2026/8/30 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、気象予報士そして防災士の「菊池真以(きくち まい)」さんです。
菊池さんは、茨城県竜ヶ崎市出身。慶應大学在学中に気象予報士の資格を取得し、気象予報士として活動。その後、NHKやTBSの気象キャスターとして活躍。現在は、お天気関連の記事の執筆や講演活動のほか、空の写真家として、空や雲の写真を発表されるなど、幅広く活動されています。
今回は9月1日の「防災の日」を前に、菊池さんの新しい本『自然災害・地震・異常気象からこどもを守る〜「もしも」のときの防災ずかん』をもとに、防災士の視点で子供を守るための対策やポイントなど、お話しいただきます。
☆写真協力:菊池真以、イラスト協力:オレンジページ

4つの危険を覚えておこう
※『自然災害・地震・異常気象からこどもを守る〜「もしも」のときの防災ずかん』は、自然災害が増えている昨今、子供の頃から身を守る術を知っていてほしい、という思いで小学生のお子さんひとりでも読めるように、難しい表現は避け、わかりやすくを心がけ、執筆されたそうです。
漢字にはふりがながふってあり、絵本のようなイラストを見るだけでも、内容を理解できるようになっています。

この本は「天気の現象編」「地震編」「自宅避難・避難所編」「猛暑編」「アウトドア編」と5つの章に分かれていて、ひとつの項目が見開き2ページで解説されています。その中から、いくつか具体的な対策について、うかがっていきたいと思います。
●まずは、第2章の「地震編」です。学校への行き帰りで、もし大きな地震が起きたとしたら、日頃、子供にはどんなことに注意しなさいと言っておけばいいですか?
「地震の時はとにかく命を守ること、ケガをしないといったことが最優先になってきます。
4つの危険を覚えておいてください。上から落ちてくるもの。ブロック塀など倒れてくるもの。窓ガラスやお皿など割れるもの。あと、車ですとか物を運ぶ荷台など動いてくるもの。こういった4つのものの危険から身を守ることが大切になってきます。
通学路を親子で一緒に歩きながら、こういったものが落ちてくるよねとか、割れそうだよねとか、一度、親子で確認してみるといいかなと思います」
●なるほど。一緒に歩いて事前に把握しておくのは大事ですね。あとは、これは大人もそうなんですけど、災害用伝言ダイヤル171のことは知っていても、実際どうすればいいのか、意外とわかっていないっていうかたも多いと思うんです。いかがでしょうか。
「大きな地震の時に(家族の)安全を確認する手段のひとつです。電話がつながりにくい時に声の伝言版として残せます。
171にかけまして、音声ガイダンスに沿って声を録音したり、または再生したりすることができるんですね。171のあと、ガイダンスに沿って1が録音、2が再生みたいな感じになっているんです。その後、電話番号を入れなきゃいけないので、家族でひとつ、この電話番号にしようねって決めておくことが必要になってきます。
で、毎月1日と15日など、練習できる日もあるので、実際にやってみるといいかもしれません」
●確かに。
「で、今の子って公衆電話から電話をかけたことがない子が多いと思うんですよ。うちの子は小学2年生なんですけども、公衆電話を見て”あれ、何?”って言ったんですよ。電話が外にあることや、固定電話を知らなかったりもして・・・(いまは)スマートフォンなどですよね。
なので、公衆電話ってこういうところにあって、こうやってかけるんだよということを、1回ぐらい練習してみたほうがいいかもしれませんね」
●そうですね。171にしても公衆電話にしても事前に試しておいたほうがいいですね。
そして第3章の「自宅避難・避難所編」を読んでいたら、ビニール袋がいろんなものに活用できると感じたんですけれども、いくつか使い方を教えていただけますか?
「まず、リュックサックで水を運ぶ時にも使うことができます。水を運ぶ時にポリタンクなどを想像すると思うんですけども、もしポリタンクがない時でも、ビニール袋の中に水を入れて、リュックサックの中に入れれば、持ち運ぶことができますよね」
●手で持つよりも楽に運べますよね。
「あと、洗濯にも使うことができます。ビニール袋の中に入れれば、少量の水でも洗うことができます。入れて、おし洗いとか、つけ洗いとかしていただければ、少しの水でも洗うことができたりします。
あと、ポリ袋クッキングなんていうのもありまして、ビニール袋を使うことで調理をすることもできます。温度に強い専用のポリ袋も売っていますので、お家に1セットあるといいと思います」

首、脇の下、足の付け根を冷やす
※続いて、第4章の「猛暑編」です。この夏も40度超え、熱中症警戒アラートがたびたび発表されたりと、夏の気温が益々危険な温度になっているな〜という実感がありますが、夏の猛暑は「自然災害」と言ってもいいですよね?
「毎年のように40度以上といったことを天気予報でも言うようになってきているなと思いますし、今年から40度以上の日を『酷暑日』と正式に制定されました。
ということで、酷暑日といった言葉を私も使っているんですけども、毎年この暑さでたくさんのかたが熱中症で亡くなっています。台風ですとか大雨と同じ、もしくはそれ以上の自然災害というように、私たち気象予報士も考えるようになってきました」
●子供は背も大人と比べて低いですし、地面に近いというのもあります。大人よりも体感温度は高くなりますよね?
「そうですね。やっぱり地面に近いほうが照り返しですとか、そういったものもありますので、やっぱり子供のほうが暑いですね。物理的にもそうですし、あと子供のほうが汗をかく機能がきちんと発達していないので、大人よりも汗で温度調節をしにくいってこともあります」
●子供だからこその熱中症対策としては、どんなことが挙げられますか?
「本当に我慢しないこと! これがいちばんです。大人もそうかもしれないんですけども、特にお子さんは熱中症の経験がまだないといった子も多いかなと思うんですね。
なので、なんだかいつもと違うなとか、気分が悪いなっていった時に熱中症ってわからないかもしれないじゃないですか。とにかくなんかちょっと違うなと感じたら、先生に言うとか、無理をしない我慢をしないようにしていただけたらと思います」
●確かに熱中症かもしれないって、気づくことは難しいかもしれませんね。
「そうなんですよ、特にお子さんはね」
●子供たちだけで遊んでいる時に、自分が熱中症かもしれないって気づいてくれたらいいんですけど、何かサインとかってありますか? こういった症状が出たら危険だよっていうのは・・・。
「足がつったですとか、ボール遊びをしていて、いつもはボールを取れるんだけど、そのボールが取れなかったりとか、なんかちょっと気持ち悪いなとか、頭がぼーっとするなとか、そういったことも熱中症の体からのサインですので、大丈夫だと思わず、無理をせずに、大人に助けを求めるようにしていただきたいと思います」
●熱中症の症状が実際に出てしまったら、どうしたらいいんですか?
「本当になるべく涼しいところに行く。これ鉄則なんですよね。できれば室内がよくて、学校の中ですとか、近くにコンビニエンス・ストアとかお店がありましたら、そういったところにまず行って、水分補給、できればイオン飲料水などを飲んでいただきたいと思います。
で、体を冷やす3つのポイントを覚えておいていただきたいと思います。首、脇の下、足の付け根、この3つなんですけども、ここには太い血管があるんですよね。太い血管があるので、そこを冷やすことで、冷やされた血液が全身を巡ってくれるので、体を効率よく冷やすことができると言われています」
●なるほど。
「涼しい場所で休みつつ、この3つのポイントを重点的に冷やすようにしてください」
暑熱順化は5月から
※この本に「熱中症対策は5月から始めよう」という項目があります。これについて、ご説明をお願いします。
「これは本格的な暑さが来る前に、体を暑さに慣らしておくことなんですよね。なので、できれば真夏の前、5月とか、それぐらいから暑さに体を慣らしておこうということなんです。
人は汗をかいて体を冷やしているんですよね。お風呂から上がった時に濡れたままにしておくと体が冷えていきますよね。それは水が体から熱を奪っているからなんです。それと同じように汗が蒸発する時に体の熱を奪ってくれるので、汗で人は温度調節ができるんですね。汗をかけるようにしておこうっていうのが『暑熱順化』です。
暑い時にしっかりと汗をかける体を作っておくということで、具体的には1日30分程度のウォーキングですとか、15分程度のジョギング、これを週5回が推奨されているんです。定期的な運動が難しいといったかたは、お風呂に入る時にシャワーだけじゃなくて、ちゃんと湯船に浸かる。これだけでも暑熱順化の効果あると言われているんですよ。
夏本番でも、一旦涼しくなってしまいますと、体がリセットされると言われているんですね。なので、一旦涼しくなった後は、熱中症にかかりやすくなってしまうので、その涼しい時期に暑熱順化、夏でもやっておくといいかと思います」

雷が鳴ったら、すぐ建物の中へ
※続いて第1章の「天気の現象編」からお聞きします。子供たちが外で遊んでいたら、急に暗くなって雷が発生、という時は、どう対処するのがいいですか?
「とにかく安全で頑丈な建物の中に逃げることが大切になってきます。これはよくやってしまいがちなんですけども、木の下に逃げてしまったりするんですよ。本当に恥ずかしいんですけども、私こんなことを言っていながら、一回だけ木の下に慌てて行っちゃったことがあるんですよ」
●とっさに行きがちっていうのもわかります。
「というのは、雷が鳴っている時って、だいたい雨がすごく激しく降っているじゃないですか。なので、ちょっとどこか雨で宿りしなきゃ! って逃げたら、意外と木の下だったということはあるんですよね。本当に恥ずかしい話なんですけども・・・。
木の下は雷が落ちやすい場所ですので、絶対にやめていただきたく、頑丈な建物の中に避難してください。軒の下も結構ダメで、ちょっと出ている軒下とかに隠れても、雷の電気がやってきてしまうことがあるので、建物の中に入ることが大切になってきます」
●雷が鳴った時って、どのタイミングで移動というか、“ゴロゴロゴロ”って鳴った時点で、子どもたちは避難したほうがいいんですか?
「(雷が)鳴った時点で、積乱雲の下にいると思っておいてください。雷を鳴らすような入道雲、積乱雲はとっても大きいんですよ。いつどこに雷が落ちてもおかしくないので、聞こえたらとにかく建物の中に逃げるようにしてください。
もし建物が近くにない時、『雷しゃがみ』っていうのがあるんですね。しゃがんで手を耳に当てて・・・これは雷がもし近くに落ちた時に、鼓膜が破れないようにするためなんですけれども・・・そしてちょっと、かかとを浮かせて、つま先立ちになる。これが雷しゃがみと呼ばれるものなんですけども、これは非常事態です!
建物が近くに何もない時に、そうすると、地面との接地面積、地面についている足の面積が狭くなるので・・・」
●つま先だけってことですよね。
「なるべく地面に触れる場所を狭くしたいので、つま先立ちってことになります」
●雷が鳴った時に家の中にいても、油断してはいけないとも書かれていました。これはどういうことなんでしょうか?
「雷が鳴った時に“パソコンのコンセントを抜いておきましょうね”なんていうふうによく言いますよね。コンセントなどを伝って雷の電気が入ってくることがあるので、なるべく電化製品から離れて、もちろん電化製品のコンセントなどは事前に抜いておく、そういったことも大切です」
(編集部注:お話に出てきた「雷しゃがみ」はあくまで最終手段。屋外にいて、近くに建物がない時に雷が直撃するリスクを下げるためなんですが、どんなポーズなのか、ぜひ菊池さんの本でお確かめください)
日頃の防災意識が重要
※気象庁が発表する「防災気象情報」が改正され、今年から運用が始まりました。一般のかたに向けて、ここに注目して、というポイントを教えてください。
「今回の大きなポイントというのが、大雨などの情報に警戒レベルがついたということ。例えば『警戒レベル4氾濫危険警報』ですとか『レベル3氾濫警報』ですとか、このレベルに数字がついたことがポイントです。
レベルは1から5まであるんですけれども、数字が大きくなるほど災害の危険のレベルが上がるというふうに考えておいてください。このレベルの数字を覚えておくだけ、それだけでも十分に役に立ってきます。
まずはレベルに数字があって、5段階あって、数字が大きければ大きいほど、危険のレベルが上がる、こういったことを覚えておいていただきたいです。
レベル5になってしまうと、災害が発生してしまっているパターンがあるんですね。なので、レベル4ですとかレベル3、この段階で避難を始めて完了しておくことが大事です」
●ここ数年、経験したことのない暑さですとか、大雨、大型台風の発生など極端な現象が起こるようになっているなと感じているリスナーさんも多いと思うんですけれども、気象予報士の目線でどのように感じてらっしゃいますか?
「私、気象予報士になって20年ぐらい経つんですけれども、始めたての頃よりも体感として多くなってきているなと感じています」
●そうですよね。やっぱり温暖化の影響っていうこともあるんですよね?
「そうですね。実際に例えば1時間に50ミリ以上の雨を“非常に激しい雨”って言ったりするんですけれども、そういった非常に激しい雨の起こる回数も数字として増えているんですね。
都市のコンクリートに覆われている道路などは、1時間に50ミリ以上の雨が降ってしまうと、排水機能が追いつかなくなって、浸水してしまったり、冠水してしまうと言われているんですね。そういった雨が短い時間でザっと降るパターンも増えています」
●極端な現象によって大きな自然災害が発生していますよね。日頃の防災意識ですとか、防災対策が益々重要になってきますよね?
「そうですね。私『防災力は想像力』だな~って思っています。“もしもこんなことがあったら、どうしようかな”といったことを、普段から考えておくと、いざという時に慌てないと思います」
未来を生き抜く防災力
※気象予報士で「空の写真家」でもある菊池さんとしては、子供たちが日々のお天気に興味を持ってくれたら、いいですよね?
「これは本当に嬉しいですね。空を見ることは、もちろん空の異変に気がつくことにもつながりますので、防災につながると思っています。実際に空ってすごく面白いし、びっくりするようなきれいな光景が見られたりするので、いいですね。
今の季節、よく積乱雲、入道雲が発達して、その積乱雲は大きくなると(雲の)頭の部分が平らになることって、ご存知ですか? それは(積乱雲が)大きくなってもうこれ以上、雲ができないっていうラインがあるんですよ、空に。

上に行けないと、どうしようってことになって、横に広がるんですね。それを頭が平な『かなとこ雲』って言うんですね。そこが雲ができる限界だなって、普段から思ったりできます。空って面白いこともたくさんあるので、ぜひたくさん見ていただけたらと思います」
●季節によって雲っていろいろ変化しますよね。
「そうですね」
●では最後に、この本を通して、特に伝えたいことはどんなことでしょうか?
「先ほどもお伝えしましたが『防災力は想像力』だと思っています。普段から“もしもこういった時はこうしよう! ああしよう!”って、例えば何パターンも考えておく。そのパターンが多ければ多いほど、防災力になっていくと思うんですよね。
危険から身を守るためのヒントをたくさん書いた本ですので、未来を生き抜く防災力を、お子さんはもちろん大人のかたにも身につけていただけたらと思います」
☆この他の菊池真以さんのトークもご覧ください。
INFORMATION
『自然災害・地震・異常気象からこどもを守る〜「もしも」のときの防災ずかん』
この本は「天気の現象編」「地震編」「自宅避難・避難所編」「猛暑編」そして「アウトドア編」と5つの章に分かれていて、ひとつの項目が見開き2ページで、わかりやすく解説されています。
絵本のようなイラストがたくさん載っているのでお子さんが興味を持ってくれると思いますし、漢字にはふりがながふってあるので、ぜひ親子で読んでください。読み聞かせにも、うってつけの一冊だと思います。オレンジページから絶賛発売中。
詳しくは出版社のサイトをご覧ください
◎オレンジページ:https://www.orangepage.net/books/2049
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詳しくは出版社のサイトをご覧ください。
◎https://www.subarusya.jp/book/b677977.html








