2026/8/14 UP!
千葉県の安房地域は1年を通して温暖な気候で、南国を思わせるような雰囲気があって、早い時期から菜の花が咲くなど、ひと足早く春の訪れを感じられる地域としても知られていますよね。
今回は、そんな温暖な地域にある館山市で、トロピカルフルーツのひとつ。パッションフルーツを育てていらっしゃる農家さんをご紹介します。
温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、様々な農産物が栽培されている館山市。その地で、パッションフルーツの栽培に熱心に取り組んでいるのがRYO’s FARMです。東京から館山市に移住して、新規就農をされたRYO’s FARMの園主・梁 寛樹さんに、まずは農業を始めたきっかけを伺いました。

梁さん:私、もともと大学卒業してからメーカーで働いてたんですけど、サーフィンが好きすぎて、いても立ってもいられなくなって、どっか海の近いところに移住したいなぁって考えていたところ、館山市で地域おこし協力隊を募集してたんですね。地域おこし協力隊っていうのは、3年間その地域の課題を解決してもらうっていうようなプログラムなんですけど、それを使って、私は館山に移住をしました。館山市の地域おこし協力隊のテーマっていうのが農業というテーマだったんですが、当時、私は農業、全くの未経験で、まあ、自分がそのメーカーで働いていた時に、ブランディングとかPRをしていたので、まあそこを生かして、館山市の農家のブランディングだったり、PRをしていけたらいいなと思っていたんですが。

地域おこし協力隊制度を利用したのか!移住の手段として応募したんですね。ご自身がこれまで培ってきたキャリアを活かして、「館山の農産物の認知度を上げたい」「名産品を作って、その魅力を世の中に伝えたい」との思いから、応募したそうです。ところが、いざ、協力隊で館山に移住すると、現場での反応は、想定していたものと全く違うものでした。

梁さん:いざ、地域に入ってみると、そんなことは誰も求めていなくてですね、そんなことはいいから、早く、まあ、1人でも多く、農家の後継者になってほしいっていうような声の方が大きかったんですよね。それで、もともとの予定とは違いましたけれども、もう自分で0から農業をやってみようかなと思って始めました。東京にいた時から、ちょこちょこサーフィンで館山に来ていたんですが、ヤシの木が並んでいたりして、すごい南国のイメージがあったんですよね。なので、まあ、最初、アボカドだったりとか、マンゴー、パッションフルーツっていう、まあ、南国のフルーツを試験栽培していく中で、パッションフルーツが一番美味しく作れたっていうのが、パッションフルーツにした決め手になります。
地域が求めているのは農家をサポートする若者ではなく、若手農家そのもの。それで、自分が農家になることが地域おこしの第一歩だと、早い段階で確信したそうです。とはいえ、梁さんは農業経験ゼロだったので、まずは市内の農家を回りながら少しずつ農産物の栽培について学んでいくことからスタートしました。

中西 館山でサーフィンがしたいという思いがきっかけで、地域おこし協力隊に応募した梁さん。3年間という任期の中で農業を実践しながら、地域とのつながりも深めていきました。パッションフルーツは成長が早く、土壌の質も良かったことから、初年度から収穫ができたそうです。気づくと、梁さんはすっかり館山の人になっていました。
梁さん:単純に、3年間、館山に住んだら、もういいとこすぎて、もう東京に戻れない体になってたっていうのが一番かなと思います。0から農業を始めようとする人たちにとって、まあ、一番の障壁って、やっぱりお金だと思うんですけど、私はその地域おこし協力隊の3年間の間に、人間関係を築いて、農地を借りることもできましたし、農業の機械なんかをそろえることもできましたし、本当に借金することなく、スタートを切ることができたので、本当にこの協力隊としての3年間があって、よかったなと思っています。館山市の農水産課の方だったりとか、地域の農家の方、たくさんサポートしていただいて、かなりいいスタートが切れたんじゃないかなと思います。

梁さんにパッションフルーツの栽培を勧めたのは、県の施設、暖地園芸研究所の研究員の方でした。さらに、パッションフルーツ栽培のハウスは、農業を卒業されるというカーネーション農家の方から借りたそうです。実は、このパッションフルーツ、実が熟してくると、枝から落ちてしまうそうで、工夫して、本来よりも枝についている期間を長くすることでより美味しくなるそうです。
そして目の前に、梁さんが作った赤紫色に輝くパッションフルーツがスタジオにも届きました。

梁さんは毎年、旬の夏の時期に、東京・青山の国連大学前で開かれるファーマーズマーケットに出店して、パッションフルーツを販売しています。お客さんの反応を直接感じられて嬉しいんだそうです。実は、そんなお客さんとの会話から生まれた商品があるんです。それがこちらのリリコイバターです。

パッションフルーツのことをハワイ語で「リリコイ」といいます。リリコイバターは、バター、卵、砂糖を混ぜて作ったもので、ハワイではパンなどに塗って食べられていて、大変人気があります。RYO’S FARMのリリコイバターは、青山ファーマーズマーケットに梁さんが出店した時に、あるハワイ帰りのマダム風の方から、『ハワイでは“リリコイバター”というのを作って食べてるから、あなたも作ってみたらいいんじゃない?』と言われたことをきっかけに商品開発を始めたそうです。
お客さんとの何気ない会話が、新しい商品につながったんですね。これが売れると、冬も安定した収入があって、農業として安定していきますね。
初めは製造を委託しようと思ったそうですが、いろんな事情があり、レシピを教えてもらい、自分で作ることにしたそうです。夏の間に収穫したものを冷凍保存して、夏以外の時期に製造。今では年間の売り上げの8割近くをこのリリコイバターが占めるほどになりました。
ハワイ帰りのマダム風の方が、ものすごいアドバイスをくれたということですね。

梁さんは、パッションフルーツを作り始めた最初の頃の周りの人たちの反応を今も思い出すそうです。
梁さん:結構、周りのおじいちゃん農家からは、なんだ、この種ばっかのフルーツみたいな感じで、こんなん作って売れるわけないだろうみたいなことを言われたんですけど、まあ、それぐらいマイナーなフルーツで、地域にも本当、二、三軒、メインじゃない、農産物として作っているぐらいの方はいらっしゃったんですけど、メインで作ってる方はいらっしゃらなくて。だから、ある意味、本腰入れて、あの専業でパッションフルーツ農家としてやっているのは、自分ぐらいでしたね。

今は農業の規模を広げることは考えていないそうです。2015年に独立してからずっと農地の広さは15アールのままで、25mプールおよそ4〜5個分くらいの広さ。この農地を一人で作業、整備することに拘っていて、一人だからこそ農作業や仕事をコントロールできる自由さがあると話してくださいました。それでも、パッションフルーツは、2万個以上収穫できるそうですよ。
自分ができる範囲で、しっかりとやられている。リリコイバターのような6次化製品も生み出している。でも大きくはやらない。しっかりと続けてもらいたいですね。

梁さんが大切に育てたパッションフルーツ、そしてこのリリコイバターは、近隣の道の駅やオンラインショップでも購入することができます。
詳しくは、RYO’s FARMのホームページをぜひご覧ください。




