2026/10/11 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンは、シリーズ「SDGs〜私たちの未来」の特別編。高校生が考える社会課題解決のためのSDGsアクションアイデアコンテスト「SDGs QUESTみらい甲子園」をクローズアップ!
ゲストは、2025年度の千葉県大会で最優秀賞に輝いた千葉県立安房高等学校のチーム「K.LAB」のメンバーから2年生の「庄司大気(しょうじ・たいき)」さん、「和田夏歩(わだ・かほ)」さん、生物部の顧問「安齋 朗(あんざい・あきら)」先生、そして「SDGs QUESTみらい甲子園」の総合プロデューサー「未来教育株式会社」の代表取締役「水野雅弘(みずの・まさひろ)」さんです。
このコンテストは2019年から始まり、2025年度で7回目。年々規模が大きくなり、昨年度は47都道府県の高校の生徒が参加し、25箇所のエリアで開催、という、まさに全国大会となりました。
千葉県大会は県内20校 85チームのエントリーがあり、2回の審査を経て、ファイナリストの12チームが選ばれ、今年3月にそごう千葉店でファイナルセレモニーが開催され、プレゼンテーション動画などによる最終審査で、千葉県立安房高等学校のチーム「K.LAB」が最優秀賞に輝きました。実は安房高校は過去3回の大会で、いずれもファイナリストに選ばれている常連校なんです。
☆写真協力:千葉県立安房高等学校

キョンの胃をペットフードに
※それでは「K.LAB」のメンバーから、まずはリーダーの庄司大気さんにお話をうかがいましょう。
●探求テーマが「キョンの胃から作る未来のペットサプリ革命」ということなんですが、このテーマにしようと思ったのは、どうしてなんですか?
庄司さん「生態系への影響や農林業被害が深刻化しており、キョンは小型で利用方法が限られているので、捕獲の優先度も低い現状にあります。そこでグリーントライプという反芻動物のひとつ目の胃を活用したドッグフードをキョンの胃でも作れないかなと考えました。
キョンの活用方法を増やし、報酬金額を上げることで捕獲頭数を増加させる。そうすることで生態系被害、農林業被害を減少させ、また地元の特産品として売り出すことで、地域活性化を図れると思ったからです」
●お話に出てきたペットフードのグリーントライプは、あまり耳なじみがないかなと思うんですけれども、どんなペットフードなんですか?
庄司さん「まずキョンは反芻動物という4つの胃を持つ草食動物です。反芻動物はひとつ目の胃に微生物や酵素をたくさん住まわせています。
その微生物たちを残すために第一の胃をあえて洗浄せず、反芻動物の胃にいる微生物や食べた葉っぱなどの未消化物をたくさん含んだ状態で加工するために、キョンの第一の胃を未洗浄で提供します
(編集部注:キョンの第一の胃、グリーントライプで作るのは犬用のペットフードで、ジビエを扱う地元の企業アルコの協力によって、試作品が作られたそうです)
※では、K.LABの探求テーマ「キョンの胃から作る未来のペットサプリ革命」は、どんな点が高く評価され、今回の受賞となったのか・・・「SDGs QUESTみらい甲子園」の総合プロデューサー水野雅弘さんにお聞きしましょう。

水野さん「審査会にも私も参加させていただき、当日のプレゼンテーションも本当に熱量を持った生徒たちだったんですね。
ポイントとしては、やはり獣害の対策に対して、ペットフードという考え方も素晴らしいんですけれども、“グリーントライプ”という、私も詳しくはないのですが、内臓に注目をして、その安全性を見て試作を作って、企業とタイアップをしながら進めているということですね。
千葉県特有の”キョン”というものに対しての具体的な活用方法といいますか、獣害対策を捉えた、そしてペットフードを生み出していくことに対する経済的な取り組みが非常に高い評価でした」
(編集部注:チームK.LABが注目したキョンについて少しご説明しておきますと・・・環境省によって特定外来生物に指定されているキョンはシカの仲間で、大きさは中型犬と同じくらい。レジャー施設から逃げ出した個体が千葉県で1960年から1980年代に定着したと考えられています。
県内でのキョンによる農作物の被害額は、千葉県のホームページによると、2025年のデータで、およそ1,400万円ほど。イノシシの被害に比べれば、まだ少ないとはいえ、農家さんにとっては深刻な問題となっています)

先生の存在も重要
※では、顧問の安齋先生にお聞きしましょう。廃棄されてしまうキョンの胃を使って作る犬用のペットフード、その試作品作りに関してもアドバイスされたんですか?
安齋さん「アドバイスというか作り方ってどうするんだろうねっていうのは、この子たちと一緒に調べました。
いくつかの作り方がある中で、僕らができる方法は何だろうっていうのを高校生たちが自分たちで考えて、いつもお世話になっている沖さんに相談して、実際に作ったっていう流れですね。
僕は相談するのとか調べ方とか一緒に考えましたけど、ほぼ高校生がやりました」
●実際にペットフードを、犬に試食してもらったりっていうのはあったんですか?
庄司さん「私の家ではしてないんですけど、安齋先生の家でされたと聞いています」
●安齋先生、実際にワンちゃんに試食させたんですか?
安齋さん「はい、させました」
●それは安齋先生の飼っている犬でということですか?
安齋さん「はい、そうです。うちには2頭、犬がいて、試作品も喜んで食べました」
(編集部注:先生のお話に出てきた沖さんは、先ほどご紹介した地元の企業アルコの代表で、ジビエの加工・販売のほか、里山で未来をつくる活動をされています)

※続いて、総合プロデューサーの水野さんにお聞きします。安房高校には生徒の活動を支える熱心な先生がいらっしゃいます。先生の存在も大きいですよね?
水野さん「そうですね。探求学習が本格的に始まって、教科担任である英語の先生ですとか社会の先生とか、いろいろな先生が探求に関わっています。先生の負荷もあるとは思うんですが、今回のようにしっかりと伴走していただくことは、非常に重要です。
生徒が主体的に取り組むんですけど、もう一歩導いてあげる。例えば“ここの企業に行ってみたら!”とか。今回は先生が自分の犬のペットフード、安心安全なペットフードでないといけないということを自ら協力したというのは、私は非常に感動しました」
(編集部注:85チームの中から最優秀賞に選ばれたK.LAB、2次審査ではプレゼンテーション動画が重要なポイントになるようです。動画づくりについて生徒さんにお聞きしたら、スライドをどう見せるかに知恵をしぼり、また、セリフを覚えるのが大変だったとか。撮影・編集は全部生徒さんたちが行なったそうですよ。
以下のURLからそのプレゼンテーション動画を見ることができます。ぜひご覧ください)
☆https://sdgs.ac/team/17329.html
学びの多い探求活動
※探求テーマ「キョンの胃から作る未来のペットサプリ革命」に取り組んだことで、どんな学びがあったのか、庄司大気さんと和田夏歩さんにお聞きしましょう。まずは庄司さん、お願いします。

庄司さん「地域の課題に着目して、その課題解決に向けて取り組むっていうことは、勉強とかで培われた力を活かしていかないとできないことだなと思いました」
●和田さんはいかがですか?
和田さん「キョンは私の家の近くには出るんですけど、あまり捕る人がいません。ペットサプリを作ることで、報奨金に上乗せしてっていう活動を見て、こういう視点があるんだなってすごく学びになったし、駆除するだけじゃなくて、その命を別のことに資源として活用するっていうところがすごくいいなと思いました」
●「SDGs QUESTみらい甲子園」にエントリーするようになって、何か自分の中に変化ってありましたか? これも庄司さんからお願いします。
庄司さん「はい、物事を多様な視点で見るということに力を入れていきたいなと思って、自分がちょっと苦手だった英語にも力を入れるようになりました」
●和田さんはいかがですか?
和田さん「発想力もそうだし、エントリーしてから、その実用化に向けて何をすることが必要なのかを考えて、いろんな活動を手伝わせてもらったんです。将来、自分も違う形ですけど、資源を何かに活用する活動に取り組みたいなと思いました」
「かずさDNA研究所」と共同研究!? 世界初!?
※※ここからは安齋先生にお聞きします。「SDGs QUESTみらい甲子園」を授業の一環として取り入れたのは、どうしてなんですか?
安齋さん「探求活動の時間という、自分たちで取り組みたいテーマを決めて取り組む、そういう時間が今、高校にはあるんですね。
その中で自分たちの考えを外に発表する機会というのがなかなかなくて、発表の場があれば、発表に向けてよりよいものを作ろうという動きが、自然とできるなと思って、自分たちのやりたいことの通過地点としての位置づけで参加させてもらっています」
●確かにモチベーションにつながりそうですよね。エントリーするようになって生徒さんたちに変化ってありましたか?
安齋さん「授業は全員でやっているんですけど、全員の子たちがエントリーできるわけじゃないんですね。エントリーしようと思っている子たちはやっぱり目の色が変わるというか、せっかく出るなら、よりよいものを作ろうと取り組み、一生懸命やっているように感じています」
●2026年度の「SDGs QUESTみらい甲子園」にもエントリーはされますよね。
安齋さん「なるべく多く参加したいとは思っていますが・・・(苦笑)」
●探求テーマは、もうすでに決まっているんですか?
安齋さん「いや〜、これがほとんど決まってなくて、なかなか難しいなと思っています。でも、高校生が考えることなので、なんかあったらそれを応援しようと思っています」
●この活動を通して、生徒さんたちにどんなことを期待されていますか?
安齋さん「もちろんアイデアコンテストなので、アイデアで参加するんですけど、そのアイデアを実現するためにはどうしたらいいかっていう、みらい甲子園のその先を頑張ってもらいたいなって思っています。
先ほど、うまく言えなかったかもしれないんですけど・・・キョンも本当に安全に犬に提供できるか、何を食べているかを調べるのがすごく難しくて・・・それを『かずさDNA研究所』と力を合わせて、世界で初めてキョンの胃の中の食べ物をDNAで分析するということに挑戦し始めています。
それが今『SDGs QUESTみらい甲子園』のその先として、実際に取り組んでいるところで、その中でやっぱり学びを深めてほしいなと思っています」
(編集部注:お話に出てきた「かずさDNA研究所」は、千葉県が木更津市に整備した「かずさアカデミアパーク」の中核的な施設で、世界的なDNAの研究機関として知られています。
安齋先生によると、「かずさDNA研究所」は昨今、高校生の部活動をサポートすることにも力を入れているそうで、安房高校との共同研究もその一環だそうです)
※実は和田さんは安房高校・生物部の部長で「かずさDNA研究所」と行なっている「キョンの食性分析」のリーダーでもあるんです。
●和田さん、今後、どう進めていきたいと思っていますか?
和田さん「現在、実際に解体したキョンの胃の中身を冷凍して『かずさDNA研究所』に持ち込んで、PCR法というDNAを増幅させる手法を使って調べています。
シークエンスといって塩基配列を読み取って、その読み取ったものをデータベースと照合して、その塩基配列から(キョンが)何を食べているかっていうことで、植物を調べているんです。
使用しているデータベースが世界中のものなので、この房総に生えていないものとかも出てきちゃったりして、なかなかうまくはいっていないんですけど、その中でも少しずつ絞り込めてきていて、少しだけど何を食べているかがわかってきている状況です」
(編集部注:K.LABのメンバーが発案した、キョンの胃を使って作る犬用のペットフードは地元の企業アルコの協力により、試作品を作るところまではいっていますが、先ほどもお話にあったように、現在はキョンが何を食べているかなどを分析している段階で、商品化するかどうかは、これからの話になります。目の前にある課題をどう乗り越えていくのか、頑張ってほしいですね)

2026年度のエントリー受付中! 総合プロデューサーがアドバイス!
※ここからは、総合プロデューサー水野雅弘さんにお話をうかがっていきます。2026年度のエントリーの受付が先月から始まりました。
●水野さんとしては、どんなことに期待していますか?
水野さん「やはりAIが学校教育にも入ってきています。ですから、アイデアを考えることの壁打ちも含めて、深めていったり・・・表現するという、スライドも素晴らしいものを作るんですけれど、いちばん重要なのは自分事として、ファイナリストのプレゼンテーションの時に・・・動画もそうですね・・・それがドキュメントにも、またプレゼンする時にもしっかりと自分の言葉になっているか。
そしてできれば、このキョンもそうですけれど、やっぱり地域と協同していくとか、実際に試作品を作ってみるとか、この“アクション”ですね。
アクションアイデアコンテスト・・・斬新なアイデアだけでも構わないんですが、できれば少しでも地域に出向いて、一緒に何かに取り組んでみる。それはAIにはできないことなので、チャレンジしてほしいなと思います」
●審査方法には、いろんな基準があると思うんですけれども、応募する際にこんなところを大事にしたほうがいいよっていうような、なにか具体的なアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。
水野さん「5つの視点、実現度とか革新性とか共感度とか、SDGsへの貢献度とかありますが、いちばん重要なのは、高校生だからってわけじゃないんですけれど、新しい着眼点、革新性、イノベーションはなかなか難しいんですが・・・。
でも今回のチームは、キョンの獣害っていう問題、ジビエとかもあるんですけれど、胃にフォーカスをしてペットフードにするという経済的な面も含めて、それも試作品まで作ったことを考えると革新性もあります。
そしてやっぱり共感度ですね。いちばん重要なのは人の心を動かしていくか、同じ仲間からも“それ、いいよね! やってみようよ!”と思うようなことを、エントリーする時にもう一度振り返って、先生も仲間も“これ、いいよ!”っていう視点で、もう一度フィルタリングをかけてからエントリーしてもらえると嬉しいなと思います」
(編集部注:水野さんによると、2026年度の全国大会「FUTURE SESSION」は来年6月に東京都内で開催予定。企業賞など、いくつか賞を授与する予定だそうですが、中でも高校生100人の審査で選ばれる「スチューデント・グランプリ」、これは2026年度も実施したいとのことです)
※では最後に、この番組を聴いてくださっている高校生、そして高校の先生に向けて、総合プロデューサーから、ひとこといただけますか?
水野さん「今年はみなさんにギフトがあります。ファイナリストに残りましたら、世界標準のデジタルバッジ、『オープンバッジ』と言いますけれど、生涯使える・・・大学の総合選抜もそうですし、大学を卒業して就職するときも、自分の履歴書にこのデジタルバッジを貼り付ければ、高校の時にどんな課題に、例えばジェンダー、平等に対すること、もしくは防災に対してこんなを必死にやったんだということで、見事、賞を受賞したという証明書が提供されます。

あとは全国大会以外のスピンアウトイベントとして、国際協力とか森林に関わる別の全国大会にもエントリーの可能性があります。探求学習が本格的になって、SDGs(の目標達成)も残り3年少しですから、ぜひ挑戦してほしいと思います」
(編集部注:水野さんのお話にあったオープンバッジは「知識・スキル・経験」の国際標準規格のデジタル証明で、欧米を中心に資格認定団体やグローバルな企業などが発行、日本国内でもいろんな団体が発行しているそうです。そんなオープンバッチが2026年度からファイナリスト全員に授与されることになっています)
INFORMATION

現在、千葉県大会のエントリーを受け付け中です。高校生のみなさん、ぜひチャレンジしてください。SDGs の目標達成に向けた高校生によるアクションアイデアプラン、番組としても期待しています。締め切りは、12月10日。応募要項についてはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎SDGs QUESTみらい甲子園:https://sdgs.ac
2026年度・千葉県大会の概要は、以下のサイトに掲載されています。
◎2026年度・千葉県大会:https://sdgs.ac/about/entry2026/r8-chiba






