2026/8/7 UP!
突然ですが、あなたは、萬祝染ってご存知ですか?

今回は、千葉県の伝統的工芸品にも指定される鴨川萬祝染を製作している若き4代目にお話を伺いました。漁業のまちとして発展してきた鴨川市。港町ならではの文化が息づくこの地では、漁師の晴れ着として生まれた漁師文化の芸術「萬祝染」が、今も受け継がれています。その伝統や技術を家族で守り続けているのが、1925(大正14)年創業の「鴨川萬祝染 鈴染」。型紙彫りから藍染、縫製まで、全ての工程を手作業で行い、伝統の技を現代へとつないでいます。
「鈴染」の4代目、鈴木理規さんに、まずは「萬祝染」の由来について伺いました。

まず、萬祝染とはなんですけども、もともとは、漁師の方が大漁祝いのときに行う宴や祝宴のこと自体を萬祝と呼んでいました。それが次第に、その宴の時に配られる着物のこと自体を萬祝と呼ぶようになりました。で、この風習自体は、江戸時代後期に千葉県の房総半島で始まったと言われています。その後、北は青森県、南は静岡県へと風習が広がっていきました。多いときだと、あの1000反ぐらい作ってた時もあったんですけど、残念ながら、昭和40年代後期に、2代目の祖父が400点製作したのを最後に、漁師の晴れ着としての萬祝という風習は、だんだん廃れていってしまいました。鴨川萬祝染鈴染では、萬祝の制作のほかにも、地域の祭り半纏を製作したり、のれんの製作などをしています。

萬祝って、もともとは大漁祝いのときの宴のことだったんです。それが、宴で配られる着物のことを言うようになったんですね。
皆さん、大漁旗はご存知の方も多いと思うんですが、あの賑やかで色鮮やかなデザインはこの萬祝が元になってるという説もあるんですよ。今日は、鈴染さんから、萬祝染の半纏をお借りしてきましたので、これを羽織って、番組をお送りしております。

家業を継ぐことは、当初全く考えていなかったそうなんです。でも、あることがきっかけで、萬祝染を別の視点から見ることになり、家業を継ぐことを決意されました。
小さい頃は全く興味がありませんでした。ですけど、大学在学中の2年生のときですね。ニューヨークにインターンシップで行くことがあって、そこで日本の工芸品をちょっと外に伝えていくっていう仕事があって、それをきっかけに、うちの仕事もなんかちょっと面白いんじゃないかという興味を持つようになりました。ただ、その時点では、まだ(家業を)継ごうという決意までは固まっていなくて、そのあとですね、大学3年生になって、就職活動が始まった時に、2代目の祖父が亡くなったときに、本気でこの仕事を自分が継がなかったら、どうなっていくのかって考えるようになりました。他の企業にも内定をもらっていたので、企業に入って普通のサラリーマンとして働くか、家業としての萬祝染の職人になるかすごい悩んでいて、夏休みを利用して、アメリカのカリフォルニア州のモントレーバックパッカーで、たまたま亡くなった2代目の祖父の作品を見たのをきっかけに、ああ、こうやって、ものを通して、海外の人と関わっていくことは面白いんじゃないかと思うようになって、継ぐことが、決意が固まりました。

内定先に就職するか、家業を継ぐか・・・難しい選択だったと思いますが、亡くなったおじい様の作品を海外で目にできたことで、萬祝染の魅力を改めて実感できたということなのでしょうね。
大漁を祝う漁師の晴れ着として受け継がれてきた芸術「萬祝染」。「鈴染」の4代目、鈴木さんに萬祝の製作工程について伺いました。

萬祝の製作に関してなんですけど、工程数がたくさんあって、なかなか簡単に説明することは難しいんですけど、まずは真面目に大事なデザインを描いて、そのデザインをもとにして、型紙というものを製作して、そのあと色差しという色塗りの工程を経て、その後藍染めで地染めをして仕立てていき、ようやく完成という工程になります。継ぐようになってから、いろいろな工程をやってみて思ったこととしては、やっぱり工程数が多いので、すごく難しさはあると感じています。特に、型紙製作する際は、複数の型紙で、1つの図柄が完成しているので、そこで、集中力が切れてしまうと、各図柄がつながらなくなってしまいますので、そういう難しさは、特に感じていますね。乾かした反物を外に出すんですけど、その際に、雨に降られてしまったりとか、鳥のフンが落ちてくると、また最初からやり直しになっていくので、やっぱり自然との戦いだなという思いでも、やっぱり仕事をしていますね。
これは、相当な集中力が必要ですよ?!全部型紙から作っていると考えると、面積も相当あるし、大変な作業だよね。せっかく染めても、自然との戦いもあるなんて厳しいですねぇ
ちなみに、何色も染めるときは「型付糊(のりづけ)」とよばれる「糊」が大事ということで、こちらは染料が混ざるのを防いでくれるんだそうです。

鈴染で使っている糊は、もち米、米糠、塩、石灰などを混ぜ合わせて作る自然由来の特製糊で、鈴木さんのお手製なんです。その日の天気や湿度などを考えて作るので、毎回同じというわけではありません。その後、10以上の工程を経て萬祝染ができあがります。半纏として縫い上げるのは鈴木さんのお姉様が中心に担っています。

中西 鈴木さん、そして3代目でもあるお父様は、この伝統文化を広く知ってもらうための活動も盛んに行っています。仕事のやりがいと、萬祝染のワークショップについても伺いました。
難しさはあるんですけど、やっぱり自分自身で、デザインから作っていて、最終的に商品につながるまで持っていけるので、そういった点で、やっぱり楽しさがあるので、すごくやっぱりこの仕事をして良かったなと思っていますね。で、あとは、うちはお客様の手元に届けるまでも、やっぱり直接お客様と対面することが多いので、その時にお客様に「これもらって良かった」「これ、プレゼントして喜んでもらえたよ」って言っていただけるのが、やっぱり仕事の励みにはなりますね。ワークショップなどを通して、歴史とか、制作体験を通して、萬祝染の魅力を伝えていくことも大切だと思っています。その一環として、父の代からもう30年以上前になるんですけど、ワークショップを始めて。今までだと、全部で5万人ぐらいの方に体験していただいたんですけど、そういうワークショップを通しても、魅力の発信にも努めております。最近ですと、日本人の方だけでなくて、日本に慣れた海外の方も、自分でレンタカーを借りて、当店のワークショップに来ることもあって、海外の方にもこういう萬祝染の文化を知っていただくきっかけ作りにもなっていますね。

30年以上前からワークショップをやっていて、のべ5万人!とんでもない数字ですね。参加者が自分で作れるので大変人気だということです。ちなみに、一番手軽に楽しめるのが、税込1,980円のコースで、所要時間は、1時間~1時間半ほど。鶴・亀・鯛・オットセイ・マンボウ・シャチの6つの図柄から1つを選択して、実際に作ることができます。そのほかにも、もっと手の込んだ図柄や、トートバッグを作るコースもあるそうです。
これだったら、鴨川観光の一つに加えられますね。
人気のワークショップは、事前予約制です。午前の部、午後の部があるそうなので、スケジュールを合わせてお出かけしてみてはいかがでしょうか?そのほか、鈴染では、トートバッグやデニムと組み合わせたポーチなど見ているだけでも楽しいお土産もたくさん製作しています。また、ちょっとお値段はしますが、オリジナルの萬祝半纏も注文できます。萬祝染の作品についてやワークショップの種類、予約方法など、詳しくは、鈴染の ホームページをご確認ください。





