですけれども、その街から出発するっていう、日本から大きな冒険が始まるんだっていう、ワクワク感がすごくあって本当に感動しました。

 あと、みなさんに見ていただきたいんですけど、坂井さんの絵にはちょっとした工夫があって、今回もニコのメガネに注目して欲しいんですね。ニコのメガネの秘密がわかると子供たち大喜びなんですよ! 自分が発見した!って・・・“クチとメガネをちゃんと見て!“って感じだったりとか・・・。

 もうひとつ、それは絵だけではわからないんですけど、作画して受け取りに行った時に、坂井さんが “今回一切、画材を買うのをやめたんですよ”っておっしゃって、“え? どういうことですか?”って聞いたら、“今回はテーマが温暖化でエコでSDGsだから、家にある画材だけでやってみようと思っている“っておっしゃったんです。

 それがすごく絵を通じて伝わってくるっていう、豊かだけど贅沢はしてないって言うのは変なんですけど・・・(笑)」

それぞれに果たせる役割がある

※地球温暖化の深刻な問題をわかりやすく子供たちに伝えるのはなかなか難しいと思うんですけど、編集者として、どんなことにこだわったんでしょうか?

中里さん「実は温暖化を超えて、主人公が愛されるかどうかっていうのが、物語である以上いちばん大事なところかなっていうふうに思うところがありました。

 実は温暖化でCO2が悪者になっているって、みんなこのチーム『あちちち』は素直に“ちょっとひどくない?”っていう・・・もともとは、東京大学の先生の、地球の科学的ヒストリーみたいな論文を拝読していた時に、CO2がなかったらすべての生命は誕生しないみたいな、人間もそうですけど、炭素Cでできている以上・・・。

 あと、大量に原始地球にあったCO2のCっていうのが原材料で、ほぼ植物も人類も、ありとあらゆる生き物もできていて、その過程でCO2が現在の量まですごく減っているんだよ、みたいな論文をみんなで読んだんですね。

 それなのにCO2が悪いから温暖化だ! CO2ひどい! みたいに言われていて、これって意外とクラスの縮図に似ていますよねっていう、むしろ子供たちにはそれぞれに役割があるっていうことが伝わると、地球温暖化で僕たちが果たせる役割もあるって思ってもらえるのかもっていうのが、今回のストーリーを作る時のスタート・ラインでした。

 だから、ニコちゃんを通じて、“私、ニコちゃんみたいにちょっと自信がないけど、私も何か役割があるのかも”って思ってくれる子がいたら、そこが私たち編集者としては、こだわりのポイントかなっていうのはありましたね」

●確かに。でも科学的な正しさと、物語としての楽しさ、そのバランス取るのが難しそうですよね?

中里さん「そうですね。子供たちと話していてすごくわかったのは、お勉強感がちょっとでも出てくると・・・子供編集者のみんなにも言われたんですけど、子供に言われて、ありがたかったのが“ちょうどいいバランスですね”とか言われて、“大人?”って思ったんですけど、“絵もストーリーもちょうどいいバランスでよくできていますよ!”とか言われました(笑)」

読み聞かせのバリアフリー動画、ナレーションは石ちゃん!

※教育系YouTube公式チャンネル「ボンボンアカデミー」で今回の科学絵本の読み聞かせ動画が公開されていて、ナレーションはタレントの「石ちゃん」こと「石塚英彦」さんが担当されています。この動画の仕掛け人は中里さんですか?

©こさかしほ/坂井治/モノガタリラボ/講談社

中里さん「いえ、私は仕掛け人とかっていうほどかっこいいものではなくて・・・今回の絵本は、国連の『1.5℃の約束』っていうメディアコンパクト初の絵本っていうことで、そのメッセージもお伝えさせていただいているんですね。

 実は絵本って読めない子もいるよねっていう・・・学習障害であったり、視覚障害であったりっていうのがあって・・・。
 坂井さんご自身もアニメーション作家さんでいらっしゃるんですけれども・・・。YouTubeで“聞く”っていう形でお話に参加できたりとか、字は読めないんだけど、動画だったら楽しめるっていう人がいるよねっていうところで、割と自然にバリアフリー動画を作りたいっていうことで、今回の動画をYouTubeで公開しようっていう形になりました。

 石ちゃんがやってくださったのは、すごくふたつの意味でめちゃめちゃありがたくって・・・ひとつは、石塚さんが引き受けてくださったのは、ご自身が「GREEN×EXPO」の神奈川県の応援大使をやっていらして、まだ世に出ていませんっていう絵本のバリアフリー動画の読み聞かせを、 “そういう意義深いことなら”っていうことで、ものすごく快くお引き受けいただいたんですね。

 もうひとつは『モンスターズインク』のサリーの声を石ちゃんがやっていらっしゃるので、『モンスターズインク』のサリーが読み聞かせしてくださっているんだったら、すごく嬉しいって言って、見たい子供たちもたくさんいるんじゃないかっていうことで・・・・。

 『ボンボンアカデミー』は今118万人の子供たちの登録者がいるんですけれども、ダブルの意味で誰が仕掛け人というよりは、バリアフリーで子供に伝わったらいいよねっていうところに、多くの人の暖かい心が集まって作らせていただけたっていう感じでした」

絵本を通じて、子供を先生に

『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』

※科学絵本『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』を見る子供たちがこんなことを感じ取ってくれたら、いいな〜と思うことはどんなことでしょうか? まずは坂井さん、お願いします。

坂井さん「僕がこの絵本に関わる時の気持ちと一緒なんですけど、答えがない中、わかりづらい問題なんだけど、すごく大きな問題でもあるし、人間の問題でもあるし、地球の問題でもあるし・・・その入り口だったり、きっかけを、これで見つけてもらえればいいな~と思いますね。その入り口が“楽しかった”から、始まるといいな~と思って作らせてもらいました」

●中里さん、いかがですか?

中里さん「どの本もそうかもしれないですけど、この本は特に読む子供の年齢であったり、読む人の性格によって、好き勝手に解釈してくれたら、本当に嬉しいっていうのはありますね。

 ある子にとっては勇気が出る、勇気をもらえた、自尊感情が上がる本であってほしいし、ある子にとっては“僕がCO2を止める発明をするぞ!”みたいな理系に向かうきっかけになったりとか、ある子は坂井さんの絵がすごく良いから“私、絵描きさんになりたい!”とかであったりとか、“自由でいいんだよ”って・・・。

 だけど、地球は1個しかないんだよ、後戻りはできないんだよっていう、君にもやれることがあるから、やれる形で参加してくれたらいいな~みたいな、自由な絵本であったらいいな~みたいな気がしています」

●絵本を子供たちに与えられるのは、周りの大人達だと思うんですけれども、パパやママ、学校の先生たちに伝えたいことはありますか? 

坂井さん「絵本なんでやっぱり一緒に読んで、大人も一緒に考えてもらえればいいし、多分大人にとっても難しい問題なんで、大人にとっても入り口のひとつになるんじゃないかな~っていうのは思います」

●中里さんはいかがですか?

中里さん「私は先ほどお話に出た、子供編集者から学ぶことがすごくいっぱいあって、発見だったんですけど、温暖化のことって今、学校でとても教えられていて、子供のほうがめちゃめちゃ詳しかったりします。

 かつ、子供ってダメな大人に教えるのが大好きだなっていう気がしたんですね。坂井さんが言ったように、親子で一緒に読んで、子供を先生にする大チャンスなので、だめパパと、だめママになって子供を先生にしてあげてほしいなって思います。

 “温暖化って今こうなっているんだよ”とか、“えっ! そうなの?”とか、“どうやったら止められるの?”って、“やっぱりペットボトルはこうやってリサイクルしなきゃだめだよ!“とか、子供たちって大人に教えるの大好物なんだなって、めちゃめちゃ思ったので、ぜひこの絵本を通じて親子で子供を先生にして、めっちゃ子供に自信をつけさせてあげてもらえたら嬉しいなと思います」

※地球温暖化がもたらす様々な影響は、残念ながら益々深刻になっているように感じます。よりよい地球を子供たちに残すためには、どうしたらいいんでしょうね。坂井さん、どうでしょう?

坂井さん「どうしたらいいんですかね・・・僕もわからなくて・・・。でもこの問題があるってことをまず知ることと、あと絵本の中に書いている通り、みんなそれぞれ何ができるかっていうことを、それぞれ実行していけると・・・。

 多分僕がやっているゴミ拾いなんかも、こんなゴミ拾いしたところで温暖化が止まるわけじゃないし、ってのはもちろんわかりながらも、やっぱりやっているので、別に温暖化のためにゴミ拾いしているわけでもないんですけど・・・みんながそういうことにちょっとずつ動くと何かが変わるのかもしれないなと思います」

●中里さん、お願いします。

中里さん「もうほとんど坂井さんがおっしゃってくださったので・・・ただこの本を編集者として作っている過程で、それこそ“国連にもご一緒したいです!”とかっていうふうに、同じ志としてお願いしに行った時に、本当にたくさんのご意見とたくさんの学びをいただきました。

 地球のことを考えるって、仲間が増える作業でもあるんだなっていう感じがしたので、ひとりきりでやらなくていいこと・・・スポーツゴミ拾いみたいなのも生まれてきて、ワールドカップが開かれていたりとか・・・ものすごくたくさんの人をつないでいけるし、仲間ができる作業なので・・・。

 意外とこの本を作ることで、仲間がこんなにいるなら、いつか止められるのかもって、かなりポジティヴに思いました。だからこの本を通して、まず仲間を作って欲しいなっていうのは、すごく思いました」


INFORMATION

『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』

『あちちち 地球とだいじなやくそく! ニコとサクの大冒険』

 二酸化炭素の「ニコ」と、最初は小さなゴミとして登場する「サク」の温暖化を止める方法を探す大冒険! 子供たちの意見を参考にしたというストーリーはもちろんなんですが、坂井さんの可愛くて親しみやすい絵に夢中になりますよ。ぜひお子さんと一緒に楽しんでください。
 講談社から絶賛発売中です。詳しくは出版社のサイトをご覧ください。

◎講談社:https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000416859

 タレント「石ちゃん」のナレーションによる、バリアフリーの読み聞かせ動画もぜひ見てくださいね。

https://www.youtube.com/watch?v=yuPh5Fh98q8&t=303s

 絵本作家の坂井さんは、暮らしの中から表現が生まれて、それが作品になる、そういう暮らし方をしたいと思い、地域のつながりを通して、畑を借りて野菜を育てたり、近くの川で子供たちと一緒にゴミ拾いをして、そのゴミでキャラクター作りをするなどの活動もされています。ぜひ坂井さんのオフィシャルサイトもご覧ください。

https://sakaiosamu.info/works/

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