2026/7/12 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の第28弾! 割り箸のアップサイクルにフォーカス! ゲストは「CHOP VALUE JAPAN」の代表「山上剛史(やまがみ・たけし)」さんです。
今回は「SDGs=持続可能な開発目標」の中から、「つくる責任 つかう責任」そして「陸の豊かさも守ろう」。
「CHOP VALUE」はカナダ発の循環型製造企業で、使い捨ての割り箸を資源として回収し、家具やインテリアなどに生まれ変わらせる事業に取り組んでいます。
きょうは、廃棄物として扱われている使い捨ての割り箸を回収する仕組みづくりやアップサイクルさせる製造工程、そして製品の特徴などうかがいます。
☆写真協力:Chop Value Manufacturing Japan

創業者は木工職人
※CHOP VALUE JAPANは、使い捨て割り箸を資源として回収し、家具やインテリアなどにアップサイクルする事業を展開している循環型製造企業、ということなんですが、本社はカナダのバンクーバーにあるんですよね。
「そうですね。カナダで2016年に起業した会社になります」
●どなたが創業されたのですか?
「フェリックス・ボックといいまして、ドイツ人なんですけれども、カナダで仕事する縁がありました。もともと彼は木工職人だったので、『CHOP VALUE』というビジネス・アイデアを考えて、カナダで起業したという歴史になります」
●フェリックスさんがどんな思いで創業されたのか、ご存じですか?
「(フェリックスは)木工職人として木を専門に、大学まで卒業して、もともとはドイツの高級自動車メーカーの内装材の開発エンジニアとして活躍していたということです。
ひょんな縁でカナダに渡った時に、フードコートのレストランでお箸を使う機会があったそうです。自分はこの15分でこの箸を食事が終ったら捨てちゃうんだと・・・木を扱う職人として、これでいいのか? っていうところにいきついて、自分の技術を持ってすれば、この割り箸をアップサイクルし、素晴らしいものを提供できるのではないかと考えたのがきっかけだそうです」

●なるほど。その思いが反映されているのが社名のCHOP VALUEということで、“お箸には価値がある”ということなんですね。
「そうですね。職人なので、まさに製造の最初の工程からすべて立ち上げたのがフェリックスになります」
●日本食が世界的人気だと思うんですけど、カナダにもそういった割り箸の文化はあったんですね?
「カナダの状況を聞くと、多民族国家ということではなくて、いろいろな国のかたがカナダでお仕事をされていたり、お住まいになっているというところで、非常に興味を持って、実際にアジアン・レストランとかで割り箸を使う機会が多いということです」
●日本支社のCHOP VALUE JAPANが設立されたのは、いつ頃なんですか?
「創業自体は2024年12月なんですが、工場がオープンしたのは2025年4月になります」
●CHOP VALUEは、世界的に展開されているんですよね?
「そうですね。今はオフィスだけのものを入れれば、13か国で展開しております」
●拠点で言うと、何か所くらいになるんですか?
「今、工場が80ヶ所以上、できていますので、世界中に展開しているところです」
●すごいですね。やっぱり日本はお箸を使う文化がありますし、割り箸もたくさん使われていますから、日本に拠点を作るのはすごく理にかなっていますよね?
「おっしゃる通りなんです。ですから、フェリックスは早く日本にローンチしたかったのですが、先ほど言った海外ではゴミはゴミですから、勝手に持って行くのも “as you like”という感じでやれたものが、日本はどうしても“きれいな国、仕分け、リサイクル”が発達している所ですから、廃棄物及び清掃に関する法律、いわゆる『廃掃法』というものにかなり縛られます。
だからこそ、街はきれいなんですけれども、この法律があるからこそ、勝手に我々が(割り箸を)集めたりすることができなかったんですね。そういう難しい法律的な局面もあったので9カ国目になってしまった。割り箸の宝庫ではあるものの、日本へのアプローチができなかったっていうのが、フェリックスの本音だと聞いています」
●日本では、年間どれくらいの割り箸が廃棄されているんですか?
「年間で言うと200億膳というふうにも言われています。途方もない数字ですよね。みなさん15分くらいお箸で食事されたら捨てているんですね」
●使い捨ての割り箸は、現在は焼却されているっていうことですよね?
「そうです。家庭のゴミであれば、燃えるゴミで、みなさん捨てていらっしゃるでしょうし、事業、要はオフィスとかで出るゴミでしたら、一般廃棄物として、事業系ゴミとして持って行ってもらっていると思うんですね。各企業さんが事業廃棄物を処理する免許を持ったかたと契約して廃棄していると思われます」
(編集部注:山上さんのプロフィール的なことに少し触れておくと、山上さんは元航空自衛官で防衛省に勤務。世界を相手に仕事をされていたそうですが、家族の事情で退官。その後、起業し、いくつか会社を経営。
そんな中、どうしてCHOP VALUE日本支社の代表をやることになったのか・・・実は山上さんは、川崎市のお困りごとを解決するコンサルタントの仕事もやっていたそうで、ある時、川崎市から、こんな面白い企業があるよとCHOP VALUEを紹介され、コンサルの立場で事業がうまくいくように手伝っていたそうです。
そんな折り、創業者のフェリックスさんから日本支社の代表になってほしいと頼まれ、海外と仕事をしていた山上さんとしては、これはチャンスだと思い、引き受けたということなんですね。
CHOP VALUE JAPANの工場は山上さんとのご縁もある川崎市に開設。川崎市は脱炭素にも力を入れているということで、そんな自治体と一緒に事業を進めていきたいという、山上さんの思いもあって、川崎市に工場を作ったそうです)
「廃棄物」を「資源」に
※ここからは事業内容について、具体的にうかがっていきましょう。まずは、使い捨ての割り箸の回収についてなんですが・・・
廃棄される割り箸を資源にするためには、廃棄物を回収して処理する自治体への申請が必要だったりするんですよね。これはまず、川崎市に申請したってことですか?
「そうですね。川崎市もすぐには認められない。要は今までは廃棄物として分類していましたから、これを“資源です!”と我々がいくら言っても、認めていただけることにはならないので、川崎市としては、1年間『試験研究制度』っていうのを使って、実際に“これは廃棄物じゃありません”ということを証明するための取り組みを、市と一緒にやらせていただきました。
その試験研究制度において、実際に(割り箸を)回収してアップサイクルをして世の中に製品としてお戻しをするっていう、CHOP VALUE社だけができる独自のフローがあると思うんですね。それが“廃棄物じゃないよ!“っていう証明をするのに、いろいろな条件があるんですけれども、技術的にそれができたとしても、世の中に認知されて戻っていかないと意味がないんですね。
例えば、我々が割り箸を集めたから、それをテーブルにしました。そのテーブルを誰も買ってくれなかったら、ただ単純に割り箸を集めているだけになってしまう。これは廃棄物の域を脱しないわけですね。
そこでこの一連のフローを試験研究制度を使って、実際に割り箸を集めさせていただけるレストランとか企業様があるか、それを加工して実際にそれが売れるかどうか、この一連の流れを試験研究でやった時に、今は約60店舗くらいの飲食店が、川崎市に協力してくださり、割り箸を提供してくれています」
●確かに飲食店の協力って欠かせないですよね。
「そうですね。割り箸がないと何も始まりませんので、そういう意味ではいちばん最初に入り口は(割り箸の)回収パートナーを見つけることです」

●60店舗ほどおっしゃっていましたけど、だいたい(集める)量はどれくらいになるんですか?
「現在、週で約250キロくらい集めていますね。ですから1ヶ月では1000キロ集めているんですけど、まだ2倍くらいまで集められるので、あと2倍にしたいなと思っています」
●ということは、店舗数を増やしていくっていうことになるんですか?
「そうなんですよ。先ほど言った200億膳というものが、例えば10%リサイクルできたとしても、ざっと簡単に試算すると、日本に100カ所くらい工場がないとアップサイクルが完成しないんですね。
ですから、川崎だけのキャパシティではとても追いつかないので、今はいろんなパートナー企業様も増えてきましたし、このコンセプトを一緒に取り組んでくださる企業様と2号店3号店を作るような話も計画しています」
環境に配慮した特殊な技術
※続いて、製造工程について、教えてください。CHOP VALUEでは使い捨ての割り箸を原材料に、家具やインテリアなどを製造されていますが、どんな工程を経て製品になるのか、ざっとで構いませんので、その流れを説明していただけますか?

「まず、レストランから集めてきた割り箸をきれいに並べます。ラジオなので製品をみなさんにお見せできないのが残念なのですが、割り箸をきれいに縦に並べていくんですね。
割り箸も4種類くらい日本にはあって、みなさんがよくイベントとかで見るちょっと軽い、割れ方を間違えちゃうと、ささくれちゃうやつ。あれは“アスペン材”と呼ばれる木なんですけれども、日本特有のちょっと安いリーズナブルなお箸なんですね。
それと、今みなさんがコンビニでよく見る箸は竹なんです。きょう帰ったら割り箸を見てください。竹に代わりました。“あれ! そういえば確かに割り箸の種類、コンビニでは変わったな”と気づかれると思います。
竹って“破竹の勢い”という言葉がある通り、成長するのに約5年で成長しきるんですね。ですからリサイクル効率が良いということで、今、竹製品が見直しをされています。
割り箸も実は木材であるアスペン材を使うより、竹のほうがリサイクル効率がいいということで、今結構いろいろな割り箸を作る会社さん、使う会社さんも竹に代えてきているところなんですね。
あとはスギやヒノキといった高級なお箸は、例えば結婚式で使ったりとか神事で使ったりとか、そういったことのスギやヒノキの箸は一定程度(全体の)5%ぐらいはありますけれども、95%の割り箸は竹かアスペンなんですね。
我々が集めてきた(割り箸は)竹は竹、アスペンはアスペン・・・飲食店では基本的に一種類、同じ箸を使っていますから、その飲食店ごとに集めてきたものを並べて、特殊なレジンと呼ばれる接着剤、我々独自の接着剤に浸す。それを今度は乾燥工程を経て、高温乾燥を10時間くらい経て、あとは特殊なプレス機でプレスをして板材を作っていきます。

そのタイルを削ったりして組み合わせたりしてできるのが、テーブルだったり棚になっていくんですね。ぜひホームページをご覧いただければ、どんな製品ができているかご覧いただけるかと思います」
●衛生面がちょっと気になったんですけれども、そのあたりはどのようにされているのですか?
「これが日本人がいちばん気にするところなんですね。これを言うとちょっとがっかりされちゃうかもしれないんですけど、割り箸、洗わないんです。みなさんが食べたラーメンとかお蕎麦のお汁が付いたまんまやります。ただし特殊なレジンと特殊な乾燥工程を経ますから、汚れというものは取れてしまうんですね。
ただ日本人は非常に気にするので、環境衛生試験という神奈川県の試験機構にも出して、菌やウイルスの検出検査というのも実際に乗り越えているんです。食品工場にこの原材料が使われたとしても、問題ないレベルまで何も検出されないっていうことも証明しています」
●特殊な接着剤ということですけれど、化学物質とかは大丈夫なんですか?
「CHOP VALUEは先ほど言った通り、フェリックスという創業者が徹底して環境への配慮を考えているので、先ほど気になっていた割り箸を洗わないっていうのは、水を使いたくないからなんですね。
水を使う、いわゆる洗剤を使う、これも環境によくないということで、そういった観念で作っていますから、水溶性のレジンで環境負荷に対しても全く問題がないものを使っていまして、これが特殊な技術になります。
いろんな技術があって、木の端材とかを固めたりして作るテーブルって、結構今ポピュラーなんですけど、だいたい他社さんのそういった端材とかを集めてテーブルにするのって、接着剤の割合が全体に対して約30%くらいの割合になってしまうのですが、我々の物は(接着剤が)6%~8%、ほぼ箸なんです」
(編集部注:製造工程については、ぜひCHOP VALUE JAPANのサイトをご覧ください。写真入りでわかりやすく説明されています。
https://chopvalue.jp/ )
工場は「マイクロファクトリー」〜地消地産
※CHOP VALUE の製品は、従来の木材から作った製品と比べて、環境への負荷はどうなんでしょう?
「もちろん普通にしていたら、ただ捨てられてしまっていたものですから、そういった意味ではある意味、役目を終えたものに命を吹き込むというところですね。
あと脱炭素の貢献で言えば、木を伐採して作って運んで、で言っていたら、捨てられてといったところから、新しいものに生まれ変わっていって、そういった意味でも二酸化炭素、脱炭素に貢献っていうのも計算ができますので、本当に新しい概念かなというふうに思っています」
●環境に優しいとはいえ、製品としての性能はすごく問われると思うんですけれども、強度だったり耐久性だったり、そのあたりはいかがなんですか?

「強度が、普通のテーブルで使われている、例えばメープル材とかオーク材、要は天然の木と比べても、それよりも硬い強度が出ていますので、 “割れちゃった”というクレームも来たこともありませんし、本当に硬い、ちょっと難を言えば重いテーブルに、重厚感があるテーブルに仕上がっています」
●やっぱり美しさも必要ですよね。
「そうですね。本当にお陰様で世界で認めていただいているCHOP VALUEのプロダクトは、一流のファイブスターホテルの共用部にも使っていただたり・・・見ていただければわかるとおり、本当に割り箸じゃないです! 言わなきゃ気づかないです」
●確かに・・・製品へのこだわりはどんなところなんですか?
「ちょっと日本人の悪いところというか、サステナビリティと言われて久しいですし、SDGsも2030年までっていう話ですけれども、どうしてもリサイクルという言葉が出てくると、ダウングレードするというか目線が下がっちゃうんですよね。
ですから我々もこの商品の説明をする時に、“これ、お箸からできているんです”と先に言いません。“これ、かっこよくないですか?”って言うと、“なんかすごくかっこいいですね!”から始まるんですね。その後に“実はこれ、お箸なんです!”と言うと、みなさんが本当に導入を検討されます」
●CHOP VALUEのサイトを拝見すると「マイクロファクトリー」という言葉がよく出てくるんですけれども、これについてご説明いただけますか?

「“地産地消”という言葉があると思うんですけど、この逆で“地消地産”という言葉を使っていますね。“現地で使われた割り箸を新しいものに生まれ変わらせる”という意味で、地産地消をひっくり返して地消地産っていうんですけど、要はマイクロファクトリーというのは、非常に小さい100坪300平米ぐらいあればできちゃうんです。
そこに我々のスタッフで言えば、作る人間は5人ぐらいなんですよ。それで1週間で500キロぐらいの割り箸をアップサイクルできるんですけども、その小さな工場がいっぱい、ローカルエリアに1個ずつあればっていう意味で“マイクロファクトリー”って言っています。

今後大きく、例えば建材とかに応用がかなうとなると、もっといっぱいの割り箸をオートメーションさせてやっていかなければならないので、そうすると“マクロファクトリー”みたいなものができてくるかもしれません」
(編集部注:現在「CHOP VALUE 」の製品は、使用済みの割り箸を圧縮した高密度な複合素材を使って飲食店用のテーブルや椅子、壁面のパネルやインテリア、オフィスの机や、キッチンで使えるトレーなどの小物もあります。
山上さんがおっしゃるには、将来的に難燃・不燃の材料としての認定を受けられれば、建材や内装材として、もっと用途が広がるだろうということでした。
ちなみに去年開催された大阪・関西万博のカナダ館のVIPルームに7メートルのテーブルを設置。その後、在日カナダ大使館の図書館に移送され、いまも使われているとのことです)

日本中が「CHOP VALUE」に
※「割り箸大国」ともいえる日本、言い換えれば、大量に資源がある国だと思います。今後の目標だったり、展開を教えてください。
「今は川崎に一拠点しかありませんけれども、近い未来には建材の応用とかがかなえば、日本全国に展開をしていきたいと思っています。これだけ割り箸を使っている国だからこそ、使う責任もあるし、作る責任もあると思っていますので、日本中にこのCHOP VALUE材が使われていくことを夢見ております」
●日本全国に拠点があったらいいですよね。
「ぜひ千葉にも置いていただきたいと思います」
●そうですよね。一般の人がCHOP VALUE JAPANの製品を使ってみたいと思われたら、どうしたらいいですか?
「お問い合わせフォームがホームページにございますので、そちらからお問い合わせいただくこと可能です。そうしたらすぐにご連絡を差し上げますので、ぜひお問い合わせください!」
(編集部注:CHOP VALUE JAPANは今年、川崎市から『使用済み竹製割り箸の有価物認定』を取得。さらに、アスペン材の割り箸も認定の方向で進んでいるそうです。今後はほかの自治体にも働きかけていくとのことで、将来的に使用済みの割り箸はすべて「資源」になるかも知れませんね)です」
INFORMATION

CHOP VALUE JAPANの製品は大手デベロッパーのオフィスで採用されたり、ほかにもいろんな企業から引き合いがあるそうです。「割り箸が作る循環の未来」ということで、いろんな企業とそれぞれのストーリーを作って、サステナブルな社会になるように貢献していきたいと、山上さんはおっしゃっていました。
どんな製品があるのか、どんな工程でアップサイクルされるのかなど、ぜひオフィシャルサイトをご覧ください。
◎CHOP VALUE JAPAN:https://chopvalue.jp/






