2026/9/27 UP!
今週のベイエフエム / ザ・フリントストーンのゲストは、中禅寺湖の環境保全などを行なうNPO法人「レイクサイド・ストーリーズ」の理事「ショータ・ジェンキンス」さんです。
このお名前は活動名で、本名は今野祥太さん。イギリスに住んでいた頃の親友のファミリーネームを借りて、ショータ・ジェンキンスという名前で活動していらっしゃいます。
出身は千葉県。いちばん長く住んでいたのが梨の生産で有名な白井市。4、5歳の頃に父親に近所の池に連れて行ってもらったのがきっかけで釣り好きに。大人になってからはイギリスのほか、南米や北米、モンゴルや東南アジアなど、旅をしながら大好きな釣りを楽しみ、その模様をYouTubeにアップされています。
そんなショータさんは現在、地元の仲間たちと中禅寺湖の環境保全やヒメマスの復活を願う活動などに取り組んでいます。
きょうはその活動のほか、以前住んでいたロンドンの釣り事情についてもうかがいます。
☆写真協力:NPO法人「レイクサイド・ストーリーズ」

イギリスの釣り事情
※現在、中禅寺湖をメイン・フィールドに活動するショータさんは、栃木に移住する前は、ワーキングホリデーのビザを取得して、働きながらロンドンに住み、中心部の古い運河に日本にはいない肉食魚ノーザンパイク。中には1メートルを超える大物もいることを知り、毎日のように運河で釣りをしていたそうです。

ショータさんによると、街中での釣りのことを最近は「ストリート・フィッシング」と呼び、ヨーロッパで親しまれているそうです。ロンドンの運河には、家として活用している船「ナローボート」が停泊していることも多いそうですが、そんな場所にもパイクがいるそうですよ。
●ロンドンで魚釣りをする時は、日本でいう「遊漁券」のようなものを買うんですか?
「そうですね。なりましが日本とはちょっと違うんです。日本でいう環境省のようなところが発行しているフィッシング・ライセンス、釣り人として釣りをするんだったら、まず必ず買わなきゃいけないライセンスが決まっています。
その後、日本でいう遊漁券みたいなものは場所によって、フィッシング・クラブだったり、その川を管理している個人とかに払うっていう形になるんですね。ライセンスの制度は日本に比べるとかなり厳しかったりします」

●へぇ〜! イギリスの釣り事情をもう少し詳しく聞きたいんですけれども、課せられたルールとかマナー、河川の保全や魚の保護というのは、日本と比べて、どうですか?
「長年、釣りはしているとはいえ、今みたいな視点でイギリスのその仕組みをずっと見ていたわけではないんですけど、まず明確に違うのが、基本的に例えば、カナル=運河にいる動物というのはイギリスの女王の持ち物として、そこにあるものなので、勝手に持って帰るとか基本的にできないんですね。
それこそ街に飛んでいるハトも、あれは女王様の持ち物で食べるとかっていうのはできないんです。なので、法律でしっかり守られているのと・・・。
あとは(遊漁)券を持っているかどうかっていうのをチェックするのは、普通に警察の人もやるんですね。日本の場合、いわゆる漁協が発行している遊漁券を、持っているか持っていないかを警察がチェックするとか、持っていなかったら何か罰を課せるとかというシステムがたぶんないと思うんです。
海外では当たり前のように、一応きちんと罰則を含めて決まっているので、釣りをするんだったら、基本的にはそれに則ってやっているっていうのはありますよね」

●日本よりも厳しいイメージがあるんですね。
「そうですね。あとは仮にどこか有名な河川で、こういうふうにお金が使われていますよ〜とか、その川のシャケのDNAがほかの河川から持ってこられた魚と混ざったりしないように、その川独自の孵化場みたいなのを設けたりとか・・・。
今でいうサステナブルじゃないですけど、その川の魚を守っていこうみたいな仕組みは、たぶん日本よりは先をいっていたんじゃないかなと思います」
中禅寺湖、狙うは「レイクトラウト」
※栃木県・奥日光の入り口に位置する中禅寺湖は、日光国立公園内にあり、約2万年前に男体山の噴火による溶岩で渓谷が堰き止められてできた、せきとめ湖。
周囲は約25キロ、最も深いところで163メートル、そして標高1,269mに位置する日本一高い場所にある自然の湖です。そんな中禅寺湖は「マス釣りの聖地」と呼ばれていて、釣り人にも人気のスポットです。

●ショータさんは現在、「レイクサイド・ストーリーズ」のメンバーとして活動されていますが、ロンドンから帰国後、どういう流れで中禅寺湖に来て、さらに栃木に移住して、NPO法人の活動をすることになったんですか?
「最初のきっかけは、僕の友人が働いていた釣り具屋というかアウトドア・ショップ、栃木県とかに『ワイルドワン』というアウトドアの店があるんですね。そこで中禅寺湖の釣りを紹介している様々な写真とかポップを見て、たぶん帰国する前、一時帰国で帰ってくる時から、その魚の存在は知っていました。
ロンドンで釣っていたパイクによく似ているんですね、顔つきとか色とかが・・・。いつか釣ってみたいななんて思っていて、日本に本帰国していざ日本でいろいろ釣りをするってなった時に、釣ってみたいなって行ったのがきっかけですね」
●中禅寺湖のトラウトにはどんな魅力がありますか?
「こればっかりはどの釣りを好きになるのかとか、釣り自体好きになるのかを含めて、非常に先天的な面もあるかもしれないんですけれども、気づいたら中禅寺湖に僕はドハマりしてしまって・・・。

中禅寺湖で釣る魚は、レイクトラウトっていう魚がメインで、オフィシャルには中禅寺湖でしか釣れない魚なので、そういった面でもすごくプレミアムというか、釣り人としてはいろんな価値が中禅寺湖にはありますね。
個人的にはヨーロッパで見てきた、スコットランドだったりとか、そういうところの湖によく似ているんですね、見た目も気候も・・・。そういうのもあって、すごく勝手に縁を感じて、気づけばハマってしまったみたいな感じです。
メイン・フィールドと言っても、釣りをするのは年に2〜3ヶ月の話なんです。期間も決まっていますし・・・でもまあ、そうですね、ホームと呼んでいいのかわからないですけど、中禅寺湖ではずっと活動していますね」
●私は釣りに詳しくないので、いろいろ教えていただきたいんですけど、中禅寺湖はマス釣りの聖地と言われていますよね?
「そうですね。マス釣りの聖地とも呼ばれますし、あとはフライ・フィッシングの聖地という名前も、奥日光というふうに括るとあるんですね。
明治時代に初めて日本で西洋人がフライ・フィッシングというカルチャーと、あとは魚も海外から持ち込んだという経緯があって、奥日光の釣り文化が盛り上がったという歴史があります。それで聖地というふうに呼ばれるようになっていると思います」
●そういった背景があるんですね。中禅寺湖には何種類ほどの魚がいるんですか?
「本当に文字通り、マスなんですけれども、いま中禅寺湖にはたぶん7種類のトラウト、マス類がいます。ヒメマス、ホンマス、あとニジマス、イワナ、レイクトラウト、ブラウントラウトっていう種類がいるんですね。
基本的には120何年前までは、中禅寺湖には魚は一切いなかったと言われていて、下流の川からイワナを持ち込んだのがきっかけで、魚が棲むようになった場所です。歴史自体は非常に新しいというか、まだ100年ちょっとという感じなんですね」
(編集部注:中禅寺湖で釣りができる期間は、例年4月1日から9月19日まで。年間2万人以上の釣り人が訪れ、リピーターも多いそうですよ。まさに「マス釣りの聖地」なんですね)
ヒメマスの復活を願う
※ここからは「レイクサイド・ストーリーズ」の活動についてうかがっていきます。現在、おもにどんな活動をしているのか、教えてください。
「お陰さまで注目していただいているアップサイクル・プロジェクトは、最初は湖底清掃っていう名前で始めることになるんですけれども、今年でたぶん(湖底清掃は)4回目の開催になりますかね。
NPOができたのが4年前か5年前くらいで、その時に僕だけじゃなく、代表をやっている人間も含めて、それぞれ中禅寺湖でやりたいことだったりとか、中禅寺湖のために何かできないかなって思っていた人間がたまたま出会い、いろいろ人を紹介してもらったりで、ダイバーさんと出会ったりしながら、こういうことできるね、みたいになって、加速度的に動き始めたっていうところです。
最初は100年後とか、2100年を掲げたりとか・・・要は未来に今のマス釣りを残していこうっていうのがスローガンです。
意外と環境を守ろうというよりかは、もちろん環境を守っていくんですけれども、それ以上にあそこに根づいている釣りの文化だったりとか、地元の人たちと魚との関係みたいなのをまるっと残していきたいっていうところで、今行なっている湖底清掃で回収したルアーをアップサイクルするっていうプロジェクトと・・・。
あとは『ヒメマス・アクション』っていう、地元の人にとっては特産品というか、地元ではずっと親しまれてきた魚ヒメマス、その漁をやる人間たちからすると、その魚がここ何年か急激に減っているということで、その魚の発眼卵放流とかも含めて、今はそのふたつが二本柱で活動をしていますね。
●ヒメマスは、今は急激に減っているっていうお話ですけれども、ほとんどいないんですか?

「そうですね。昔は毎年秋になると、流入河川に真っ赤になったヒメマス・・・紅ジャケみたいな魚で、秋になると真っ赤になる魚なんですけど・・・その魚が遡上してくる姿が風物詩だったんですけど、ここ6年7年は数匹の年もあれば、数十匹みたいな時もあったりで明らかに減っています。
いろいろ原因は考えられるんですけど、まだ明らかにはなっていなくて、それを明らかにしていくっていう観点からっていうのと・・・。
あとは漁協さんが行なっている方法とはちょっと違う形で、卵を放流することでプラスに働くんじゃないかなとか、いろんな試験的なところも含めて、冬になるとだいたい11月・・・今年はちょっとできないんですけど、毎年秋になると流入河川の1本をみんなでちょっと掘ったりして、卵を埋めてヒメマスが孵化して、遠くのほうに下っていくのを見守るみたいなこともやってるんですけど・・・」
●釣り人としては、やはり天然のヒメマスをたくさん釣り上げる未来を想像されていますよね。
「そうですね。ヒメマスに関しては釣りだけじゃなくて、やっぱり地元の漁協の組合員さんたちが・・・そもそもヒメマスをみんなで獲ってそれを食べたりとか、お店に出したりっていうことをするために集まった組合が漁協なので、昔のようにヒメマスがいっぱい獲れるようになるのが、いちばん地元の人にとってはいいことで、栄華を取り戻せるんじゃないかなっていうのは、ひとつ大きなテーマでやっていますね」

(編集部注:先ほどお話に出てきた「ヒメマス」の発眼卵放流(はつがんらんほうりゅう)、これは受精後に、卵の中で黒い目が確認できるほど成長した卵を放流すること。「レイクサイド・ストーリーズ」では3年前に初めて放流し、今年その成果が見られるかもしれないということで期待していましたが、今のところ、今年は確認できていないそうです)
ルアーを「クマ鈴」にアップサイクル
※先ほど話していただいたアップサイクル・プロジェクトの清掃活動は、湖に潜ってゴミを回収するんですか?
「そうですね。まさにその通りで、ダイバーさんに潜っもらって、”根掛かり”て言って、しょうがないで片付けてもいけないんですけど、やっぱり釣りをしていると、どうしても障害物だったり、水の底にルアーとか糸が引っかかって切れてしまうっていうことがあるんですね。

そういった形で水中に放置されてしまったルアーと釣り糸を回収するのが湖底清掃で、ダイバーさんに潜ってもらって、絡めて引っ張り上げてまとめたのを、今度は船の上の回収班がそれをどんどん引き上げていくっていう形でやっているんです」
●具体的にはどんなゴミが多いんですか? やはりルアーとかですか?
「我々はやっぱり釣り人の力で、まずはアップサイクルをしなきゃいけないっていうのもあってやっているんですけれども、正直9割ぐらいは一般のゴミです。ビニール袋とか空き缶とかビンとか・・・。
中禅寺湖って実はゴミが本当に少ない湖で、陸地のゴミってほとんどないんですね。ただどうしても、雨とか風で湖に流れて沈んでしまったゴミは、これまで回収しようがなかったと思うので、かなりの量が沈んでいます。
本当に目につくものとか、釣りゴミに絡めて取れるものはいろいろ回収しているんですけれども、そういった一般ゴミもゼロにできるのは、もうちょっと先の話かなって感じです。今はまずは釣り糸とか根掛かりをメインに掃除しています」
●回収したゴミの何をどうアップサイクルされるんですか?
「アップサイクルしやすいと言いますか、いちばんよく使われているルアーの種類に”スプーン”というルアーがあります。その名の通りアイスクリームを食べたりとかするスプーンに形状が似ているカップ状の金属なんです。
その素材がほとんど真鍮でできていて、それを集めて分別して溶かして、”クマ鈴”に替えるっていうのが、今のいちばん大きなアクションというかプロダクトにしていますね」
●アップサイクルにする狙いっていうのは?
「ボランティアが集まって掃除しようっていうのは、すごくいいことで、ちょっとはやれるとは思ったんですね。でもやっぱりそれって、やれるボリュームとか期間とかには限界があると思っています。
自分たちの力だけで(活動を)回していくためには、やっぱり何かを作って販売するとか、NPOの補助金とか寄付金だけじゃなくて、自分たちで仕組みを作っていきたいねっていうのを最初から考えていたんですね。
今後何か販売していけるプロダクトにしたいなっていう時に、まず最初にやってみようってなったのが”クマ鈴”です。理想はそのクマ鈴を今後販売して、販売した利益を元手に、ダイバーさんに潜ってもらったり、次のクマ鈴の制作費に回したりっていう形で回っていけば、本当の意味でサイクルが生まれるのかなっていうのを目指してやっています」
(編集部注:湖底清掃の頻度は、今年は3日間の日程で4回の開催、計12日間。このあとは10月初旬に2回開催する予定だそうです。湖底清掃の模様は「レイクサイド・ストーリーズ」のオフィシャルサイトをご覧ください)
仲間をもっともっと増やしたい
※3年ほど活動されてきて、課題として感じていることは、どんなことでしょうか?
「もっともっとやっぱり関わる人は増やしていって、規模を大きくしなきゃいけないなっていうところが、まずはいちばんの課題なのと、あとは湖底清掃とヒメマスに関することが二本柱だと言ったんですけど、中禅寺湖が抱える釣り人とか水辺、あとは川にまつわるさまざまな問題はまだいろいろあります。
最近で言うと、中禅寺湖に流れ込む湯川っていう川で、外来植物の『オオカワヂシャ』とか『コカナダモ』っていう植物が増えて、在来の水草が減ったり・・これが影響しているのかはわからないけど、すごく泥が溜まってしまうようになったりとかっていうのもあるんですね。
我々も中禅寺湖に流れ込む川の問題なので、ゆくゆくは湖の問題だなっていうことで、そういった外来植物の駆除活動も、環境省さんとかと一緒にやらせてもらったりはし始めているので、今後はたぶんやりたいことはどんどん増えると思うので、どんどん仲間が欲しいなと思っています。
あとは今は根掛かりを回収するほうに、ベクトルがずいぶん向いているんですけれど、根掛かりを回収することで、次の根掛かりを減らしているっていうことにもなっています。
湖の底に残った釣り糸にまた引っかかって、また根掛かりが生まれているので、未来の根掛かりを外すって言う意味では、今の湖底清掃プラスさまざまな発信とか少しルールとかを設けることで、今度は新しい根掛かりもどんどん減らしていくっていう取り組みも、やっていかなきゃいけないなっていうのは感じています」

●では最後に「レイクサイド・ストーリーズ」の活動を通して、どんなことを伝えていきたいですか?
「やっぱりこれって好きじゃなきゃできないというか縁があって、我々のメンバーはみんな中禅寺湖に特別な愛とか思いを描いてやっていると思うのですけど、どこの湖でも起こりうる問題だし、たぶんどの湖にも我々みたいに、その湖のことが好きでしょうかない人たちがいっぱいいると思うんですね。
僕たちがほかの湖にも行こうなんていうのは時間的に無理な話なんで、”こういうことをやっている人いるんだ”とか、”うまくいっているんだ!”っていうふうに僕らが何かいい影響を及ぼして、こういうことをする人たちがほかの湖とか川でも増えてくれたらいいな〜っていうのは常に思っています」
INFORMATION

中禅寺湖のより良い未来を創ろうとしている「レイクサイド・ストーリーズ」の活動に共感されたかたはぜひご支援ください。寄付もちろんなんですが、ショータさんは、仲間を増やしたいという思いから、サポーター登録を希望されています。サポーターになると活動報告やオリジナルのステッカーが届きますよ。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
◎レイクサイド・ストーリーズ:https://lakesidestories.jp/
ショータさんの国内外での釣りの動画はYouTube「ジェンキンス・チャンネル」を見てくださいね。
◎ジェンキンス・チャンネル:https://www.youtube.com/@Shota_jenkins
ショータさんは、釣りのウエアやルアーなどを取り扱うオンラインのブランドショップPIKE STREET MARKETを運営されています。そのオフィシャルサイトもぜひご覧ください。
◎PIKE STREET MARKET:https://store.pikestreetmarket.com/






